ゴルフ場・練習場の看板
迷わず着いてもらう5ステップ
これからゴルフ場や練習場の案内看板を考える方へ。 この施設で迷われるのは、敷地の前ではなく手前の分岐です。 予約した人は、時間に追われて走っています。 入口の面を大きくするより、曲がる場所を一つずつ埋めるほうが効きます。
幹線から敷地まで、案内する地点を数える手順/ 曲がる判断に使える秒数と、そこで読める文字数/ 呼び名を最後の面までそろえる理由/ 高い構造物と、敷地の外へ出す面の扱い/ 掲出の年数で総額を割り、来場の組数に直す式/ 迷った場所を聞き、手前の地点から直す順番
着かないのではなく、途中で曲がり損ねている
看板の相談は、敷地の入口に立てる大きな面から始まります。 ところが迷う場所は、たいてい何kmも手前の分岐です。
起きやすいのは、次の四つです。 入口だけに面を作り、手前の分岐に何も置かない。 分岐の面に営業時間まで載せ、施設名が読まれない。 地点ごとに呼び名が変わり、別の施設だと思われる。 夏に草木が伸び、面の下半分が隠れている。
どれも、発注の前に手を打てば起きません。 地点を並べ、面を分け、決まりを確かめ、費用を割り、聞いて直す。 この五つを順に埋めます。
遠い分岐点から順に、案内の地点を並べる
面の数は、敷地の広さではなく分岐の数で決まります。
地図を開き、初めて来る人が曲がる交差点に印を打ちます。印の数が、必要な案内の地点の数です。
幹線と集落内では速度が違います。速度が変われば、読ませられる文字数も変わります。
曲がる判断に2秒、合図と減速に3秒。合わせて5秒分の距離を、地点の手前に確保します。
敷地から幹線へ向かって走ります。行きで気づかない見落としが、帰り道で見つかります。
曲がるかどうかを決め、合図を出し、速度を落とす。 分岐では、この一連に5秒ほどが要ります。
判断2秒 + 合図と減速3秒 = 5秒
13.9 × 5 = 69.5 → 約70m手前
時速40kmなら 11.1 × 5 = 55.5 → 約56m手前
| 走行の速度 | 秒速に直すと | 面を置く位置 |
|---|---|---|
| 時速50km(幹線) | 秒速 約13.9m | 約70m手前 |
| 時速40km(郊外路) | 秒速 約11.1m | 約56m手前 |
| 時速20km(敷地内) | 秒速 約5.6m | 50mで約8.9秒 |
地点を数え上げると、こうなります。
集落内の分岐 2
敷地の入口 1 / 駐車の区画を分ける地点 1
受付の位置 1
1 + 2 + 1 + 1 + 1 = 合計 6地点
総額を動かすのは、一面の大きさより地点の数です。 先に数を出しておくと、どこに費用を寄せるかを決められます。
敷地に入ってからの誘導には、業種を問わない型があります。 並べ方は駐車場・入口の案内サインにまとめました。
初めて来る人と常連で、必要な面を分ける
同じ道を通っても、見ている面は違います。
常連は分岐を覚えています。 初めての人は、分岐ごとに確認を求めます。
| 来る人 | その場で知りたいこと | 当てる面 |
|---|---|---|
| 初めて予約して来る人 | この道で合っているか | 分岐ごとの確認の面 |
| 常連 | 今日はどこに停めるか | 区画を分ける面 |
| 同伴で来る人 | 受付はどこか | 建物の入口の面 |
| 通りがかりの人 | 誰でも使えるのか | 利用の可否を示す面 |
曲がる判断に使えるのは2秒です。営業時間も料金も読まれません。名前と向きの二つに絞ります。
途中で呼び名が変わると、別の施設だと思われます。地図に書いた表記と、面の表記をそろえます。
距離が分かると、次の分岐まで気を抜けます。数字は一つで足ります。
載せられる量は、判断に使える秒数で決まります。
1秒に読めるのを2〜3文字と置く(目安)
2 × 2 = 4 / 2 × 3 = 6 → 4〜6文字
施設名と矢印。 分岐の面は、この二つでほぼ埋まります。
敷地に入れば、時間に余裕が出ます。 徐行を時速20kmと置けば秒速約5.6m。 50m手前から見えるなら 50 ÷ 5.6 で約8.9秒です。 車を降りて受付まで40m歩く間は、40 ÷ 1.1 で約36秒あります。 利用の決まりや料金は、この区間の面で読ませます。
文字の高さを割り算で出す
読ませたい距離が決まれば、高さは計算で求まります。
70m先(幹線の分岐) → 70,000 ÷ 500 = 140mm / ÷ 250 = 280mm → 14〜28cm
50m先(敷地内の分岐) → 50,000 ÷ 500 = 100mm / ÷ 250 = 200mm → 10〜20cm
10m先(受付の面) → 10,000 ÷ 500 = 20mm / ÷ 250 = 40mm → 2〜4cm
この幅は、明るい場所で正面から見た値です。 書体、地の色との明暗差、朝夕の逆光で変わります。 早朝から開ける施設は、大きいほうへ寄せてください。 照らし方は看板を照らす照明で扱っています。
正式名称、略称、通称。 三つが混ざると、走っている人は同じ施設だと判断できません。 地図や案内に載せている表記を一つ選び、すべての面でそろえてください。 略称を使うなら、最初の分岐から受付まで同じ略称にします。
高い構造物と夜間の照明の決まりを確かめる
この施設には、すでに高い構造物が建っています。
ネットの支柱へ看板を付ける案は、よく出ます。 既存の構造に足すと、構造の確認をやり直す必要が出ることがあります。
| 高い構造物の扱い | 高さによって、別の確認や届出が要る場合がある。 |
|---|---|
| 屋外広告物としての扱い | 面積と高さの上限。表示できる期間と更新の時期。 |
| 敷地の外へ出す面 | 他人の土地や道路沿いに出す場合、扱いが変わる。 |
| 夜間の照明 | 光の向きと明るさに制限がある地域がある。 |
| 既存のネットや柱への取り付け | 構造の計算をやり直す必要が出ることがある。 |
| 撤去と原状回復 | 外す日、外す人、地面を戻す範囲。 |
屋外広告物としての扱いは、土地によって違います。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域に分かれます。 許可に表示できる期間が定められ、更新の手続きが要る場合もあります。 要否と様式は、管轄の窓口へお尋ねください。 流れそのものは屋外広告物の許可にまとめました。
草木の手入れを、年の予定に入れる
郊外の面は、季節で見え方が変わります。
夏に伸びた枝と草は、面の下半分を隠します。 刈る作業を年2回の予定として入れておくと、忘れません。 設置の見積りをとる段階で、手入れの範囲も一緒に決めてください。 面そのものの傷み方は看板の点検で扱っています。
自分の敷地に立てる面と、道路沿いの他人の土地へ出す面では、必要な手続きが別になります。
借りた土地に出す場合は、契約の期間と、返すときの状態も先に決めます。
出し方の全体像は野立て看板・ロードサイド看板で詳しく扱っています。
※ 高さの上限、掲出の可否、照明の制限は地域により異なります。着工前に管轄の窓口へお確かめください。
掲出の年数で割り、必要な組数を出す
地点の数が総額を決めるので、地点ごとの効きも見えます。
費用が動くところを見る
| 地点の数 | 分岐の数だけ増える。総額にいちばん効く。 |
|---|---|
| 敷地の内か外か | 外へ出す面は、土地の借り方と手続きが加わる。 |
| 面の高さ | 高いほど支柱と基礎が重くなり、工事の規模が変わる。 |
| 照らすかどうか | 電気を引く経路の長さで、工事の範囲が動く。 |
| 既存の構造物を使うか | ネットや柱に付ける場合、構造の確認が要ることがある。 |
| 更新と撤去 | 呼び名を変えるときの差し替え、外すときの作業も見込む。 |
支柱と基礎の作りは、後から変えられません。 構造の考え方は自立看板・ポールサインの立て方にあります。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。
月あたりに直し、組数まで落とす
一式の総額960,000円 ÷ 96か月 = 月10,000円
この960,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。
次に、1組あたりの粗利で割ります。
10,000 ÷ 2,400 = 4.16 → 月5組(切り上げ)
30 ÷ 5 = 6 → 6日に1組
検算:5 × 2,400 = 12,000円 → 月10,000円を上回る
看板を見て来た組が、6日に1組増えれば釣り合う計算になります。 6,000円も粗利率0.4も、仮の置き方です。 自分の平均単価と、直近の粗利率に差し替えて計算し直してください。
この式は、地点ごとにも使えます。 分岐に1面足す費用を同じように割れば、その面が何組を連れて来れば釣り合うかが出ます。 小さな面ほど、必要な組数は小さくなります。
迷った場所を聞き、手前の地点から直す
どこで迷ったかを知っているのは、いま着いた人です。
「どこで迷いましたか」と一言たずねます。地点の名前が返れば、直す場所がそのまま決まります。
来場前の問い合わせを、内容ごとに正の字で数えます。多い地点が、いちばん弱い面です。
遅れの多くは道迷いです。日付とともに残せば、前の期間と並べられます。
初めて来る人と同じ経路をたどります。読めない面と、隠れた面がその場で分かります。
上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は受付の会話に混ぜられます。
見る時期を決める
| 1週間 | 道を聞く電話が来るかを見ます。件数で分かります。 |
|---|---|
| 1か月 | 受付の聞き取りを並べ、迷う地点が偏っていないか調べます。 |
| 3か月 | 遅れて着いた組の数を、前の3か月と比べます。 |
| 1年 | 色あせと草木の伸びを見ます。許可の期限を確かめる時期でもあります。 |
来場の数は、天候と季節で大きく揺れます。 雨の週と連休を混ぜると、面の効き方が見えません。 3か月でひとまとめにすると、揺れがならされます。
効かないときは、この順で疑う
- 1幹線から自分の車で走り直す
費用はかかりません。読めない面がどれか、ここでほとんど判明します。
- 2面の前の枝と草を刈る
季節で伸びます。春と秋の同じ時期に見る習慣にすると、抜けません。
- 3分岐の面の文字を4〜6文字に削る
既存の面を貼り替えるだけで済む場合があります。曲がる判断に使えるのは2秒です。
- 4面の向きを、来る方向へ振り直す
角度が数度ずれるだけで、走ってくる車から見えなくなります。
- 5呼び名を、地図の表記にそろえる
途中で表記が変わると、別の施設だと受け取られます。
- 6抜けている分岐へ、面を一つ足す
直すより、抜けている地点を埋めるほうが早く効きます。作り直しは、この後です。
上のほうほど、費用をかけずに手を打てます。 1番から3番は、その日のうちに終わります。 面を作り直すのは、六つを試した後です。
よくある失敗5パターン
どれも、一面足すか、載せた文字を削ることで手当てできます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 敷地の入口だけに面を作った | 手前の分岐で曲がり損ねる | 幹線からの分岐に1面足す。入口の面はそのまま残す |
| 分岐の面に営業時間を載せた | 施設名と矢印が読まれない | 2秒で読める4〜6文字に削る。時間は受付の面へ移す |
| 地点ごとに呼び名を変えた | 別の施設だと思われる | 地図の表記に統一する。上から貼るだけで済む |
| 草木の手入れを見込まなかった | 夏に面の下半分が隠れる | 春と秋の同じ時期に、刈る作業を予定へ入れる |
| 夜の見え方を確かめなかった | 暗い時間に入口が分からない | 日没後に幹線から走り、暗い面を書き出す |
セルフチェックリスト
発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 幹線から敷地まで、曲がる場所をすべて地図に打った
- 地点ごとに、そこでの速度を確かめた
- 判断に要る秒数を距離へ直し、面の位置を決めた
- 分岐の面を、施設名と矢印の4〜6文字に収めた
- 読ませたい距離から、文字の高さを割り算で出した
- 呼び名を、地図の表記と最後までそろえた
- あと何mかを、面に入れた
- 敷地の外へ出す面の扱いを、窓口に確かめた
- 高い構造物と夜間の照明の決まりを確かめた
- 草木を刈る時期を、年の予定に入れた
- 日没後に幹線から走り、暗い面がないか見た
- 掲出の年数で費用を割り、必要な組数に直した
よくある質問
ゴルフ場や練習場の看板は、何から決めればいいですか?
分岐の看板には、どのくらいの文字を載せられますか?
施設の呼び名は、どこまでそろえるべきですか?
敷地の外に案内看板を出すとき、手続きは要りますか?
効いているかは、いつ判断しますか?
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
まとめ
広い敷地へ導く看板は、次の順序で決まります。
| 1 地点を並べる | 幹線から敷地まで、曲がる場所を地図に打って数える。 |
|---|---|
| 2 面を分ける | 分岐は施設名と矢印の4〜6文字。決まりは敷地内の面へ。 |
| 3 決まりを確かめる | 高さ、照明、敷地の外へ出す面の扱いを窓口で聞く。 |
| 4 費用を割る | 掲出の年数で総額を割り、1組あたりの粗利で組数へ直す。 |
| 5 聞いて直す | 受付でたずね、手前の分岐から安い順に手を入れる。 |
入口の面を大きくしても、手前で曲がり損ねた車は着きません。 直す順番は、いつも遠いほうからです。