ジム・フィットネスの看板
通う前の不安を消す5ステップ
これからジムやスタジオの看板を作る方へ。運動施設の看板には、飲食店と違う難しさがあります。 入る前に、中で何が起きているかを知りたがる人が相手です。 見せすぎても、隠しすぎても、足が止まりません。
看板を見る人が6つに分かれること/ 窓をどこまで隠すと、入りやすくなるか/ 24時間営業と、有人の時間を書き分ける理由/ 読ませたい距離から必要な文字の高さを出す方法/ 月あたりの費用から、必要な入会数を出す式/ 入会ではなく見学の件数を先に見る理由/ 反応が薄いとき、費用をかけずに疑う順序
運動施設は、中が見えないと入れません
ジムの看板の相談で多いのが、名前と外観をかっこよく見せたいという要望です。 清潔感のある面は、たしかに第一印象を作ります。 ところが足を止めた人が次に知りたいのは、中で何が起きているかです。
そこが伝わらないと、こうなります。窓を全部ふさいだので、外から様子が分からない。 24時間の表示だけが大きく、スタッフのいる時間が分からない。 2階にあるのに、階段の入口に案内がない。 月会費を面に刷り込んだので、料金を変えるたび作り直しになる。
見る人を分け、中の様子を伝え、時間の表示を決め、費用を計算し、経路を測る。 この5つを順に埋めれば、面の数を増やさずに足を止められます。
ここで扱うのは、運動施設に固有の判断だけです。 2階以上の物件で人を上げる方法は2階の店の看板、 窓面の使い方は窓ガラス看板の作り方、 夜の明るさの決め方は電飾看板・LED看板の選び方にまとめています。 物件の条件によっては、そちらを先に読むほうが早く進みます。
看板を見る人を分ける
1枚にすべてを載せると、どれも読まれません。
通勤や買い物で前を過ぎます。1日で読めるのは1語です。名前と種別だけを、何度も繰り返し届けます。
入口の前で足を止めます。ここで要るのは、料金の形と、契約しなくても中を見られるかどうかです。
設備、営業時間、通いやすさを見ています。他店と違う点が1つ書かれていれば、それが判断の材料になります。
暗い時間に営業しているかどうかを見ます。明かりが点いていること自体が、開いている合図になります。
住所を頼りに近くまで来ています。必要なのは建物の名前と、駐車場がどこかの2つです。
看板は毎日目に入ります。休館日や設備の入れ替えを伝える面が1つあると、問い合わせが減ります。
6つのうち、面を分けるべきなのは最初の2つです。 通り過ぎる人には名前と種別だけ。足を止めた人には、料金の形と体験の可否。 読む時間の長さが違う相手に、同じ面を見せても届きません。
歩く速さは毎時4kmほど、秒に直すと1.1mです。 正面を向いていられるのが3秒なら、その間に3mほど進みます。 道路側の面で読ませられるのは、ごく短い語だけです。
必要な文字の高さは、読ませたい距離のおよそ250分の1から500分の1が目安です。 50m先から読ませたいなら、50,000mm ÷ 500 で100mm、50,000mm ÷ 250 で200mm。 つまり10cmから20cmになります。 書体、背景との明暗差、照明の有無で変わるため、迷う場合は大きいほうを選んでください。
載せる項目は、5つまでを目安にしてください。 種別、営業時間、入口、料金の形、体験の可否。この5つで、迷っている人の判断は足ります。 削り方は看板の文言の決め方で扱っています。
外から中の様子を伝える
見せるか隠すかではなく、どこで区切るかの問題です。
| 窓の扱い | 起きること | 判断 |
|---|---|---|
| 窓の下半分を隠す | 中の人の姿は見えず、天井と器具の並びは見える | 目線の高さで区切る |
| 窓を全部ふさぐ | 中の様子がまったく分からない | 写真か図で中を見せる |
| 窓を開けたままにする | 運動中の人が外から見られる | 会員が減る要因になりうる |
| 入口の扉に情報を集める | 足を止めた人だけが読む | 料金の形と体験の可否を置く |
| 階段や通路に案内を置く | 入口までの不安が減る | 曲がる地点ごとに1枚 |
運動している姿を外から見られたくない。この気持ちは、通う人の側にあります。 一方で、中がまったく見えない施設には入りにくい。この気持ちは、通う前の人の側にあります。 両方を満たすのが、目線の高さで区切る方法です。
下半分をふさぎ、上半分を開ける。外からは天井と器具の並びだけが見えます。 中で動いている人の顔や体は見えません。 窓を全部ふさぐ場合は、代わりに中の写真か配置図を面に置いてください。
運動施設は2階以上の物件に入ることが多く、階段や通路を通ります。 初めての人にとって、この区間がいちばん不安です。 曲がる地点ごとに1枚。それだけで、途中で引き返す人が減ります。 階段まで人を運ぶ考え方は2階の店の看板にまとめています。
営業時間と入館の方法を書く
24時間と書くだけでは、初回の来店は起きません。
| 営業している時間帯 | 24時間なのか、有人の時間があるのかを分けて書きます。 |
|---|---|
| スタッフがいる時間 | 初めて来る人は、ここを見て来店の時間を決めます。 |
| 休館日 | 設備の点検で閉める日があるなら、面に出すか掲示で伝えます。 |
| 入館の方法 | 会員証か、暗証番号か。夜間の入り方は外から分かるようにします。 |
| 見学と体験の可否 | 契約せずに中を見られるかどうか。迷っている人が最も知りたい点です。 |
| 緊急時の連絡先 | 無人の時間があるなら、館内と入口の両方に置きます。 |
2行目が抜けやすい項目です。初めて来る人は、説明を受けたいので有人の時間に来ます。 いつ人がいるのかが外から分からないと、来店そのものが起きません。 24時間の表示と並べて、スタッフのいる時間を書いてください。
夜間に無人となる施設では、入館の方法と緊急時の連絡先を外からも読めるようにします。 これは集客のためというより、通う人の安心のための表示です。 誰にでも読める形にする考え方はユニバーサルデザインの看板で扱っています。
建物の外に出す看板、道路に突き出す看板、夜に光らせる看板。
いずれも地域の決まりによって、大きさや明るさに制限が置かれていることがあります。
県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。
※ 掲出の前に、管轄窓口へご確認ください。
手続きの流れは屋外広告物の許可ガイドにまとめています。
費用と回収ラインを計算する
会費は毎月入るので、続く月数まで含めて見ます。
年のコスト ÷ (月会費 × 粗利率 × 続く月数) = 年に必要な新規入会数
月あたりのコストを8,000円、月会費を7,000円、粗利率を6割としましょう。 8,000 ÷ 4,200 で、およそ1.9。ひと月に2人の入会で釣り合います。
入会した人が半年続くなら、見え方が変わります。 年のコストは8,000 × 12 で96,000円。1人あたり半年の粗利は4,200 × 6 で25,200円。 96,000 ÷ 25,200 で、およそ3.8。年に4人の入会で足ります。
なお8,000円と7,000円は、式の動きを見るための仮の置き方です。 自分の数字を入れて計算してください。 続く月数が長い業態ほど、看板にかけられる額は大きくなります。
費用を左右するところ
| 面の数 | 道路側、入口、階段、窓。数が増えるほど月あたりの負担は上がります。 |
|---|---|
| 光らせるかどうか | 夜も営業するなら、点灯の時間が電気代に直に効きます。 |
| 取り付けの高さ | 2階以上の面は、作業のたびに足場や車が要ります。 |
| 書き換える頻度 | 料金や時間を面に刷り込むと、変わるたびに作り直しになります。 |
| 物件の階数 | 路面か2階以上かで、必要な面の数がまるで変わります。 |
4行目は、あとで効いてきます。月会費を面に刷り込むと、料金を変えるたびに作り直しです。 額そのものは、貼り替えられる小さな面に逃がしてください。 掲載社が公式サイトで公開している金額は看板の費用に種類別にまとめています。
入会までの経路を測る
入会の数より、その手前の見学の数が先に動きます。
「何を見てご存じになりましたか」。申込書に1行足すだけで、経路が毎月たまります。費用はかかりません。
入会の手前にある数字です。看板が効いているかは、まずここに出ます。日付とともに残します。
面ごとに別のあて先を用意すると、どの面が読まれているかまで分かります。
開店前に10分、入口の様子を見ます。数えるのではなく、どこで止まるかを見ます。
看板で伝えた内容と、中身がずれていないかが分かります。ずれていれば、面の書き方を直します。
申込書の1行が、いちばん安い測定の道具です。集めていなければ、判断そのものができません。
判断のタイミング
| 1か月 | 見学と体験の件数が動いたかを見ます。入会はまだ判断できません。 |
|---|---|
| 3か月 | 入会の経路に、看板が現れているかを見ます。 |
| 半年 | 季節の影響を除いて比べられます。前年の同じ時期と並べます。 |
| 1年 | 面ごとの効き方を比べ、減らす面を決めます。 |
| 料金を変えたとき | 面に刷り込んだ数字が残っていないかを確かめます。 |
1か月で入会の数を見て判断するのは早すぎます。 運動を始める決断には時間がかかり、見学から入会まで日が空くのが普通です。 まず見学と体験の件数を見て、そのあとで入会の経路を見てください。
効いていないとき、この順で疑う
- 1聞き取りをしているか疑う
そもそも経路を集めていないと、効いていないのか、分かっていないだけなのかを区別できません。申込書に1行足すだけです。
- 2夜の見え方を疑う
営業している時間に、外から自分の看板を見ます。暗くて読めない面は、無いのと同じです。
- 3入口までの道を疑う
道路から入口まで、初めての人として歩いてみます。曲がる地点で迷うなら、案内が1枚足りません。
- 4載せている項目の数を疑う
項目が多いほど、1つも読まれなくなります。5つまでに絞れるかを見ます。
- 5名前と種別が読めるかを疑う
離れた位置から、店名と何の店かが読めるか。文字の高さが足りていない場合があります。
- 6面を増やす、作り替える
ここまでで動かないときに検討します。費用が最も大きいので、最後に置きます。
上から順に、費用のかからないものが並んでいます。 1番から3番までは、歩いて確かめるだけです。4番は載せる項目を減らすだけで済みます。 面を作り替えるのは、いちばん最後に置いてください。
よくある失敗5パターン
いずれも、発注の前に気づけば直せます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 月会費を面に刷り込んだ | 料金を変えるたびに作り直しになる | 料金の形だけ書き、額は貼り替えられる面に置く |
| 窓を全部ふさいだ | 中の様子が分からず、入りにくくなる | 目線の高さで区切り、上半分を開ける |
| 24時間の表示だけを大きくした | 有人の時間が分からず、初回の来店が減る | スタッフのいる時間を併記する |
| 2階なのに路面の案内を置かなかった | 入口が見つからず素通りされる | 階段の入口に1枚置く |
| 夜に見に行かなかった | 営業時間帯に読めない面のまま掲げ続ける | 開いている時間に外から自分の看板を見る |
セルフチェックリスト
図面が出てきた段階で使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。
- 離れた位置から、店名と何の施設かが読める
- 掲げている項目が5つ以内に収まっている
- 月会費の額を、貼り替えられる面に置いている
- 有人の時間と、無人の時間を分けて書いている
- 休館日を伝える面か掲示がある
- 見学や体験ができるかどうかを、外から読める
- 窓の外から、中の器具の並びが少し見える
- 運動している人の姿が、外から直接見えない
- 営業している夜の時間に、外から看板を見た
- 道路から入口まで、曲がる地点ごとに案内がある
- 入会の申込書に「何を見て知ったか」の欄がある
- 見学と体験の件数を、日付とともに記録している
よくある質問
ジムの看板は、何から決めればいいですか?
文字はどれくらいの大きさが必要ですか?
営業時間の表示で、注意する点はありますか?
効果はいつ判断すればいいですか?
すでに看板を出していて、反応が薄い場合は?
予算が限られる場合、何を優先しますか?
まとめ
運動施設の看板は、次の順序で決めていきます。
| 1 分ける | 通り過ぎる人と、足を止めた人で面を分ける。 |
|---|---|
| 2 伝える | 窓を目線の高さで区切り、器具の並びだけ見せる。 |
| 3 書く | 24時間の表示と、有人の時間を並べて出す。 |
| 4 計算する | 続く月数まで含めて、必要な入会数を出す。 |
| 5 測る | 申込書に1行足し、見学の件数から追う。 |
載せるものを5つに絞ってください。 運動を始めるかどうかで迷っている人は、長い説明を読みません。 まず入口の前に立ち、何が読めるかを確かめるところから始めてください。