整体院・接骨院の看板の作り方
掲げる文言から決める5ステップ
これから施術所を開く方、看板を作り替える方へ。 載せたい言葉を選ぶ前に、載せられる言葉のほうが決まっています。 輪郭を先に取ると、図面のやり直しが減ります。
来院を3つに分け、要る面の数を決める手順/ 施術所に置ける6種類の面と、その働き/ 掲げてよい文言の確認先/ 外の面から何を外し、どこへ移すか/ 距離から文字の高さを出す方法/ 続く来院回数から、何日に1人でトントンかを出す式/ 費用をかけずに疑う順序
施術所の看板は、書ける言葉から決まります
看板の相談で多いのが、得意な施術を前に出したいというご要望です。 飲食や物販なら、扱う品を並べるほど伝わります。 施術所の看板では、この順番が通りません。
掲げてよい事項に、法律上の制限があるためです。 何を載せるかより先に、何なら載せられるかが決まっています。
順番を置き違えると、こうなります。 症状を並べた図面が、発注の直前で止まる。 道から見える面はあるのに、何階かが伝わらない。
経路を分け、文言を削り、到達を組み、回収を計算し、届いたかを測る。 この五段で組み立てます。
書ける内容が先に決まる点は、医療機関の広告と共通します。 当てはめる決まりは別で、クリニックの看板で扱いました。
来院の経路を分けて、要る面を決める
誰に向けた面かで、置く場所も載せる文字も変わります。
- 1初めて来る方
調べて予約してから来ます。要るのは建物と階を見つけさせる表示です。
- 2通い続けている方
場所は覚えています。看板が担うのは休みと時間の変更を知らせる役です。
- 3通りがかりで気づく方
その日に入る方はまれです。名前を覚えて後から調べられる形にします。
面の設計を決めるのは一番目です。 この方は場所を調べ終えたうえで、建物の前で迷います。 二番目に要るのは休診の知らせだけ。三番目は名前が読めれば足ります。
置ける面を6つから選ぶ
通る人に建物を指し示す面です。載せるのは名称だけで足ります。速度の出る道なら字を大きく取ります。
外壁に手を加えずに済みます。借りた物件では工事の許可を取る手間が減ります。夜の見え方は確かめます。
入口でテナントを並べる表示です。区画の寸法は建物側で決まり、名称の字数に上限が出ます。階もここに。
上がってよいかを、ここで判断されます。矢印と階数だけの小さな面で足ります。暗ければ照明を補います。
名称と営業日、営業時間を載せます。到達の最後を決める面です。時間を差し替えられる作りにします。
歩く人の足元に入る面です。出し入れでき、風の強い日は下げられます。歩道に出してよいかは先に確かめます。
六つ全部を作る施術所は多くありません。 道に面した1階なら、外の面と扉の脇で足ります。 上の階なら、入口と階段の前に一枚ずつ足します。
初めて来た人のつもりで、道から扉まで歩いてください。 立ち止まった地点が面の候補です。
掲げてよい文言を確かめて、削る
図面を描く前に、載せられる言葉の輪郭を取ります。
施術所の看板に掲げてよい事項は、法律で範囲が定められています。 ここでの作業は、足すことではなく削ることです。 載せたい候補を書き出し、範囲の外に出るものを外します。
| 載せたい候補 | 掲げる前に見ること | 削るときの移し先 |
|---|---|---|
| 施術所の名称 | 届け出た名称と一致するか見る | そのまま載せる |
| 施術者の資格の名称 | 書き方の定めに当てる | そのまま載せる |
| 営業日と営業時間 | 変えるときの直し方を決める | 差し替えできる小さい面へ |
| 得意な症状の名前 | 効果に触れる言い方になりやすい | 外の面からは外す |
| 体験談や施術前後の写真 | 掲げられる事項の範囲から外れる | 看板には出さない |
上の三行はほとんどの施術所が載せます。下の二行は、外すか移すかを選びます。
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の施術所と、柔道整復師の施術所とでは、 根拠になる決まりが分かれます。 そのため本記事では、資格ごとの可否まで踏み込んでいません。 図面を確定する前に、所轄の保健所へご確認ください。 開設の届出を出す先と同じ窓口です。
効果に触れる言い方を、外の面から外す
治る、効く、改善する。こうした言い方は、効果に触れる表現です。 症状の名前を並べるだけでも、同じ扱いになることがあります。 外の面からは外し、施術の考え方は室内の掲示へ移します。
外に残るのは、名称、施術者の資格の名称、営業日と営業時間、所在地や連絡先。 この程度と見込めば、図面が早く固まります。
文字の高さを4cmとすると、10文字で 4cm × 10 の40cm。
同じ40cmの幅に6文字なら、400mm ÷ 6 でおよそ66mm。1字6.6cmです。
語を減らすほど、残りが遠くから読めます。
面を広げる前に、字数を数えてください。
※ 文字送りを字の幅と同じに取った場合の計算です。
入口までの到達を組み立てる
2階やビルの中が多く、扉までが遠くなります。
道から扉までは、一枚の看板ではつながりません。 人が判断する地点ごとに、小さな面を置きます。 どれか一つが欠けると、そこで足が止まります。
| 到達の段階 | 人が立つ場所 | 置く面 |
|---|---|---|
| 見つける | 道を歩く・車で通る | 建物の外から読ませる面 |
| 建物を特定する | 入口の前 | 案内板の区画に出す名称 |
| 階を知る | 入口を入った所 | 階と部屋番号の表示 |
| 迷いを消す | 階段や昇降機の前 | 矢印と階数の一枚 |
| 扉を開ける | 扉の前 | 名称と営業時間の一枚 |
1階で道に面していれば、中ほどの三段は要りません。
上の階なら、入口でもう一度名乗る
上の階の面は、道の向かい側から斜めに見られます。 建物までは届いても、階が分からなくなります。 入口に名称と階数を出す区画があるかで、到達が決まります。 区画がなければ、置き型の看板で補います。
階段の下で人を止めない工夫は、2階の店の看板にまとめました。
文字の高さを、見る距離から出す
| 読ませる場面 | 見る距離 | 必要な文字の高さ |
|---|---|---|
| 車で通る道から見つける | およそ30m先 | 6〜12cm |
| 歩く人に建物を示す | およそ20m先 | 4〜8cm |
| 入口の前で名称を確かめる | およそ10m先 | 2〜4cm |
| 扉の脇の一枚を読む | およそ5m先 | 1〜2cm |
高さの目安は、読ませたい距離を250から500で割った値です。 20m先なら、20,000mm ÷ 500 で40mm、20,000mm ÷ 250 で80mm。4cmから8cmです。 書体、明暗差、照明で前後します。迷うなら大きいほうを選びます。
看板の大きさ、高さ、出す場所には、地域ごとの制限がかかります。
県の条例で足りる地域と、市が別に条例を持つ地域があります。
文言を確かめても、掲出の可否は別に調べます。
※ 発注の前に、管轄の窓口で要否をお確かめください。
続く回数から、回収のラインを計算する
通う業態では、1回の売上でなく1人の売上が分母です。
月のコスト ÷ 1人あたりの粗利 = 月に必要な新規の人数
30 ÷ 月に必要な人数 = 何日に1人でトントンか
1回あたりの粗利を3,000円、続く回数を5回と置きます。 3,000 × 5 で15,000円。これが1人あたりの粗利です。
月のコストを45,000円とすると、45,000 ÷ 15,000 で3。30 ÷ 3 で10。 10日に1人の新規で釣り合う、という見え方になります。
3,000円、5回、45,000円は、式の動きを見るための仮の置き方です。 料金や費用の水準ではありません。自分の数字へ差し替えてください。
続く回数は、延べの来院回数から出す
回数の当てずっぽうは、式全体を狂わせます。 過去1年の延べ来院回数を、来た人の実数で割ってください。 延べ1,200回を240人で割れば5回。これが分母です。
開業前で数字がないなら、3回と5回の二通りで出します。 少ないほうで釣り合えば、判断を先へ進められます。
費用が動くところ
| 面の数 | 外の面、案内板、階段の前、扉の脇。作る枚数が金額に乗ります。 |
|---|---|
| 取り付ける場所 | 外壁に固定するか、窓の内側に貼るか。工事の手間が変わります。 |
| 光らせるかどうか | 電気を引く工事が加わります。夜まで開けるかで決めます。 |
| 差し替えできる作りか | 時間や休みを別の板に分けると、後の直しが安く済みます。 |
| 原状回復の条件 | 借りた建物では、外すときの分まで見積もりに入ります。 |
四行目が施術所では効いてきます。時間や休みは、開業後に何度か変わるためです。 掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別で並べました。
届いたかどうかを測って直す
数えるのは施術の成果ではありません。扉まで届いたかどうかです。
初めて来た方に、道のどこで見つけたかを尋ねます。受付の紙に一行足すだけです。答えに出ない面は働いていません。
建物まで来てから連絡が入るなら、外の面か階の表示が届いていません。月ごとに並べると効果が見えます。
初めて来た方のうち、次の予約まで進んだ割合を見ます。看板だけの成果ではありませんが、分母を作ります。
電話、地図アプリ、紹介、通りがかり。受付で四つに分けます。通りがかりの数が、外の面の働きに近い数字です。
初めての来院を演じるつもりで、道から扉まで進みます。足が止まった場所が、面を足す候補です。
受付の紙に一行足すだけで、五つのうち三つは測れます。
判断のタイミング
| 図面の段階 | 図面の上で経路をたどり、面の位置を当てます。手直しは無料です。 |
|---|---|
| 1か月 | 入口の前で入る電話が減ったかを見ます。人数はまだ少ない時期です。 |
| 3か月 | 初めて来た方の人数を、前の期間と並べます。 |
| 半年以降 | 続く回数と合わせて1人あたりの粗利を出し直し、減らす面を決めます。 |
1か月の新規人数で良否を決めるのは早すぎます。 看板は評判を作る道具ではなく、決めて来た人を届ける道具だからです。
届いていないとき、この順で疑う
- 1歩いてみたかを疑う
道から扉まで自分で進みます。切れた場所の多くは、ここで見つかります。
- 2入口と階の表示を疑う
建物まで届いても、名称と階数がなければ止まります。区画への書き足しで済みます。
- 3外の面の文字の高さを疑う
読ませたい距離を測り直します。字数を削れば、面を替えずに一字を大きく取れます。
- 4夜と休みの日の見え方を疑う
建物の照明が落ちる時間に、外から読めるかを確かめます。
- 5面を作り替える
ここまでを試して動かないときに考えます。額が最も大きいので、最後に置きました。
並びの上ほど、かかる額が小さくなります。 1番から3番は、歩いて確かめ、書き足すだけです。 作り替えの5番へ進む前に、上の四つを通してください。
よくある失敗5パターン
どれも、図面の段階なら費用をかけずに直せます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 得意な症状を外の面に並べた | 掲げられる範囲から外れる | 名称と資格の名称に絞り、施術の説明は室内へ移す |
| 道から見える面だけを作った | 建物には着くが階が不明 | 入口の区画に階と部屋番号を書き足す |
| 届け出た名称と表記がずれた | 問い合わせのたび確認が要る | 外の面の表記を届け出の内容に合わせる |
| 営業時間を面に焼き付けた | 変えるたび作り替える | 時間だけを別の板に分け、差し替えられるようにする |
| 許可の要否を確かめず出した | 掲出した後に外す手間が出る | 図面の段階で大きさと高さを測り、管轄の窓口に当てる |
セルフチェックリスト
図面が出てきた段階で使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。
- 来院を、初めての方と通っている方に分けた
- 道から施術室の前まで、初めて来た人として歩いた
- 足が止まった場所ごとに、置く面を決めた
- 外の面の文字を、掲げられる事項だけに絞った
- 効果に触れる言い方が残っていないか読み返した
- 届け出た施術所の名称と、看板の表記をそろえた
- 資格の名称の書き方を、所轄の保健所に確かめた
- 建物の入口に、階と部屋番号を出す区画がある
- 階段や昇降機の前に、進む向きを示す面を置いた
- 読ませたい距離を測り、必要な文字の高さを出した
- 屋外広告物の許可の要否を、管轄の窓口に聞いた
- 1人あたりの粗利を、続く回数から計算した
よくある質問
整体院や接骨院の看板は、何から決めればいいですか?
文字はどれくらいの大きさが要りますか?
施術の効果や、得意な症状を看板に書けますか?
効果はいつ判断すればいいですか?
すでに看板があり、初めての方が入口で迷う場合は?
予算が限られる場合、何を優先しますか?
まとめ
施術所の看板は、次の順序で決めます。
| 1 経路を分ける | 初めての方、通う方、通りがかりの方に割る。 |
|---|---|
| 2 文言を削る | 掲げてよい事項を保健所に当て、外の面から外す。 |
| 3 到達を組む | 道、入口、階、扉。判断する地点ごとに面を置く。 |
| 4 計算する | 月のコストを、1人あたりの粗利で割る。 |
| 5 測る | 何を見て着いたかを聞き、入口前の電話を数える。 |
看板が集めるのではなく、決めて来た人を扉まで運びます。 外へ出す文字は、たどり着くために要るものだけに絞ってください。