看板集客 / 2026年9月5日 更新 / 読了目安 約11分

物販店の看板の作り方
扱う物が伝わる5ステップ

これから服や雑貨の店を構える方へ。 物販の看板でいちばん多い相談は、何の店か外から分からないことです。 飲食と違い、匂いも湯気も出ません。 伝わる手がかりは、看板とウィンドウの二つだけです。

5手順一語の決め方から測り方まで
3正面・入口・ウィンドウ
12項目発注前に見る点
この記事でわかること

扱う物を、外から分かる一語まで絞る手順/ 伝わらない言葉と、その置き換え方/ 正面・入口・ウィンドウに役目を配る考え方/ 歩く速さから逆算した、読ませる言葉の量/ 入りにくさの元になる四つの分からなさ/ 費用を、必要な購入客数に直す式/ 立ち止まった人と入った人を数える方法

物販の看板は、扱う物を名乗るところから始まります

店の前を歩く人は、看板を2〜3秒しか見ません。 その間に伝わるのは、多くて二つです。

よく起きるのは、次の四つです。 店名だけを大きく出し、何の店か分からないまま素通りされる。 扱う物を全部並べ、読み切れずに何も残らない。 三つの面に同じ言葉を書き、伝わる量が増えない。 ウィンドウを紙で埋め、中の様子が見えなくなる。

どれも、発注の前に手を打てば起きません。 一語に決め、面に役目を配り、入りにくさを消し、費用を客数に直し、立ち止まりを数える。 この五つを順に埋めていきます。

Step 1

扱う物を、一語に絞る

品ぞろえの広さと、店の顔になる物は別ものです。

扱う物を紙に並べる

売っている物を思いつくまま書き出します。20も30も出て構いません。絞るのは次の作業です。

売上の大きい順に並べ替える

数ではなく金額で並べます。品ぞろえの広さと、店の顔になる物は別だからです。

上位を包む言葉を探す

上から三つを見て、まとめて呼べる言葉を探します。二つに割れるなら、看板に出すのは上の一つです。

店の外で声に出す

通りに立ち、その言葉で店の中が想像できるかを見ます。想像できないなら、まだ抽象的すぎます。

絞るときにつまずくのは、便利な言葉に逃げてしまうことです。 次の四つは、書いても中身が伝わりません。

よく使われる言葉なぜ伝わらないかどう置き換えるか
セレクトショップ何が置いてあるか分からない扱う物の名前に置き換える
ライフスタイル範囲が広すぎる売上の上位を一語で呼ぶ
こだわりの品ぞろえ中身がない品数か産地か、数字か土地で言う
店名だけ知らない人には手がかりが無い店名の下に扱う物を足す

足すのではなく、削るほうが伝わります。 看板に載せる語は、業種を示す一語と店名の二つまでにしてください。 言葉の削り方は看板の文言の決め方で扱っています。

歩く速さから、載せる量を決める

歩いて通る人が、店の前にいる時間はごく短いものです。

時速4km = 4,000 ÷ 3,600 = 1秒あたり1.11m
間口3mの店の前を通過 → 3 ÷ 1.11 = 約2.7秒

2.7秒で読めるのは、短い語が二つまでです。 三つ目からは、店に入った人に伝えれば足ります。

Step 2

三つの面に、別々の役目を配る

同じことを三度書くと、二つは働きません。

物販の店には、使える面が三つあります。 見る距離が違うので、載せる中身も変わります。

果たす役目載せる中身
正面の看板遠くから見つけさせる業種を示す語と店名
入口まわり入っていいと分からせる営業時間と価格の幅
ウィンドウ中の様子を想像させる実物と、その値札
正面は、離れた場所から見る面

歩道の反対側や、道の先から見えます。読ませたい距離を先に決め、そこから文字の高さを出します。

入口は、立ち止まった人が見る面

距離は1mほどです。文字は小さくてかまいません。代わりに、書ける量が増えます。

ウィンドウは、言葉より物が効く面

説明を貼るより、実物を1点置くほうが早く伝わります。値札を付けると、価格の幅まで伝わります。

三つに同じことを書かない

同じ言葉が三つ並ぶと、二つは無駄になります。役目を分けると、伝わる量が増えます。

正面の文字の高さを出す

読ませたい距離を先に決めます。 歩道の反対側までなら10m、道の先からなら20mといった置き方をします。

文字の高さ = 視認距離 ÷ 250 〜 視認距離 ÷ 500
10m先 → 10,000 ÷ 500 = 20mm / 10,000 ÷ 250 = 40mm → 2〜4cm
20m先 → 20,000 ÷ 500 = 40mm / 20,000 ÷ 250 = 80mm → 4〜8cm

書体、地との明暗差、庇の影の落ち方で変わります。 明暗差の付け方は看板の色の決め方にまとめています。

ウィンドウは、貼るより置くほうが早い

ガラス面に説明を貼ると、中が見えなくなります。 実物を1点置き、値札を付けるだけで、扱う物と価格の幅が同時に伝わります。 ガラス面の使い方は窓ガラス看板の作り方で扱っています。

Step 3

入りにくさの元を、表示で消す

入らない理由の多くは、分からないことです。

店の前で立ち止まった人が、入るのをやめる理由は限られています。

分からないこと頭に浮かぶことどう消すか
価格の幅いくらの店か分からない一番安い物と高い物を出す
営業の時間開いているか分からない曜日ごとの時間を書く
入っていいか買わないと出にくそう見るだけで良いと書く
支払いの方法現金しか使えないかも使える方法を並べる
店の中の広さ狭くて気まずそうウィンドウから奥を見せる

一番効くのは、価格の幅を外に出すことです。 一番安い物と、一番高い物。二つの数字があれば、自分の予算と照らせます。

出す位置には、決まりがある場合があります

歩道に置き看板を出す場合、道路の使い方に関わる手続きが必要になることがあります。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。 建物から突き出す形も、同じく扱いが分かれます。
※ 出せる範囲と手続きは、管轄の窓口へご確認ください。

Step 4

費用を月あたりに直し、必要な客数を出す

総額のままでは、高いか安いかを決められません。

額が動くところは五つです。

面の数正面だけか、三つの面に出すか。数がそのまま効いてきます。
面の大きさ間口の広さと、読ませたい距離で決まります。距離が伸びれば大きくなります。
光らせるかどうか夜も見せるなら、電気の配線と器具が加わります。
取り替える回数扱う物を変えるたびに面を作り直すか、差し替えできる作りにするか。
ウィンドウの作り貼るだけか、什器を置くか。什器は看板の費用とは別に見ます。

一番目と四番目は、自分で調整できます。 正面だけを作り込み、入口とウィンドウは差し替えできる作りにする。 この分け方だと、扱う物が変わっても正面は残せます。 掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめています。

持つ年数で割り直す

5年 = 5 × 12 = 60か月
総額600,000円 ÷ 60か月 = 月10,000円

この600,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。

何人買えば釣り合うかに直す

月あたりのコスト ÷ (客単価 × 粗利率) = 月に必要な新規客数
2,500 × 0.4 = 1,000
10,000 ÷ 1,000 = 月10人
30 ÷ 10 = 3日に1人

客単価を2,500円、粗利率を4割と置いた場合です。 3日に1人が新しく買えば、月10,000円と釣り合います。

これらの数字は、式の動きを見るための仮の置き方です。 自分の店の客単価と粗利率に差し替えて計算してください。

Step 5

立ち止まった人と、入った人を数える

二つを並べると、直す場所が分かれます。

立ち止まった人を数える

店の中から、店前で足を止めた人を数えます。10分を3回で30分です。平日と休日の2日なら60分になります。

入った人の数と比べる

止まった人のうち、何人が入ったか。止まるのに入らないなら、入口まわりの問題です。

聞かれた質問を書き留める

「何のお店ですか」と聞かれた回数を数えます。回数が多いほど、外の表示が足りていません。

買った人に、何を見て来たか聞く

レジで一言たずねます。看板か、通りがかりか、人づてか。三つに分けるだけで傾向が出ます。

数える時間は短くて構いません。

10分 × 3回 = 1日30分
平日と休日の2日 → 30 × 2 = 60分

止まらないなら正面、止まるのに入らないなら入口の問題です。 この切り分けができると、直す面が一つに絞れます。

見る時期を決める

1か月立ち止まる人の数を数え始めます。まだ比べる相手がありません。
3か月止まった数と入った数を並べます。どちらが足りないかが見えます。
半年季節がひとつ動きます。扱う物と看板の言葉がずれていないかを見ます。
1年売上の上位が入れ替わっていないかを確かめます。入れ替われば言葉も変えます。

効かないときは、この順で疑う

  1. 1
    写真に撮って縮小して見る

    費用はかかりません。読めない文字は、その場で分かります。

  2. 2
    ウィンドウの物を替える

    置く物を1点変えるだけです。中身が想像できるかが変わります。

  3. 3
    入口に価格の幅を足す

    紙1枚で足せます。入りにくさの多くは、ここで減ります。

  4. 4
    言葉を1語に削る

    面の作り直しになりますが、正面だけで済みます。

  5. 5
    文字を大きくする

    読ませたい距離を測り直し、そこから高さを出します。

  6. 6
    面の位置を変える

    街路樹や庇で隠れている場合です。最後に検討します。

上のほうほど、費用がかからずに直せます。 1番から3番までは、その日のうちに手を付けられます。 面の位置を変えるのを最後に置くのは、工事が要るからです。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、作り直さずに手を打てます。

失敗何が起きるか直し方
店名だけを大きく出した何の店か分からず素通りされる店名の下に、扱う物を示す一語を足す
三つの面に同じ言葉を書いた伝わる量が増えない入口の面を、営業時間と価格の幅に書き換える
扱う物を全部並べた読み切れず、何も残らない売上の上位を包む一語まで削る
ウィンドウを紙で埋めた中の様子が見えず入りにくい紙を減らし、実物を1点と値札に替える
数える仕組みを作らなかった効いているか判断できない立ち止まった人を10分だけ数え始める
Checklist

セルフチェックリスト

発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • 扱う物を、売上の大きい順に並べ替えた
  • 上位を包む言葉を、一語で決めた
  • その言葉を店の外で声に出し、中が想像できるかを見た
  • 正面・入口・ウィンドウの三つに、別の役目を割り振った
  • 正面から読ませたい距離を決め、そこから文字の高さを出した
  • 三つの面に同じ言葉が並んでいないかを確かめた
  • 入口に、営業の時間を曜日ごとに書いた
  • 価格の幅が外から分かるようにした
  • 見るだけでよいことが伝わる表示を置いた
  • 月あたりの費用を、必要な新規客数に直した
  • 立ち止まった人を数える用紙を、レジに用意した
  • 道の反対側から写真を撮り、縮小して読めるか見た
FAQ

よくある質問

物販店の看板は、何から決めればいいですか?
扱う物を示す一語からです。売っている物を売上の大きい順に並べ、上位三つを包む言葉を探します。その言葉で店の中が想像できるかを、通りに立って確かめてください。
文字の大きさは、どう決めますか?
視認距離の250分の1から500分の1が目安です。10m先なら2〜4cm、20m先なら4〜8cmになります。書体、地との明暗差、庇の影で変わります。
正面・入口・ウィンドウに、同じことを書いてもいいですか?
避けてください。三つに同じ言葉が並ぶと、二つは働きません。正面は見つけさせる、入口は入ってよいと分からせる、ウィンドウは中を想像させる。役目を分けます。
ウィンドウには何を貼るのがいいですか?
貼るより、実物を置くほうが伝わります。1点と値札があれば、扱う物と価格の幅が同時に伝わります。紙で埋めると、中の様子が見えなくなります。
効いているかは、いつ判断しますか?
3か月です。店前で立ち止まった人の数と、入った人の数を並べてください。止まるのに入らないなら、正面ではなく入口まわりの問題です。
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
入口に貼る紙1枚からです。営業の時間と、価格の幅と、見るだけでよいこと。この三つで入りにくさは減ります。正面の作り直しはその後で構いません。

まとめ

物販店の看板は、次の順序で決まります。

1 一語に絞る売上の上位を包む言葉を探す。便利な言葉に逃げない。
2 面に役目を配る正面は見つけさせる、入口は入らせる、ウィンドウは想像させる。
3 入りにくさを消す価格の幅、営業の時間、見るだけでよいこと、支払いの方法。
4 費用を客数に直す持つ年数で割り、客単価と粗利率で必要な人数を出す。
5 二つの数を並べる立ち止まった人と入った人。どちらが足りないかで直す面が決まる。

売っている物の名前より強い言葉は、物販にはありません。 飾りの言葉を足す前に、その一語が外にあるかを見てください。

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扱う物も面の数も、まだ何も決まっていない段階で構いません。 言葉を絞るところから相談に乗るか、図面のとおりに作るところからか。この二つは比べられます。 本文の5ステップと同じ言葉で聞けば、返ってくる答えも並べやすくなります。