社名・屋号を変えるときの看板の直し方
5ステップで進める
屋号の変更、法人化、ブランド名の切り替えを控えている方へ。 変わるのは名前ひとつでも、直す面は建物の外まで散らばっています。 どこまでが対象で、いつ替えるのかを先に決めると、工事も届出も1回で収まります。
名前が載っている面の数え方と、見落としやすい場所/ 外から読める面と、内側の面で日程を分ける理由/ 面ごとに選べる三つの直し方と、その順番/ 屋外広告物の手続きが関わってくる場面/ 金額が動く要素と、必要な客数に直す式/ 旧名で探して来る人の拾い方/ 切り替え後に残った面の見つけ方
変わるのは名前だけでも、直す面は増えます
名前を変える相談で多いのが、正面の看板を替えれば済むというご相談です。 ところが名前は、建物の外にも中にも散っています。 数え落とした面が1つ残ると、そこだけ旧名のまま残ります。
面を数える前に日程だけ動かすと、こうなります。 窓の切り文字が旧名のまま残る。 出払っていた車が、旧名で走り続ける。 紙の掲示だけが新しく、板は古いままになる。 旧名を一度に消して、常連が店を見つけられなくなる。
面を数え上げ、切り替える日を決め、面ごとに直し方を選び、 届出と費用を確かめ、取りこぼしを測る。この五つを順に埋めます。
名前が載っている面を数え上げる
数が決まらないと、日程も金額も決まりません。
壁面、テント、庇(ひさし)の幕。正面だけでなく、側面と裏側も1面ずつ数えます。
袖看板(道に対して直角に突き出す形)、置き看板、のぼり。しまってある予備も入れます。
社用車のドア、後ろのガラス、荷台。台数と面の数を掛けた分だけ、直す対象があります。
切り文字のシール、営業時間の表示、扉のロゴ。裏口の窓は見落としやすい場所です。
駐車場の区画表示、フェンスの幕、順路の案内板。敷地に入った人だけが読む面です。
掲示物、料金表、お知らせ。剥がして貼り直すだけで済むので、最後にまとめて処理できます。
まず、紙に一覧を作ります。 建物から始めて、道ぎわ、車、窓、敷地の順に見て回ります。 写真を1面ずつ撮っておくと、あとで業者に渡せます。
| 見る場所 | 数える面 | 忘れやすいもの |
|---|---|---|
| 建物 | 壁面、テント、ファサード | 側面と裏の面 |
| 道ぎわ | 袖看板、置き看板、のぼり | しまってある予備 |
| 車両 | ドア、後ろのガラス、荷台 | 普段使っていない車 |
| 窓まわり | 切り文字、掲示、料金表 | 裏口と通用口の窓 |
| 敷地の中 | 案内板、フェンス幕、区画表示 | 駐車場の入口 |
| 高いところ | 塔屋の面、屋上の面 | 他人の敷地に出した面 |
数える単位を、面にそろえる
看板1台ではなく、名前が読める面の数で数えます。 両面の袖看板は2面ではなく、1台として1行に書き、面の数を添えます。 車は台数と面を掛けます。
2 + 1 + 1 + 2 + 3 = 9面
この9が、以降の作業量の単位になります。 見積もりを頼むときも、日程を組むときも、この数を渡します。
しまってある置き看板、雨の日だけ出すのぼり、月に一度しか使わない車。 普段は目に入らない面ほど、旧名のまま長く残ります。 車の面については車両広告・カーラッピングの作り方に、台数と面の扱いをまとめています。
切り替える日を決める
全部を一斉に替える必要はありません。
判断の分かれ目は、その面が通りから同時に読めるかどうかです。 同時に目に入る面が食い違うと、別の店ができたと受け取られます。 逆に、離れた場所の面や内側の面は、数日ずれても伝わり方が変わりません。
日をそろえるのは、外から同時に読める面だけで足ります。 残りは工事の日程から外し、当日か翌日に自分で貼り替えます。
- 1名前が変わる日を確かめる
登記や届出の日です。看板の工事日は、その日に引きずられなくて構いません。
- 2外から読める面の日を、1日にそろえる
通りから同時に目に入る面です。ここがちぐはぐだと、別の店になったと受け取られます。
- 3内側と紙の面を、後ろに回す
掲示物や料金表は、切り替えの当日に貼り替えれば足ります。工事の日程に載せません。
- 4旧名を併記する期間と、やめる日を決める
始まりだけ決めると、併記がそのまま居座ります。外す日を同時に書き留めます。
旧名をいつまで残すかを決める
旧名を一度に消すと、以前から通っていた人が店を見落とします。 新しい名前の下に小さく旧名を添える形が、いちばん軽く済みます。 紙を1枚貼るだけでも用は足ります。
終わりを決めずに始めると、旧名の添え書きが何年も残ります。 新しい名前が覚えられない状態が続き、面の数だけ手間も残ります。 3か月ごとに旧名での問い合わせを数え、減っていれば外す。 この判断の日をあらかじめ書き留めておきます。
面ごとに直し方を選ぶ
選べるのは三つです。安いほうから当てはめます。
看板を丸ごと作り直す必要があるのは、一部の面だけです。 文字だけを貼り替えられる面、板だけ替えられる面、本体から替える面。 棚卸しの一覧に、この三つのどれかを書き込んでいきます。
| 直し方 | 向いている面 | 金額が動く要素 |
|---|---|---|
| 文字だけ貼り替える | 平らな板、窓、車の面 | 面積と取り付けの高さ |
| 板だけ替える | 枠と金具が生きている面 | 板の材質と大きさ |
| 本体ごと替える | 錆びた面、形を変える面 | 撤去と取り付けが加わる |
安い順に当てはめて、割合を見る
全部の面に上から順に当てて、貼り替えで済む面が何割かを出します。 割合が高いほど、工事の日数も短くなります。
6 ÷ 9 = 0.666… → 約7割
残り 9 − 6 = 3面 が、板か本体の交換
何面が貼り替えで済むかは、板の傷み方と枠の作りで変わります。 塗装が浮いている面や、錆が出ている面は、貼っても長持ちしません。 名前を変える機会に、傷んだ面だけ本体から替えるのが無駄になりません。
古くなった面の見分け方は看板のリニューアルで扱っています。 新しい名前の図案を業者へ渡す形式は、入稿データの記事にまとめました。
届出と費用を確かめる
表示の中身が変わると、手続きが動くことがあります。
一般的に、屋外広告物の許可では、表示する内容も申請の記載事項に含まれます。
大きさや位置を変えなくても、表示者の名前が変われば手続きの対象になる場合があります。
県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。
扱いは地域と面の種類で分かれます。
※ 直し始める前に、管轄の窓口へご確認ください。
| やろうとすること | 関わる手続き | 注意する点 |
|---|---|---|
| 表示する名前が変わる | 屋外広告物の許可 | 記載事項の変更にあたる場合がある |
| 大きさや位置も変える | 許可の出し直し | 新しく出す扱いになることがある |
| 借りた建物に面を出す | 貸主や管理会社の承諾 | 共用部の扱いは契約で決まる |
| 道に置き看板を出す | 道路の占用 | 敷地の外に出す場合 |
| 車の面を貼り替える | 契約と社内の規定 | リース車は貸主に確かめる |
許可の中身と流れは屋外広告物の許可ガイドで詳しく扱っています。 借りている建物なら、契約書の看板に関する条項も先に読み返します。
費用が動くところを押さえる
| 面の数 | 数え上げた面が、そのまま数量になります。1面減らせば、その分だけ下がります。 |
|---|---|
| 直し方の内訳 | 貼り替え、板の交換、本体の交換。どれを何面に当てるかで大きく動きます。 |
| 取り付けの高さ | 高い面ほど作業が増えます。足場や高所作業車が要ることもあります。 |
| 面の大きさ | シートも板も、寸法で数量が決まります。図面か実測の値が要ります。 |
| 頼む回数 | 面を小分けにして頼むと、出向く手間と足場が重なります。 |
二行目を先に決めると、あとの数字がまとまります。 掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。
月あたりの額を、必要な客数に直す
かかる額は、何人来れば釣り合うかに直すと判断できます。 使う式はこれだけです。
月あたりのコストを24,000円、客単価を5,000円、粗利率を6割と置きます。 5,000 × 0.6 で3,000円。24,000 ÷ 3,000 で8人です。
30 ÷ 8 で3.75。 おおよそ4日に1人、新しい名前を見て来てくれれば釣り合います。
24,000円、5,000円、6割は、式の動きを見るための仮の置き方です。 金額の水準を示すものではありません。自分の店の数字に入れ替えてください。
切り替え後の取りこぼしを測る
歩いて数えるだけで、残りが分かります。
切り替えの1週間後に歩きます。見つけた面を控えるだけで、残りの作業量が出ます。
電話やメールで旧名を名乗られた回数です。月ごとに控えると、減り方が見えます。
看板、紙、紹介。答えの散らばり方から、まだ効いている面が分かります。
出払っている車は数え落とします。全台がそろう日を決めて確かめます。
四つとも、道具を買わずに今週から始められます。
測り方は単純です。 1週間後に外を1周し、旧名の面を数えます。 1か月後にもう一度回り、同じように数えます。
1回目に残っていた面から、2回目に残っていた面を引きます。 差が、この1か月で片づいた分です。 2回目にも残っている面が、忘れられた面になります。
見るタイミングを決めておく
| 切り替えた当日 | 通りから1周し、写真を残します。食い違う面をその場で控えます。 |
|---|---|
| 1週間後 | 同じ道を回り、旧名の面を数えます。紙の掲示はここまでで片づきます。 |
| 1か月後 | もう一度数えます。まだ残る面が、忘れられた面です。 |
| 3か月後 | 旧名での問い合わせの数を見ます。減り方で、併記を外す時期が読めます。 |
| 1年後 | 併記を外します。倉庫に置いた予備の面も、あわせて処分します。 |
旧名での問い合わせは、減っていくのが普通です。 減らない場合は、旧名の面がどこかに残って読まれています。
旧名で来た人を拾えないとき、この順で疑う
- 1紙の掲示を疑う
貼り替え忘れが最も多く残ります。剥がして貼るだけなので、その場で終わります。
- 2旧名の併記があるかを疑う
併記が無いと、常連は別の店ができたと思います。紙を1枚足せば伝わります。
- 3車の面を疑う
出払っていた車が旧名のまま走っていることがあります。台数を照合します。
- 4入口まわりの案内を疑う
建物の表示と店の表示が食い違うと、着いた人が迷います。小さな面から直します。
- 5通りからの見え方を疑う
袖看板の裏側や側面です。反対方向から回り込むと見つかります。
- 6板ごとの交換を疑う
費用が動くのはここからです。上の五つを先に片づけてから考えます。
上から順に、かかる額が小さいものです。 1番から5番までは、板を作らずに手を打てます。
よくある失敗5パターン
どれも、着手の前に気づけば手を打てます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 正面の看板だけを替えた | 窓や紙に旧名が残り、どちらが本当か伝わらない | 紙と窓の面を先に一覧にして潰す |
| 切り替えの日を決めずに始めた | 面ごとに名前が食い違う期間が伸びる | 外から読める面の日を1日にそろえる |
| 旧名を一度に消した | 旧名で探してきた人が、店を見つけられない | 併記を数か月足す。紙の面で足りる |
| 許可の手続きを後回しにした | 表示の中身と、届け出た中身が食い違う | 直す前に管轄の窓口へ確認する |
| 車の面を数え落とした | 旧名の車が、そのまま街を走り続ける | 保有する車を全部書き出して照合する |
セルフチェックリスト
見積もりを頼む前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、手順を戻る余地があります。
- 外に出ている面を、すべて書き出して数えた
- 建物の側面と裏の面も、数に入れた
- 車に貼った面を、台数分だけ数えた
- 窓の切り文字と紙の掲示を、一覧にした
- 名前が変わる日を確かめた
- 外から読める面を替える日を、1日にそろえた
- 旧名を併記する期間と、外す日を書き留めた
- 面ごとに、貼り替え・板の交換・本体の交換のどれかを選んだ
- 屋外広告物の手続きが要るかを、管轄の窓口に確かめた
- 借りている建物なら、貸主の承諾を取った
- 切り替えの1週間後に、外を1周する日を決めた
よくある質問
社名や屋号を変えるとき、看板は何から手をつけますか?
全部の面を同じ日に替える必要はありますか?
旧名はどのくらい残しますか?
届出や許可の手続きは要りますか?
費用を抑えたいときは、どこを見ますか?
切り替えたあとは、何を見ればいいですか?
まとめ
名前の切り替えは、次の順序で進みます。
| 1 面を書き出す | 建物、道ぎわ、車、窓、紙。読める面を一覧にして合計する。 |
|---|---|
| 2 日をそろえる | 外から同時に見える面は同じ日に。内側と紙は後ろへ回す。 |
| 3 直し方を分ける | 文字の貼り替え、板の交換、本体の交換。安いほうから当てる。 |
| 4 手続きと額を見る | 許可の記載事項と貸主の承諾。かかる額は客数に直す。 |
| 5 残りを数える | 1週間後と1か月後に外を1周し、旧名の面を控える。 |
看板を発注する前に、面の一覧を1枚にまとめてください。 紙が1枚あるだけで、見積もりも工事の日程も一度で決まります。