看板集客 / 2026年9月9日 更新 / 読了目安 約12分

歯科医院の看板の作り方
通い続ける患者に届く5ステップ

これから歯科医院の看板を決める方へ。 歯科に来る人は、痛みで駆け込む人と、決まった間隔で通う人に分かれます。 看板が働くのは、二度目からの来院を支えるときです。

5手順面の設計から記録まで
4役目を分けて持たせる数
11項目発注前に見る点
この記事でわかること

来院のきっかけを三つに分け、看板を向ける相手を選ぶ手順/ 面ごとに載せる内容と、文字数の上限の目安/ 表示のきまりと、屋外に出す許可の確かめ先/ 費用を年あたりに直し、1人あたりの年間の粗利で割る式/ 来院のきっかけを集め、作り直さずに直す順番/ 発注の前に見る11項目

痛みで来る人と、通い続ける人を分ける

歯が痛む日に、通りの看板を読む人はほとんどいません。 看板が数字を動かせるのは、痛みが出ていない人に向けたときです。 通う先を選ぶ場面と、次を思い出す場面。この二つに面が効きます。

起きやすいのは、次の四つです。 医院名だけが大きく出ていて、開いている時間帯が外から読めない。 診療の内容を並べたため、遠くから文字が判別できない。 予約の取り方が、どの面にも書かれていない。 受付時間を板に彫り込み、時間を変えるたびに面ごと作り直している。

どれも、面をきれいに作り替えても解けません。 向ける相手を決め、面ごとに内容を割り振り、表示のきまりを確かめ、費用を年で割り、来院のきっかけを記録する。 この五つを順に埋めていきます。

なお、医科のクリニック全般については、来院までの道筋の引き方から扱った記事があります。 看板に書ける内容そのものの判断も、そちらにまとめました。 全体像から確かめたい場合はクリニックの看板の作り方をご覧ください。 このページは、通い続ける前提で面を組み立てる話に絞ります。

Step 1

誰に向けた面かを決める

来る理由が違えば、知りたいことも違います。相手を選ぶのが先です。

看板で増やす相手を、片方に寄せる

痛みが出た日の一人か、決まった間隔で通う一人か。両方に効く面を作ろうとすると、どちらにも届きません。

来院のきっかけを三つに分けて書き出す

急な痛み、定期の通院、子ども連れの付き添い。紙に並べると、いま来ている人の偏りが見えます。

三つのうち、主にする一つを選ぶ

駅の近くと住宅の中では、前を通る人が違います。立地と患者さんの構成から一つに決めます。

通う先として選ばれる条件を並べる

通院は何度も足を運ぶ行動です。距離、開いている時間帯、予約の取りやすさ。この三つが選ぶ理由になります。

四つのうち、後戻りを防ぐのは1番目です。 相手を絞らないまま面を発注すると、載せたい言葉が最後まで減りません。 文字数の話は、相手が決まってはじめて決着します。

来院のきっかけごとに、その人が外で確かめたいことは変わります。 面へ出す一言も、そこから逆算します。

来院のきっかけ外で確かめたいこと面へ出す一言の例
急な痛みが出た今日みてもらえるか当日のご相談を受けます
定期的に通いたい自分の生活で通えるか土曜も夕方まで受付
子どもを連れて行くベビーカーで入れるかお子さま連れで入れます

二度目の来院を、外の面から支える

定期的に通う人は、院内で次の予定を一度は聞いています。 それでも間があくと、予定は薄れます。 前を通ったときの面が、その記憶を戻します。

戻すために要るのは、宣伝の言葉ではありません。 いま開いているか、いつなら行けるか、どこから予約するか。 この三つが読めれば、その場で連絡まで進めます。

Step 2

面ごとに載せる内容を決める

面を増やすより、1面あたりの役目を1つに絞るほうが読まれます。

面は、見る距離で担当が分かれます。 離れた位置の面は存在を知らせるだけ、手前の面は通える条件を伝える。 1つの面に二つの役目を持たせると、どちらも中途半端になります。

載せる内容上限の目安
遠くから見える面医院名と診療の科目12字まで
入口の上の面受付している時間帯20字まで
ガラス面・扉の横診療の曜日と予約の取り方50字まで
足元の置き看板今日の受付の状況30字まで

立ち止まる面と、歩きながら読む面を分ける

上の2行は、通行しながら目に入る面です。 字数を増やしても、読み切る前に通り過ぎられます。 下の2行は、扉の前で足を止めてから読む面です。 50字や30字を置けるのは、止まる前提があるからです。

上限の数字は、設計上の決めです。書体や色の差で、読める量は前後します。 文字の高さそのものの出し方は看板の大きさの決め方にまとめました。

遠くの面に載せるのは、医院名と科目の2つまで

扱える治療を並べるほど、1つあたりの文字が縮みます。 削るのは離れた位置の面からです。 細かい説明は、立ち止まって読む位置へ寄せると生きます。

ガラス面は、中の様子をどこまで見せるかを決める場所でもあります。 全面を覆えば治療中の姿は守られますが、入りにくさが残ります。 腰から下だけを目隠しにする形が、間を取る方法です。

Step 3

表示できる内容と許可を確かめる

面へ出す言葉は、自分の判断だけでは決められません。

医療の広告には表示のきまりがあります。 書ける範囲を確かめてから、文案を組み立ててください。 デザインが仕上がってから直すと、日程も費用も動きます。

医院名と科目の書き方出せる範囲に表示のきまりがあります。団体の窓口へ先に尋ねる。
治療の内容にふれる言葉結果を思わせる言い回しは避け、文案の段階で相談する。
費用にふれる表示条件で変わる金額は、載せるかどうかから決める。
写真や症例の扱い面に出してよい範囲を、入稿より前に確かめる。
他院と比べる形の表現優劣を思わせる語を使わない前提で文案を組む。
屋外に出す面の許可大きさと位置によって、届け出が要る場合がある。

文案は、入稿より前に見てもらう

面に出す文字は、下書きの段階で紙に起こせます。 その紙を、所属する団体の窓口や、判断できる立場の方へ先に見せてください。 版下ができた後の手直しは、作り直しに近い手間になります。

書ける内容の判断は、自分だけで下さない

治療の内容、費用、写真の扱い。この三つは書き方に注意が要ります。 面へ出す文案は、所属する団体や管轄の窓口へご確認ください。
※ 表示できる範囲と必要な届け出は、内容と地域によって異なります。判断が必要な場合は、管轄の窓口および専門の相談先へお尋ねください。

屋外に出す面には、表示の内容とは別に許可の話があります。 県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。 更新の周期も地域で違います。 調べる順番は屋外広告物の許可ガイドに整理しました。

Step 4

費用と回収ラインを計算する

総額のままでは判断できません。年あたりに直してから人数と並べます。

金額が変わるところを並べる

面の数製作費と取り付け費が、面の数だけ積み上がります。
取り付ける高さ高い位置に付けるほど、足場や車両の手配が乗ります。
夜に光らせるか電気を引く工事と器具、毎月の電気代が加わります。
ガラス面の作り込み中をどこまで見せるかで、貼るシートの面積が変わります。
書き替えのしやすさ差し替えできる作りにすると、後から直す費用が下がります。
受付時間を板に彫るか時間を刻み込むと、変えるたびに面ごと作り直しです。

最後の1行は、歯科でとくに効きます。 診療時間は、人の増減や休診日の見直しで動くためです。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。

1回の来院ではなく、1年で割る

多くの業種では、看板の費用を1回の売上で割ります。 歯科は、そこが違います。 一度来た人が、その後も決まった間隔で通うためです。

はじめに、費用を月と年に直します。

仮に600,000円を60か月(5年)使うと置く
600,000 ÷ 60 = 10,000円/月
10,000 × 12 = 120,000円/年

この600,000円は相場ではありません。 式の形を見るために置いた、仮の数字です。

次に、1人あたりの粗利を1年分にします。

1回の来院あたりの粗利を4,000円と置く
定期の通院を年2回と置く
4,000 × 2 = 8,000円/年

年あたりの費用を、この年間の粗利で割ります。

120,000 ÷ 8,000 = 15人/年
365 ÷ 15 = 約24日に1人

1回きりの来院として計算すると、必要な人数はこうなります。

120,000 ÷ 4,000 = 30人/年
365 ÷ 30 = 約12日に1人

同じ看板で、15人と30人。ちょうど倍の差になりました。 通い続けてもらえるかどうかが、看板の回収に直接ひびきます。 4,000円も年2回も、仮の置き方です。 自院の粗利と、直近の通院の間隔に差し替えて計算し直してください。

Step 5

来院のきっかけを記録して直す

記録がないと、どの面を直すかを勘で選ぶことになります。

問診票に、知ったきっかけの欄を作る

「何を見て来られましたか」の一行で足ります。選択肢を四つ刷り、丸を付けてもらう形に。

受付で、初診の方にだけ口頭で尋ねる

書いてもらう手間がありません。聞いた答えは、その日のうちに一枚の紙へ書き足します。

面ごとに違う二次元コードを分ける

入口用と置き看板用を別にすれば、読み取りの数が面ごとに残ります。

予約の入力画面に、選択肢を置く

来院より前に答えが集まります。混み合う時間帯でも記録が途切れません。

上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は、いまの問診票に線を1本引くだけで始められます。

面ごとに二次元コードを分ける方法は、読み取りの数が自動で残る点が強みです。 置き方と読み取りやすい大きさは看板の二次元コードにまとめてあります。

記録は、紙1枚で足りる

仕組みを作り込むほど、混み合った日に書かれなくなります。 選択肢を四つ印刷し、丸を付けるだけの形にしてください。 月末に見るのは、集計のためではなく、多い順に並べるためです。

集めた記録は、時期を決めて見ます。 歯科は数字がそろうまでに時間がかかるため、見る対象を段階で変えます。

1か月初診の人数だけを数えます。面の前で足が止まっているかを見ます。
3か月二度目に来た人の割合を見ます。初診との差が、通う理由の伝わり方です。
半年面に書いてある内容を読み返します。位置を疑うのは、その後です。
1年定期の通院が一巡します。ここではじめて、回収の計算と並べます。

1か月の初診数だけで、面の良し悪しを決めないでください。 初診の数と、二度目に来た割合を分けて数えます。 どちらが伸びていないかで、直す先が変わります。

思うように増えないときは、この順で疑う

  1. 1
    書いていない項目を足す

    受付の時間帯、予約の取り方、駐車できるかどうか。この三つが面に無いなら、そこから埋めます。

  2. 2
    貼る位置を、目の高さに下ろす

    見上げないと読めない面は、そのまま通り過ぎられます。紙を貼り替えるだけで試せます。

  3. 3
    文字を減らす

    歩きながら読み切れる量かを見ます。大きくするより先に、削るほうが速く効きます。

  4. 4
    日が暮れてから、自分で前に立つ

    昼に見えていた面が、夜は沈むことがあります。照明の向きを変えるだけで戻る場合があります。

  5. 5
    置き看板を、人の来る向きへ回す

    正面が通行の向きとずれていないか。動かすだけなので、費用はかかりません。

  6. 6
    面そのものを作り直す

    ここまでの五つを試してから考えます。順に並べておくと、費用のかかる手当てが最後に残ります。

1番から3番までは、紙とテープがあれば試せます。 費用のかかる手当ては、後ろに寄せてあります。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、面を作り直さずに手当てできます。

失敗何が起きるか直し方
医院名だけを大きく出した通いたい人が、通えるかを確かめられない入口の面に、受付の時間帯を一行足す
診療の内容を面に並べた文字が小さくなり、遠くから読めない遠くの面から削り、扉の横に寄せる
予約の取り方を書かなかった思い立った人が、その場で動けない扉の横に、予約の窓口を一枚貼る
受付時間を板に彫り込んだ時間を変えるたびに、面ごと作り直しになる差し替えできる部分を一か所設ける
来院のきっかけを記録しなかったどの面が働いたか分からず、直す先を選べない問診票に欄を一つ足し、翌日から書く
Checklist

セルフチェックリスト

発注の前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • 看板で増やす相手を、急な来院と定期の通院のどちらかに寄せた
  • 来院のきっかけを三つに分け、主にする一つを選んだ
  • 面ごとに、役目を一つに絞った
  • 遠くから見える面の文字数を、上限の中に収めた
  • 受付している時間帯を、外から読める場所に書いた
  • 予約の取り方を、面のどこかに書いた
  • 面に出す文案を、入稿より前に第三者へ見てもらった
  • 屋外に出す面の届け出について、管轄の窓口へ問い合わせた
  • 看板の費用を、月あたりと年あたりに直した
  • 1人あたりの年間の粗利を出して、必要な人数を計算した
  • 問診票に、来院のきっかけを書く欄を作った
FAQ

よくある質問

歯科医院の看板は、何から決めればいいですか?
誰に向けた面かを決めることからです。痛みで駆け込む人と、定期的に通う人では、知りたいことが違います。通い続ける人を増やしたいなら、受付の時間帯と予約の取り方が先に来ます。
面に載せる文字は、どれくらいに収めますか?
面ごとに上限を先に決めます。遠くから見える面は12字、入口の上は20字を目安に置いてください。字数を増やせるのは、立ち止まって読む面だけです。
看板に書ける内容には、決まりがありますか?
医療の広告には表示のきまりがあります。治療の内容や費用にふれる文案は、出す前に所属する団体や管轄の窓口へご確認ください。屋外に出す面には、別に届け出が要る場合があります。
費用の回収は、どう計算しますか?
1回の来院ではなく、1年分の粗利で割ります。定期的に通う人は、1年のあいだに何度か来院するためです。年あたりの費用を年間の粗利で割ると、必要な人数が出ます。
効果は、いつ判断すればいいですか?
初診の人数は1か月、二度目に来た割合は3か月で見ます。回収まで含めた判断は、1年を待ってください。定期の通院が一巡するまで、数字がそろわないためです。
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
扉の横に一枚貼ることから始めます。受付の時間帯と予約の取り方を書けば、費用はほとんどかかりません。新しい面を作るのは、その一枚を試した後で構いません。

まとめ

歯科医院の看板は、次の順序で決まります。

1 誰に向けるか決める来院のきっかけを三つに分け、看板を向ける相手を一つ選ぶ。
2 面と内容を決める面ごとに役目を一つに絞り、上限の字数の中へ収める。
3 きまりを確かめる文案は入稿より前に、屋外の面は管轄の窓口へ確かめる。
4 費用を計算する年あたりに直し、1人あたりの年間の粗利で必要な人数を出す。
5 きっかけを記録する問診票に来院の理由を残し、安く直せる順に手を入れる。

看板に載せる言葉が決まらないのは、向ける相手が決まっていないからです。 いま来ている患者さんを、三つのきっかけに分けて数えてみてください。 いちばん増やしたい列が、そのまま面の文案になります。

歯科医院の看板を手がけた業者を探す

当ガイドは仲介や紹介を行っていません。ご相談・お見積もりは各社へ直接お願いいたします。
面の数も、載せる文案も、まだ何も決まっていない段階で構いません。 表示のきまりに合わせた入稿の経験があるか、受付時間を差し替えられる作りを出せるか。この二つは比べられます。