看板集客 / 2026年9月5日 更新 / 読了目安 約12分

看板のの決め方
好みでなく明暗差で選ぶ5ステップ

色見本を前にして、選ぶ基準が決まらない方へ。 読めるかどうかを決めるのは、色そのものではありません。 文字と地の、明るさの差です。同じ赤でも、地が黒か白かで結果が変わります。

5手順まわりを見る所から測定まで
3色まで面に載せる色の上限
12項目入稿前に見る点
この記事でわかること

まわりの色を集めて、地の色の候補を絞る手順/ 白黒にして明るさの差を判じる方法と、文字の高さの早見表/ 色数の上限と、地・文字・差し色の面積の配りかた/ 照明の色で、面の色がどう変わるか/ 褪せる速さを決めるものと、その見込み方/ 読めていないとき、費用をかけずに疑う順序

色は好みではなく、明るさの差で決まる

色見本を並べると、どれも良く見えます。 気に入った一色を選び、そこへ文字を載せる。 この進め方では、読めるかどうかを誰も判定できません。

つまずきは、だいたい同じ形をしています。 好みで組んだ二色が、離れると溶けて見えない。 まわりの建物と明るさが近く、通りから沈む。 昼に決めた配色が、夜には別の面のように見える。 数年たって褪せ、店名だけが先に消える。

人の目が遠くから拾うのは、色の違いではなく明るさの差です。 同じ赤でも、白い地の上と黒い地の上では見え方が変わります。

まわりの色を集める。明るさの差で文字の色を決める。色数と面積を決める。 昼夜と褪せを見込む。掲げたあとに測る。この順に埋めます。

要素の数、書体、配置まで含めた原稿全体の作り方は、 看板デザインの決め方にあります。 こちらは色だけを深く扱います。

Step 1

まわりの色を集めて、地の色を絞る

看板は白い紙の上ではなく、建物の並びの中に置かれます。

  1. 1
    看板を置く位置に立って撮る

    通りの向かい側まで下がり、建物ごと入れます。晴れと曇りで1枚ずつ。

  2. 2
    隣と向かいの面も撮る

    隣の看板、向かいの壁、道路の舗装。目に入る面を集めます。

  3. 3
    写真の横に候補の色を並べる

    色見本を写真に添えて撮り直すだけです。見本帳の印象とは変わります。

見本帳の色は、白い紙に囲まれた状態で見ています。 実際の面を囲むのは、隣の壁と向かいの看板です。 沈むかどうかは、まわりと並べたときにしか分かりません。

まわりの色を写真で並べる

撮った写真の色を抜いて、白黒にしてみてください。 看板の位置だけ明るさが違えば、その色は通りから見つかります。 まわりと同じ濃さなら、候補から外します。

まわりの様子沈みやすい地の色浮きやすい地の色
灰色の建物が並ぶ灰・薄い青・淡い茶濃い色か、白に近い色
木や植え込みが背にある深い緑・濃い青白や、黄みの明るい色
白い壁の建物が続く白・生成り・淡い黄濃紺・黒・濃い茶
のぼりや幕が多い通り中くらいの明るさの赤や黄明暗の差が大きい二色
日が落ちると暗くなる道暗い地に暗い文字明るい地に暗い文字
色に制限がかかる地域があります

屋外の広告物には、地域ごとの決まりがあります。 景観に配慮する区域では、広い面に鮮やかな色を使えないことや、光りかたに条件が付くことがあります。 県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があり、窓口も分かれます。 地の色の候補が絞れた時点で、掲げてよい色かどうかを先に聞いてください。
※ 基準は場所によって異なります。管轄の窓口か、依頼先の業者にお確かめください。

Step 2

明るさの差で、文字の色を決める

地の色が決まれば、文字の色は自動的に絞られます。

地が暗ければ文字は明るく、地が明るければ文字は暗く。 色の名前ではなく、明るいか暗いかで組みます。

赤と黒の組み合わせが、分かりやすい例です。 画面の上では色が離れているため、対比が強く見えます。 ところが明るさが近く、距離が開くと文字が地に沈みます。 色の対比と、明るさの差は別のものです。

白黒にして判じる

道具はいりません。原稿の色を抜き、親指の爪ほどに縮めます。 その状態で店名の形が残れば、差は足りています。 輪郭が溶けたなら、色を入れ替えても遠くからは読めません。

規格の数値ではなく、自分の目で判じます

明るさの差を測る指標は、いくつかあります。 ただ、原稿を前にした店主が使えるのは、もっと簡単な方法です。 色を抜く。縮める。離れて見る。掲げる前に答えが出ます。

大きさでは差を補えない

必要な文字の高さは、読ませたい距離の250分の1から500分の1が目安です。 30m先なら、30,000mm ÷ 500 で60mm、30,000mm ÷ 250 で120mm。 6cmから12cmになります。

読ませる場面見る距離必要な文字の高さ
走る車から見つけさせるおよそ50m先10〜20cm
道の反対側から読ませるおよそ30m先6〜12cm
歩いて近づきながら読むおよそ20m先4〜8cm
店の前で立ち止まって読むおよそ10m先2〜4cm
入口の表示を読むおよそ5m先1〜2cm

この表が効くのは、明るさの差が足りている場合だけです。 差が足りない組み合わせは、字を倍にしても輪郭が出ません。 大きさは、差を確かめたあとで効いてくる要素です。 高さの目安は、書体の太さと照明でも動きます。

色の見え方は、人によって違います

赤と緑のような組み合わせは、見分けにくい方がいます。 明るさの差で組んでおけば、色の判別に頼らずに読めます。 考え方は誰にでも読める看板の作り方にあります。

Step 3

使う色を3つに絞り、面積を配る

上限を先に決めておくと、原稿の往復が短くなります。

面に載せる色は、3つまでにします。 地の色、文字の色、差し色。この三役で足ります。 4つ目からは、目が行き先を選べません。

枠線、模様、イラストの色も数に入れます。 色は載せるものではなく、割り当てるものだと考えてください。

面積の配りかたを先に決める

同じ3色でも、どれだけの広さを与えるかで結果が変わります。 出発点として、次の割合を置いてください。

役割面積の目安受け持つ中身
地の色およそ70面のいちばん広い部分
文字の色およそ25店名と業種名
差し色およそ5線一本、印ひとつ

70と25と5で100です。 ※ この割合は目安であり、守るべき規格ではありません。

差し色の5を、寸法から出しておきます。 面が100cm × 50cmなら、5,000平方cm。 5,000 × 0.05 で250平方cm。 16 × 16 が256ですから、おおよそ16cm角です。 線一本と印ひとつで、すぐ使い切る広さです。

差し色が広がると、店名より飾りが先に目に入ります。 色を足したくなったら、何を減らすかを先に決めます。

Step 4

昼と夜、そして褪せた先を見通す

看板は、決めた日の光の下だけに置かれるのではありません。

面の色は、当たる光で変わります。 オレンジみを帯びた電球色の下では、赤と黄が明るく出て、青みの色は暗いほうへ寄ります。 白い昼白色なら、昼に近い見え方に戻ります。

夜の照らし方昼との違い色の決め方
外から当てる(電球色)赤と黄が明るく出る青みの地は沈むと見込む
外から当てる(昼白色)昼に近い見え方になる昼の判断をそのまま使える
内側から光らせる地が光り、文字が影になる明るい地に濃い文字を置く
光らせず街灯だけ明暗の差が縮んで見える差を昼より大きく取る

昼との関係がひっくり返るのは、表の三行目です。 内側から光らせる面では、地そのものが光ります。 暗い地に明るい文字を置くと、光がにじんで文字が太ります。 夜に読ませたい面は、明るい地に濃い文字が有利です。

外から照らす形なら、昼の関係が夜も続きます。 どちらにするかは、営業の終わる時刻から決めてください。

照明の色を、発注の前に聞いておきます

原稿を作る段階で、電球色か昼白色かを依頼先に確かめてください。 決まっていれば、その光の下で見本を当ててもらえます。

褪せる速さは、向きと材料で変わる

どの色も、日に当たれば褪せます。 褪せない色を探すより、褪せた先を見込むほうが確実です。

南と西を向いた面

日の当たる時間が長く、褪せが先に出ます。向きが違えば進み方も変わります。

濃い色の地

褪せると白っぽい方へ寄ります。文字との差が縮み、読みにくさが先に出ます。

印刷して貼った面

色の層が薄く、塗った面より早く動きます。貼り替えで戻せます。

庇や軒の陰になる部分

陰の部分だけ元の色が残ります。日なたと見比べれば進み方が分かります。

いちばん困るのは、二番目です。 濃い地は褪せると白へ寄り、明るい文字との差が縮みます。 新品のうちに差を大きく取れば、縮んでも読める幅が残ります。 材料ごとの持ちかたは、看板の素材の選び方にあります。

褪せるまでの年数で、費用を割る

初期費用 ÷ 読める状態が保てる年数 ÷ 12 = 月あたりのコスト
月あたりのコスト ÷ (客単価 × 粗利率) = 月に必要な新規客数

面にかかる費用を72,000円、読める状態が8年続くと置きます。 72,000 ÷ 8 で9,000。12で割ると750。月あたり750円です。

客単価3,000円、粗利率50%の店なら、3,000 × 0.5 で1,500。 750 ÷ 1,500 で0.5。 2か月に1人の新規客でトントン、という見え方になります。

72,000円と8年と3,000円は、式の動きを見るための仮の置き方です。 金額の水準を示すものではないので、自分の店の数字に差し替えてください。

色数を1つ増やすと、切る工程か刷る工程が1つ増えます。 褪せにくい材料を選べば初期費用は上がり、持つ年数は伸びます。 式の上と下が同時に動くため、年数まで含めて比べます。 掲載社が公開している金額は、看板の費用にまとめています。

Step 5

掲げたあとに、読めているかを測る

数えるのは売上ではありません。読めているかどうかです。

道の反対側に立って見る

掲げた翌日に歩きます。読める位置と読めない位置の境目を、足で確かめます。

昼と夜、同じ画角で撮る

手元の携帯で足ります。二枚を並べると、夜に沈む色が分かります。

撮った写真の色を抜く

白黒にして、店名の形が残るかを見ます。残らなければ差が足りていません。

半年ごとに同じ場所から撮る

褪せは少しずつ進みます。毎日見ていると気づけないので、写真に任せます。

来店した方に聞いてみる

看板が目に入ったかを尋ねます。見えなかったという声が続くかどうかを見ます。

上の三つは、最初の一週間で終わります。

見直す時期を決めておく

掲げる前原稿を白黒にして、店名の形が残るかを見る。
掲出の翌日昼と夜に、道の反対側から見る。
1か月曇りと雨の日の見え方を足す。
半年最初の写真と並べ、褪せの出かたを見る。
3年差が残っているかで、貼り替えを決める。

売上の増減から色の良し悪しを決めるのは、筋が通りません。 天気も曜日も品書きも、同時に動いているためです。

読めていないとき、この順で疑う

  1. 1
    汚れを疑う

    面を洗います。埃と雨だれは明るい色を暗くし、文字との差を縮めます。

  2. 2
    照明の向きを疑う

    器具の角度を変えます。上半分だけ明るいと、下の文字が沈みます。

  3. 3
    文字の色だけを替える

    表示の層を貼り替えます。地の色も枠も、そのまま使えます。

  4. 4
    差し色の面積を疑う

    飾りが広がりすぎていないかを見ます。減らせば目の行き先が戻ります。

  5. 5
    地の色を替える

    面積が大きいぶん費用は上がります。枠と取り付けは残せます。

  6. 6
    面ごと作り替える

    五つを試したあとで検討します。費用がかかるため、最後です。

上から順に、かかる額が小さいものが並びます。 1番と2番は、その日のうちに試せます。 6番だけが作り替えです。手を付ける前に、上を通してください。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、入稿の前に気づけば費用をかけずに直せます。

失敗何が起きるか直し方
色見本だけで地の色を決めた掲げたら周囲に沈んだ周囲の写真に候補を並べ、選び直す
赤の地に黒の文字を置いた離れると文字が溶ける文字だけ白に替える。面は使える
差し色を面の半分に広げた店名より飾りが目に入る線と印に戻し、面積を1割まで落とす
昼の見え方だけで決めた夜に文字がにじんで太る内から光る面は、地を明るく文字を濃く
褪せない前提で濃い地を選んだ数年で文字との差が縮む文字の層だけ貼り替え、差を大きく取る
Checklist

セルフチェックリスト

配色の案が出そろった段階で使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。

  • 看板を置く位置から、まわりの建物を写真に撮った
  • その写真に色の候補を並べ、沈まないことを見た
  • 地の色と文字の色は、片方が明るく片方が暗い
  • 原稿を白黒にしても、店名の形が残った
  • 読ませたい距離を決め、文字の高さを割り算で出した
  • 使う色を3つまでに絞った
  • 地の色、文字の色、差し色の面積の配分を決めた
  • 差し色が面の1割を超えていない
  • 夜も読ませるかどうかを決めた
  • 照明が電球色か昼白色かを、依頼先に確かめた
  • 面の向きを調べ、褪せた先の見えかたを見込んだ
  • 色や光りかたの制限を、管轄の窓口に問い合わせた
FAQ

よくある質問

看板の色は、何から決めればいいですか?
地の色からです。置く位置からまわりを撮り、その写真に候補を並べて、沈まないものを選びます。文字の色は、地の反対側の明るさから選びます。
読める配色かどうかは、どう確かめますか?
原稿の色を抜いて白黒にし、店名の形が残るかを見てください。残れば差は足りています。残らない組み合わせは、色を入れ替えても遠くからは読めません。
看板の色に、決まりはありますか?
地域によっては制限があります。景観に配慮する区域では、広い面に鮮やかな色を使えないことがあります。県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があるため、管轄の窓口にご確認ください。
色の良し悪しは、いつ判断しますか?
読めるかどうかは掲げた翌日に分かります。夜の見えかたは初日、褪せの出かたは半年と3年で見ます。売上の増減から色を判断するのは避けてください。
もう掲げた看板の色は、直せますか?
直せます。洗う、照明の向きを変える、文字の層だけ貼り替える。この順に、面を作り替えずに済む方法があります。
費用を抑えたいとき、色はどこを削りますか?
色数です。3色を2色にすると、切る工程か刷る工程が減ります。削らないほうがよいのは、明るさの差と文字の太さの2つです。

まとめ

看板の色は、次の順序で決まっていきます。

1 まわりを見る周囲を撮り、沈まない地の色を選ぶ。
2 差をつける地と文字を、明るい側と暗い側に分ける。
3 数を決める3色まで。70・25・5を目安に面積を配る。
4 昼夜と年月照明の色と、褪せた先の見えかたを見込む。
5 測る写真の色を抜き、差が残っているかを見る。

好きな色から始めても構いません。決め手にするのは、明るさの差です。 地と文字が明暗の両側に分かれていれば、その配色は遠くからも夜も働きます。

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地の色も文字の色も、まだ何も決まっていない段階で比べられます。 見本を屋外で当ててもらえるか、貼り替えで直せる作りか。この二点は各社で違います。