無人店舗の看板の作り方
説明を表示に移す5ステップ
これからコインランドリーや無人販売の店を開く方、表示を見直す方へ。 人がいる店では、迷った客に一言かければ済みます。 人がいない店では、その一言をすべて表示が引き受けます。
人がいれば話していた内容を、書き出す手順/ 外・入口・機械の前・出口に振り分ける考え方/ 立ち止まる秒数から、1枚に置ける行数を出す計算/ 営業に関する届出と、掲げる表示の確かめ方/ 表示一式の費用を年あたりに直し、必要な客数を出す計算/ 引き返した人と、問い合わせの中身を数える方法
無人の店では、表示が接客を引き受けます
人のいる店なら、迷っている客に声をかければ済みます。 無人の店には、その声がありません。 店員が話していた内容を全部書き出すところから始まります。
書き出さないまま開けると、こうなります。入口に手順を全部貼ったため読み切れず、 扉の前で引き返される。禁止事項ばかりが並び、入りにくい店に見える。 連絡先が説明に紛れ、困ったときに探せない。夜に外から店の様子が分からず、利用が落ちる。
説明を書き出し、4か所に振り分け、掲げる表示を確かめ、 費用を年あたりに直し、引き返した人を測る。 この5つで、どこに何を出すかが決まります。
コインランドリー、無人販売、セルフ式の店を想定しています。 扱うのは、客が入って使い終わるまでの表示です。機械の操作画面そのものは含みません。 届出や掲示の扱いは業種と地域で変わりますので、管轄の窓口へご確認ください。
人がいれば話していた内容を書き出す
表示の中身は、接客の言葉から取り出します。
紙に、店員の台詞を書くつもりで並べます。 看板の言葉として整える必要はありません。 話し言葉のまま書き出すほうが、抜けが少なくなります。
- 1初めての人に、まず言うことを書く
人がいる店なら最初の一言で済みます。その一言が、入口に出す表示になります。
- 2支払いの手順を、動作の数で数える
入れる、選ぶ、押す、受け取る。動作を1つずつ書きます。まとめると迷う場所が消えます。
- 3聞かれそうな質問を10個書く
営業時間、料金、使える支払い方法、忘れ物、故障。書けば、そのまま表示の候補になります。
- 4止めたい行動を書く
持ち込み、置き去り、長時間の占有。禁止を並べるのではなく、代わりにどうするかを書きます。
- 5困ったときの行き先を書く
連絡先、対応できる時間、返答までの目安。ここが空欄だと、客はその場で立ち往生します。
- 6自分で1回、客として使う
書いた説明を持たずに使ってみます。詰まった場所が、表示の足りない場所です。
最後の1つが要になります。 書いた説明を持たずに、客として1回使ってみてください。 詰まった場所が、そのまま表示の足りない場所です。
止めたい行動は、禁止として並べないでください。 並べるほど、入りにくい店に見えます。 代わりにどうすればよいかを書き添えると、同じ枚数で伝わり方が変わります。
書き出した説明を、4か所に振り分ける
置く場所を間違えると、同じ文でも読まれません。
屋号と、何ができる店かの2つだけです。無人の店は中の様子が伝わりにくいため、業種が一目で分かる語を1つ足します。手順は載せません。
入ってよい店だと分かる1枚です。営業時間、料金の目安、支払いの方法。ここで判断できないと、扉の前で引き返されます。
手順を置く唯一の場所です。目の高さより少し下、操作する面のすぐ上に付けます。離れた場所に貼ると、行き来が生まれます。
忘れ物、片づけ、次の人への引き継ぎ。出口に向かう視線の上に置きます。入口に書いても、そのときには読まれません。
手順を置いてよいのは、機械の前だけです。 入口に手順を貼ると、客は立ったまま読み切れません。 入口で決めるのは「入るかどうか」だけです。
立ち止まる秒数から、行数を出す
機械の前で客が立ち止まるのは、およそ20〜30秒です。 1行に目を通すのに、だいたい3秒かかります。 20を3で割ると6.66、30を3で割ると10。7〜10行が上限になります。
立ち止まる30秒 ÷ 1行3秒 = 10行
| 置く場所 | 行数 | 理由 |
|---|---|---|
| 入口の表示 | 5〜7行 | 立ち止まる時間が短い |
| 機械の前の表示 | 7〜10行 | 操作しながら読める |
| 帰るときの表示 | 3〜4行 | 手がふさがっている |
| 1行の長さ | 15字以内 | 3秒で目を通せる長さ |
1行は15字以内に収めます。長い行は、3秒では読み切れません。 入りきらないなら、削るか、絵に置き換えるかのどちらかです。 行を増やすと、全体が読まれなくなります。
横の壁に貼ると、客は機械と壁の間を行き来します。 手を動かしながら目だけで確かめられる位置に付けてください。 離れた場所に大きく貼るより、近くに小さく貼るほうが効きます。
夜に外から見た様子を確かめる
無人の店は、中の様子が分からないと入りにくくなります。 夜は特にそうです。人がいないことと、開いていないことは見分けがつきません。 暗い時間に外へ立ち、開いている店だと分かるかを確かめてください。
読める距離は、周りにある光の量で変わります。 明かりの多い通りでは、看板の光が埋もれます。 照らし方の決め方は電飾看板・LED看板の選び方にまとめてあります。
掲げることになっている表示を確かめる
確かめるのは5つです。集客の表示とは別に、面を確保します。
無人で営む店では、業種によって届出や掲示が定められている場合があります。 集客のための表示と同じ面に置くと、どちらも読みにくくなります。 何が求められるかは業種と地域で分かれます。着工の前に管轄の窓口へお問い合わせください。
| 営業に関する届出と表示 | 業種によって、届出や施設に掲げる表示が定められている場合があります。 |
|---|---|
| 料金の表示 | 掲げ方に決まりがある場合があります。書き方を含めてご確認ください。 |
| 屋外に出す看板 | 屋外広告物の扱いがあります。届出や許可が要る場合があります。 |
| 見守りの機器に関する掲示 | 設置していることを掲げる必要が生じる場合があります。 |
| 夜間の照明と近隣 | 光の向きと明るさに配慮が求められることがあります。 |
建物の外に出す看板には、届出や許可が要る場合があります。 県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があり、書式も変わります。 位置と大きさが決まった時点で問い合わせてください。
建物を借りているなら、行政の手続きより先に貸主の承諾です。 承諾の取れない位置で図面を進めると、作り直しになります。 契約前に確かめることは借りた店舗の看板にまとめてあります。
24時間営業では、照明が近隣の住まいに向くことがあります。 明るさと向きに配慮が求められる区域があり、苦情から見直しになる例もあります。 設置の前に、周りの建物の窓の位置を確かめてください。
費用を年あたりに直し、取り戻すラインを計算する
単価の低い店では、必要な人数が大きく出ます。先に確かめます。
年あたりの費用 ÷ (客単価 × 粗利率) = 年に必要な新規客数
無人の店は、1回あたりの金額が小さくなりがちです。 必要な人数は多く出ますが、日に直すと小さな数になります。
埋める数字は5つ
| 表示一式の費用 | 屋外の看板と、店内の表示を分けて出してもらいます。 |
|---|---|
| 使う年数 | 屋外は風雨を受けます。店内の表示は貼り替えを前提に短く見ます。 |
| 年の維持費 | 照明の電気代、貼り替え、清掃。24時間の店は電気代が上がります。 |
| 客単価 | 1人が1回で使う金額。売上を利用回数で割れば出ます。 |
| 粗利率 | 売上から水道光熱や消耗品を引いて残る割合。 |
体感できる単位まで落とす
表示一式を35万円、使う年数を7年、年の維持費を1万5千円と置きます。 350,000を7で割ると50,000円。これに15,000円を足して、年あたり65,000円です。
客単価を800円、粗利率を7割とします。 800に0.7を掛けて、1人あたり560円。 65,000を560で割ると116.07で、年に約116人です。 365を116.07で割ると3.14。およそ3日に1人、新しい客が増えればつり合います。
置いた金額は計算の置き方であり、相場ではありません。 自分の店の数字を入れて、もう一度計算してください。 掲載社が公開している金額は看板の費用に種類別にまとめてあります。
屋外の看板と、店内の表示は使う年数が違います。 店内の表示は貼り替えを前提にして、短めに見ます。 1つにまとめると、年あたりの数字がずれます。
引き返した人と、問い合わせの中身を測る
無人の店では、客の困りごとが表に出にくくなります。
扉の前で立ち止まり、入らずに戻る人がいます。無人の店では最も多い取りこぼしです。映像が残るなら、そこから数えられます。
使い方、料金、不具合。電話やメッセージの中身を分けて数えます。使い方が多いなら、機械の前の表示が足りていません。
初めての人が操作を終えるまでの時間を数回測ります。長い場合は、行数か言葉の並びに原因があります。
誤った使い方は、機械の停止として表に出ます。同じ操作で繰り返し止まるなら、その手順の表示を書き直します。
24時間の店では、夜だけ利用が落ちることがあります。外からの見え方か、入りにくさが原因のことが多くあります。
2つ目を3つに分けるだけで、直す場所は見えてきます。
判断のタイミング
| 最初の2週間 | 引き返す人と問い合わせを毎日数えます。表示の抜けはここで出ます。 |
|---|---|
| 1か月 | 問い合わせの中身を分類します。足す表示の場所が決まります。 |
| 3か月 | 季節で使い方が変わります。夜の利用の差もここで見ます。 |
| 1年 | 色あせと汚れ。手順が変わっていないかも合わせて確かめます。 |
記録は日付を付けて残します。 無人の店では、直した結果が数字にしか出ません。 紙1枚に書き足していけば足ります。
使われないときは、この順で疑う
- 1表示の位置を移す
はがして貼り直すだけです。操作する面から離れているほど読まれません。手が届く範囲まで近づけます。
- 2行数を削る
読まれない原因は文字の大きさより行数です。10行を超えているなら、要らない行を消して残りを大きくします。
- 3言葉を絵に置き換える
動作を表す部分は、絵のほうが速く伝わります。文字を減らせるので、残った文字も大きくできます。
- 4連絡先を独立させる
説明の中に紛れていると、困ったときに探せません。別の1枚にして、離れた位置に置きます。
- 5入口の表示を作り直す
ここで初めて、板そのものの話になります。入って良い店だと分かるかを、外から見て確かめます。
- 6外から見つける看板を作り直す
上の5つを試したうえで決めます。作り直しは、いちばん最後に置いてください。
並びは、費用のかからないものからです。 1番と2番は貼り直しで終わり、3番も小さな出費で済みます。 看板を作り直すのは、最後に置いてあります。
よくある行き違い5パターン
どれも、作り直さずに手を打てます。
| 行き違い | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 入口に手順を全部貼った | 読み切れず、扉の前で引き返される | 入口は5〜7行に絞り、手順は機械の前へ |
| 禁止事項だけを並べた | 入りにくい店に見える | 代わりにどうするかを書き添える |
| 連絡先を説明の中に入れた | 困ったときに見つけられない | 別の1枚にして、離れた位置に置く |
| 昼にだけ現地を確かめた | 夜に外から店の様子が分からない | 暗い時間に立ち、外からの見え方を見る |
| 機械の横の壁に手順を貼った | 操作しながら読めず、行き来が生まれる | 操作する面のすぐ上に付け直す |
セルフチェックリスト
業者に相談する前に使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、決め直す余地があります。
- 人がいれば最初に言う一言を、書き出した
- 支払いの手順を、動作の数で数えた
- 聞かれそうな質問を10個書き出した
- 止めたい行動に、代わりの行動を書き添えた
- 困ったときの連絡先と、対応できる時間を決めた
- 説明を見ずに、自分で1回使ってみた
- 表示を4か所に振り分けた
- 入口の表示を7行以内に収めた
- 機械の前の表示を、操作する面のすぐ上に付けた
- 1行を15字以内に収めた
- 営業に関する届出と表示について、窓口に尋ねた
- 暗い時間に、外から店の様子を確かめた
よくある質問
無人の店の表示は、何から決めればいいですか?
1枚に何行まで書けますか?
届出や掲示の決まりはありますか?
効果は、いつ判断すればいいですか?
すでに開けている店を直すなら、どこからですか?
予算が限られるときの優先順位は?
まとめ
無人の店の表示を決めるときは、次の順序で進めます。
| 1 書き出す | 店員が話していた内容を、話し言葉のまま並べる。 |
|---|---|
| 2 振り分ける | 外・入口・機械の前・出口に配り、行数を計算する。 |
| 3 確かめる | 届出と掲示を、集客の表示とは別に確保する。 |
| 4 計算する | 費用を年に割り、必要な客数まで落とす。 |
| 5 測る | 引き返す人と問い合わせを数え、位置から直す。 |
この作業は、自分が客として1回使った時点で半分が終わります。 詰まった場所を書き留めれば、必要な表示の数は自分で出せます。 あとは行数を守って、置く場所を間違えないだけです。