営業時間の表示の作り方
閉店中でも次につなぐ5ステップ
これから店の営業時間と定休日の表示を決める方へ。 この表示を読むのは、開いている店に入る人ではありません。 閉まっていて、入れなかった人です。 次に来る時刻を決めるために、時間を探しています。
恒久の面に載せる項目の絞り方と、外すものの見分け方/ 最終受付を閉店時刻から逆算する手順/ 閉まっていても見える面の選び方と、高さの目安/ 読ませたい距離から文字の高さを出す早見表/ 看板屋を呼ばずに臨時休業を差し替える作り方/ 月に何人拾えば釣り合うかを出す式/ 閉店中の来店を記録して直す順番
開いている時間より、閉まっている時間に読まれる
店が開いていれば、時間の表示は要りません。 灯りと人の気配で、入れることは分かります。 時間を探すのは、扉が閉まっていた人だけです。 表示の良し悪しは、閉店中に前を通った人が、また来ようと思えるかで決まります。
つまずきやすいのは、次の四つです。 「不定休」とだけ書いてあり、来る日を選べない。 臨時休業の紙が、期間を過ぎても貼られたまま残っている。 表示が扉の上にあり、シャッターが下りると隠れる。 時間を変えたのに、直した面と直していない面が混ざっている。
どれも、字を大きくしても解けません。 載せる種類を決め、閉まっても見える面に置く。 変える手順を用意し、費用を人数に換算し、閉店中の反応を記録する。 この五つを順に埋めます。
なお、休業や移転、閉店といった期間限定のお知らせは、出し方も貼る期間も別です。 その場合はお知らせの掲示の作り方をご覧ください。 このページは、1年を通して出しっぱなしにする表示に絞ります。
表示する時間の種類を決める
面に置く数字は、店の運びかたの要約です。運びかたが先に決まります。
「夕方まで」では、来る時刻を選べません。半端な時刻でも、数字で言い切るほうが届きます。
閉店ぎりぎりの来店をどう扱うか。決めていないと、断る側も来た側も気まずくなります。
週に1日でも固定できれば、来ても閉まっていた、が減ります。
恒久の面には載せられません。出す場所と替える人を、先に決めておきます。
四つのうち、先延ばしにされやすいのは3番目です。 「不定休」は、来る日を選べない言葉です。 週に1日でも曜日を固定できれば、空振りが減ります。 固定できない事情があるなら、その日を確かめる手段を用意します。
次に、恒久の面に載せるものと、外すものを仕分けます。 軸は1つ、日付が入るかどうかです。
| 項目 | 恒久の面 | 理由 |
|---|---|---|
| 営業時間 | 載せる | 来る時刻を選ぶための、最短の情報。 |
| 定休日 | 載せる | 開いていない日を、先に消せる。 |
| 最終受付 | 条件つき | 閉店時刻と差がある業種だけ。 |
| 不定休の但し書き | 外す | 確かめる手段まで書くと行が増える。 |
| 臨時休業 | 外す | 期間が終われば嘘になる。貼ってはがす形に。 |
| 年末年始・夏の休み | 外す | 毎年、日付が動く。 |
営業時間、定休日、最終受付。ここで打ち止めにしてください。 書き足したくなるのは、伝え漏らす不安があるからです。 けれど行が増えるほど字は小さくなり、遠くから読めなくなります。
最終受付は、閉店時刻から逆算する
受けられない時刻に来られると、断ることになります。 断られた人は、次も来にくくなります。 ひと組にかかる時間を、閉店時刻から引きます。
ひと組にかかる時間を45分と置く
19:00 − 45分 = 最終受付 18:15
45分は、式の形を見るために仮に置いた数字です。 自分の店で3回測って、平均を入れ直してください。 閉店時刻と受付の終わりが同じ業種なら、この行は要りません。
曜日ごとの行を、2行にまとめる
曜日で時間が違う店は、そのまま書くと縦に長くなります。
平日と土日祝の2つにまとめる = 2行
7 − 2 = 5行 減らせる
読む人が知りたいのは、今日と、次に来られる日だけです。 減らした分だけ、残った数字を大きくできます。
表示を出す面と高さを決める
閉まっている間に見える面はどれか。ここから逆に決めます。
面を選ぶ基準は、開いているときの見え方ではありません。 シャッターが下りると消える面には、営業時間を置けません。 扉の内側に貼った紙、扉の陰になる袖の面、可動式の置き看板。 この三つは、閉店と同時に読めなくなります。
閉店の作業を終えたあと、外へ出て店の正面に立ってみます。 そこから読めなければ、面を選び直します。 シャッターの面そのものの使い方はシャッターの表示の作り方にまとめました。
面が決まったら、読ませたい距離を決めます。 距離から文字の高さが出ます。目安は視認距離の1/250〜1/500です。
| 読ませたい距離 | 文字の高さの目安 | その距離で伝わること |
|---|---|---|
| 1m(扉の前) | 0.2〜0.4cm | 但し書きまで読める |
| 3m(歩道の上) | 0.6〜1.2cm | 時間の数字を読める |
| 10m(道の向かい) | 2〜4cm | 開いているかが分かる |
| 20m(車の中から) | 4〜8cm | 店の名前と、開閉の別 |
書体、地と文字の色の差、灯りの有無で、読める大きさは前後します。 寸法を根拠から出す手順は看板の大きさの決め方が扱っています。
高さも同時に決めます。立った人の目の高さに、表示の中心を合わせます。
この帯に、表示の中心が入るように取り付ける
扉の上の欄間は、遠くからは目に入ります。 ただし扉の前まで来ると、見上げる位置になります。 遠くで気づかせる面と、近くで読ませる面は、別に用意します。 近くの面は、紙1枚から始められます。 受け渡しの案内まで表示に移す店は、無人店舗の看板の作り方もご覧ください。
変える手順を先に決める
表示は、取り付けた日から古くなり始めます。替え方を作りに織り込みます。
時間は変わります。休みも増えたり減ったりします。 臨時休業のたびに看板屋を呼ぶ作りにしないでください。 費用だけの話ではありません。すぐ替えられない表示は、替えられないまま残ります。
| 恒久の面に固定する | 営業時間、定休日、最終受付。1年を通して動かない数字だけ。 |
|---|---|
| 差し替える面へ回す | 臨時休業、年末年始、時間の変更。日付が入るものはこちら。 |
| 替える道具を選ぶ | 差し込み式の枠、マグネット、書き替えられる板から選ぶ。 |
| 替える人と置き場を決める | 替える板の保管場所を1か所に。探す時間が、貼り忘れの元になる。 |
| はがす日を書いておく | 貼る紙の裏に、終わる日付を書く。過ぎた紙が残るのを防げる。 |
道具は、店の人が5分で替えられるものを選びます。 脚立が要る高さに置くと、替える回数が落ちます。 店内にも同じ内容を出すなら、文言をそろえます。 中の案内の並べ方は店内の案内表示の作り方で扱っています。
屋外に出す表示は、大きさと位置によって届け出が要る場合があります。
県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。
建物を借りている場合は、貸主の許可が要る面もあります。
※ 必要な手続き、扱える大きさ、更新の時期は地域によって異なります。出す前に管轄の窓口へお確かめください。
差し替える紙まで届け出が要るかどうかも、地域で扱いが分かれます。 調べる順番は屋外広告物の許可ガイドに整理しました。
費用と回収ラインを計算する
この表示が拾うのは、閉まっている間の取りこぼしです。人数に直して比べます。
費用が動くところを見る
| 出す面の数 | 扉、窓、袖の面。面の数だけ製作と取り付けが積み上がる。 |
|---|---|
| 文字の入れ方 | 印刷したシート、切り文字、彫り込み。替えやすさで動く。 |
| 差し替えの仕組み | 枠や磁石を組み込むと、はじめは上がり、2回目以降が下がる。 |
| 夜に読ませるか | 灯りを当てるか、光る面にするか。電気の引き込みが要る場合も。 |
| 取り付ける高さ | 手が届く高さか、脚立や車が要るか。作業の手間が変わる。 |
| 替える回数 | 年に何回替えるかで、5年分の合計が動く。回数は自分で決める。 |
3行目と6行目は対です。 替える回数が多い店ほど、はじめに仕組みを入れるほうが5年分では軽くなります。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。
月あたりに直して、人数に換算する
恒久の部分と、差し替える部分を分けて直します。
72,000 ÷ 60 = 1,200円/月
差し替える表示:仮に年12,000円かかる
12,000 ÷ 12 = 1,000円/月
合わせて 1,200 + 1,000 = 2,200円/月
72,000円も12,000円も、相場ではありません。 割り算の動きを見るための、仮の数字です。
次に、この表示が拾う来店の粗利で割ります。
2,000 × 0.55 = 1,100円
2,200 ÷ 1,100 = 2人/月
閉まっている間に取りこぼしていた人を、月に2人拾えば釣り合います。 日数に直すと、30 ÷ 2 = 15。15日に1人です。
2,000円も0.55も、仮の置き方です。 自分の客単価と粗利率に差し替えて、計算し直してください。
閉店中の来店を記録して直す
数えるのは、店を開けている間ではありません。閉めている間の反応です。
着信の履歴に残っています。月末に拾えば、その月の取りこぼしが見えます。
レジの横に紙を置き、正の字を書きます。減らないなら読まれていません。
扉に触れた跡や、防犯カメラの記録から拾えます。開けようとした人の数です。
「昨日も寄られましたか」の一言で足ります。拾えた来店が、その場で分かります。
上にあるものほど、手間がかかりません。 1番目は今日から始められます。着信の履歴をさかのぼるだけです。
時間外の電話は、表示が読まれていない印です。 件数が減れば、面は働いています。
毎日の集計にすると、忙しい日に途切れます。 正の字を書いた紙を、月末に一度だけ数えてください。 増えたか減ったかが分かれば、次に直す場所は決まります。
見る時期を決める
| 2週間 | 時間外の電話の件数だけを見ます。出す前の月と、件数を並べます。 |
|---|---|
| 1か月 | 時間を聞かれた回数を見ます。減らなければ、面か高さを疑います。 |
| 3か月 | 閉店後の扉と、翌日の来店を照らします。回収の計算と並べます。 |
| 半年 | 載せている項目を並べ直します。足すより、減らすほうが先です。 |
閉店中に読まれた表示が来店に変わるまでには、間があります。 今日読んだ人が来るのは、来週かもしれません。 2週間の数字で、面の良し悪しを決めないでください。
反応が薄いときは、この順で試す
- 1貼る位置を、目の高さへ下ろす
扉の上の欄間は、前に立つと見上げる位置です。テープで下げて試せます。
- 2定休日を、営業時間と同じ大きさにする
時間だけ大きい表示は多いものです。来ない日を消せるほうが効きます。
- 3載せている項目を減らす
日付の入った行が混ざっていないか読み返します。減らせば大きくできます。
- 4日が落ちてから、自分で店の前に立つ
灯りが消えると読めない面があります。街灯の位置で影の出方が変わります。
- 5閉まっても隠れない面へ、1枚移す
シャッターが下りると消える位置なら、内容ごと移します。
- 6面そのものを作り直す
前の五つを終えてから、はじめて検討します。
1番から3番までは、テープと紙で試せます。 費用のかかる手当ては、後ろに寄せてあります。 これから開ける店なら、開店・オープンの看板の作り方が入口になります。
よくある失敗5パターン
どれも、貼り替えの範囲で手当てできます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 「不定休」とだけ書いた | 来る日を選べず、確かめる手間が生まれる | 休みの多い曜日を1日固定し、残りは差し替える面へ |
| 臨時休業の紙を、恒久の面に貼った | 期間が過ぎても残り、書いてある時間が信じられなくなる | 紙の裏にはがす日を書き、差し込み式の枠へ移す |
| 表示を扉の上のほうに付けた | シャッターが下りると隠れ、閉店中は読めない | 同じ内容を、目の高さの壁かガラス面にもう1枚 |
| 閉店時刻だけを出した | 閉店間際に来た人を断ることになり、次の足も遠のく | 閉店から逆算した受付時刻を1行足す |
| 時間を変えたが、面を1つ直し忘れた | 面ごとに違う時刻が並び、どちらが本当か分からない | 面の一覧を紙に書き出し、替えたら消し込む |
セルフチェックリスト
発注の前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 開く時刻と閉じる時刻を、分まで決めた
- 最終受付を出すか出さないかを決めた
- 定休日を曜日で言い切れるか検討した
- 恒久の面に載せる項目を、3つ以内に収めた
- 日付が入る内容を、恒久の面から外した
- シャッターを下ろした状態で、表示が見えることを確かめた
- 表示の中心が、立った人の目の高さに来ている
- 読ませたい距離から、文字の高さを出した
- 臨時休業を出す場所と、替える道具を決めた
- 屋外に出す面について、管轄の窓口へ問い合わせた
- 表示にかかる費用を月あたりに直し、必要な人数を出した
- 営業時間の外にかかった電話の件数を、数え始めた
よくある質問
営業時間の表示は、何から決めればいいですか?
文字はどれくらいの高さにすればいいですか?
営業時間の表示にも、屋外広告物の許可は要りますか?
効果は、いつ判断すればいいですか?
すでに出している表示を、作り直さずに直せますか?
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
まとめ
営業時間と定休日の表示は、次の順序で決まります。
| 1 種類を決める | 時刻と定休日を言い切り、日付が入るものを外す。 |
|---|---|
| 2 面と高さを決める | 閉まっても隠れない面を選び、目の高さと距離で寸法を出す。 |
| 3 変え方を決める | 差し替える枠と、替える人と、はがす日を先に用意する。 |
| 4 費用を計算する | 月あたりに直し、拾えば釣り合う人数まで落とす。 |
| 5 記録して直す | 時間外の電話と聞かれた回数を数え、安く直せる順に手を入れる。 |
この表示の相手は、いま扉が閉まっているのを見ている人です。 渡せるのは、次に来られる時刻ひとつだけです。 今夜それが読めるかどうかで、明日の来店が変わります。