看板集客 / 2026年9月5日 更新 / 読了目安 約13分

葬儀社・斎場の看板の作り方
静かに導く5ステップ

事務所や式場の看板をこれから用意する方へ。 この看板を読む人は、三つに分かれます。 普段この道を通る地域の方。当日はじめて来る会葬の方。搬入と出棺の車両です。 求められるものが違うので、面を分けて考えます。

5手順割り当てから測り方まで
3看板を読む人の種類
11項目発注前に見る点
この記事でわかること

看板を読む三つの相手と、それぞれに割り当てる面/ 変わらない表示と、施行ごとに変わる表示の分け方/ 掛け替えの手間を、年あたりの時間に直す数え方/ 道から受付までの分岐に、表示を一枚ずつ置く考え方/ 読ませたい距離から、文字の高さと設置の高さを出す式/ 常設と掛け替えの費用を足し、必要な件数に直す式

平常時と施行時で、看板の役割が変わる

この業種の看板は、二つの時間を持ちます。 普段は名前を覚えてもらう面、施行の日は道を示す面になります。

一つの看板で両方を兼ねようとすると、どちらも中途半端になります。 起きやすいのは、次の四つです。 社名だけの面を建て、当日の式名を出す場所が残らない。 掛け替えの表示を毎回その場で作り、施行のたびに手間が増える。 敷地に入ってからの案内が足りず、会葬の方が駐車場と玄関の間で立ち止まる。 夜の光が強く、近隣から問い合わせが届く。

どれも、発注の前に手を打てば起きません。 面を割り当て、常設と掛け替えを分け、動線を文字にし、費用を直し、あとで数える。 この五つを順に埋めます。

Step 1

三つの読み手を分けて、面を割り当てる

一枚で三人ぶんを兼ねません。読み手ごとに面を持たせます。

道路に面した面は、名前に使う

普段この道を通る人が見る面です。ここで覚えてもらえば、必要になったときに思い出してもらえます。社名と、業種を示す一語で足ります。

敷地の入口に、当日の表示を置く

車も徒歩も、ここで曲がります。式の名前と進む方向を出す場所です。施行のたびに変わるので、掛け替えのできる作りにします。

建物の前で、受付の方向を示す

玄関にたどり着いた方が次に探すのは受付です。矢印と短い語で足ります。屋内の表示も、同じ考え方で置きます。

車両の経路は、別に描く

霊柩車や搬入の車が、会葬の方と同じ道を通るとは限りません。入口を分けるなら、そこにも表示が要ります。停める位置まで示します。

読み手は三つです。見る場面も、探しているものも違います。

読み手いつ見るかその面が伝えること
地域の方普段、通りがかりに社名と、何をする建物か
会葬の方当日、はじめて来る式の名前、入口、受付の方向
車両搬入と出棺のとき進入口と、停める位置

三つを一枚に詰めると、当日いちばん探されている式の名前が小さくなります。 面を増やすのではなく、一枚あたりの内容を減らす方向で組みます。

車両の経路も、この段階で決めます。 徐行を時速20kmと置くと、秒速は 20 ÷ 3.6 で約5.6mです。 3秒読ませるなら、曲がる場所の 5.6 × 3 で約17m手前に表示が要ります。 敷地の中の組み立ては駐車場・入口の案内サインの作り方で扱っています。

Step 2

常設と、掛け替えの表示を分ける

変わらないものと、施行ごとに変わるものを別の面にします。

載せる内容を、変わるかどうかで仕分けます。

表示する内容変わるか置く面
社名変わらない常設の面
何をする建物か変わらない常設の面
受付の方向変わらない常設の小さな面
式の名前と会場名施行ごとに変わる掛け替えの枠

仕分けができたら、掛け替えの作りを選びます。 差し替えの手間と、面の材質で決まります。

作り差し替えの動作向く場合
掲示枠にはめる紙を入れ替える施行の件数が多いとき
マグネットで留める板を付け外す面が鉄でできているとき
レールに差し込む文字板を抜き差し表示が短い語のとき
画面に映す手元で書き換える会場が複数あるとき

掛け替えの手間を、年で数える

1回あたりの時間に、年の件数を掛けます。 年60件と置いて計算します。

1回15分の作り → 60 × 15 = 900分 / 900 ÷ 60 = 年15時間
1回3分の作り → 60 × 3 = 180分 / 180 ÷ 60 = 年3時間
15 − 3 = 年12時間の差

差し替えの作りを選ぶ段階で、年に12時間ぶんの差がつきます。 件数が増えるほど、この差は広がります。

外す手順も、同じときに決めます。 終わった掲示が残ると、次に来た方の目に前の式の名前が入ります。 片付けの手順に一行足せば防げます。

屋外広告物としての扱いを、掲出の前に確かめる

常設の面は、大きさ・高さ・出す位置によって届け出の対象になることがあります。 掛け替えの掲示も、内容と出し方によって扱いが変わります。 画面に映す形は、光の量や動きに条件が付く地域があります。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域とがあります。
※ 要否と手続きは、管轄の窓口へご確認ください。

Step 3

当日はじめて来る人の動線を、文字にする

会葬の方は、時間に遅れられません。迷う時間をゼロに近づけます。

曲がる場所ごとに、一つ置く

人が迷うのは分岐だけです。道から敷地へ、敷地から玄関へ、玄関から受付へ。この三か所に一枚ずつ置きます。

次に見るものを、指し示す

一枚で全部を説明しません。「駐車場はこちら」の先に、次の表示が見えていれば足ります。見えない区間には一枚足します。

高齢の方を前提に置く

会葬の方には高齢の方が多く含まれます。算出した文字の高さは、幅の大きいほうを採ります。細い書体は、離れると線が消えます。

立ち止まらずに読める語数にする

一枚に入れるのは、方向を示す語と行き先の名前だけです。読点でつないだ文は、歩きながらでは読み切れません。

距離から、文字の高さを出す

面ごとに、読ませたい距離を測ります。 その距離を250と500で割ると、必要な高さの幅が出ます。

文字の高さ = 視認距離 ÷ 250 〜 視認距離 ÷ 500
道路から常設の面を見る(20m)→ 20,000 ÷ 500 = 40mm / 20,000 ÷ 250 = 80mm → 4〜8cm
敷地の中で案内を見る(10m)→ 10,000 ÷ 500 = 20mm / 10,000 ÷ 250 = 40mm → 2〜4cm
進入路を車から見る(50m)→ 50,000 ÷ 500 = 100mm / 50,000 ÷ 250 = 200mm → 10〜20cm

高齢の方が読む前提なので、いずれも大きいほうの数字を採ります。 書体、地の色との明暗差、当日の天候によって、読める距離は変わります。

設置する高さを決める

歩く方が読む表示は、文字の中心を床から1.4m前後に置くのが目安です。 立ったときの目の高さに近い位置になります。

車いすの方や背の低い方も、同じ面を読みます。 文字が1.2mから1.6mの間に収まると、どちらの高さからも読めます。 作りの考え方はユニバーサルデザインの看板にまとめています。

明暗差は付け、彩度と光は抑える

読みやすさは、色の鮮やかさではなく明るさの差で決まります。 地を濃い色、文字を白か生成りにすると、彩度を上げずに読めます。

この業種では、派手さより静けさが求められます。 使う色は二色までに抑えます。 夜の光も同じで、必要な明るさだけを残します。

Step 4

費用が動くところを押さえ、月あたりに直す

総額のままでは、他の支出と並べられません。

額が動くところは六つです。

常設の面の大きさと高さ道路から読ませる距離で決まります。高い位置に出すほど、支柱と基礎の工事が乗ります。
掛け替えの作り枠にはめるか、差し込むか、画面に映すか。差し替えを楽にするほど、初めの作りに費用が乗ります。
掛け替えの回数外注するか、自分たちで差し替えるか。ここが年ごとの支出を決めます。
面の数道路、敷地の入口、玄関、駐車場。分岐の数だけ表示が要ります。屋内の案内は別に数えます。
夜の見え方の作り方内側から光らせるか、外から当てるか、光らせないか。電気の工事の有無で変わります。

三番目が、この業種に固有の項目です。 掛け替えは施行の数だけ発生し、年ごとの支出に直結します。 掲載社が公開している金額は看板の費用にまとめています。

常設と掛け替えを、同じ単位に直す

10年 = 10 × 12 = 120か月
常設 総額600,000円 ÷ 120か月 = 月5,000円
掛け替え 1回3,000円 × 年60件 = 180,000円/年
180,000 ÷ 12 = 月15,000円
5,000 + 15,000 = 月20,000円

掛け替えのほうが、常設の3倍になりました。 600,000 ÷ 180,000 で約3.3、つまり3年半ほどで常設1基ぶんに並びます。

ここに置いた金額は相場ではありません。 割り算の動きを見るための、仮の置き方です。

何件で釣り合うかに直す

月あたりのコスト ÷ (客単価 × 粗利率) = 月に必要な件数
500,000 × 0.3 = 150,000
20,000 ÷ 150,000 = 約0.13件/月
0.13 × 12 = 年に約1.6件

1件あたり500,000円、粗利3割と置いた場合です。 年に2件が新しく届けば、看板にかけた費用と釣り合います。

1件が大きく件数が少ないので、年に直したほうが判断しやすくなります。 自分のところの額と粗利率に差し替えて、計算し直してください。

Step 5

施行後に、迷った人の数で測る

数えるのは来場の人数ではありません。道に迷った方の数です。

受付で聞かれた回数を数える

「どこに停めますか」「受付はどちらですか」。同じ質問が繰り返されるなら、その手前の表示が足りていません。紙に正の字を書けば数えられます。

誘導に出した人の時間を数える

施行のたびに敷地へ人を立たせているなら、その時間が表示の不足ぶんです。時間が減れば、表示が代わりを務めています。

到着の時刻の散らばりを見る

開式の直前に集中して着くなら、道のどこかで時間を使っています。門から式場までの表示を見直す合図です。

当日の朝の電話を数える

道を尋ねる問い合わせです。着信の記録から数えられます。件数が多いなら、外から見える面が足りていません。

上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は、受付に紙を一枚置くだけで始められます。

見る時期を決める

1週間施行を1件終えた時点で、受付で聞かれたことを書き出します。
1か月数件ぶんがそろいます。同じ質問が繰り返されているかを見ます。
3か月誘導に出した時間を、表示を足す前と並べます。
1年常設の面の色あせと、掛け替えの枠の傷みを見ます。

看板が働いていれば、会葬の方は誰にも尋ねずに受付へ着きます。 尋ねられた回数が減っていく形が、いちばん確かな手応えです。

足りないときは、この順で疑う

  1. 1
    当日の朝に、道から歩いてみる

    費用はかかりません。会葬の方と同じ順に歩き、立ち止まった場所を書き出します。

  2. 2
    掲示の内容を減らす

    一枚に語が多いほど、探す時間が延びます。方向と行き先だけに削ります。

  3. 3
    表示の位置を、分岐の手前へ動かす

    曲がってから見えても間に合いません。曲がる前に見える位置へ移します。

  4. 4
    文字を大きくし、書体を太くする

    読ませたい距離を測り、高さを出し直します。細い書体は遠くで線が消えます。

  5. 5
    明暗差を付け直す

    地の色と文字の色が近いと沈みます。彩度は上げずに、明るさの差だけを広げます。

  6. 6
    面を足す

    分岐が抜けているときだけです。工事が要るので、ここまで試してから考えます。

  7. 7
    作り直す

    ここまでの六つで直らない場合に限ります。

上のほうほど、費用をかけずに直せます。 1番から3番までは、次の施行までに手を付けられます。 作り直しを最後に置くのは、その前の六つで直ることが多いからです。

駐車の列と夜の光は、近隣から見えている

施行の日は、短い時間に車が集まります。 進入路の表示が足りないと、路上で待つ列ができます。 列の出どころは、入口の分かりにくさであることが多いところです。 夜の光も、面の向きと明るさで抑えられます。 周囲との折り合いの付け方は、記事末の関連記事にまとめています。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、枠の後付けや紙の一枚で手を打てます。

失敗何が起きるか直し方
常設の面に、式名を出す場所を作らなかった施行のたびに紙を貼ることになる常設の面の下に、掛け替えの枠を後から付ける
掛け替えを毎回その場で作った施行のたびに手間と支出が積み上がる枠を用意し、中身だけを入れ替える形に変える
敷地に入ってからの表示が無い駐車場と玄関の間で立ち止まる方が出る分岐に矢印を一枚ずつ足す。紙とスタンドから始められる
文字を細く、小さくした高齢の方が近づかないと読めない距離から高さを出し直し、太い書体に替える
終わった掲示を外し忘れた次に来た方の目に、前の式の名前が残る外す作業を、片付けの手順に一行足す
Checklist

セルフチェックリスト

発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • 看板を読む人を、地域の方・会葬の方・車両の三つに分けて面を割り当てた
  • 常設に載せる内容と、施行ごとに変わる内容を分けた
  • 掛け替えの表示を、枠と中身に分ける作りにした
  • 掛け替え1回にかかる時間を測り、年あたりに直した
  • 終わった掲示を外す作業を、片付けの手順に入れた
  • 道から敷地、敷地から玄関、玄関から受付の分岐に、表示を置いた
  • 読ませたい距離を測り、そこから文字の高さを算出した
  • 高齢の方を前提に、算出した幅の大きいほうを採った
  • 屋外広告物としての扱いを、管轄の窓口に確かめた
  • 常設と掛け替えの費用を、月あたりに直して足し合わせた
  • 受付で聞かれた質問を、施行ごとに書き出す形を決めた
FAQ

よくある質問

葬儀社の看板は、何から決めればいいですか?
看板を見る人を分けることからです。普段この道を通る地域の方、当日はじめて来る会葬の方、搬入や出棺の車両。求められるものが違うので、面を先に割り当てます。
文字の大きさは、どう決めますか?
視認距離の250分の1から500分の1が目安です。道路から20m先なら4〜8cm、敷地の中で10m先なら2〜4cmになります。高齢の方が読む前提であれば、大きいほうを採ってください。
施行ごとの表示は、どう作りますか?
枠を常設にして、中身だけを入れ替えます。1回の差し替えが15分から3分に縮めば、年60件で12時間の差になります。外す作業も手順に入れると、掲示の残りを防げます。
許可や手続きは要りますか?
大きさ、高さ、出す位置によって、屋外広告物としての届け出の対象になることがあります。県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。要否と手続きは、管轄の窓口へご確認ください。
看板が働いているかは、どう判断しますか?
受付で道を尋ねられた回数です。同じ問いが何件も続くなら、その手前で見落とされています。3か月ほど数えると、傾向が見えます。
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
敷地の中の分岐に、矢印を一枚ずつ置くことからです。紙とスタンドで始められます。常設の面を作り替えるのは、その後で構いません。

まとめ

この業種の看板は、次の順序で決まります。

1 面を割り当てる地域の方、会葬の方、車両。三つに分けて置く面を決める。
2 常設と掛け替えを分ける変わらない内容と、施行ごとに変わる内容を別の面にする。
3 動線を文字にする分岐ごとに一枚。読ませたい距離から高さを出す。
4 費用を月あたりに直す常設は年数で割り、掛け替えは回数を掛けて足す。
5 迷った数で測る受付で尋ねられた回数と、誘導に出した時間を見る。

探している方に届き、来た方を迷わせない。この二つが揃えば足ります。 派手さを足す必要はありません。

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常設の面も掛け替えの作りも、まだ何も決まっていない段階で構いません。 掛け替えの枠まで含めて設計できるか、屋外広告物の届け出を代行できるか。この二つは先に比べられます。 本文の5ステップと同じ言葉で尋ねれば、答えを並べやすくなります。