看板のきほん / 2026年8月27日 更新 / 読了目安 約13分

電飾看板・LED看板の選び方
光り方と明るさを決める5ステップ

日が暮れてからも店を開けている方へ。「光らせたいが種類が分からない」「明るさをどう頼むのか」 「電気代がいくら増えるのか読めない」。 この3つを、業者に伝えられる形にほどきます。

5手順時間帯から点検まで
6種類光り方の選択肢
12項目セルフチェック
この記事でわかること

光らせる時間帯を先に決める理由/ 内照式・外照式・チャンネル文字・ネオン管の代替LEDの違い/ 明るさを周囲との差で決める方法と、光の色の選び分け/ 屋外広告物の許可と、電気工事に資格がいる範囲/ 月の電気代を自分の契約単価で出す計算式/ 交換までの年数と、暗く感じたときに疑う順序

「明るくすれば目立つ」は半分だけ正しい

光る看板の相談で多いのが「とにかく目立たせたい」というご要望です。 ところが夜の見え方は、明るさだけでは決まりません。 決めているのは、周囲の暗さとの差です。

街灯が並ぶ通りで控えめに光らせても沈みます。 暗い道で全面を強く光らせれば、まぶしさの苦情につながります。

つまずきやすいのは4つです。昼の図面だけで決める。 光り方の種類を知らないまま「電飾で」と頼む。 電源の位置を決めずに設計が進む。点灯後、誰も見え方を確かめない。

光る看板は、時間帯を決める → 光り方を選ぶ → 明るさと色を決める → 許可と工事を確認する → 電気代を出す → 点灯後に点検する という順で組み立てます。以下、この順に見ていきます。

Step 1

光らせる時間帯と目的を決める

器具を選ぶ前に決めます。何時から何時まで、誰に見せるのか。ここが全部の前提になります。

紙に書き出すのは営業時間ではありません。 点けておく時間のほうです。 開店前から点ける店もあれば、閉店後に入口だけ残す店もあります。

時間帯が変われば、道を通る人も、伝えるべきことも変わります。

時間帯主に見る人光らせ方の方針
日没〜21時ごろ帰り道の人、店を探す人業種と店名が読めれば足りる
21時〜深夜目的を決めて動く人入口と駐車場の位置を示す
深夜〜早朝通行そのものが少ない消灯か、減らす判断をする
閉店後近隣の住民、通りがかり光らせ続ける理由を決めておく

時間帯を分ければ、光らせる範囲も分けられます。 日没から数時間は全面、それ以降は店名だけ。切り替えはタイマーでできます。

「誰に見せるのか」を一行で書く

車で通る人か、歩く人か。初めての人か、場所を知っている人か。 この違いで、必要な文字の大きさも光らせる面積も変わります。 距離と文字の大きさの関係は看板広告の作り方ガイドに数値でまとめています。

閉店後を決めずに始めない

閉店後も点けておくなら、理由を言葉にしてください。 翌朝までの認知か、防犯か、それとも消し忘れか。 目的のない点灯は、電気代と劣化だけが積み上がります。

Step 2

光り方の種類を選ぶ

「電飾看板」と一言で頼むと、想像と違うものが出てきます。光り方には型があります。

内照式(面の内側から光らせる)

箱の中に光源を入れ、乳白色の面板ごと光らせます。面全体が明るくなり、遠くからでも輪郭が出ます。汚れや色ムラも一緒に浮きます。

外照式(外から光を当てる)

看板の上下に器具を付けて面を照らします。面は光らないので、昼と夜で印象が変わりません。既にある看板にも後から足せます。

チャンネル文字・表面発光

文字を一つずつ立体に作り、正面を光らせます。文字だけが夜に浮きます。字数が増えるほど手間も増え、細い書体には向きません。

チャンネル文字・裏面発光

文字の裏から壁を照らし、輪郭をにじませます。落ち着いた見え方になります。壁の色が明るいと輪郭が消えるため、下地の色を先に見ます。

ネオン管の代替LED

細いチューブ状のLEDで、線を描くように光らせます。曲線や手書き文字と相性がよく、割れにくい素材で作れます。遠距離の視認には向きません。

LEDビジョン・電光表示

画面そのものが光り、表示を後から変えられます。営業中の案内に使えます。動く表示や点滅は条例で制限される場合があり、事前の確認が要ります。

※ 同じ種類でも、光源の配置や面板の素材で見え方は変わります。実物で確認してください。

光らせる範囲を先に削る

いまある看板を光らせたいだけなら、外から照らす方式が最も手が少なくて済みます。 面全体を光らせたいなら、本体を作り替える話になります。 「光らせたい」と「作り直したい」は別の相談です。

光らせる面積が広いほど光源も電力も増えます。削る順は装飾、説明文、残すのは店名と業種です。

Step 3

明るさと光の色を決める

明るさは絶対値では決まりません。周囲との差で決めます。測れば数値で伝えられます。

候補地の夜の明るさを、自分で測る

光らせたい時刻に、設置したい場所へ立ってください。 スマートフォンの照度計アプリで路面と壁面を測ります。 単位はlx(ルクス)で、桁が分かれば十分です。

場面明るさの目安
晴れた日の屋外(昼)10,000〜100,000lx
日没の直後100〜1,000lx
街灯や店の光がある通り5〜50lx
街灯の少ない道1〜5lx

※ 天候や街灯の間隔で大きく動きます。おおよその桁を知るための目安です。

1〜5lxなら周囲は暗く、強く光らせる必要はありません。 5〜50lxなら、周りの街灯と競うことになります。 50lxを超える通りには、光らせても埋もれる場所があります。 この数字を業者に渡すだけで、提案の精度が変わります。

明るすぎるかどうかを、その場で判断する

設置予定の位置を正面から3秒見つめ、目をそらしてください。 残像が残るなら、その明るさは強すぎます。 看板は読ませるものであって、見つめさせるものではありません。

上向きの光と、隣家の窓

外照式では、器具の角度がずれると光が空へ抜けます。 国の指針でも、地域の明るさに応じて上向きの光を抑える考え方が示されています。 まぶしさの苦情は、角度と遮光板で直ることがほとんどです。

光の色は、周囲と業種で選ぶ

光の色は色温度という数値で表されます。単位はK(ケルビン)です。 小さいほどオレンジがかり、大きいほど青みを帯びます。

呼び名色温度の代表値見え方
電球色約2700Kオレンジがかった暖かい光
温白色約3500Kわずかに黄みのある白
昼白色約5000K太陽光に近い自然な白
昼光色約6500K青みを帯びた明るい白

※ 同じ呼び名でも製品ごとに幅があります。実際の色は、面板を通すと変わります。

選び分けの手がかりは2つです。 周囲との違いで見るなら、街灯が白い通りでは暖色が目に留まります。 業種で見るなら、飲食や宿泊は暖色、医療や物販は白系が選ばれる傾向があります。

白系は文字がくっきり読め、暖色は縁がやわらいで読みにくくなることがあります。

Rules

許可と電気工事を確認する

デザインが固まってから「出せない」と分かると、やり直しになります。

屋外広告物の許可

屋外広告物は条例で規制されています。 県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があり、窓口も分かれます。 光る看板の論点は、一般に次の4つです。

照明付きの基準があるか光る広告物に別の基準を設けている地域があります。
点滅や動く表示の扱い禁止、または条件付きとされることがあります。
面積の合計と許可の要否同じ敷地の広告物を合計して判断されるのが一般的です。
許可の更新期間数年ごとに更新の手続きが必要になります。

自分の敷地に建てる看板でも、大きさによっては申請の対象です。 候補地が固まった段階で、管轄の窓口か施工業者に確認してください。

電気工事には資格がいる範囲がある

分電盤からの分岐、屋外への配線、専用回路の増設。 こうした工事は、電気工事士法にもとづく資格を持つ人が行います。 屋外用のコンセントに差すだけで点く製品でも、防雨型かどうかと漏電遮断器の有無は確認が必要です。 屋外の電気は、水と経年で状態が変わります。

契約の容量が足りないことがある

看板の分を足すと、契約している電力の容量を超えることがあります。 その場合は、契約の変更や引き込み工事が必要です。
※ 必要な資格や手続きの区分は工事の内容によって異なります。実際の判断は施工業者と管轄の窓口へご確認ください。

Step 4

電気代と交換費用を計算する

「高いか安いか」ではなく、自分の契約で毎月いくら増えるかを出します。

月の電気代を出す式

消費電力(W) ÷ 1000 × 1日の点灯時間(h) × 30日 × 電力量単価(円/kWh) = 1か月の電気代

例をひとつ。消費電力100Wの器具を、1日7時間つける場合です。 100 ÷ 1000 = 0.1kW。0.1 × 7 = 0.7kWh が1日ぶん。 0.7 × 30 = 21kWh が1か月ぶんの電力量です。

1日0.7kWhは、40Wの電球を約17時間半つけたのと同じ量です。 この21kWhに、契約している電力量単価を掛けた額が月の電気代になります。

1kWhあたりの単価は契約内容によります。時間帯で単価が変わる契約もあります。 他人の平均値を借りず、検針票に出ている数字を式に入れてください。

何が電気代を動かすか

式に入る数字を動かすのは4つです。光らせる面積、光り方の種類、1日の点灯時間、そして光源と電源装置の効率。 面が広いほど光源が増え、点灯時間が倍になれば電力量も倍になります。 同じ明るさでも、機種によって消費電力は違います。

いまの看板をLEDに替える場合の差額は、次の式で出せます。
(今の消費電力 − 替えた後の消費電力)÷ 1000 × 1日の点灯時間 × 365 × 電力量単価 = 1年で減る額。

初期費用のほうは、光らせる面積、光り方の種類、設置の高さ、電源工事の量で動きます。 掲載社が実際に公開している金額は看板の費用に種類別にまとめています。

交換までの年数を出す

設計寿命(h) ÷ 1日の点灯時間(h) ÷ 365 = 交換までのおおよその年数

設計寿命は器具の仕様に書かれ、4万時間と表示される製品が多く見られます。 点灯時間の差が、そのまま年数の差になります。

1日の点灯時間設計寿命4万時間なら
1日8時間約13年
1日12時間約9年
1日18時間約6年
1日24時間約4年半

※ 設計寿命は、光の量が初期の7割に落ちるまでの時間を指すのが一般的です。故障までの保証期間ではありません。

年数が出たら、交換にかかる額をその年数で割ります。 光る看板の費用は、買うときの一度きりではありません。

Step 5

点灯後に見え方を確認し、劣化を見つける

LEDは切れずに暗くなります。毎日見ている人ほど、変化に気づけません。

来てほしい方向から、夜に歩いて見る

図面では読める看板が、現地では街路樹や電柱に隠れます。来店してほしい人と同じ向きで近づき、どこから読めるかを歩数で数えます。

同じ場所・同じ時刻・同じ設定で撮る

カメラを固定した設定にし、立ち位置と時刻を決めて撮ります。明るさの変化は記憶では追えません。初日の一枚が半年後の物差しになります。

一度消して、点け直して見比べる

消えた状態と点いた状態を続けて見ると、光の効き目が分かります。差が小さいなら、周囲が明るすぎるか光量が足りていません。

照度計のアプリで周囲を測る

路面と看板の面を測り、数値で残します。器械ほどの精度は出ませんが、前後の比較には使えます。相談のとき、この数値が効きます。

近くの人に、まぶしくないか聞く

苦情になる前に聞くほうが安全です。向かいの窓に光が入っていないか、上へ漏れていないか。自分では見えない方向を教えてもらえます。

写真を残すことと、外から自分の目で見ること。この2つで足ります。

確認するタイミング

点灯初日明るさ、読める距離、まぶしさを記録します。
1か月後不点灯の箇所や色ムラが出ていないかを見ます。
半年後汚れと褪色を、初日の写真と比べます。
数年後光量の低下と、許可の更新時期が重なります。

暗い・見えないと感じたら、この順で疑う

  1. 1
    面が汚れていないか

    拭くだけで明るさが戻ることがあります。手の届く範囲から確認します。

  2. 2
    表面の色が褪せていないか

    日差しを受ける面から先に褪せます。シートの貼り替えで直せます。

  3. 3
    周りが明るくなっていないか

    街灯の交換、隣の看板、新しい建物。自分の看板は変わっていない場合があります。

  4. 4
    光源や電源装置が弱っていないか

    LEDは切れずに暗くなります。部品の交換で明るさが戻ります。

  5. 5
    光の量そのものが足りないか

    器具を足す、光源を増やす。ここで初めて追加の工事を考えます。

作り直しは、いちばん最後

1と2は自分の手でも確かめられます。3は現地に立てば分かります。 順に潰していけば、看板そのものを作り替えずに済むことが多くあります。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、点灯する前に気づけば避けられます。直し方は作り替えずに済むものから並べました。

失敗何が起きるか直し方
昼の見た目だけで決めた夜に文字が沈んで読めない面板だけ交換し、地と文字の差を広げる
周囲より明るくしすぎた近隣からまぶしいと言われる調光器か減光フィルムで光量を下げる
電源の位置を決めずに設計配線が露出し、追加工事になる器具の位置を電源側へ寄せて配置し直す
消灯時刻を決めていない電気代がかさみ、劣化も早まるタイマーを付け、点灯時間を絞る
一部が消えたまま放置した文字が欠けて別の語に読める光源の部品と電源装置だけを交換する
Checklist

セルフチェックリスト

すでに光らせている方も、これから検討する方も。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • 何時から何時まで光らせるかを決めてある
  • その時間帯に誰へ見せたいのかを言葉にできる
  • 閉店後に消すか光らせ続けるかを決めてある
  • 内照式と外照式のどちらが向いているか説明できる
  • 候補地の夜の明るさを、自分の目で確かめた
  • 周りの街灯や看板の色みを見てから光の色を選んだ
  • 点滅や動く表示を使うかどうかを決めてある
  • 屋外広告物の許可が必要かどうかを確認した
  • 電源をどこから取るかが決まっている
  • 消費電力と点灯時間から、月の電力量を計算した
  • 器具の設計寿命から、交換までの年数を出した
  • 点灯初日の写真を、撮る場所と時刻を決めて残すつもりだ
FAQ

よくある質問

光る看板を検討するとき、最初に決めることは?
光らせる時間帯です。何時から何時まで、誰に見せるのかが決まると、必要な明るさも光り方も絞り込めます。ここが曖昧なまま器具を選ぶと、電気代と見え方が中途半端になります。
明るさはどうやって決めればいいですか?
周囲の夜の明るさとの差で決めます。候補地に立ち、街灯や近くの看板と比べてください。路面の照度を測って業者に渡すと、話が早く進みます。
光る看板にも許可は必要ですか?
場所と大きさによって必要です。照明付きの広告物に別の基準を設けている地域があり、点滅や動く表示が制限されることもあります。候補地が決まった段階で、管轄の窓口か施工業者に確認してください。
電気代はどう計算しますか?
消費電力(W) ÷ 1000 × 1日の点灯時間(h) × 30日で、1か月の電力量(kWh)が出ます。これに契約している電力量単価を掛けた額が月の電気代です。単価は契約内容によって変わるため、検針票の数字を使ってください。
暗く感じたら、作り直すしかありませんか?
面の汚れと表面の褪色から確認してください。拭く、貼り替える、部品を交換する。この順で試すと、作り直さずに戻ることが多くあります。
予算が限られる場合、どこを優先しますか?
光らせる面積を絞ることです。全面より店名だけのほうが、消費電力も初期費用も下がります。範囲を減らしても、暗い背景との差が出ていれば読めます。

まとめ

相談は、次の順に決めていけば形になります。

1 時間帯点灯時間と、見せたい相手を決める。
2 光り方内照式か外照式か、文字だけか。
3 明るさと色周囲の明るさを測り、差で決める。
— 許可と工事条例の確認と、電源の取り方。
4 電気代自分の契約単価で月額を出す。
5 点検初日に記録し、順に疑う。

業者に渡すのは3つで足ります。点灯したい時間帯、候補地で測った夜の明るさ、光らせたい範囲。 これだけ書いてあれば、相談は具体的な話から始まります。

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当ガイドは仲介や紹介を行っていません。ご相談・お見積もりは各社へ直接お願いいたします。
時間帯も光り方も決まっていない段階から比べられます。夜の候補地の写真が1枚あれば、話は前に進みます。

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