看板集客 / 2026年9月5日 更新 / 読了目安 約13分

農産物直売所の看板の作り方
車から見つけてもらう5ステップ

これから畑の脇や道路沿いで直売を始める方、いまの看板を作り替える方へ。 直売所の看板は、走っている車に読ませる看板です。 立ち止まって読む人を相手にした作りとは、決め方が変わります。

5手順手前の距離から立ち寄り率まで
3要素看板に載せる上限
12項目立てる前に見る点
この記事でわかること

走る車が看板を読める時間の長さ/ 何メートル手前に面を出すかの出し方/ 読ませたい距離から文字の高さを出す式/ 走行中に読める内容の上限と、その順番/ 季節で中身を入れ替える差し替え式の組み方/ 敷地・道路・農地で変わる手続きの当たり/ 30分で測れる立ち寄り率と、直す順序

直売の看板は、中身が季節で入れ替わります

直売の看板には、店舗の看板にない事情がふたつあります。 読む相手が歩いていないこと。売るものが季節で入れ替わることです。

この二つは、看板の作り方そのものを変えます。 読める量は数秒ぶんに縮み、面を丸ごと作り直さない仕掛けが要ります。

そこを決めずに進めると、こうなります。 春の品目を秋まで掲げたままで、寄った車が空振りする。 入口の真横に立てたので、読んだときには通り過ぎている。 採れるものを全部書いて、走りながらでは一つも残らない。 立ててから、位置や大きさの直しが必要だと分かる。

手前の距離を決め、載せる内容を3つに絞り、差し替え式に組み、 場所と手続きと費用を確かめ、立ち寄り数を測る。この五つを順に埋めます。

Step 1

通る車の速さと、手前の距離を決める

読ませる時間は、道の速さが決めます。

通る車の速さを控える

標識の制限速度を書き留めます。速いほど読める時間が短くなります。

減速して曲がれるかを見る

読んだあとに止まって曲がれる道か。後続車が詰まるなら、手前を長く取ります。

進行方向を1つに絞る

上りと下りでは、見える面も曲がりやすさも違います。台数の多い側から作ります。

入口の手前を歩いて確かめる

カーブ、街路樹、電柱。面を隠すものは現地でしか見えません。

時速を3.6で割れば、1秒に進む距離が出ます。

時速40km = 40 ÷ 3.6 = 秒11.1m → 3秒で 約33m
時速50km = 50 ÷ 3.6 = 秒13.9m → 3秒で 約42m
時速60km = 60 ÷ 3.6 = 秒16.7m → 3秒で 約50m

時速60kmなら、3秒で約50m流れていきます。 読み切れる量は、その3秒ぶんです。

手前の距離は、読む時間だけでは足りません。 読む2秒、曲がるかを決める2秒、減速する2秒。あわせて6秒を見込みます。

16.7 × 6 = 約100m手前
※ 6秒は「読む+決める+減速する」の置き方。道の形と交通量で前後します

100m手前の面と、入口の面。この2枚が最小の組み合わせです。 手前の面で気づかせ、入口の面で曲がる位置を確定させます。

文字の高さを、読ませたい距離から出す

文字の高さは、視認距離の1/250〜1/500が目安です。 単位をcmにそろえて割ります。

50m = 5,000cm
5,000 ÷ 250 = 20cm / 5,000 ÷ 500 = 10cm
100m = 10,000cm
10,000 ÷ 250 = 40cm / 10,000 ÷ 500 = 20cm

幅があるのは、書体と背景の色の差で見え方が動くためです。 面が土ぼこりで曇れば、下限では足りなくなります。 詰め方は看板の大きさの決め方にまとめています。

曲がれない道では、看板より先に入口を見てください

後続車が詰まる道、路肩の狭い道、対向車線側からしか入れない道。 気づいてもらっても、寄る場所がなければ通り過ぎます。 停める場所と出入りの向きは、面を増やすより先に整えます。

Step 2

載せる内容を3つに絞る

何を売り、いつ開き、どこで曲がるか。それだけです。

運転席から読めるのは、短い語が3つまでです。 知りたいことは、たいてい次の6つに分かれます。

通る人が知りたいこと看板で示すこと
何を売っているか今いちばん多い品を一語で
いつ開いているか曜日か時間帯。どちらか一方
どこで曲がるか矢印と、あと何メートルか
人がいるかどうか無人なら、その一言を添える
値段の手がかり看板ではなく、店先の表示に回す
支払いの方法同じく店先。走行中には読めない

下の3つは、走行中には読めません。 上の3つだけを面に載せ、残りは車を降りた人が読む場所へ回します。

載せる順番を決める

  1. 1
    売っているものを一語で置く

    何が買えるか分からなければ、曲がる理由が生まれません。品目名を1つだけ置きます。

  2. 2
    開いている時間を1行で足す

    曜日か時間帯のどちらか一方で足ります。両方書くと、行が2本になって読めません。

  3. 3
    曲がる場所を矢印と数字で示す

    矢印だけでは、どこまで走るか分かりません。あと何メートルかを添えます。

  4. 4
    4つ目は書かずに残す

    走行中に読めるのはここまでです。残りは、車を降りた人が読む店先の面に回します。

品目は1つで足ります。 採れるものを並べると行が増え、どれも記憶に残りません。 量の多い品を選び、残りは店先の黒板に回します。

矢印には距離を添えてください。 矢印だけでは、どこまで走ればよいかが分かりません。 「この先50m」と数字を1つ置くだけで、通り過ぎが減ります。

Step 3

季節で変わる部分を差し替え式にする

変わらない面と、替える面を分けておきます。

直売の看板が高くつくのは、季節ごとに作り直すからです。 分け方は単純で、1年を通して変わらないものを固定側に置きます。

分ける区分そこへ入れるもの
固定する面屋号、開いている曜日、矢印と距離
入れ替える面今の品目、収穫の時期、休みの知らせ
入れ替える区切り品目が切り替わる時期に合わせる
入れ替える担当誰が替えるかを、年の初めに決める

作り直す範囲を、面の一部に閉じ込めるのが狙いです。 枠と支柱は据え置き、抜き差しする板だけを季節ぶん用意します。

枠を残して中身だけ替える

枠と支柱を据え置き、板か布だけを抜き差しします。作り直す範囲が縮みます。

差し替える面は1枚に収める

替える面が増えるほど、替え忘れが起きます。1枚なら確かめる場所も1か所です。

翌年も使う面は捨てない

年や月を書き込まず品目だけ書いておくと、来年そのまま戻せます。

終わった品目は必ず外す

売り切れた品を掲げたままだと、寄った車が空振りします。次からは素通りです。

差し替える人と、区切りを決めておく

仕掛けを作っても、替える人が決まっていなければ止まります。 収穫と出荷が重なる時期ほど、看板は後回しになります。

品目が入れ替わる時期は、毎年ほぼ同じです。 年の初めにその区切りを書き出し、「面を替える」を1行足しておきます。

布の面は、風の当たり方で寿命が変わります

差し替えを軽くするために、布やターポリンを選ぶ場面があります。 田畑の脇はさえぎる物が少なく、はためく面は留め具の穴から傷みます。 留める点を増やすか、風を通す作りにすると持ちが変わります。 備え方は風・雪・塩害に耐える看板で扱っています。

Step 4

出せる場所と手続き、費用の動き方を確かめる

立てる場所によって、当たる規定が変わります。

敷地の内か外か、そして土地の種類で扱いが分かれます

一般的に、屋外広告物の条例では大きさや位置が制限されることがあります。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。 面が敷地の外へかかる場合は、道路の占用が関わることがあります。 農地へ恒久的な工作物を立てるときは、土地の用途の扱いも確かめる対象です。 借りた土地なら、期間と原状回復を書面で決めておきます。
※ 着工の前に、管轄の窓口へご確認ください。

やろうとすること関わる規定注意する点
自分の敷地に立てる屋外広告物の条例大きさや位置が制限される地域がある
他人の土地を借りる土地の賃貸借期間と原状回復を書面で決めておく
敷地の外へはみ出す道路の占用道路側にかかる部分が対象になる
農地に立てる農地の用途の扱い恒久的な工作物かどうかで分かれる
のぼりを並べて出す本数や間隔の制限地域によって扱いが変わる

他人の土地を借りて出すなら、話の順序が変わります。 土地の交渉から始まる進め方は野立て看板の出し方、 申請の流れは屋外広告物の許可で扱っています。

月あたりの額を、必要な客数に直す

かけてよい額は、何人寄れば釣り合うかに直すと決めやすくなります。

月あたりのコスト ÷ (客単価 × 粗利率) = 月に必要な新規客数

月あたりのコストを9,000円、客単価を1,500円、粗利率を6割と置きます。 1,500 × 0.6 で900円。9,000 ÷ 900 で10人です。

30 ÷ 10 で3。 3日に1人、看板を見て寄ってくれれば釣り合う計算になります。

9,000円、1,500円、6割は、式の動きを見るための仮の置き方です。 金額の水準を示すものではありません。自分の数字に差し替えてお使いください。

費用が動くところを押さえる

面の大きさ読ませたい距離で決まります。遠くから読ませるほど大きくなります。
差し替えの仕組み抜き差しできる枠にすると、作るときの額は上がります。
地面の作り土か舗装かで、基礎の手間が変わります。
風への備え田畑の脇はさえぎる物が少なく、支柱や控えが増えます。
面の数手前に出す面と、入口の面。数だけ積み上がります。

二行目を先に決めると、翌年から先の出方が変わります。 掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別に整理しました。

Step 5

立ち寄り数を測って、直す

30分あれば、割合のかたちになります。

30分の通行台数を数える

道の脇で、通った車と寄った車を数えます。天気と曜日も一緒に控えます。

料金箱の回収の具合を見る

無人で置くなら、減った品数と入った額を突き合わせます。差は運用に出ます。

どこで気づいたかを聞く

手前の面か、入口の面か。答えが片寄るなら、効いていない側を直せます。

差し替えた日を控える

面を替えた日の前後で、立ち寄り台数を並べます。効果が数字で残ります。

四つとも、道具を買わずに今週から始められます。

立ち寄り率は、寄った台数を通った台数で割るだけです。 30分で通行120台、立ち寄り6台なら 6 ÷ 120 で0.05。5%です。

立ち寄り率 = 立ち寄った台数 ÷ 前を通った台数
6 ÷ 120 = 0.05 → 5%
翌週 9 ÷ 120 = 0.075 → 約8%

曜日と天気で大きく動きます。 同じ曜日、同じ時間帯にそろえ、1回の数字ではなく前後の差を見ます。

無人で置くなら、もう1つ数字が取れます。 減った品数と、料金箱に入った額の突き合わせです。 合わない日が続くときは、無人店舗の看板で表示の書き方から見直してください。

いつ見直すかを決めておく

出した当日運転席と同じ高さから見ます。写真を1枚残します。
1週間同じ曜日・同じ時間帯で立ち寄り率を数えます。基準になります。
1か月通る側から見直します。草や枝で隠れていないかを見ます。
季節の変わり目面を差し替え、前の季節の数字と並べます。
1年手前の距離と面の数を、このまま続けるか決めます。

速度を落としたのに寄らなかった車も、あわせて控えます。 減速が多く立ち寄りが少ないなら、原因は入口の側にあります。

立ち寄りが増えないとき、この順で疑う

  1. 1
    差し替え忘れを疑う

    終わった品目が残っていないか。剥がすだけで直ります。

  2. 2
    面の汚れを疑う

    土ぼこりと雨だれで、字は思ったより早く読めなくなります。拭けば戻ります。

  3. 3
    手前の草木を疑う

    夏に伸びた枝や草が面を隠します。刈るだけで、見える距離が戻ります。

  4. 4
    文字の高さを疑う

    読ませたい距離に対して小さくないか。割り算で確かめられます。

  5. 5
    手前の距離を疑う

    曲がる場所に近すぎると、読んでも間に合いません。手前へ1枚足します。

  6. 6
    面の位置と大きさを疑う

    立て直す費用がかかります。上の五つを試したあとで構いません。

上から順に、かかる額が小さいものです。 1番から3番までは、その日のうちに手を動かせます。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、立てる前に気づけば手を打てます。

失敗何が起きるか直し方
旬の品目を1年中掲げた寄った人が空振りし、次から通り過ぎる終わった品目を外す。1枚抜くだけで済む
入口の直前に立てた読んだときには、もう通り過ぎている手前に1枚足す。今ある面はそのまま使える
売っている品を並べて書いた走行中に読み切れず、全部が残らない多い品を1つだけ残し、あとは店先へ回す
面ごと作り替える形にした季節が変わるたびに作り直しが要る枠を残し、中身を抜き差しする形へ改める
立てる前に窓口へ確かめなかった位置や大きさの直しが、後から必要になる着工の前に管轄の窓口へ相談する
Checklist

セルフチェックリスト

図案が出た段階で使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • 通る車の速さを、標識の数字で確かめた
  • 読んだあとに減速して曲がれる道かを、現地で見た
  • 主に狙う進行方向を1つ決めた
  • 読ませたい距離から、文字の高さを割り算で出した
  • 看板に載せた要素が3つ以内に収まっている
  • 何を売っているかが、一語で読み取れる
  • 開いている曜日か時間帯の、どちらか一方を書いた
  • 曲がる場所までの距離を、数字で示した
  • 固定する面と、入れ替える面を分けてある
  • 差し替える担当と、替える区切りを決めた
  • 立てる場所の手続きを、管轄の窓口に確かめた
  • 30分の通行台数と立ち寄り台数を、一度は数えた
FAQ

よくある質問

直売所の看板は、何から決めればいいですか?
通る車の速さと、何メートル手前に出すかからです。速さが決まらないと、文字の高さも載せる量も決まりません。時速60kmなら1秒で16.7m進み、6秒では約100mになります。
文字の高さに目安はありますか?
視認距離の1/250〜1/500が目安です。50m先から読ませたいなら、5,000cmを250と500で割って10〜20cmになります。書体、背景との色の差、面の汚れで変わります。
立てる前に確かめる手続きはありますか?
一般的に、屋外広告物の条例で大きさや位置が制限されることがあります。敷地の外にかかる場合は道路の占用、農地では用途の扱いが関わることがあります。着工の前に管轄の窓口へご確認ください。
効果はいつ判断すればいいですか?
1週間後に、同じ曜日・同じ時間帯で立ち寄り率を数えます。30分で通った台数と寄った台数を控え、割るだけです。季節の変わり目には、面を差し替える前後で並べてください。
すでに出している看板の反応が薄いときは?
終わった品目が残っていないかを先に見てください。次が面の汚れ、その次が手前の草木です。ここまでは費用がほとんどかかりません。
予算が限られる場合、何を優先しますか?
手前に出す1枚を先に作ることです。曲がる場所の直前だけでは、読んでから減速する時間が足りません。次に、中身を抜き差しできる作りへ替えます。

まとめ

畑の脇に出す看板は、次の順序で固まります。

1 手前の距離を決める時速を3.6で割り、6秒ぶん手前へ。文字は距離の1/250〜1/500。
2 内容を3つに絞る品目ひとつ、開く時間ひとつ、矢印と数字。4つ目は書かない。
3 差し替え式に組む枠と支柱は据え置き。季節で動く板だけを抜き差しする。
4 場所と費用を確かめる敷地の内外と土地の種類を窓口へ。額は必要な客数に直す。
5 立ち寄りを測る30分の通行と立ち寄りを数え、同じ条件でそろえて並べる。

面を増やす前に、いま掲げている品目が今日のものかを見てください。 季節に追いついていない面は、増やした1枚より早く数字を下げます。

直売所の看板を相談できる業者を探す

当ガイドは仲介や紹介を行っていません。ご相談・お見積もりは各社へ直接お願いいたします。
面の数も差し替えの作りも、まだ何も決まっていない段階で構いません。 季節ごとの抜き差しに応じられるか、道路沿いの手続きに詳しいかは比べられます。 道の制限速度、入口の写真、載せたい3つの内容。この三つで相談が短く済みます。