スーパー・食品店の看板の作り方
売場まで運ぶ5ステップ
これから敷地の広い食品店の看板を決める方へ。 この規模の店は、1枚の看板では成り立ちません。 気づく、曲がる、停める、入る。 場面ごとに1枚ずつ置いて、はじめて売場まで人が届きます。
売場に着くまでの場面を数え、面の枚数を決める手順/ 1つの面に載せる語を2つまでに削る考え方/ 曲がる準備に要る距離を、道の速さから出す式/ 距離から文字の高さを出す早見表/ 道路から見える面と、基礎を伴う看板で確かめる先/ 月に何人拾えば釣り合うかを出す式/ 迷った跡を記録して、安く直せる順に手を入れる方法
看板の枚数は、敷地の広さで決まる
小さな店なら、1枚で足ります。 気づいた人が、そのまま扉を開けられるからです。 敷地が広い店では、気づいてから売場まで、いくつも判断が挟まります。 判断の数だけ、答える面が要ります。
つまずきやすいのは、次の四つです。 大きな看板を1枚だけ立て、それで全部を伝えようとしている。 入口の表示が入口の真上にあり、曲がる判断が間に合わない。 駐車場の表示が人の目の高さにあり、運転席から見えない。 売場の案内に品目を並べ、通路の端から読めない。
どれも、面を大きくしても解けません。 場面を数え、1面1用途で割り当てる。 道路から見える面の扱いを確かめ、費用を人数に換算し、迷った跡を数える。 この五つを順に埋めます。
なお、路面に面した小さな売場であれば、必要な面は1枚か2枚で済みます。 その場合は物販店の看板の作り方をご覧ください。 このページは、駐車場を持つ規模の店に絞ります。
売場に着くまでの場面を数える
場面ごとに、客がしている判断は違います。まず区切りを出します。
道を走っている、あるいは歩いている段階です。店があることだけが伝わればすみます。
入口を選ぶ段階です。どこから入るかが、手前で読めている必要があります。
駐車場に入った段階です。空いている向きと、歩いて向かう先を探しています。
建物の入口を探す段階です。出口と入口が別なら、ここで分けて示します。
四つのうち、抜けやすいのは2番目です。 気づかせる面と、曲がらせる面は別のものです。 店があると分かっても、どこから入るか分からなければ通り過ぎます。 通り過ぎた車が戻ってくるとは限りません。
場面の数は、敷地によって前後します。 入口が2か所ある、駐車場が離れている、建物が奥にある。 その場合は場面が増えます。 減らせるなら減らして構いません。数えることが目的です。
車で来る客が多いなら、車で入ってみてください。 どこで速度を落とし、どこでハンドルを切るか。 その場所が、面を置く場所です。 図面の上では、この位置は決まりません。
場面ごとに、面を1枚ずつ割り当てる
1つの面に、1つの用途だけを持たせます。兼ねると両方が弱ります。
まず、曲がる準備に要る距離を出します。 道の速さから計算します。
50,000m ÷ 3,600秒 = 13.9m/秒
曲がる準備に3秒かかると置く
13.9 × 3 = 約42m
入口の42m手前で、入口の位置が読めている必要があります。 時速50kmも3秒も仮の置き方です。 面した道の制限速度と、実際の流れで置き換えてください。
距離が出たら、場面ごとに載せるものを決めます。
| 気づく面 | 店の名前と業種。語は2つまで。 |
|---|---|
| 曲がる面 | 入口の位置と方向。矢印1つと語1つ。 |
| 停める面 | 駐車の向きと、建物へ歩く方向。 |
| 入る面 | 入口と出口の別。営業する時間はここに。 |
| 売場の面 | 大分類だけ。細かい品目は棚の側に回す。 |
1つの面に載せる語は、2つまでにしてください。 走っている車から読めるのは、そのくらいです。 減らした分だけ、残った語を大きくできます。
距離から、文字の高さを出す
目安は視認距離の1/250〜1/500です。
| 読ませたい距離 | 文字の高さの目安 | その面が答えること |
|---|---|---|
| 42m(車が曲がる準備) | 約8〜17cm | 店の名前と、業種 |
| 25m(敷地の入口) | 5〜10cm | 入口の位置と方向 |
| 15m(駐車場の中) | 3〜6cm | 歩いて向かう先 |
| 5m(建物の前) | 1〜2cm | 入口と出口の別、時間 |
書体、地と文字の色の差、灯りの有無で、読める大きさは前後します。 寸法を根拠から出す手順は看板の大きさの決め方にまとめました。
駐車場の中の表示は、高さの基準が変わります。 歩く人ではなく、運転席から見えるかで決めます。 入口まわりの案内の並べ方は駐車場・入口の案内サインの作り方が扱っています。
屋外と駐車場の掲出を確かめる
私有地の中でも、道路から見える面は対象になることがあります。
面が多い分、確かめる先も増えます。 自分の土地に立てるから自由、とは限りません。 道路から見えるかどうかが、ひとつの分かれ目になります。
| 道路沿いに立てる自立看板 | 大きさと高さで、屋外広告物の手続きが要る場合がある。 |
|---|---|
| 建物の壁に付ける面 | 面積の割合で扱いが変わる地域がある。 |
| 駐車場の中に立てる表示 | 私有地でも、道路から見える面は対象になることがある。 |
| 基礎を伴う工作物 | 大きさによっては、建てる側の手続きが別に要る場合がある。 |
| 借りている敷地・建物 | 貸主の承諾が要る。契約書に定めがある場合も。 |
自立看板は、地面の下に基礎を作ります。
大きさによっては、掲出の手続きとは別に、建てる側の手続きが要る場合があります。
県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。
※ 必要な手続き、出せる大きさ、更新の時期は地域によって異なります。設計に入る前に、管轄の窓口および施工する業者へお確かめください。
調べる順番と、更新の管理の仕方は屋外広告物の許可ガイドに整理しました。 自立看板そのものの決め方は自立看板・ポールサインの立て方をご覧ください。
費用と回収ラインを計算する
拾うのは、通り過ぎていた車です。人数に直して比べます。
費用が動くところを見る
| 面の数 | 気づく、曲がる、停める、入る。場面の数だけ面が要る。 |
|---|---|
| 自立看板の高さ | 高くするほど基礎が大きくなる。基礎は地面の下の工事になる。 |
| 夜に読ませるか | 灯りを当てるか、光る面にするか。電気の引き込みが要る場合も。 |
| 取り付ける高さ | 手が届くか、高所の作業車が要るか。作業の手間が変わる。 |
| 差し替えの仕組み | 催事や時間の変更を、店の人が替えられる作りにするか。 |
2行目が、この規模でいちばん動く項目です。 高さは見える距離を伸ばしますが、基礎も一緒に大きくなります。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。
月あたりに直して、人数に換算する
長く使う面と、差し替える面を分けて直します。
480,000 ÷ 120 = 4,000円/月
差し替える面:仮に年12,000円かかる
12,000 ÷ 12 = 1,000円/月
合わせて 4,000 + 1,000 = 5,000円/月
480,000円も12,000円も、相場ではありません。 割り算の動きを見るための、仮の数字です。
次に、この面が拾う買い物の粗利で割ります。
2,500 × 0.25 = 625円
5,000 ÷ 625 = 8人/月
通り過ぎていた車を、月に8組拾えば釣り合います。 日数に直すと、30 ÷ 8 = 3.75。およそ4日に1組です。
2,500円も0.25も、仮の置き方です。 自分の客単価と粗利率に差し替えて、計算し直してください。
迷った跡を記録して直す
数えるのは売上ではありません。迷った人が残していく跡です。
駐車場から見ていれば分かります。曲がる面が働いていない印です。
レジや従業員に紙を配ります。多い部門から、案内を足します。
決められた通路と違う線を歩いていれば、案内が読まれていません。
入口と出口の別が伝わっていません。面の位置か、大きさの問題です。
上にあるものほど、手間がかかりません。 1番目は今日から始められます。駐車場を見ていれば数えられます。
通り過ぎて戻ってきた車は、曲がる面が働いていない印です。 戻ってこなかった車は、数えられません。 見えている1台の後ろに、見えない何台かがあります。
全体の数では、どこを直すか決まりません。 どの売場を聞かれたかまで書けば、案内を足す場所が絞れます。 レジに小さな紙を置き、月末に一度だけ数えれば足ります。
見る時期を決める
| 2週間 | 通り過ぎて戻る車の数だけを見ます。出す前の2週間と並べます。 |
|---|---|
| 1か月 | 尋ねられた回数を見ます。減らなければ、面の位置を疑います。 |
| 3か月 | 来店の数を見ます。回収の計算と並べます。 |
| 半年 | 面ごとに載せた語を並べ直します。足すより、減らすほうが先です。 |
食品の店は、来店の間隔が短い代わりに、客の入れ替わりが遅い業種です。 新しい客が増えたかどうかは、2週間では見えません。 3か月を過ぎてから、回収の計算と並べてください。
反応が薄いときは、この順で試す
- 1入口の面に、矢印を1つ足す
語より矢印のほうが早く読まれます。貼るだけで試せます。
- 21つの面に載せた語を、2つまで減らす
走っている車から読めるのは、そのくらいです。減らせば残りを大きくできます。
- 3駐車場の表示を、車の目線の高さへ下ろす
運転席から見上げる位置にあると、近づくほど死角に入ります。
- 4夕方と夜に、車で敷地の前を通ってみる
昼に読めた面が、夜は沈みます。街灯と対向車の灯りで見え方が変わります。
- 5気づく面と曲がる面を、別の位置に分ける
1枚で両方を担わせると、どちらの距離にも合わなくなります。
- 6面そのものを作り直す
前の五つを終えてから、はじめて検討します。
1番から3番までは、貼り替えと付け替えの範囲で試せます。 費用のかかる手当ては、後ろに寄せてあります。 売場の中の表示までそろえるなら、店内の案内表示の作り方が入口になります。
よくある失敗5パターン
どれも、立て直す前に試せる手当てがあります。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 1枚の大きな看板で全部を伝えようとした | 遠くからは字が多すぎ、近くからは全体が視界に入らない | 場面ごとに面を分け、1面に載せる語を2つまでにする |
| 入口の表示を、入口の真上に付けた | 曲がる判断が間に合わず、通り過ぎてから気づかれる | 手前に1枚出し、矢印で入口の位置を先に伝える |
| 駐車場の表示を人の目の高さに合わせた | 運転席からは見上げる位置になり、近づくと見えない | 車の目線に合わせて下げるか、路面の表示に移す |
| 売場の案内に、細かい品目を並べた | 字が小さくなり、通路の端からは何も読めない | 大分類だけを残し、品目は棚の側の表示へ移す |
| 昼だけ見て決めた | 夜に読めない面が残り、暗くなると入口が分からなくなる | 灯りの向きを変えるか、入口だけ明るくする |
セルフチェックリスト
発注の前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 客が売場に着くまでの場面を、数え出した
- 場面ごとに、面を1枚ずつ割り当てた
- 1つの面に載せる語を、2つまでに収めた
- 曲がる準備に要る距離を、道の速さから計算した
- その距離から読める文字の高さを出した
- 入口と出口の別を、面で分けて示した
- 駐車場の表示を、車の目線の高さに合わせた
- 夜に、車で敷地の前を通って見え方を確かめた
- 道路から見える面について、管轄の窓口へ問い合わせた
- 基礎を伴う看板の手続きを、業者に確かめた
- 看板にかかる費用を月あたりに直し、必要な人数を出した
- 入口を通り過ぎて戻る車の数を、数え始めた
よくある質問
広い敷地の店の看板は、何から決めればいいですか?
文字はどれくらいの高さにすればいいですか?
道路沿いに自立看板を立てるのに、手続きは要りますか?
効果は、いつ判断すればいいですか?
すでにある看板を、作り直さずに直せますか?
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
まとめ
スーパー・食品店の看板は、次の順序で決まります。
| 1 場面を数える | 気づく、曲がる、停める、入る。判断の数だけ面が要る。 |
|---|---|
| 2 面を割り当てる | 1面1用途。載せる語は2つまで。距離から高さを出す。 |
| 3 掲出を確かめる | 道路から見える面と、基礎を伴う看板の手続きを先に確かめる。 |
| 4 費用を計算する | 月あたりに直し、拾えば釣り合う組数まで落とす。 |
| 5 記録して直す | 戻る車と尋ねられた回数を数え、貼り替えから手を入れる。 |
看板を1枚増やすより、1枚から語を1つ減らすほうが効きます。 走っている人に渡せるのは、そのときの判断に要るものだけです。 場面を数えれば、どの面に何を残すかは決まります。