2階の店の看板
階段まで人を運ぶ6ステップ
2階や3階に店を開く方、空中階の店の表示を見直す方へ。 建物のすぐ下を歩く人は、上の階を見上げません。 空中階の看板は、離れた位置と足元とで役割が分かれます。
読ませる位置を、道に立って決める手順/ 離れた面と階段まわりの面への、役割の分け方/ 見上げる角度から、必要な距離を出す計算/ 道の上へ出す面と、共用部への掲示の確かめ方/ 費用を月あたりに直し、必要な客数を出す計算式/ 階段の下で立ち止まった人と、上って引き返した人を数える方法
すぐ下を歩く人は、上を見ていません
1階の店なら、通りかかった人の視界に自然に入ります。 空中階の店は、そうなりません。 建物のすぐ下からは、2階の面はほぼ真上になります。
この違いを踏まえずに作ると、こうなります。2階の面に階段の場所まで書いたため、 字数が増えて離れた位置から読めない。壁に平行な面だけを付けたため、歩いてくる人の視界に入らない。 階段の入口に上がる階を書かなかったため、どこへ続く階段か分からず上られない。 階段に照明を入れなかったため、夜だけ入りが落ちる。
読ませる位置を決め、面の役割を分け、角度から距離を出し、手続きを確かめ、 費用を月あたりに直し、上った人を測る。 この6つで、必要な面の数と置き場所が決まります。
2階から上の階にある店、地下の店を想定しています。 扱うのは、道を歩く人が階段を上りきるまでの表示です。 道の上へ出す面の扱いは地域で変わりますので、管轄の窓口へご確認ください。
読ませる位置を、道に立って決める
図面ではなく、実際に立って見上げて決めます。
面の大きさより先に、どこから読ませるかを決めます。 位置が決まれば、必要な大きさは計算で出せます。 先に板を作ると、読める位置が無い面になります。
- 1道の反対側に立ち、自分の店の階を見上げる
建物のすぐ下からは、2階の面はほぼ真上になります。読ませる位置は、離れた場所にしかありません。
- 2人がいちばん多く歩く側を調べる
朝と夕方で、通る側が変わる道があります。反対側にばかり人が歩いているなら、面の向きを変えます。
- 3信号や横断歩道で止まる場所を探す
立ち止まる人は、上を見る余裕があります。止まる場所から見えるかどうかを確かめてください。
- 4建物の下を歩く人の視線を確かめる
すぐ下を歩く人は、2階を見上げません。ここでは階段の入口の表示だけが働きます。
- 5見え始めてから通り過ぎるまでを数える
面が視界に入る位置から、建物の前を過ぎるまでを歩いて数えます。この秒数が字数の上限を決めます。
3番目に当たる場所があれば、そこが最も有利です。 信号待ちや横断歩道の前で止まる人は、上を見る余裕があります。 止まる場所の向きに面を合わせるだけで、読まれ方が変わります。
歩く側にも偏りがあります。 時間帯を変えて2回立てば、どちら側が本命かは分かります。
4つの面に、役割を分ける
1枚ですべてを伝えようとすると、どれも読まれません。
2階の壁か、道に突き出す面です。屋号と業種の2つだけを置きます。ここで店の存在を知らせます。階段の場所は書きません。
階段の入口に置く面です。屋号と、上がる階、営業時間。ここで初めて「入ってよい」と分かる情報を出します。
階段の途中に1枚あると、引き返す人が減ります。上がりきったところに何があるかを示します。
営業中かどうか、料金の目安。上がりきってから引き返されるのが、いちばんもったいない形です。
離れた位置から読ませる面に、階段の場所を書かないでください。 字数が増えるほど文字は小さくなり、遠くから読めなくなります。 階段の情報は、建物の下に着いてから出せば足ります。
壁に平行な面は、歩いてくる人から見えません
道を歩く人は、建物を斜めから見ています。 壁に貼り付けた面は、正面に立つまで見えません。 道に突き出す面を1つ足すと、歩いてくる向きから読めるようになります。
突き出す面の作り方と取り付けの考え方は 袖看板・突出し看板にまとめてあります。 道の上へ出る場合の手続きは、この記事の4つ目の手順で扱います。
階段の入口に書くのは3つです
屋号、上がる階、営業時間。 この3つがあれば、上がってよい場所だと分かります。 「2F」の2文字が抜けているだけで、上られない階段になります。
階段の途中の1枚も、引き返す人を止めます。 上りきるまで何も見えない階段は、途中で不安になります。 踊り場に屋号が1つあるだけで足ります。大きな面は要りません。
見上げる角度から、必要な距離を出す
人が意識せずに見上げるのは、水平から10〜15度ほどまでです。
2階の面を地上5m、歩く人の目の高さを1.5mと置きます。 高低差は3.5mです。 この差と、立つ位置までの距離で、見上げる角度が決まります。
3.5m ÷ 3m 離れた位置 → 約49度(ほぼ真上)
3.5m ÷ 12m 離れた位置 → 約16度(歩きながら視界に入る)
| 立つ位置 | 見上げる角度 | 見え方 |
|---|---|---|
| 3m(建物のすぐ下) | 約49度 | ほぼ真上。読まれない |
| 6m(片側1車線の道の対岸) | 約30度 | 意識して見上げれば読める |
| 12m(広い道の対岸) | 約16度 | 歩きながらでも視界に入る |
| 20m(斜め前方から) | 約10度 | 無理なく視界に入る |
12m以上離れれば、角度は16度を下回ります。 広い道の対岸、または斜め前方から読ませる設計になります。 逆に、建物の真下では何を掲げても読まれません。
面の高さは建物ごとに違い、目の高さも人によって変わります。 自分の建物の高さを測り、同じ形で計算し直してください。 歩道の幅が狭い道ほど、離れた位置から読ませる必要が高まります。
読ませる距離が決まれば、文字の高さも決まります
必要な文字の高さは、視認距離の250分の1から500分の1が業界で使われる目安です。 12m先から読ませるなら、12を250で割って4.8cm、500で割って2.4cm。 およそ2.5〜5cmになります。
ただし見上げる面は、正面から見る面より読みにくくなります。 角度がつくほど、文字は詰まって見えます。 迷うときは大きいほうを採ってください。
掲げてよいかどうかを確かめる
確かめるのは5つです。空中階では、共用部の扱いが特に絡みます。
空中階の店は、建物の中の一部を借りている形です。 外壁も階段も、自分の借りている範囲の外にあることがあります。 掲げる位置が決まった時点で、貸主と管轄の窓口の両方へお問い合わせください。
| 道の上へ出す面 | 突き出す看板が道の上に出る場合、許可が要ることがあります。 |
|---|---|
| 屋外広告物としての扱い | 面の大きさ、高さ、位置に、地域ごとの基準が設けられている場合があります。 |
| 建物の共用部 | 階段、外壁、入口の壁は共用部にあたることがあります。 |
| 同じ建物の他の店との調整 | 入居する店の一覧を掲げる面が、あらかじめ決まっている場合があります。 |
| 取り付けと落下への備え | 高い位置の面は、点検と定期の確認が求められることがあります。 |
突き出す看板が敷地の外へ出る場合、道路を管理する側の許可が要ることがあります。 出せる長さや高さの基準も設けられている場合があります。 図面ができた段階で、管轄の窓口へ確かめてください。
面の大きさや高さには、屋外広告物としての基準もあります。 県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。 手続きの流れは屋外広告物の許可にまとめてあります。
1階の入口に、入居する店を並べる面が用意されている場合があります。 並び順や書式が決まっていることが多く、自由に作れません。 借りる前に、その面に何をどう書けるかを確かめてください。
費用を月あたりに直し、取り戻すラインを出す
面が複数になるため、合計で計算します。
月あたりの費用 ÷ (客単価 × 粗利率) = 月に必要な新規客数
空中階では、離れた位置の面と階段まわりの面を両方作ることになります。 片方だけでは働かないため、合計で見るのが前提です。
埋める数字は4つ
| 離れた位置から読ませる面の費用 | 2階の壁か、突き出す面のどちらかです。 |
|---|---|
| 階段まわりの表示の費用 | 入口、途中、扉の前を合わせて出してもらいます。 |
| 使う年数 | 高い位置の面は交換に足場が要ります。年数は長めに見ます。 |
| 客単価と粗利率 | 1人が1回で使う金額と、そこから残る割合。 |
体感できる単位まで落とす
離れた位置から読ませる面を25万円、階段まわりの表示を6万円と置きます。 合わせて31万円。使う年数を8年とすると、310,000を8で割って38,750円です。 これを12で割ると、月あたり3,229円になります。
客単価を5,000円、粗利率を6割とします。 5,000に0.6を掛けて、1人あたり3,000円。 3,229を3,000で割ると1.07で、月に約1人です。 30を1.07で割ると27.8。およそ28日に1人、新しい客が増えればつり合います。
置いた金額は計算の置き方であり、相場ではありません。 自分の店の数字を入れて、もう一度計算してください。 掲載社が公開している金額は看板の費用に種類別にまとめてあります。
高い位置の面は、交換のたびに足場や車両が要ります。 取り替えの手間が大きいぶん、年数は長めに見るのが自然です。
階段の下で止まった人を測る
空中階では、取りこぼしが階段の下に集まります。
上を見て、上がらずに離れる人がいます。空中階の店で最も多い取りこぼしです。15分だけ立って数えます。
会計のときに一言尋ねます。通りがかりが少ないなら、離れた位置から読ませる面が働いていません。
扉の前まで来て帰る人です。営業中かどうか、料金の目安が分からないことが原因のことが多くあります。
暗い時間は、階段の入口が奥まって見えます。夜だけ落ちるなら、原因は階段の明るさです。
店名だけ伝えて、探してもらいます。何秒で見つけたかを測ると、面の大きさが足りているか分かります。
1つ目は、15分立って数えるだけで済みます。
判断のタイミング
| 最初の2週間 | 階段の下で立ち止まる人を数えます。取りこぼしの量がここで出ます。 |
|---|---|
| 1か月 | どこで店を知ったかの記録を並べます。通りがかりの割合を見ます。 |
| 3か月 | 昼と夜の差を見ます。季節で日の入りが変わるため、続けて記録します。 |
| 1年 | 色あせと汚れ。同じ建物の他の店が入れ替わっていないかも確かめます。 |
数えた日は、曜日と時間帯まで書き留めてください。 通る人の数は曜日で大きく変わります。 比べるときは、同じ曜日の同じ時間帯どうしで並べます。
上ってもらえないときは、この順で疑う
- 1階段の入口を明るくする
照明を1つ足すだけです。奥まった階段は、閉まっているように見えます。夜だけ落ちるならここが原因です。
- 2階段の入口に、上がる階を書き足す
「2F」の2文字が抜けている店があります。どこへ上がるか分からない階段は、上られません。
- 3扉の前に、営業中かどうかを出す
上がりきってから引き返されるのを止めます。小さな表示1枚で足ります。
- 4階段の途中に1枚足す
上りきるまでに不安になる人がいます。途中に屋号があるだけで、引き返す人が減ります。
- 5道に突き出す面を足す
ここで初めて、面を増やす話になります。壁に平行な面は、歩いてくる人からは見えません。
- 6離れた位置から読ませる面を作り替える
上の5つを試したうえで決めます。作り替えは、いちばん最後に置いてください。
並びは、費用のかからないものからです。 1番から4番までは、小さな表示か照明で終わります。 面を作り替えるのは、最後に置いてあります。
よくある行き違い5パターン
どれも、大きな面を替えずに手を打てます。
| 行き違い | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 2階の面に階段の場所まで書いた | 字数が増え、離れた位置から読めない | 階段の情報は建物の下の面へ移す |
| 壁に平行な面だけを付けた | 歩いてくる人の視界に入らない | 道に突き出す面を1つ足す |
| 階段の入口に上がる階を書かなかった | どこへ上がるか分からず上られない | 階数の表示を足す |
| 階段の照明を入れなかった | 夜だけ入りが落ちる | 入口に照明を1つ足す |
| 扉の前に営業中かどうかを出さなかった | 上がりきってから引き返される | 扉のそばに小さな表示を置く |
セルフチェックリスト
業者に相談する前に使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、決め直す余地があります。
- 道の反対側に立ち、自分の階を見上げて確かめた
- 人がいちばん多く歩く側を調べた
- 立ち止まる場所から、面が見えることを確かめた
- 面が見え始めてから通り過ぎるまでの秒数を数えた
- 離れた位置から読ませる面に、屋号と業種の2つだけを置いた
- 道に突き出す面を検討した
- 階段の入口に、上がる階を書いた
- 階段の入口に、営業時間を書いた
- 階段の途中に1枚置いた
- 扉の前に、営業中かどうかを示す表示を置いた
- 道の上へ出す面について、管轄の窓口に尋ねた
- 階段や外壁の掲示について、貸主や管理者の承諾を得た
よくある質問
2階の店の看板は、何から決めればいいですか?
どのくらい離れた位置から読ませればいいですか?
手続きは要りますか?
効果は、いつ判断すればいいですか?
すでに開いている店を直すなら、どこからですか?
予算が限られるときの優先順位は?
まとめ
空中階の店の看板は、次の順序で決めます。
| 1 位置を決める | 道の反対側と立ち止まる場所に立ち、見上げて確かめる。 |
|---|---|
| 2 役割を分ける | 離れた面、階段の入口、途中、扉の前に配る。 |
| 3 距離を出す | 高低差と角度から、12m以上離れた位置を前提にする。 |
| 4 確かめる | 道の上へ出す面と、共用部への掲示の承諾を取る。 |
| 5 計算する | 面の合計を月に割り、必要な客数まで落とす。 |
| 6 測る | 階段の下で止まった人と、上って引き返した人を数える。 |
空中階では、大きな面より階段の入口の1枚が先に効きます。 上がってよい場所だと分かれば、人は上ります。 遠くから知らせる面は、その後に足せば足ります。