月極・コインパーキングの看板
走行中と停車後で分ける5ステップ
これから月極駐車場やコインパーキングの看板をそろえる方へ。この土地の看板には、他の業種にない条件があります。 読む人は全員、通り過ぎているか、すでに車の中にいます。 立ち止まって読む人が、ひとりもいません。
駐車場の看板を読む人が6つに分かれること/ 読ませたい距離から文字の高さを出す早見表/ 走行中に読ませられるのが2語までである理由/ 募集・料金・注意を面ごとに割り振る表/ 料金の表示で読み違えが起きる箇所/ 埋めるべき区画数から回収ラインを出す式
駐車場は、通り過ぎながら読まれます
駐車場の看板づくりで多いのが、料金も注意書きも一枚にまとめたいというご要望です。 空車の案内、時間あたりの額、最大額、無断駐車への警告。どれも伝えたい中身ではあります。 ただし読む人は、そのほとんどが動いている車の中にいます。
分けずに作ると、こうなります。道路へ向けた面に料金表を出し、走る車には一字も読まれない。 電話番号を道路側に載せ、書き取れないまま通り過ぎられる。 満空の表示が実際と食い違い、入った車が出ていく。 禁止事項が十行並び、区画の番号まで届かない。
読ませる相手と位置を決め、面ごとに情報を割り振り、決まりと土地の条件を確かめ、 費用を計算し、空き区画の埋まり方から測る。この五つを順に埋めれば、面を増やさずに整います。
自分の土地だから自由に掲げられる、とは限りません。
屋外広告物としての大きさ、数、色、高さに条例で条件がつく区域があります。
板の寸法を確定する前に、掲げてよい範囲を先に調べてください。
※ 制度は変わることがあります。事前に管轄窓口へご確認ください。
読ませる相手と読ませる位置を決める
速度が違えば、読める量も変わります。まず速度で分けます。
目は道路に向いています。視線が移るのは2秒ほど。届くのは、空車か募集かの一語だけです。
入れるかどうかを確かめています。入口の位置と、車室の高さの制限。この二つが読めれば、ハンドルを切れます。
料金の体系をここで読みます。読み違えたまま入ると、精算のときに苦情が出ます。時間は十数秒あります。
精算のしかたと、困ったときの連絡先を探します。距離が近いので、文字は小さくても足ります。
募集の一行を見つけて、番号を控えるか写真を撮ります。走りながらでは控えられません。
知りたいのは自分の区画と、連絡の窓口だけです。募集の面に混ぜると、両方が読みにくくなります。
六つは、二本の流れに束ねられます。走りながら読む流れと、停まってから読む流れです。 前者に渡せるのは方向の判断だけ、後者には手順や条件まで渡せます。 この二本を同じ板に載せた時点で、走る側の情報が消えます。
時間で見ると差がはっきりします。時速30kmは秒速8.3mです。30,000を3,600で割った値になります。 2秒だけ看板へ目を向けたとして、その間に車は16.7m進みます。 この時間で読み取れるのは2語ほど。道路に向けた面は、空車か募集かの一語で足ります。
必要な文字の高さは、読ませたい距離のおよそ250分の1から500分の1が目安です。 30m先から読ませるなら、30,000mm ÷ 500 で60mm、30,000mm ÷ 250 で120mm。つまり6cmから12cmです。 40m先なら、同じ計算で8cmから16cmになります。 書体、背景との明暗差、照明の有無で変わるため、迷う場合は大きいほうを取ってください。
| 読ませる位置 | 距離の目安 | 文字の高さ |
|---|---|---|
| 走行中の車に読ませる | およそ30m | 6〜12cm |
| 減速した車に読ませる | およそ20m | 4〜8cm |
| 入口で止まった車に読ませる | およそ5m | 1〜2cm |
| 降りて歩く人に読ませる | およそ3m | 0.6〜1.2cm |
下の二行を見てください。停めたあとに読ませる面は、文字が1cm前後でも届きます。 高さが要らない分、同じ面積に載る量が増えます。中身の多いものほど、下の行へ送ってください。
面ごとに載せる情報を割り振る
募集・料金・注意の3つを、速度の順に並べ直します。
| 面 | 出すもの | 出さないもの |
|---|---|---|
| 道路に向けた面 | 空車か、月極募集かの一語 | 料金の細目 |
| 入口の手前 | 入口の位置と高さの制限 | 電話番号 |
| 入口の正面 | 料金の体系と区切りの時間 | 禁止事項の一覧 |
| 精算機の周り | 精算の手順と連絡先 | 募集の案内 |
| 区画の頭 | 区画の番号だけ | 契約者の氏名 |
| 出口の側 | 出るときの手順 | 新しい料金の告知 |
| 契約者に向けた面 | 更新と連絡の窓口 | 空き区画の募集 |
右の列が、この表の働きどころです。出すものだけを決めていくと、面はいくらでも増えます。 出さないものを先に決めると、面の数が止まります。 迷った項目は、道路側から一段ずつ敷地の奥へ送ってください。
二行目の右の列に、電話番号を置きました。走る車の中で11桁を書き取れる人はいません。 番号は入口の正面か、精算機の周りへ回します。道路側に連絡先を出すなら、 二次元コードを一つだけにしてください。
五行目と七行目は、混ぜやすい組み合わせです。募集の面と、契約者に向けた面は分けます。 募集を見る人にとって、更新の連絡先は要りません。 入口から区画までの導き方は駐車場・入口の案内サインの作り方で扱っています。
注意書きは、並べるほど読まれなくなります。十行あれば、どれも飛ばされます。 外の面に残すのは、守られないと事故か損害につながる三行だけです。 残りは契約のときに渡す書面へ移します。 言葉の絞り方は看板の文言の決め方で詳しく扱っています。
表示の決まりと土地の条件を確かめる
図面を確定する前に、掲げてよい範囲を先に調べます。
| 掲出できる大きさと数 | 県の条例が及ぶ区域と、市が独自の条例を持つ区域があります。 |
|---|---|
| 道路との位置関係 | 道路の上へ張り出す形は、別の扱いになることがあります。図面の段階で位置を測ってください。 |
| 料金の表し方 | 時間あたりの額と、最大額の適用条件を同じ面にそろえます。分けると読み違えが起きます。 |
| 無断駐車への表示 | 書いた文言がそのまま効力を持つとは限りません。文面の扱いは専門家に確かめてください。 |
| 夜の明るさ | 光る面は近隣の窓の向きに影響します。点灯の時間帯を決めてから種類を選びます。 |
| 契約者に関わる掲示 | 氏名や車のナンバーは、外から読める面に出しません。区画の番号だけで足ります。 |
一行目は、地域によって窓口が変わります。県の条例が及ぶ区域と、市が独自の条例を持つ区域があるためです。 景観に関する区域が重なると、色や高さにさらに条件がつくことがあります。 許可が要る場合の流れは屋外広告物の許可ガイドにまとめました。
六行目は、看板というより土地の管理の話です。 区画に契約者の氏名を出すと、外から誰でも読める情報になります。番号だけの表示に替えられないか検討してください。
時間貸しでいちばん揉めるのが、最大額の適用条件です。
何時から何時までか、入庫からの時間で数えるのか、繰り返し適用されるのか。
条件を別の面に分けると、額だけを見た人が入ってきます。
額と条件は、同じ面に同じ大きさで並べてください。
※ 料金の表し方に定めが置かれている場合があります。事前に管轄窓口へご確認ください。
費用と回収ラインを計算する
駐車場では、埋めるべき区画の数に置き換えると分かりやすくなります。
1区画の月の粗利 × 12 = 1区画の年の粗利
年のコスト ÷ 1区画の年の粗利 = 埋めるべき区画数
1区画の月の収入を10,000円、粗利率を70%と置きます。1区画の月の粗利は7,000円です。 12を掛けると、1区画の年の粗利は84,000円になります。
看板にかかる年のコストが42,000円だとします。 42,000 ÷ 84,000 で0.5。半区画分の粗利で釣り合う計算です。 月に直せば、1区画が年のうち6か月埋まればよいことになります。7,000 × 6 で42,000。数字が合います。
10,000円、70%、42,000円は、式の動きを見るための仮の置き方です。 自分の土地の数字に差し替えてください。 区画の数が多いほど、1区画あたりの負担は軽くなります。
費用を左右するところ
| 面の数 | 道路側、入口、精算機の周り、区画ごと。数えた枚数がそのまま費用に乗ります。 |
|---|---|
| 差し替えの仕組み | 満空と料金は変わります。作るときの差より、変えるときの差が大きく出ます。 |
| 支柱を立てるかどうか | 建物のない土地では、板を留める先から作ることになります。 |
| 地面の状態 | 基礎を打つなら、舗装の有無や地盤で手間が変わります。 |
| 光らせるかどうか | 夜も動く駐車場ほど、点灯している時間が電気代に効いてきます。 |
| 区画の枚数 | 番号の板は区画の数だけ要ります。まとめて作ると1枚あたりの額は下がります。 |
二行目が、数年たってから効いてきます。満空も料金も、刷り込んだ面は変えるたびに作り直しです。 掲載社が公式サイトで公開している金額は看板の費用に種類別にまとめました。
空き区画の埋まり方から測る
空きの数より、その手前にある問い合わせが先に動きます。
「何を見てお電話をいただきましたか」。この一言だけで、面ごとの効き方が毎月たまります。費用はかかりません。
いちばん確かな数字です。ただし動くのが遅く、これだけで判断すると時期を誤ります。
入口の脇に10分立ちます。すぐ出ていく車が多いなら、料金か高さの表示が読めていません。
道路側と入口で別にすると、どちらの面が読まれたかまで分かれます。
操作が分からないという連絡が多いなら、手順の面が精算機から離れすぎています。
問い合わせのときの一言が、いちばん安い測定の道具です。集めていなければ、判断そのものが始まりません。
判断のタイミング
| 2週間 | 引き返す車と、精算機での呼び出しを見ます。表示の読みにくさはここに出ます。 |
|---|---|
| 1か月 | 問い合わせの件数が動きます。契約の数はまだ動きません。 |
| 3か月 | 月極の空きが動き始めます。人が移る時期をまたぐと、もっと早く出ます。 |
| 半年 | 季節の波を除いて比べられます。前の年の同じ時期と並べてください。 |
| 料金を変えたとき | 古い額の残る面がないか、敷地を一周して確かめます。 |
1か月で空きの数を見て決めるのは早すぎます。 止める場所を変える判断には時間がかかるからです。問い合わせの件数を先に追ってください。
効いていないとき、この順で疑う
- 1たずねているかどうかを疑う
経路を書き留める場所がなければ、効いていないのか、分からないだけなのかを区別できません。一言添えるところから始まります。
- 2夜に読めるかを疑う
暗くなってから道路の側に立ちます。街灯の位置によっては、昼に読めた面が丸ごと消えています。
- 3道路側の語数を疑う
一語まで削れるかを見ます。空車と料金を並べた時点で、走る車にはどちらも残りません。
- 4料金の面の位置を疑う
止まってから読める場所にあるかを確かめます。走行中の視野に置いても、額までは追えません。
- 5満空の表示が今日の状態かを疑う
差し替えが止まっていないかを見ます。実際と食い違う表示は、次から読まれなくなります。
- 6面を増やす、作り替える
ここまでで動かないときに検討します。費用がいちばん大きいので、最後に置きます。
上から順に、費用のかからないものが並びます。 1番から5番までは、書き足すか、現地に立つか、札を差し替えるだけで済みます。 面を作り替えるのは、いちばん最後に置いてください。
よくある失敗5パターン
どれも、図面の段階で気づけば直せます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 道路に向けた面に料金表を出した | 走る車には読まれず、空車かどうかも残らない | 道路側を一語に削り、料金の面は入口の手前へ移す |
| 電話番号を道路側に載せた | 走りながら書き取れず、問い合わせにつながらない | 番号は停めてから読む面へ。道路側は二次元コード1つに替える |
| 最大額の条件を別の面に分けた | 読み違えたまま入庫し、精算のときに苦情が出る | 条件の一行を、額と同じ面に貼り足す |
| 満空の表示を刷り込んだ | 実際と食い違い、入った車がそのまま出ていく | 差し替えの札に替える。当面は札を上から掛ける |
| 禁止事項を十行並べた | どれも読まれず、区画の番号まで埋もれる | 三行に削り、残りは契約者に渡す書面へ移す |
セルフチェックリスト
図面が出てきた段階で使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。
- 道路に向けた面に載せた語が、二つ以内に収まっている
- 走行中に読ませたい距離を測り、そこから文字の高さを出した
- 電話番号を、車を停めてから読む面に置いた
- 料金の額と、最大額の適用条件を同じ面に載せた
- 料金が切り替わる時間帯を、面の中に書いた
- 満空の表示を、差し替えられる形にした
- 暗くなってから、道路の側に立って見た
- 募集に向けた面と、契約者に向けた面を分けた
- 禁止事項を三行までに削った
- 区画の番号が、降りて歩く距離から読める
- 掲出できる大きさと数を、管轄の窓口に確かめた
- 問い合わせを受けたとき、経路をたずねる仕組みがある
よくある質問
駐車場の看板は、何から決めればいいですか?
文字はどれくらいの大きさが要りますか?
表示に決まりはありますか?
効果はいつ判断すればいいですか?
すでに看板があり、反応が薄い場合は?
予算が限られる場合、何を優先しますか?
まとめ
駐車場そのものを売る看板は、次の順序で決めていきます。
| 1 決める | 走行中、減速後、停めたあと、契約後の四つに相手を分ける。 |
|---|---|
| 2 配る | 募集・料金・注意を、速度の順に面へ割り振る。 |
| 3 確かめる | 掲出できる範囲と、料金の表し方を窓口に照らす。 |
| 4 計算する | 年のコストを1区画の年の粗利で割り、区画数に換える。 |
| 5 測る | 問い合わせの件数を先に見て、空きの動きを追う。 |
速度で分けるほど、一つの面が読まれます。 走る人に条件を説明しようとしないことです。 まず道路の側に立ち、空車か募集かの一語が読めるかを確かめてください。