コインランドリーの看板
24時間の無人店に呼ぶ5ステップ
これからコインランドリーの看板を考える方へ。 この店の看板は、営業時間が切れないぶん、夜のほうが長く働きます。 店員は説明できません。 外の面で見つけてもらい、中の表示で迷わせない。役割はこの二つに分かれます。
来る時間帯と手段から、読ませる距離を決める手順/ 外の面と中の表示に、役割を振り分ける考え方/ 夜の光と、近隣・法令の確認どころ/ 常時点ける面の電力量を、自分で出す計算/ 掲出の年数で総額を割り、利用回数に直す式/ 稼働の記録を並べ、安い順に手を入れる順番
説明する人がいない店では、看板が接客を引き受ける
コインランドリーの相談では、機械の台数や配置から話が始まります。 ところが利用者が最初に困るのは、開いているかどうかと、どう動かすかです。
起きやすいのは、次の四つです。 外の面に料金表まで載せ、離れると何の店か読めない。 照明のタイマーを季節で合わせず、暗い時間ができる。 機械の使い方を一枚にまとめ、前で行列ができる。 近くの住戸への光の向きを、掲出してから指摘される。
どれも、発注の前に決めておけば起きません。 時間帯を決め、役割を振り分け、光と決まりを確かめ、費用を割り、記録から直す。 この五つを順に埋めます。
来る時間帯と手段から、読ませる距離を決める
24時間開けても、面が働く時間は向きと明るさで決まります。
出勤前の朝、仕事帰りの夜、休日の昼。来る人も持ち込む量も違います。まず、どの時間帯を取りたいかを決めます。
歩き、自転車、車。手段が変われば、読ませられる秒数が変わります。現地で歩数を数えれば足ります。
昼に選んだ場所が、夜には木や電柱の影に入ります。暗くなってから同じ道を通ってください。
正面だけでなく、上と横からも見ます。窓に光が入る向きは、掲出の前に分かります。
洗濯物を抱えて歩く人と、車で寄る人。 同じ面を、まったく違う速さで見ています。
| 来る手段 | 秒速に直すと | 面を読ませられる時間 |
|---|---|---|
| 歩き(時速4km) | 秒速 約1.1m | 20mで約18秒 |
| 自転車(時速15km) | 秒速 約4.2m | 30mで約7.1秒 |
| 車(時速40km) | 秒速 約11.1m | 40mで約3.6秒 |
車から読ませる面は、この秒数から文字数が決まります。
40m見えていれば 40 ÷ 11.1 = 約3.6秒
判断に使えるのを2秒、1秒に読めるのを2〜3文字と置く(目安)
2 × 2 = 4 / 2 × 3 = 6 → 4〜6文字
外の面に載るのは、業種名と店名でほぼ終わりです。 歩く人には18秒あります。読ませたい細かい話は、そちらへ回します。
車で寄る人の動きは、駐車のしかたで変わります。 区画と誘導の考え方は駐車場の看板にまとめました。
外の面と中の表示に、役割を振り分ける
店員が説明していたことを、貼る場所ごとに切り分けます。
外の面と中の表示では、読む人の姿勢が違います。 外は通りすがり、中は立ち止まっています。
| 面の役割 | その場の問い | 載せるもの |
|---|---|---|
| 遠くから見つける面 | ここは何の店か | 業種名と店名の二つ |
| 入口で判断する面 | 今すぐ使えるのか | 営業時間と、空きの分かる窓 |
| 機械のそばの表示 | どう動かすのか | 番号、手順、支払いの方法 |
| 困ったときの表示 | 誰に連絡するのか | 連絡先と、機械の番号 |
車から読めるのは4〜6文字です。料金も機械の台数も、外の面では読まれません。中の表示へ回します。
通る人が知りたいのは、今この時間に開いているかです。短く、他の文字より大きく置きます。
一枚にまとめると読まれません。使う機械の前に、その機械のことだけを貼ります。
文字の高さを割り算で出す
読ませたい距離が決まれば、高さは計算で求まります。
40m先(道路から) → 40,000 ÷ 500 = 80mm / ÷ 250 = 160mm → 8〜16cm
20m先(歩道から) → 20,000 ÷ 500 = 40mm / ÷ 250 = 80mm → 4〜8cm
5m先(機械の表示) → 5,000 ÷ 500 = 10mm / ÷ 250 = 20mm → 1〜2cm
この幅は、明るい場所で正面から見た値です。 書体、地の色との明暗差、周りの明かりの量で変わります。 夜に働かせる面は、大きいほうへ寄せてください。 明るさの選び方は電飾看板・LED看板で扱っています。
洗い方も乾かし方も支払いも、一枚にまとめると読まれません。 読む人は、目の前の一台をどう動かすかしか考えていないからです。 機械ごとに番号を振り、その機械の前に、その機械の手順だけを貼ってください。 説明を表示へ移す考え方は無人店舗の看板にまとめてあります。
夜の光と、近隣の決まりを確かめる
この店は、人が寝ている時間にも光り続けます。
住宅に囲まれた立地は、この業態では珍しくありません。 掲出したあとに向きを変える工事は、最初に確かめるより高くつきます。
| 屋外広告物としての扱い | 面積と高さの上限。表示できる期間と、更新の時期。 |
|---|---|
| 光の量と時間 | 住居のある地域では、明るさや点灯時間に制限がかかる場合がある。 |
| 敷地からはみ出す面 | 道路の上に出る部分があると、別の手続きが要ることがある。 |
| 深夜の音と車の出入り | 看板そのものではないが、掲出の位置で動線が変わる。 |
| 貸主・管理者の承諾 | 借りた建物なら、取り付けの方法と外すときの状態を先に決める。 |
| 電源の引き回し | 常時点けるなら、経路と切り替えの方法を工事の前に決める。 |
屋外広告物としての扱いは、土地によって違います。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域に分かれます。 許可に表示できる期間が定められ、更新の手続きが要る場合もあります。 要否と様式は、管轄の窓口へお尋ねください。 流れそのものは屋外広告物の許可にまとめました。
常時点ける面の電力量を、自分で出す
24時間点ける面は、消したり点けたりする面と桁が変わります。
40W × 24時間 = 960Wh = 0.96kWh/日
0.96 × 30日 = 28.8kWh/月
これに、検針票にある1kWhあたりの単価を掛ける
単価は契約で違うため、ここでは掛けません。 自分の検針票の数字を入れると、月あたりの電気代が出ます。 消費電力を半分にすれば、電力量も半分になります。 電源と配線の決め方は光る看板の電気にあります。
近くの住戸から見て、光が窓へ直に入らない向きを選びます。
面の角度を数度振るだけで、届き方は変わります。
点灯の終わりの時刻を決めておくと、話し合いの材料になります。
近隣への配慮の進め方は看板と近隣への配慮で扱っています。
※ 明るさの上限、点灯時間の制限、掲出の可否は地域により異なります。着工前に管轄の窓口へお確かめください。
掲出の年数で割り、必要な利用回数を出す
1回の利用で見ると、判断できる大きさの数字になります。
費用が動くところを見る
| 面の数 | 道路側、入口、機械のそば。数がそのまま総額に効く。 |
|---|---|
| 光らせるかどうか | 電源工事の有無で、工事の範囲が変わる。 |
| 取り付ける先 | 自立で立てるか、建物に付けるか。基礎の要否で変わる。 |
| 中の表示の作り方 | 紙で貼るか、板にするか。差し替えの回数で選ぶ。 |
| 書き換えの見込み | 料金や台数を変える予定があるなら、差し替えられる作りにする。 |
| 撤去と原状回復 | 外す日、外す人、壁を戻す範囲。 |
紙で貼るか、板にするか。中の表示は、差し替えの回数で選びます。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。
月あたりに直し、回数まで落とす
一式の総額480,000円 ÷ 60か月 = 月8,000円
この480,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。
次に、1回の利用で残る粗利で割ります。
8,000 ÷ 300 = 26.6 → 月27回(切り上げ)
30 ÷ 27 = 1.11 → 約1.1日に1回
検算:27 × 300 = 8,100円 → 月8,000円を上回る
看板を見て来た人の利用が、ほぼ1日に1回増えれば釣り合う計算になります。 600円も粗利率0.5も、仮の置き方です。 自分の平均単価と、直近の粗利率に差し替えて計算し直してください。
この式は、面ごとにも使えます。 道路側に1面足す費用を同じように割れば、その面が何回を連れて来れば釣り合うかが出ます。 小さな面ほど、必要な回数は小さくなります。
稼働の記録を時間帯で並べ、暗い面から直す
無人の店では、機械の記録が聞き取りの代わりになります。
多くの機械は稼働の記録が残ります。曜日と時間帯に分けるだけで、弱い時間が見えます。
道路の反対側と、来る方向の両方から見ます。読めない面がその場で分かります。
「何で知りましたか」の一問だけにします。無人の店では、口頭で聞けない代わりになります。
同じ曜日、同じ時間に数えます。増減の比較に使える、いちばん安い記録です。
上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は、すでに手元にある記録を並べ替えるだけで済みます。
見る時期を決める
| 2週間 | 曜日ごとの差を見ます。休日と平日を混ぜないでください。 |
|---|---|
| 1か月 | 時間帯ごとの稼働を並べ、狙った時間帯が動いたか確かめます。 |
| 3か月 | 前の3か月と比べます。天気の偏りが、ここでならされます。 |
| 1年 | 色あせと光源の劣化を見ます。許可の期限を確かめる時期でもあります。 |
この業態の稼働は、天気で大きく揺れます。 雨の続いた週と、晴れの続いた週を並べても、面の効き方は見えません。 3か月でひとまとめにすると、揺れがならされます。
効かないときは、この順で疑う
- 1日没後に、外から見て回る
費用はかかりません。暗い面と、影に入る面が、この時点でほとんど分かります。
- 2点灯の時刻を、日没に合わせ直す
タイマーは季節でずれます。年に2回合わせるだけで、暗い時間が消えます。
- 3面の前の植木と自転車を片づける
下半分が隠れると、店名は読めません。置き場所を決めれば戻りません。
- 4外の面から、料金と台数を外す
既存の面に上から貼るだけで済むことがあります。減らすほど、店名が大きく置けます。
- 5「24時間」を、他の文字より大きく置き直す
通る人が最初に確かめるのは、開いているかどうかです。
- 6道路側に、小さな面を一つ足す
直すより、抜けている向きを埋めるほうが早く効きます。作り直しは、この後です。
上のほうほど、費用をかけずに手を打てます。 1番から3番は、その日のうちに終わります。 面を作り直すのは、六つを試した後です。
よくある失敗5パターン
どれも、貼る場所を変えるか、載せた文字を削ることで手当てできます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 外の面に料金表を載せた | 離れると何の店か読めない | 料金は入口の面へ移す。外は業種名と店名に絞る |
| 照明のタイマーを季節で合わせなかった | 暗い時間に店が消える | 日没時刻に合わせ、春と秋に見直す |
| 機械の使い方を一枚にまとめた | 前で立ち止まり、行列になる | 機械ごとに切り分けて、その機械の前に貼る |
| 連絡先を事務室の中だけに貼った | 止まったとき、外から連絡できない | 入口の内側と機械のそばに、同じ連絡先を出す |
| 近くの住戸への光を確かめなかった | 掲出のあとに向きを変える工事が要る | 掲出前に、夜の光の向きを現地で確かめる |
セルフチェックリスト
発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 取りたい時間帯を、朝・夜・休日の中から決めた
- 来る手段ごとに、面が見えている距離を測った
- 車から読ませる文字を、4〜6文字に収めた
- 読ませたい距離から、文字の高さを割り算で出した
- 外の面に、業種名と店名以外を載せていない
- 「24時間」を、外の面のどこに置くか決めた
- 日没後に、外から自分の面を見た
- 近くの住戸から、光がどう見えるかを確かめた
- 機械ごとの表示を、その機械の前に分けて貼った
- 止まったときの連絡先を、外から見える場所に出した
- 常時点ける面の電力量を、自分で計算した
- 掲出の年数で費用を割り、必要な利用回数に直した
よくある質問
コインランドリーの看板は、何から決めればいいですか?
外の看板には、どのくらいの文字を載せられますか?
夜の照明は、どこまで気をつければいいですか?
機械の使い方は、看板にまとめて書くべきですか?
効いているかは、いつ判断しますか?
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
まとめ
24時間動く無人の店の看板は、次の順序で決まります。
| 1 時間帯を決める | 朝・夜・休日のどれを取るかを決め、来る手段ごとに距離を測る。 |
|---|---|
| 2 役割を振り分ける | 外は業種名と店名。手順は機械の前へ分けて貼る。 |
| 3 光と決まりを確かめる | 向き、点灯時刻、掲出の許可を窓口と貸主に確かめる。 |
| 4 費用を割る | 掲出の年数で総額を割り、1回あたりの粗利で回数へ直す。 |
| 5 記録から直す | 稼働を時間帯で並べ、暗い面と隠れた面から手を入れる。 |
店員が説明できない店では、削った表示ほどよく読まれます。 外は見つけてもらうため、中は迷わせないため。役割を混ぜないことです。