開店・オープンの看板の作り方
予告から常設まで5ステップ
これから店を開く方へ。 開店の知らせは、看板が付く日より前から始まります。 工事が外から見えた時点で、その場所は近所の人に見られています。
予告をいつから始めるかの決め方/ 通る回数から必要な週数を出す考え方/ 予告の面に載せる情報を2つに絞る理由/ 仮囲い・窓・のぼり・置き看板の使い分け/ 敷地の外に出す面で確かめておく決まり/ 月あたりの額を必要な客数に直す式/ 何で知ったかを聞いて常設へ移す手順
開店の知らせは、工事の日から始まります
開店の相談で多いのが、看板をいつ完成させるかというご質問です。 取り付けの日は、内装が終わるころに決まります。 ところが、通る人が店に気づくのはそれよりずっと前です。
建物の前に囲いが立ち、中で工事が始まる。 その時点で、近所の人は何ができるのかを気にしています。 何も出ていなければ、気づかれないまま開店の日を迎えます。
時期を決めずに進めると、こうなります。 開店の数日前になって、慌てて紙を貼る。 予告にメニューまで書き、何の店か伝わらない。 のぼりが敷地の外にはみ出し、外すよう求められる。 開いて数か月たっても、オープンの文字が残っている。
いつから知らせるかを決め、時期ごとの内容を選び、出す面を決める。 許可と額を確かめ、反応を測って常設へ移す。 この五つを、時間の流れに沿って埋めていきます。
いつから知らせるかを決める
開店日からの逆算と、工事が見え始める日の両方から挟みます。
日が動くと、予告の予定がまとめて動きます。仮の日で構わないので、まず一つ置いてください。ここが逆算の起点になります。
外から工事と分かった日から、通る人の視線は集まります。予告の始点は、内装工事の初日だと考えて差し支えありません。
看板の取り付けは、内装の終わりごろに入ります。この日が決まれば、紙や布で埋める期間の長さが出ます。
同じ人が週に何回その道を通るか。朝夕の通勤路か、週末だけの道か。回数が、必要な予告の週数を決めます。
予告の長さは、通る回数で考えると決めやすくなります。 同じ人が週に3回その道を通るなら、3週間で 3 × 3 の9回です。 1回では覚えられませんが、9回あれば場所と業種が残ります。
週3回 × 3週間 = 9回
週3回 × 6週間 = 18回
回数を増やす手は2つです。 期間を延ばすか、通る人の多い面に出すか。 期間は工事の都合で決まるため、動かしやすいのは面のほうになります。
予告を始める日は、工事が外から見えた日に合わせるのが無駄がありません。 囲いだけが立っている期間は、通る人の関心がいちばん高い時期です。
取り付けは内装の終わりごろに入ります。 図案を決める時間と製作の時間を足すと、発注はさらに前になります。 この日が決まると、紙や布で埋めるべき期間の長さが出ます。 発注から取り付けまでの並べ方は看板の発注スケジュールにまとめました。
時期ごとに載せる情報を決める
同じ面でも、開く前と開いた後では書くことが入れ替わります。
予告の段階で読まれるのは、2つまでです。 何の店かと、いつ開くか。この2つで足ります。
歩く速さは時速4kmほどで、4 ÷ 3.6 で秒1.1mになります。 3秒なら 1.1 × 3 で約3.3m進みます。 その距離を通り過ぎるあいだに読める量が、載せられる上限です。
| 時期 | 載せること | 載せないこと |
|---|---|---|
| 工事中の予告 | 何の店か、いつ開くか | こだわり、経歴、写真 |
| 開店の1週間前 | 開く日と、開く時刻 | 長い挨拶の文 |
| 開店の当日 | 今日から開いていること | 割引の細かい条件 |
| 開店から数週間 | 営業時間と定休日 | オープンの語 |
| 常設へ移したあと | 店名と業種、営業時間 | 期間限定の飾り |
開店の日が動く見込みなら、日付は書かずに月と旬にします。 上旬、中旬、下旬。この粒度でも、来る側は予定を組めます。 日が固まってから、数字に差し替えれば済みます。
予告の1枚に置く順を決める
- 1業種を一語で置く
何の店か分からなければ、日付を読む理由が生まれません。ここが先です。
- 2開く時期を置く
月と旬で構いません。日が固まってから、数字に差し替えます。
- 3ここで止める
3つ目からは読まれません。残りは開いてから足せば間に合います。
書きたいことは、たいてい3つ目から先にあります。 こだわりも、経歴も、内装の写真も、開いてから伝わります。 予告は、来る日を決めてもらうための面です。
開いたあとは、内容を入れ替える
当日を過ぎると、オープンという語の働きは落ちていきます。 通る人にとって、その店はもう新しくないからです。 営業時間と定休日に入れ替えると、いつ来られるかが読めます。
入れ替えの手間を減らすなら、差し替えを前提に作ります。 枠を残して中身だけ替える作りにすると、費用の山が来ません。
常設が付くまでの面を決める
空いている期間は、紙と布で埋めます。
工事の囲いは、通る人の目の高さにある大きな面です。貼れるかどうかは、囲いを管理する側の判断で決まります。
内装が始まれば窓が使えます。中の様子が見えない時期ほど、外から読める1枚が働きます。雨風も受けません。
のぼりは布が動くので、遠くからでも視界に入ります。風の強い日は倒れるため、置く位置と重しを決めておきます。
足元に置く面は、歩く人の視線に近い高さです。通る側から読めているかを、実際に歩いて確かめます。
この期間の面は、作り込む必要がありません。 数週間から数か月で役目を終えるからです。 読めることと、出し続けられることのほうが働きます。
面を選ぶときは、通る人の位置から考えます。 歩く人が多いなら窓と置き看板、車が多いならのぼりと大きな面。 両方あるなら、まず歩く人の側から埋めます。
囲いに何かを貼るには、管理する側の了解が要ります。 契約の内容によっては、掲示そのものが認められない場合があります。 貼れる面積や位置に条件が付くこともあります。 着工の打ち合わせで、貼りたい旨をあわせてお伝えください。
出す時刻と、外す日を決める
のぼりと置き看板は、毎日出し入れする面です。 出し忘れる日が続けば、期間を延ばした意味が薄れます。 誰が何時に出すかを、開店の前に決めておきます。
外す日も、掲出と同じ日に決めます。 あとから決めようとすると、外す理由が見つからずに残ります。 期間限定の面は、期限を書いた紙を裏に貼っておくと忘れません。
掲出の許可と、かけてよい額を確かめる
敷地の内か外かで、確かめる先が変わります。
のぼりや置き看板を道に出す場合、道路の占用にあたることがあります。
常設の看板も、大きさや高さによって届出や許可の対象になります。
県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。
工事中の一時的な掲示でも、扱いが分かれることがあります。
※ 着工の前に、管轄の窓口へご確認ください。
| やろうとすること | 関わる決まり | 確かめる点 |
|---|---|---|
| 仮囲いに掲示する | 工事の請負契約 | 囲いを管理する側の了解 |
| 窓の内側に貼る | 賃貸借の契約 | 原状回復の範囲に入るか |
| のぼりを立てる | 屋外広告物の条例 | 大きさと本数に制限がある |
| 道に置き看板を出す | 道路の占用 | 敷地の外に出す場合 |
| 常設の看板を付ける | 屋外広告物の許可 | 大きさと高さで扱いが変わる |
許可の要る面と、要らない面を先に分けてください。 要る面だけを業者に頼めば、手続きの手間が一つにまとまります。 申請の流れは屋外広告物の許可で扱っています。
月あたりの額を、必要な客数に直す
知らせるためにかける額は、何人来れば釣り合うかに直すと判断できます。
月あたりのコストを9,000円、客単価を3,000円、粗利率を6割と置きます。 3,000 × 0.6 で1,800円。9,000 ÷ 1,800 で5人になります。
30 ÷ 5 で6。 6日に1人、知らせを見て来てくれれば釣り合う計算です。
9,000円、3,000円、6割は、式の動きを見るための仮の置き方です。 金額の水準を示すものではありません。 自分の店の数字に入れ替えて使ってください。
費用が動くところ
| 出す面の数 | 仮囲い、窓、のぼり、置き看板。数がそのまま積み上がります。 |
|---|---|
| 屋外に出す期間 | 長く出すほど、色あせや雨に耐える作りが要ります。 |
| 差し替えのしやすさ | 日付だけ替えられる作りにすると、直しの手間が減ります。 |
| 取り付けの高さ | 高い位置ほど作業が増え、足場が要ることもあります。 |
| 常設との作り分け | 予告を仮の作りで通すか、最初から本設に寄せるか。 |
三行目を先に決めておくと、あとの出費が変わります。 掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめています。
開店後の反応を測り、常設へ移す
聞き取りと来店数の2つで足ります。
会計のときに一言たずねます。看板、通りがかり、人づて。答えを紙に控えるだけで割合が出ます。
開店から2週間は毎日控えます。曜日ごとの癖が見え、あとで比べる土台になります。
予告を見ていた人と、当日に気づいた人を分けます。予告が届いたかが、ここで分かります。
のぼりを下げた日、窓の紙を剥がした日。来店数と並べると、その面の働きが読めます。
四つとも、道具を買わずに開店の当日から始められます。
何で知ったかは、会計のときに一言たずねるだけです。 答えを紙に正の字で控え、あとで割ります。
20 ÷ 50 = 0.4 → 4割
50人ほど集まると、傾向が読めるようになります。 割合そのものより、週ごとの動きを見てください。
見るタイミングを決める
| 予告を出した日 | 道を歩き、通る側から読めるかを見ます。写真を1枚残します。 |
|---|---|
| 開店の1週間前 | 開く日が読み取れるかを確かめます。数字への差し替えはここまでに。 |
| 開店から2週間 | 毎日の来店数と、何で知ったかの答えを集めます。 |
| 開店から1か月 | 予告の面を1つ外し、前後の来店数を比べます。 |
| 開店から3か月 | 常設の面だけで足りるかを決めます。残す面はここで選びます。 |
予告の面は、一度に全部外さないでください。 1つずつ外して、前後の来店数を比べます。 残す価値のある面は、この外し方でしか分かりません。
常設の面に移すときは、内容も一度見直します。 開く前に必要だった情報と、通い始めた人に必要な情報は別のものです。
反応が薄いとき、この順で疑う
- 1出す時刻を疑う
のぼりや置き看板を、朝に出し忘れていないか。担当と時刻を決めるだけで直ります。
- 2置いた位置を疑う
通る側から見えているか。数十センチ寄せるだけで、視界への入り方が変わります。
- 3開く時期が読めるかを疑う
近日開店だけでは、いつ来ればよいか決められません。月と旬を足します。
- 4何の店かが伝わるかを疑う
業種を一語で書いているか。ここが抜けていると、日付まで目が届きません。
- 5載せた量を疑う
予告の面に3つ以上あるなら減らします。削るほうが読まれます。
- 6面の位置と高さを疑う
付け直しには費用がかかります。上の五つを試したあとで構いません。
並びは、かかる額の小さい順です。 1番から5番までなら、看板を作り替えずに手が打てます。
よくある失敗5パターン
どれも、着工の前に気づけば手が打てます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 開店の直前まで何も出さなかった | 開いた日を近所の人が知らずに過ぎる | 窓か仮囲いに1枚貼る。紙とテープで足りる |
| 予告に情報を詰め込んだ | 何の店か伝わらず、日付も読まれない | 業種と開く時期の2つまで削る |
| 近日開店とだけ出し続けた | 通るたびに気にされ、やがて見飽きられる | 月と旬でよいので時期の手がかりを足す |
| のぼりを敷地の外へ出した | 通行の妨げになり、外すよう求められる | 敷地の内側へ戻す。置く位置を床に印で残す |
| 開店の面を数か月そのままにした | 新しさが薄れ、手の入らない店に見える | 外す日を掲出の時点で決め、記録に残す |
セルフチェックリスト
予告を出す前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 開店日を、仮でもひとつ決めた
- 工事が外から見て分かる日を確かめた
- 常設の看板が付く予定日を、施工側に聞いた
- 同じ人が週に何回その道を通るかを数えた
- 予告の面に載せた情報が2つ以内に収まっている
- 何の店かが、業種の一語で読み取れる
- 開く時期が、道を歩きながら読み取れる
- 仮囲いに貼ってよいかを、管理する側に確かめた
- のぼりと置き看板が、敷地の内側に収まっている
- 道に出す面について、管轄の窓口に確かめた
- 予告の面を外す日を、掲出の時点で決めた
- 何で知ったかをたずねる言葉を、決めてある
よくある質問
開店の知らせは、いつから出せばいいですか?
予告の段階では、何を書けばいいですか?
掲示に許可が要ることはありますか?
効果はいつ判断すればいいですか?
もう開店していますが、まだ手は打てますか?
予算が限られる場合、何を優先しますか?
まとめ
開店の知らせは、次の順序で組み立てます。
| 1 知らせる時期を決める | 工事が見え始める日を始点に、開店日から逆算する。 |
|---|---|
| 2 時期ごとの内容を決める | 予告は業種と時期のみ。開いたあとで営業時間を足す。 |
| 3 出す面を決める | 仮囲い、窓、のぼり、置き看板で、常設までをつなぐ。 |
| 4 許可と額を確かめる | 敷地の外へ出す面を窓口へ。額は必要な客数に直す。 |
| 5 反応を測って移す | 来店数と聞き取りを集め、期間限定の面を順に下ろす。 |
開店の日にすべてをそろえようとすると、いちばん見られる時期を逃します。 囲いが立った週に、紙を1枚貼るところから始めてください。