カフェ・喫茶店の看板の作り方
過ごし方が伝わる5ステップ
これからカフェや喫茶店の看板を決める方へ。 外にいる人が知りたいのは、何が飲めるかではありません。 そこで自分が過ごせるかどうかです。 席の性格を一語で渡せる面が、足を止めます。
取りたい過ごし方と時間帯を、ひとつずつ選ぶ手順/ 外の面に出す語と、外す語の見分け方/ 読ませたい距離から文字の高さを出す早見表/ 歩道に出す看板について、どの窓口へ確かめるか/ 通り過ぎるまでの秒数を、自分の店の間口から出す式/ 月に何人拾えば釣り合うかを出す式/ 入店のきっかけを記録して、安く直せる順に手を入れる方法
飲み物の名前より、席の性格が読まれる
カフェの前で人が迷うのは、味ではありません。 ひとりで入っていいのか、どれくらい居ていいのか、が分からないからです。 中が見えない店ほど、その迷いは長くなります。 看板が引き受けるのは、この迷いを短くすることです。
つまずきやすいのは、次の四つです。 店名だけが大きく、何の店か伝わらない。 メニューを外に並べ、字が小さくなっている。 置き看板が扉の横にあり、歩いてくる人の視界に入らない。 窓を貼り物でふさぎ、席の様子が見えない。
どれも、看板を大きくしても解けません。 取りたい過ごし方を選び、外に出す語を3つまで削る。 歩道に出す面の扱いを確かめ、費用を人数に換算し、足を止めた人を数える。 この五つを順に埋めます。
なお、席で食事を出す業態や、夜が主役の店は、外に出す情報の順番が変わります。 飲食店ぜんぱんの決め方は飲食店の看板の作り方にまとめました。 このページは、席で過ごす時間そのものが商品になる店に絞ります。
どの過ごし方の客を取るか決める
看板の言葉は、選んだ過ごし方から決まります。順番を逆にできません。
休憩、作業、待ち合わせ、食事。全部に向けて書くと、どれにも向かない面になります。
朝、昼、夕方以降。混む時間に人を足しても、席は増えません。空いている時間を狙います。
電源、席数、滞在の目安。中を見なくても分かることが、外にいる人の判断材料です。
長居できない、席が少ない。先に言えば、入ってから帰る人が減ります。
四つのうち、飛ばされやすいのは4番目です。 断るものを書いた面は、入ってから帰る人を減らします。 席が少ない、長居に向かない。 先に伝えれば、席の回転も、客の落胆も、どちらも軽くなります。
時間帯についても、ひとつ選びます。 混む時間に人を足しても、席は増えません。 空いている時間に来る理由を、面に書くほうが効きます。
静かでも作業できても待ち合わせにも使える。 そう書かれた面から、読む人は何も受け取れません。 ひとつに絞ると、その過ごし方を探している人だけが強く反応します。 残りの過ごし方の客は、入ってから見つけてくれます。
外に出す三つを決める
通り過ぎる時間は、思っているより短いものです。まず秒数を出します。
歩いている人が、店の前にいる時間を計算します。 歩く速さを時速4kmと置きます。
間口を3mと置く
3 ÷ 1.11 = 約2.7秒
2.7秒で読み切れる量が、外の面に載せられる上限です。 時速4kmも間口3mも仮の置き方です。 自分の店の間口を測って、入れ直してください。
この秒数から逆算すると、載せられるのは3語までです。 何を出して何を外すか、仕分けます。
| 項目 | 外の面 | 理由 |
|---|---|---|
| 店の種別 | 出す | 喫茶か、焙煎か、軽食もあるか。入る前に要る情報。 |
| 過ごし方が分かる一語 | 出す | 「作業できる」「静か」など、席の性格を示す語。 |
| 店名 | 出す | 探して来る人の目印。ただし読めない字では役に立たない。 |
| 看板商品を1つ | 条件つき | 名指しで選ばれる品があるときだけ。 |
| メニューの全品 | 外す | 面が字で埋まり、遠くから何も読めなくなる。 |
| こだわりの説明文 | 外す | 通り過ぎる数秒では読み切れない。 |
メニューを外したのは、要らないからではありません。 置く場所が違うだけです。 入口の手元で読ませる面の作り方はメニュー看板・メニューボードの作り方が扱っています。
読ませたい距離から、文字の高さを出す
距離が決まると、文字の高さが出ます。目安は視認距離の1/250〜1/500です。
| 読ませたい距離 | 文字の高さの目安 | その距離で伝わること |
|---|---|---|
| 2m(置き看板の前) | 0.4〜0.8cm | 品目と値ごろ感まで読める |
| 5m(歩道の反対の端) | 1〜2cm | 過ごし方を示す一語が読める |
| 10m(道の向かい) | 2〜4cm | カフェだと分かる |
| 20m(角の手前) | 4〜8cm | 店名と、店があること |
書体、地と文字の色の差、灯りの有無で、読める大きさは前後します。 寸法を根拠から出す手順は看板の大きさの決め方にまとめました。
置く位置も同時に決めます。 置き看板は、人の流れが来る側の端へ寄せます。 扉の真横に置いた看板は、通り過ぎてから目に入ります。
置き看板と掲出の手続きを確かめる
出す場所によって、確かめる窓口が変わります。面ごとに分けて見ます。
カフェは面が多い業態です。 壁、袖、置き看板、窓、テントの幕。 面ごとに、扱いを決めている窓口が違います。
| 建物に付ける面 | 大きさと位置で、屋外広告物の手続きが要る場合がある。 |
|---|---|
| 歩道に出す置き看板 | 道路に出る部分は、道路を管理する窓口の扱いになる。 |
| 敷地の中に置く看板 | 道路に出ていなくても、貸主の承諾が要ることがある。 |
| 窓に貼る表示 | 面積の割合で扱いが変わる地域がある。 |
| テントの幕に入れる文字 | 幕そのものと、文字とで手続きが分かれる場合がある。 |
置き看板が道路に出ていると、扱いが変わります。
県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。
建物を借りている場合は、壁に付ける面について貸主の許可も要ります。
※ 必要な手続き、出せる大きさ、更新の時期は地域によって異なります。出す前に管轄の窓口へお確かめください。
調べる順番と、更新の管理の仕方は屋外広告物の許可ガイドに整理しました。 置き看板を毎日出し入れする店は、のぼり・置き看板の使い方もご覧ください。
費用と回収ラインを計算する
看板が拾うのは、素通りしていた人です。人数に直して比べます。
費用が動くところを見る
| 出す面の数 | 壁、袖、置き看板、窓。面の数だけ製作と取り付けが積み上がる。 |
|---|---|
| 文字の入れ方 | 印刷したシート、切り文字、手書きの黒板。替えやすさで動く。 |
| 夜に読ませるか | 灯りを当てるか、光る面にするか。電気の引き込みが要る場合も。 |
| 取り付ける高さ | 手が届くか、脚立や車が要るか。作業の手間が変わる。 |
| 替える回数 | 季節の品を出すなら、書き替えの回数が5年分の合計を動かす。 |
2行目と5行目は対です。 季節ごとに書き替える店なら、はじめから替えやすい作りを選ぶほうが5年分では軽くなります。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。
月あたりに直して、人数に換算する
動かさない面と、書き替える面を分けて直します。
96,000 ÷ 60 = 1,600円/月
書き替える面:仮に年4,800円かかる
4,800 ÷ 12 = 400円/月
合わせて 1,600 + 400 = 2,000円/月
96,000円も4,800円も、相場ではありません。 割り算の動きを見るための、仮の数字です。
次に、この面が拾う来店の粗利で割ります。
1,000 × 0.5 = 500円
2,000 ÷ 500 = 4人/月
素通りしていた人を、月に4人拾えば釣り合います。 日数に直すと、30 ÷ 4 = 7.5。およそ1週間に1人です。
1,000円も0.5も、仮の置き方です。 自分の客単価と粗利率に差し替えて、計算し直してください。
入店のきっかけを記録して直す
数えるのは売上ではありません。足を止めた人と、その理由です。
レジから見える範囲で足ります。止まったのに入らない人が、いちばん近い客です。
会計のときに一言です。「置き看板」「窓の字」と返れば、その面が働いています。
外の表示と中の様子が食い違っています。席数か騒がしさが多くの理由です。
全体では動きが見えません。朝だけ、夕方だけで並べると差が出ます。
上にあるものほど、手間がかかりません。 1番目は今日から始められます。紙とペンだけで足ります。
止まったのに入らなかった人は、いちばん近くにいた客です。 その数が増えていれば、看板は働いています。 入店に変わらないなら、原因は面ではなく入口にあります。
一日じゅう数えると続きません。 狙った時間帯の1時間だけ、週に2日で足ります。 同じ曜日、同じ時刻で並べれば、増えたか減ったかは分かります。
見る時期を決める
| 2週間 | 足を止めた人の数だけを見ます。出す前の2週間と並べます。 |
|---|---|
| 1か月 | 初めての客の数を見ます。増えないなら、面の位置を疑います。 |
| 3か月 | 狙った時間帯の来店を見ます。回収の計算と並べます。 |
| 半年 | 載せている語を並べ直します。足すより、減らすほうが先です。 |
看板を見た人が、その日に入るとは限りません。 気づいてから来るまでに、何度か前を通ります。 2週間の数字で、面の良し悪しを決めないでください。
反応が薄いときは、この順で試す
- 1置き看板を、人の流れが来る側へ向け直す
道の上流から見えているかを確かめます。角度を変えるだけで済みます。
- 2過ごし方を示す一語を、いちばん大きくする
店名が最大になっている面は多いものです。知らない店名は目印になりません。
- 3載せている語を減らす
3つを超えていないか読み返します。減らせば残りを大きくできます。
- 4日が落ちてから、自分で店の前に立つ
昼に読めた面が、夜は沈みます。灯りの当たり方で見え方が変わります。
- 5窓の内側の貼り物を、いったん全部はがす
外の看板より先に、窓が視界をふさいでいることがあります。
- 6面そのものを作り直す
前の五つを終えてから、はじめて検討します。
1番から3番までは、その日のうちに試せます。 費用のかかる手当ては、後ろに寄せてあります。 営業時間の見せ方をあわせて決めるなら、営業時間の表示の作り方が入口になります。
よくある失敗5パターン
どれも、置き直しと貼り替えの範囲で手当てできます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 店名だけを大きく出した | 知らない人には何の店か分からず、素通りされる | 業種か過ごし方の語を1つ足し、店名と同じ大きさにする |
| メニューを外の面に並べた | 字が小さくなり、通り過ぎる間に何も読めない | 外の面は3語までに削り、品目は入口の小さな面へ移す |
| 置き看板を扉の真横に置いた | 歩いてくる人の視界に入らず、通り過ぎてから気づく | 人の流れが来る側の端へ寄せ、面を流れに向ける |
| 窓を貼り物でふさいだ | 中の様子が見えず、入ってよい店か判断できない | 窓の貼り物を減らし、席が見える幅を残す |
| 夜の見え方を確かめずに決めた | 看板は読めるが、店が営業中か分からない | 灯りの向きを変えるか、入口だけ明るくする |
セルフチェックリスト
発注の前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 取りたい過ごし方を、ひとつに絞った
- 取りたい時間帯を、ひとつに絞った
- 席でできることを、外の面に一語で書いた
- 外の面に載せた語を、3つ以内に収めた
- メニューの全品を、外の面から外した
- 読ませたい距離から、文字の高さを出した
- 人の流れが来る側から、看板が見えることを現地で確かめた
- 日が落ちてから、店の前に立って読めることを確かめた
- 窓越しに、席の様子が見える幅を残した
- 歩道に出す部分について、管轄の窓口へ問い合わせた
- 看板にかかる費用を月あたりに直し、必要な人数を出した
- 入口で足を止めた人の数を、数え始めた
よくある質問
カフェの看板は、何から決めればいいですか?
文字はどれくらいの高さにすればいいですか?
歩道に置き看板を出すのに、手続きは要りますか?
効果は、いつ判断すればいいですか?
すでに出している看板を、作り直さずに直せますか?
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
まとめ
カフェ・喫茶店の看板は、次の順序で決まります。
| 1 過ごし方を決める | 取りたい過ごし方と時間帯を、ひとつずつ選ぶ。 |
|---|---|
| 2 出す語を絞る | 通り過ぎる秒数から逆算し、3語まで削って高さを出す。 |
| 3 掲出を確かめる | 面ごとに窓口が違う。歩道に出る部分は出す前に確かめる。 |
| 4 費用を計算する | 月あたりに直し、拾えば釣り合う人数まで落とす。 |
| 5 記録して直す | 足を止めた人を数え、置き直しと貼り替えから手を入れる。 |
看板が渡せるのは、店に入ってからの時間の想像です。 飲み物の名前は、入ってからでも読めます。 外で渡すのは、そこに居ていいという合図ひとつで足ります。