カラオケ・遊ぶ施設の看板
連れ立つ客に選ばれる5ステップ
これからカラオケ店やゲームセンターなど、遊ぶ施設の看板を考える方へ。 この業態の客は一人で決めません。歩きながら、連れと相談して決めます。 相談の材料になるのは、入る前に読めた情報だけです。 入口を過ぎてから気づかせても、戻る手間のぶんだけ選ばれにくくなります。
来る人数から、載せる情報を絞る手順/ 相談しながら歩く速さと、決め手を読ませる位置/ 遠景・入口・上階への、面の配り方/ 夜の営業と年齢の表示にかかる確認どころ/ 掲出の年数で総額を割り、来店の組数に直す式/ 時間帯ごとの入店を並べ、安い順に手を入れる順番
通り過ぎてから決めた客は、戻ってこない
この業態の相談は、入口を派手にする話から始まります。 ところが決まっているのは、入口に着く前です。
起きやすいのは、次の四つです。 入口の真上だけに面を作り、通りの端から見つけられない。 料金と時間と年齢を並べ、どれも読まれずに通り過ぎられる。 周りより明るくしようとして、光の量を増やしても埋もれる。 階段の先が見えず、上がる前に引き返される。
どれも、発注の前に決めておけば起きません。 誰と来るかを見て、面を配り、決まりを確かめ、費用を割り、並べて直す。 この五つを順に埋めます。
誰と来るかで、決め手になる情報を選ぶ
人数が変われば、入る前に確かめることが変わります。
会計の記録に人数が残っています。多い人数を先に決めると、載せる情報が絞れます。
スタッフに聞けば数分で出ます。同じ質問が繰り返されているはずです。
料金、時間、年齢。三つ並べると読まれません。多い質問に答える一つに絞ります。
この業態が働くのは、明るい時間ではありません。人が多い時間帯に確かめます。
連れ立って歩く速さは、一人のときより落ちます。 その代わり、相談している間も歩き続けています。
3,000 ÷ 3,600 = 秒速 約0.8m
3人で10秒相談すると 0.83 × 10 = 約8m進む
→ 入口を過ぎてから決めると、8m戻ることになる
決め手は、入口の手前で読ませます。 戻る手間が生まれた時点で、隣の店と並びになります。
| 来る人 | 入る前に確かめること | 面に載せるもの |
|---|---|---|
| 学生のグループ | いくらで、何時までいられるか | 時間の区切りと料金の見方 |
| 仕事帰りの同僚 | 空いているか、すぐ入れるか | 待ち時間と空き状況 |
| 家族連れ | 子どもが入れるか | 年齢の扱いと設備の有無 |
| 一人で来る人 | 一人でも構わないか | 一人利用の可否 |
四つ全部に答えようとすると、どれも小さくなります。 会計の記録で多い人数を調べ、その一つに絞ってください。
遠景・入口・上階の三つに面を配る
見つける面、決める面、不安を消す面。役割は別々です。
通りの端で見つけ、手前で決め、入口で確かめる。 面はこの順に働きます。
| 面 | 読まれる位置 | 載せるもの |
|---|---|---|
| 遠景の面 | 通りの端から | 店名と業種。10〜20cmの文字 |
| 入口の手前の面 | 5〜10m手前から | 決め手の一言。6〜12cmの文字 |
| 入口の面 | 立ち止まって | 営業時間と年齢の扱い |
| 階段・エレベーターの面 | 入ってから | 階数と、上がった先の様子 |
3人で10秒相談すると、8m進みます。過ぎてから決めると、戻る手間が生まれます。
繁華街では、全部の面が光っています。周りより明るくするより、地の色との差を大きくします。
中の見えない店は入りにくくなります。並べるより、代表の1枚を大きく置きます。
面の数は、こう数えます。
階段またはエレベーターの前 1
各階の扉 2
1 + 1 + 1 + 1 + 2 = 合計 6面
文字の高さを割り算で出す
読ませたい距離が決まれば、高さは計算で求まります。
50m先(通りの端) → 50,000 ÷ 500 = 100mm / ÷ 250 = 200mm → 10〜20cm
30m先(手前の面) → 30,000 ÷ 500 = 60mm / ÷ 250 = 120mm → 6〜12cm
5m先(入口の面) → 5,000 ÷ 500 = 10mm / ÷ 250 = 20mm → 1〜2cm
この幅は、明るい場所で正面から見た値です。 書体、地の色との明暗差、周りの面の明るさで変わります。 光る面が並ぶ通りでは、大きいほうへ寄せてください。 明暗差の決め方は看板の色の決め方にまとめました。
階段を上がった先が見えない店は、入る前の不安が残ります。 代表的な1枚を階段の入口に置くと、上がる判断がしやすくなります。 写真は並べるより、大きく1枚のほうが働きます。 階まで人を運ぶ組み立ては2階の店の看板で扱っています。
夜の営業と年齢の表示にかかる決まりを確かめる
この業態は、掲げる内容そのものに決まりがかかることがあります。
遅い時間まで開ける店では、営業の時間や入場の条件に決まりがかかる場合があります。 掲げてから直すより、掲げる前に確かめるほうが安く済みます。
| 営業できる時間の扱い | 業態と地域によって、夜間の営業に決まりがある場合がある。 |
|---|---|
| 年齢に関する表示 | 入場できる時間や年齢を、入口で分かるように示す必要がある場合がある。 |
| 屋外広告物としての扱い | 面積と高さの上限。表示できる期間と、更新の時期。 |
| 道路の上に出る面 | 袖看板や置き看板は、はみ出す部分の扱いを先に確かめる。 |
| ビルの貸主・管理者の承諾 | 共用部に出せる面の位置と大きさが決まっていることがある。 |
| 非常口と避難の経路 | 面や置き看板で、通路や扉をふさがない。 |
屋外広告物としての扱いは、土地によって違います。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域に分かれます。 許可に表示できる期間が定められ、更新の手続きが要る場合もあります。 要否と様式は、管轄の窓口へお尋ねください。 流れそのものは屋外広告物の許可にまとめました。
置き看板で、通路をふさがない
足元の面は増えやすく、気づくと通り道が狭くなります。
置き看板は、道路にはみ出す部分の扱いを先に確かめます。 非常口や階段の前は、ふさがない位置を決めてください。 出す時刻としまう時刻を決めると、増えすぎも防げます。 扱い方はのぼり・置き看板の使い方にまとめてあります。
入口まわりや階段は、ビル全体で使う場所です。
出せる面の位置と大きさが、あらかじめ決まっていることがあります。
案内板の枠が用意されている場合は、そこに入る形で作ります。
枠の扱いはテナント案内板の作り方で詳しく扱っています。
※ 営業できる時間、入場の条件の示し方、掲出の可否は地域と業態により異なります。着工前に管轄の窓口へお確かめください。
掲出の年数で割り、必要な組数を出す
人数で来る業態なので、1組あたりで見ると判断しやすくなります。
費用が動くところを見る
| 面の数 | 遠景、入口、階段、各階の扉。数がそのまま総額に効く。 |
|---|---|
| 光らせ方 | 内側から光らせるか、外から当てるか。工事の範囲が変わる。 |
| 取り付ける高さ | 高い位置ほど、上がるための手配が要る。 |
| 書き換えの見込み | 料金や時間を変える予定があるなら、差し替えられる作りにする。 |
| 共用部の制約 | ビルの決まりで、取り付け方が限られることがある。 |
| 撤去と原状回復 | 外す日、外す人、壁を戻す範囲。 |
光らせ方は、後から変えると工事のやり直しになります。 選び方は電飾看板・LED看板の選び方にあります。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。
月あたりに直し、組数まで落とす
一式の総額720,000円 ÷ 72か月 = 月10,000円
この720,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。
次に、1組が残す粗利で割ります。
10,000 ÷ 4,500 = 2.22 → 月3組(切り上げ)
30 ÷ 3 = 10 → 10日に1組
検算:3 × 4,500 = 13,500円 → 月10,000円を上回る
看板を見て入った組が、10日に1組増えれば釣り合う計算になります。 3,000円も3人も粗利率0.5も、仮の置き方です。 自分の平均単価と、直近の粗利率に差し替えて計算し直してください。
人数で来る業態は、1組あたりの粗利が大きくなります。 必要な組数が小さく出るぶん、面を足す判断はしやすくなります。
時間帯ごとの入店を並べ、暗い面から直す
会計の記録は、そのまま面の成績表になります。
会計の記録に人数が入っていれば足ります。時間帯で分けるだけで、弱い時間が見えます。
同じ質問が繰り返されるなら、その答えが入口の面に足りていません。
同じ曜日、同じ時間に数えます。通る量と入る量の比が分かります。
自分の面が、周りの面に埋もれていないか確かめます。読めない面がその場で分かります。
上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は、すでにある記録を並べ替えるだけで済みます。
見る時期を決める
| 2週間 | 曜日ごとの差を見ます。金曜と火曜を混ぜないでください。 |
|---|---|
| 1か月 | 時間帯ごとの組数を並べ、狙った時間帯が動いたか確かめます。 |
| 3か月 | 前の3か月と比べます。連休や試験期の偏りが、ここでならされます。 |
| 1年 | 色あせと光源の劣化を見ます。許可の期限を確かめる時期でもあります。 |
この業態の来店は、曜日で大きく揺れます。 金曜と火曜を同じ枠で数えても、面の効き方は見えません。 曜日をそろえて並べると、変化が読み取れます。
効かないときは、この順で疑う
- 1人の多い時間に、通りの端から歩き直す
費用はかかりません。埋もれている面と、影に入る面がここで分かります。
- 2面の前の置き物と、のぼりを片づける
足元に物が増えるほど、遠景の面は見えにくくなります。置き場所を決めれば戻りません。
- 3入口の手前の面から、載せた項目を一つに減らす
上から貼るだけで済むことがあります。減らすほど、決め手が大きく置けます。
- 4地の色と文字の明暗差を大きくする
光の量を増やすより安く済みます。周りが明るい通りほど効きます。
- 5階段の面に、上がった先の写真を1枚足す
中が見えない不安は、写真1枚で下がります。差し替えられる作りにします。
- 6通る量の多い方向に、面を一つ足す
直すより、抜けている向きを埋めるほうが早く効きます。作り直しは、この後です。
上のほうほど、費用をかけずに手を打てます。 1番から3番は、その日のうちに終わります。 面を作り直すのは、六つを試した後です。
よくある失敗5パターン
どれも、面を一つ足すか、載せた項目を減らすことで手当てできます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 入口の真上だけに面を作った | 通りの端から見つけられない | 通りの端から見える位置に、店名の面を一つ足す |
| 料金も時間も年齢も並べた | どれも読まれずに通り過ぎる | 入口の手前は一つに絞り、残りは入口の面へ移す |
| 周りより明るくしようとした | 光の量が増えても埋もれる | 明るさではなく、地の色との明暗差を大きくする |
| 階段の先を見せなかった | 上がる前に引き返される | 上がった先の写真を1枚、階段の入口に置く |
| 年齢や時間の表示を入口に出さなかった | 断るたびに受付で説明が要る | 入口の面に、入場の条件を短く出す |
セルフチェックリスト
発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 来店の記録から、多い人数を数えた
- その人たちが入る前に確かめることを書き出した
- 入口の手前で読ませる一言を、一つに絞った
- 通りの端から店名が読めることを、歩いて確かめた
- 読ませたい距離から、文字の高さを割り算で出した
- 明るさではなく、明暗差で目立たせる作りにした
- 階段やエレベーターの前に、上がった先が分かる面を置いた
- 入口の面に、営業時間と入場の条件を出した
- 置き看板が、通路や非常口をふさいでいない
- 共用部に出せる面の位置を、貸主や管理者に確かめた
- 人の多い時間に、外から自分の面を見た
- 掲出の年数で費用を割り、必要な組数に直した
よくある質問
遊ぶ施設の看板は、何から決めればいいですか?
入口の手前の看板には、何を載せればいいですか?
繁華街で目立たせるには、明るくすればいいですか?
夜間の営業や年齢の表示に、決まりはありますか?
効いているかは、いつ判断しますか?
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
まとめ
連れ立って来る客に向けた看板は、次の順序で決まります。
| 1 誰と来るかを見る | 会計の記録から多い人数を調べ、決め手を一つに絞る。 |
|---|---|
| 2 面を配る | 通りの端で見つけ、手前で決めさせ、入口で確かめさせる。 |
| 3 決まりを確かめる | 営業の時間、入場の条件、共用部の制約を先に聞く。 |
| 4 費用を割る | 掲出の年数で総額を割り、1組あたりの粗利で組数へ直す。 |
| 5 並べて直す | 時間帯ごとの入店を並べ、埋もれた面から手を入れる。 |
読ませる位置は、載せる内容より先に決まります。 決め手を手前へ寄せるだけで、同じ面がよく働くようになります。