野立て看板の出し方ガイド
土地を借りて道路沿いに出す5手順
郊外や道路沿いのお店へ。手前の道端に、土地を借りて出す看板の話です。 建てる話より先に、どの土地を借りるかで結果の大半が決まります。
どちら向きの車に、何km手前で見せるかの決め方/ 土地の持ち主に尋ねる相手と、借りる前に決める5項目/ 屋外広告物の手続きで確かめる項目と、尋ねる窓口/ 走行中に読める量まで削る手順と、文字の高さの早見表/ 借地料と制作費と維持費から、必要な新規客数を出す計算/ 出したあとに測る5通りと、効かないときに疑う順序
野立て看板は、土地探しから始まります
郊外のお店から「道路沿いに看板を出したい」という相談が届きます。 店の敷地ではなく、手前の道端に出す看板です。土地は他人のものですから、借りる話から始まります。 看板の作りを考えるのは、土地が決まったあとです。
決めないまま進むと、こうなります。 店に近い土地を借りたので、見えたときには曲がる地点を過ぎていた。 詰め込んだので、走っている車から読み取れなかった。 期間を決めずに始めたので、数年で外すことになった。 出したあとの見方が無いので、続けるかを判断できない。
場所を決め、土地を借り、手続きを確かめ、内容を削り、年あたりで計算し、測る。 この順なら、地主と業者に何を尋ねるかが決まります。
ここで書くのは、他人の土地を借りて、店から離れた場所に出す看板の話だけです。 自分の敷地に立てる看板の高さ、面の大きさ、基礎の作りは自立看板・ポールサインにまとめています。 屋外広告物の扱いは地域で違います。数値は目安です。
出す場所を、道の流れから決める
土地を探す前に、どちら向きの車に見せるかを決めます。
上り側と下り側では、見える面が違います。店へ向かう側の車線から見える面を先に決めてください。両方向なら、面を2つ持つ形になります。
距離ではなく走行時間で考えます。時速60kmなら、1分で1km進む計算です。見てから曲がるまでに1分ほしいなら、およそ1km手前が候補です。
道が分かれる地点を過ぎると、戻るのに時間がかかります。分岐の手前に置くほうが、案内として働きます。地図で前後を見てください。
走ってくる車と正対する向きほど、遠くから面が見えます。道と平行に近い置き方では、面が正面を向くのは通り過ぎる直前だけです。
街路樹、電柱、先に立っている別の看板。目の高さで遮られていないかは、実際に車で走らないと分かりません。
見えている時間を、距離に直す
1秒に進む距離は、時速を3.6で割ると出ます。 60÷3.6で約16.7m、40÷3.6で約11.1mです。 視界に入っているのは2〜4秒程度が目安ですから、進む距離は次のようになります。
| 走る速さ | 1秒に進む距離 | 2〜4秒に進む距離 |
|---|---|---|
| 時速40km | 約11.1m | 約22〜44m |
| 時速50km | 約13.9m | 約28〜56m |
| 時速60km | 約16.7m | 約33〜67m |
時速60kmの車が読み終えるのは、数十メートルのあいだです。 信号や坂で速度が落ちる地点なら、時間は延びます。
どこまで手前に出すかも、走行時間で数えます。 時速60kmは1分で1km進みます。60÷60で1という計算です。 曲がるまでに1分ほしいなら、1km手前が候補です。
候補地は、地図でなく車から見てください。 助手席の人に、面が見えている秒数を数えてもらうと早く済みます。
土地を借りる話を進める
尋ねる相手と、決めておく項目があります。
土地の持ち主です。分からないときは、登記の記録から所有者にたどり着けます。近くの不動産会社が管理している場合もあります。
何年借りるかを先に決めます。制作費を年あたりに直すとき、この年数がそのまま割る数になります。決めないと計算できません。
期間が来たときの扱いと、外したあと地面をどこまで戻すかです。基礎を残すのか掘り起こすのかで、撤去の費用が変わります。
夜も光らせるなら電源が要ります。引ける経路があるか、電気代を誰が払うか。借りる前に確かめておく事柄です。
貼り替えや点検のとき、人と車が入れる必要があります。作物や資材が置かれる時期があるなら、先に聞きます。
持ち主を調べ、用途を伝え、条件を詰める。この順で話します。 用途は、大きさと高さ、地面をどう使うかを紙1枚にまとめて渡します。 地主が知りたいのは、自分の土地がどうなるかです。
電気の話は先に済ませます。引ける経路が無い土地では、夜に光らせる案が消えます。
口約束のままだと、地主が代わったときに続けられるかが決まりません。
期間、更新の扱い、外したあとの戻し方、電気の負担。この4つは書いておきます。
条項の立て方は土地や事情で異なります。文面の判断は専門家にご確認ください。
屋外広告物の手続きを確かめる
土地を借りられても、そのまま出せるとは限りません。
道路沿いに広告物を出すときは、屋外広告物の決まりが関わります。 県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。 どちらに当たるかで、尋ねる窓口が変わります。
| 出せない区域か | 広告物を出せない区域が定められていることがあります。 |
|---|---|
| 許可が要る区域か | 区域によっては、出す前に許可を取る決まりがあります。 |
| 大きさと高さの上限 | 面積や高さに上限が置かれていることがあります。 |
| 許可の期間 | 許可には期限があり、続けるなら更新の手続きが要ります。 |
| 道路に近いとき | 道路の区域にかかる場合は、道路を管理する側が関わります。 |
| 土地の用途 | 土地の使われ方によっては、別の窓口が関わることがあります。 |
区域の線引きも、上限の数字も、ここには書けません。地域ごとに違うためです。 許可の更新時期は、借地の期間と合わせておくと管理が楽になります。
この記事では、届け出が要るかどうかを判断できません。
土地の場所と、大きさや高さが分かる図があれば、窓口での話が早く進みます。
手続きに慣れた看板業者は少なくありません。相談の段階で扱えるかを尋ねてください。
申請の流れは屋外広告物の許可にまとめています。
走行中に読める内容へ削る
足す作業ではありません。落とす作業です。
載せる要素は3つまでにしてください。 何の店か、店の名前、あと何kmか。この3つで用は足ります。 4つ目を足した瞬間に、1つ目の読み取りが遅れます。
一目で読み取れるのは十数文字までが目安です。 書体の太さ、背景と文字の色の差、照明の有無、天候で上下します。 時速60kmで2秒なら33m、4秒なら67m。この距離で読み終わる量が上限です。
文字の高さを、距離から計算する
必要な文字の高さは、読ませたい距離の1/250〜1/500が目安です。 100m先なら、100÷250で40cm、100÷500で20cm。20〜40cmになります。
| 読ませたい距離 | 1/500のとき | 1/250のとき |
|---|---|---|
| 50m先 | 約10cm | 約20cm |
| 100m先 | 約20cm | 約40cm |
| 150m先 | 約30cm | 約60cm |
| 200m先 | 約40cm | 約80cm |
細い書体、色の差が小さい配色、照明の当たらない面。 当てはまるなら、大きいほうの数字に寄せてください。
表示面の角度で、読める時間が変わる
同じ大きさでも、向きが変われば見えている距離が変わります。 正対する向きなら、遠くから面が正面を向いています。 道と平行に近い向きだと、面が見えるのは通り過ぎる直前だけです。 文字を大きくする前に、面の角度を疑ってください。
電話番号を載せるなら、この看板にだけ使う番号を1つに。効果を測るときの材料になります。
年あたりの費用と、取り戻すラインを計算する
借地料と制作費は周期が違います。年に直すと並べられます。
年あたりの費用 ÷ (客単価 × 粗利率) = 年に必要な新規客数
制作費は建てた年に出ていきますが、看板は何年も立っています。 年数で割ると、毎年払う借地料と単位がそろいます。
埋める数字は5つ
| 年の借地料 | 地主に払う額です。月払いなら12倍して、年の額に直します。 |
|---|---|
| 制作費 | 作って建てるまでの額です。基礎の工事もここに入れます。 |
| 使う年数 | 何年出し続けるかです。借りる期間と合わせて置きます。 |
| 年の維持費 | 電気代、貼り替え、点検。毎年出ていく分をまとめます。 |
| 客単価と粗利率 | 自分の店の数字です。看板の側では決まりません。 |
数字を置いて、通しで計算する
年の借地料を12万円、制作費を60万円、使う年数を5年、年の維持費を3万円と置きます。 60万円÷5年で12万円ですから、12+12+3で年あたり27万円です。
270,000円 ÷ 2,000円 = 年に135人
客単価4,000円、粗利率50%なら、1人から残るのは2,000円。 27万円を2,000円で割ると135人です。
体感できる単位にも直します。135を12で割ると月に11人ちょっと。 365を135で割ると2.7ですから、およそ2.7日に1人です。 3日に1人来れば戻る、と考えると判断しやすくなります。
人数が多すぎると感じたら、先に動かすのは使う年数です。 5年を8年にすると、60万円÷8年で7万5千円。12+7.5+3で年あたり22万5千円。 225,000を2,000で割ると112.5ですから、約113人まで下がります。
12万円も60万円も、計算の形を見せるために置いた数字です。 借地料は土地の条件で、制作費は面の大きさと作りで決まります。 自分の数字に入れ替えて、もう一度計算してください。 実額は、条件をそろえて複数の会社に見積もりを取ると分かります。
出したあとに効果を測り、続けるか決める
測る方法と、見る日を先に決めておきます。
測る方法は5通り
| 来店時に尋ねる | 「どこで知りましたか」と聞き、紙に正の字を書きます。費用はかかりません。 |
|---|---|
| 看板だけの番号やQR | その看板にだけ載せた番号やQRの反応を数えます。出どころが混ざりません。 |
| 来る方向の増減 | 看板を出した側から来る客が増えたかを見ます。出す前の記録が要ります。 |
| 通る車の数え取り | 時間帯を決めて通行量を数えます。見込みの母数が分かります。 |
| 地図アプリでの動き | 店名や業種で検索された数の推移を見ます。ほかの要因も混ざります。 |
上から順に、手間と費用が小さいものが並びます。 出す前の来店数を記録していないと、どの方法も比べる相手を失います。 まだなら、今日から数え始めてください。
見る日を、先にカレンダーへ入れる
- 11か月後
尋ねたときに看板の話が出るかを見ます。ここで結論は出しません。
- 23か月後
来店のうち何割が看板から来たかを、割合で見られます。
- 3半年後
季節の影響を含めた形が見えます。必要な人数と実際の人数を並べます。
- 4契約の更新前
続けるか、場所を変えるか、やめるかを決めます。
思い出したときに見る、では続きません。4つの日付を入れておけば、材料が無いまま更新を迎えずに済みます。
効いていないと感じたら、この順で疑う
- 1載せた要素を減らす
4つ以上載っているなら、そこから落とします。面の貼り替えだけで済むことがあります。
- 2文字の高さを見直す
計算した高さに足りているかを測ります。1行減らせば、残った行を大きくできます。
- 3表示面の角度を変える
走ってくる車と正対する向きに寄せます。取り付けの金具を動かすだけで済む場合があります。
- 4照明の有無を考え直す
夜に見せる必要があるかを決めます。電気を引ける土地かどうかも、ここで効いてきます。
- 5出す場所そのものを疑う
手前が遮られていないか、店に近すぎないかを車から確かめます。動かすなら費用がかかります。
- 6作り直す
ここまでで直らないときに考えます。順番として、いちばん最後に置いてください。
1番から3番は、いまの看板のまま手を入れられます。費用がかかるのは5番から先です。 作り直しを先に選ぶと、直せたはずの原因を見ないまま終わります。
よくある失敗5パターン
どれも、建てる前か、貼り替えの範囲で手が打てます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 店に近すぎる土地を借りた | 見えたときには曲がる地点を過ぎている | 分かれ道の手前まで、候補地を見直す |
| 要素を4つ以上載せた | 走っている車から読み取れない | 面の貼り替えで、3つまで削る |
| 表示面が道と平行に近い | 面が正面を向くのが直前だけになる | 取り付けの向きを、正対する側へ寄せる |
| 借りる期間を決めずに始めた | 年あたりの費用が計算できない | 期間と更新の扱いを、書面にして残す |
| 出す前の来店数を残さなかった | 増えたかどうかを比べる相手が無い | いまから3か月ぶんを取り、次の判断に使う |
セルフチェックリスト
地主や業者に連絡する前にお使いください。5つ以上「いいえ」があれば、詰める余地があります。
- どちら向きの車に見せるかを、1つに決めた
- 候補の土地を、その向きから実際に車で走って見た
- 店までの残り距離と、分かれ道との前後を地図で確かめた
- 表示面の向きを、走ってくる車の側に合わせた
- 土地の持ち主に尋ね、借りる期間と更新の扱いを決めた
- 外したときに地面をどこまで戻すかを、話し合った
- 電気を引けるかどうかを確かめた
- 屋外広告物の届け出について、管轄の窓口に尋ねた
- 看板に載せる要素を3つまでに絞った
- 文字の高さを、読ませたい距離から計算した
- 年あたりの費用と、年に必要な新規客数を出した
- 出す前の来店数を記録し、次に見る日を決めた
よくある質問
野立て看板は、何から決めればいいですか?
どのくらい手前に出すのが目安ですか?
文字は、どのくらいの大きさが要りますか?
出すのに届け出は必要ですか?
効果は、いつ判断すればいいですか?
予算が限られるときは、どこから削りますか?
まとめ
店から離れた場所に出すときは、次の順序で進めます。
| 1 決める | どちら向きの車に、どの地点で見せるかを1つに絞る。 |
|---|---|
| 2 借りる | 持ち主に尋ね、期間・更新・戻し方・電気を書面にする。 |
| 3 削る | 載せる要素を3つまでにし、距離から文字の高さを出す。 |
| 4 計算する | 借地料と制作費と維持費を年に直し、必要な人数を出す。 |
| 5 測る | 出す前の数を残し、更新の前に続けるかを決める。 |
手続きの確認は、2と3のあいだです。窓口に尋ねてから面を設計してください。
この看板の成否は、土地を借りる前におおむね決まっています。
候補地を車で走り、見えている秒数を数える。まず、そこからです。