キャンプ場・グランピングの看板
広い敷地を案内する5ステップ
これからキャンプ場やグランピング施設の看板を用意する方へ。 この施設の案内は、1枚では完結しません。 一般道の分かれ道から、入口、受付、場内の分岐、区画の番号まで。 来場者は初めての道を、暗くなりかけた時間に走ってきます。
順路を走って、必要な枚数を数える方法/ 一枚ごとに答える問いを一つに絞る考え方/ 車から読める文字数と、文字の高さの出し方/ 火気やゴミの扱いを、案内と分けて示す理由/ 電源の無い場所で夜に読ませる四つの方法/ 土と傾斜に立てる留め方と、冬に外す面の決め方/ 月あたりの費用を、必要な組数に直す式
迷うのは入口だけではない
看板の相談は、たいてい入口の1枚から始まります。 ところが到着までに迷う場所は、入口の手前と、入口の先にもあります。
起きやすいのは、次の四つです。 入口に1枚だけ立て、場内の分かれ道で止まってしまう。 昼に見に行って決め、到着の多い夕方に読めない。 電源の引けない場所に、光る看板を前提で図面を引く。 冬の雪を考えずに立て、春に立て直しが必要になる。
どれも、発注の前に手を打てば起きません。 枚数を数え、問いを絞り、夜の読ませ方を選び、立て方と冬の扱いを決め、聞いて直す。 この五つを順に埋めていきます。
到着までの経路を分解し、必要な枚数を数える
枚数は、地図の上ではなく順路の上で数えます。
予約した人の多くが通る道を1本選びます。どの方角からも案内しようとすると、板の数が倍になり、どれも中途半端になります。
来場者と同じ向きから走ります。地図を見ながらではなく、初めて来た人の速度で走ってください。
ブレーキを踏んだ地点が、迷う地点です。同乗者に助手席から記録してもらうと、後で数えられます。
印1つに看板1枚を当てます。地図の上で「ここに1枚」と決めると、実際の分かれ道より少なくなります。
分岐の数が、そのまま迷う場所の数です。 走って数えると、地図で数えたときより増えます。
| 段階 | 来場者が知りたいこと | 枚数の数え方 |
|---|---|---|
| 一般道の分岐 | どちらへ曲がるか | 曲がる交差点の数だけ |
| 入口 | ここが入口か | 出入口ごとに1枚 |
| 受付 | 車をどこで降りるか | 建物の手前に1枚 |
| 場内の分岐 | どちらの区域か | 分かれ道の数だけ |
| 区画 | 自分の番号はどれか | 区画の数だけ |
数え上げると、こうなります。
入口 1枚 / 受付 1枚
場内の分かれ道 2か所 = 2枚
3 + 1 + 1 + 2 = 案内の板 7枚
区画 20 = 20枚
7 + 20 = 合計 27枚
総額を動かすのは、1枚の単価より枚数です。 枚数を先に出しておくと、どの板に費用を寄せるかを判断できます。
駐車場と入口まわりの案内には、施設を問わない型があります。 考え方は駐車場・入口の案内サインの作り方にまとめています。
一枚ごとに、答える問いを一つに絞る
読む人は走っています。止まって読む前提で作りません。
1枚が答える問いは1つです。 入口の板は「ここが入口」だけを言い、料金も設備も言いません。
| 看板 | 答える問い | 載せない |
|---|---|---|
| 一般道の分岐 | どちらへ曲がるか | 施設の紹介文 |
| 入口 | ここが入口である | 料金と設備の一覧 |
| 受付 | 手続きをする建物はどれか | 場内の全体図 |
| 場内の分岐 | どちらの区域へ進むか | 注意書きの列挙 |
| 区画 | 番号はどれか | 施設名とロゴ |
削る基準は、読める時間で決まります。
30m手前から見える → 30 ÷ 11.1 = 約2.7秒
1秒に読めるのを2〜3文字と置く(目安)
2.7 × 2 = 5.4 / 2.7 × 3 = 8.1 → 5〜8文字
施設名と、矢印と、距離。 この三つを入れると、もう文字数を使い切ります。 場内は徐行するので、10m手前から見えれば 10 ÷ 2.8 で約3.6秒あります。
文字の高さを割り算で出す
読ませたい距離が決まれば、高さは計算で出ます。
30m先(一般道の分岐) → 30,000 ÷ 500 = 60mm / ÷ 250 = 120mm → 6〜12cm
10m先(場内の分岐) → 10,000 ÷ 500 = 20mm / ÷ 250 = 40mm → 2〜4cm
3m先(歩いて読む区画) → 3,000 ÷ 500 = 6mm / ÷ 250 = 12mm → 0.6〜1.2cm
この幅は、明るい場所で正面から見た場合です。 書体、地の色との明暗差、光の当たり方で変わります。 暗い時間に読ませる面は、算出した幅の大きいほうへ寄せてください。
施設の方針は、案内と分けて掲示する
火気の扱い、ゴミの持ち帰り、水辺や斜面への立ち入り、野生動物への対応。 この種の掲示は、施設としてどうするかを来場者へ知らせるものです。
「どちらへ」を答える板に注意書きを足すと、道案内も方針も読まれません。
方針の掲示は、受付の前と、各区域の入口にまとめます。
直火を認めるか、焚き火台を必須にするか。ゴミを引き取るか、持ち帰りか。
決めた内容を到着の時点で示しておくと、後から個別に説明する手間が減ります。
※ 表示すべき内容や様式が定められている場合があります。管轄の窓口へご確認ください。
電源の無い場所で読ませる方法を選ぶ
光らせるのではなく、光を返す。ここが起点になります。
ロービームが照らすのは、前方およそ40mまでが目安です。板の面が高すぎると、光の帯から外れて暗いままになります。
再帰反射材は、光が来た方向へ光を返します。道に対して斜めに立てると、返った光が運転席へ戻りません。
手元の灯りは下から当たります。区画の番号を高い位置に付けると、光が届かず読めません。
点灯する時間は、その日に受けた光の量で変わります。夏に合わせて選ぶと、日の短い時期に消えます。
到着は夕方に偏ります。 林の中や谷あいでは、日没の前から暗くなります。
| 方法 | 向く場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 再帰反射材 | 車が通る道沿い | 光が来た方向へ返す材料 |
| 明暗差の大きい配色 | 昼に読ませる面 | 光が当たらない夜は沈む |
| ソーラーの照明 | 受付と場内の分岐 | 日照の短い時期で決める |
| 手元の灯りで読む面 | 区画の番号 | 低い位置に付けて当てる |
車で読む面と、歩いて読む面は、設計を分けます。 光源が、車のライトと手元の灯りで違うからです。 光源の高さが変われば、板を付ける高さも変わります。
時速40km → 40 ÷ 11.1 = 約3.6秒
入口手前で時速30kmに落とす → 30,000 ÷ 3,600 = 秒速 約8.3m
40 ÷ 8.3 = 約4.8秒
速度が落ちるほど、読める時間は伸びます。 入口の手前に減速をうながす表示を置くと、入口の板が読まれやすくなります。
パネルが日中に受ける光の量で、夜の点灯時間が決まります。 木の下や北向きの斜面では、想定より短くなります。 冬は日照そのものが短くなるので、その時期を基準に選びます。 日の短い時期に、点いている時間をもう一度測ってください。
立て方と、冬季の運用を決める
舗装された地面はほとんどありません。留め方から決めます。
土、砂利、芝、傾斜、木のデッキ。 地面の種類ごとに、支柱の留め方が変わります。
掘れる地面なら、支柱を埋めて固める形が取れます。 岩や木の根で掘れない場所では、置いて重しを載せる形になります。 傾斜地では、板を水平にするために支柱の長さを左右で変えます。 風の当たり方や雪の載り方への備えは風・雪・塩害に耐える看板で扱っています。
費用が動くところを見る
| 枚数 | 区画の数だけ増えます。ここが総額にいちばん効きます。 |
|---|---|
| 面の大きさ | 車から読ませる面は大きく、歩いて読む面は小さくできます。 |
| 反射材を使う面積 | 全面に使うか、文字の部分だけにするか。夜に読ませたい板だけに絞れます。 |
| 基礎の作り方 | 掘って埋めるか、置いて重しを載せるか。地面が掘れるかどうかで変わります。 |
| 取り外しの回数 | 冬に外す面があるなら、外す作業と、しまう場所の手当てが要ります。 |
掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめています。
月あたりに直し、必要な組数を出す
一式の総額300,000円 ÷ 60か月 = 月5,000円
この300,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。
1組20,000円 × 粗利率0.4 = 8,000
5,000 ÷ 8,000 = 0.625組 → 月1組に満たない
年で見る → 5,000 × 12 = 60,000
60,000 ÷ 8,000 = 年に8組
宿泊は1組あたりの金額が大きいので、必要な数は小さく出ます。 年に8組、新しい予約が入れば釣り合う計算です。 客単価と粗利率を自分の施設の数字に差し替えて、置き直してください。
雪の載る面を減らすと、傾きと破損が減ります。 外すのは、区画の番号や低い位置の表示など、抜き差しできる板です。 残すのは、一般道の分岐と入口の板。閉めている間も場所を示す役目があります。 外した板をしまう場所は、発注の段階で決めておきます。積んだまま雪をかぶると、翌春に使えません。
敷地の中に立てる板と、公道沿いに出す案内では、手続きの要否が変わります。
規制は土地によって違い、県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域に分かれます。
出し方は野立て看板の出し方で詳しく扱っています。
※ 許可の要否と手続きは、管轄の窓口へご確認ください。
到着した人に聞いて、直す
迷った場所を知っているのは、いま着いた人です。
「迷いませんでしたか」と聞きます。手続きの流れの中で聞けるので、費用も手間もかかりません。
予約の時刻と、実際に着いた時刻を並べます。遅れの幅が縮んでいれば、案内が働いています。
入口が見つからないという電話の本数です。日付とともに残せば、前の時期と比べられます。
来場者と同じ向きから、自分の車で走ります。読めない板は、その場で分かります。
上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は受付の会話に混ぜられるので、その日から始められます。
見る時期を決める
| 1週間 | 暗い時間に走り、読めない板を書き出します。 |
|---|---|
| 1か月 | 受付で聞いた答えをまとめ、迷った地点が偏っていないかを見ます。 |
| 1シーズン | 入口が分からないという電話の本数を、前のシーズンと並べます。 |
| 1年 | 色あせと傾きを見ます。外した面を戻す時期でもあります。 |
1シーズン通してみないと、比べる相手ができません。 天候と予約の入り方で、月ごとの数は動きます。 前の年の同じ時期と並べてください。
効かないときは、この順で疑う
- 1暗い時間に、自分の車で走る
費用はかかりません。読めない板がどれか、ここでほとんど分かります。
- 2板にかかる枝と草を刈る
夏のあいだに伸びた草で、下半分が隠れていることがあります。
- 3板の向きを、進む向きへ回す
支柱の金具をゆるめて回すだけで済む場合があります。反射の戻り方が変わります。
- 4載せた文字を削る
2.7秒で読めるのは5〜8文字です。行が3行あるなら、1行に減らします。
- 5反射する材料に替える
板を作り直さず、文字の部分だけ貼り替えられることがあります。
- 6迷う地点に1枚足す
既存の板を直すより、足りない場所を埋めるほうが効きます。作り直しは、この後です。
上のほうほど、費用をかけずに直せます。 1番から3番までは、その日のうちに手を付けられます。 板を作り直すのは、6つを試した後です。
よくある失敗5パターン
どれも、1枚足すか、載せた文字を削ることで手を打てます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 入口に1枚だけ立てた | 場内で迷い、受付にたどり着かない | 分かれ道に1枚ずつ足す。既存の板は触らない |
| 昼にだけ見に行った | 到着の多い夕方に読めない | 暗くなってから走り、読めない板を書き出す |
| 1枚に全部を載せた | どれも読まれず、通り過ぎられる | 問いを1つに絞り、残りは受付の掲示へ移す |
| 電源の無い場所に光る看板を計画した | 配線の工事が要り、着工が止まる | 光を返す作りへ変える。図面の段階なら戻せる |
| 冬に外す前提を決めなかった | 雪の重みで傾き、春に立て直しが要る | 外す面と残す面を分け、しまう場所を決める |
セルフチェックリスト
発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 案内する道を1本に決め、予約した人と同じ向きから走った
- 速度が落ちた地点に印を付け、その数で枚数を数えた
- 入口・受付・場内の分岐・区画を、続けて案内できている
- 一枚ごとに、答える問いを一つに絞った
- 一般道の分岐に置く板の文字を、5〜8文字に収めた
- 読ませたい距離から、文字の高さを割り算で出した
- 火気やゴミの扱いなど、施設の方針を先に示す面を分けた
- 暗い時間に走り、車のライトで読めることを確かめた
- 歩いて読む面を、手元の灯りが届く高さに付けた
- 地面の種類を見て、留め方と基礎の作り方を決めた
- 冬に外す面と残す面を分け、しまう場所を決めた
- 月あたりの費用を、必要な組数に直した
よくある質問
キャンプ場の看板は、何から決めればいいですか?
一枚にどのくらいの文字を載せられますか?
電源が引けない場所では、どうしますか?
許可や届出は要りますか?
効いているかは、どう判断しますか?
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
まとめ
広い敷地の案内は、次の順序で決まります。
| 1 枚数を数える | 順路を走り、速度が落ちた地点の数だけ板を用意する。 |
|---|---|
| 2 問いを絞る | 1枚が答えるのは1つ。道沿いの板は5〜8文字に収める。 |
| 3 夜の読ませ方を選ぶ | 光らせず光を返す。車の面と歩く面で高さを分ける。 |
| 4 立て方と冬を決める | 地面に合わせて留める。外す面としまう場所を先に決める。 |
| 5 聞いて直す | 受付でたずね、暗い時間に走り、足りない場所へ1枚足す。 |
案内は、途切れたところで止まります。 1枚を良くするより、抜けている1枚を埋めるほうが早く効きます。