看板集客 / 2026年9月6日 更新 / 読了目安 約12分

商店街・共同の看板
複数の店で出す5ステップ

これから通り全体で看板を出そうとしている方へ。 共同の看板が止まる理由は、たいてい技術ではなく合意です。 誰が決め、誰が払い、誰が持つのか。 この三つを先に片づけると、残りの工程はふつうの看板と変わりません。

5手順合意の作り方から見直しまで
5入口から店頭まで
12項目着手前に決める点
この記事でわかること

持ち主と決め方を、着手の前に定める手順/ 共同で持つ面と、各店が持つ面の線引き/ 歩く速さから出す、読める文字数と文字の高さ/ 道路にかかる部分の手続きと、責任の所在/ 年数と店数で総額を割り、1店あたりの負担に直す式/ 店の入れ替えに耐える作り方と、外す判断の出し方

案が悪いのではなく、決め方が決まっていない

共同の看板は、案を出すところまでは早く進みます。 止まるのは、誰がどう決めるかを決めていない場合です。

起きやすいのは、次の四つです。 持ち主を定めないまま立て、壊れたときに直す人が決まらない。 共同の面に全店の名前を並べ、載る順で話が止まる。 閉めた店の欄が残り、面全体が古く見える。 設置費だけを集め、電気代と保険を見込んでいない。

どれも、着手の前に手を打てば起きません。 決める人を決め、面を線引きし、手続きを確かめ、費用を割り、数えて見直す。 この五つを順に埋めます。

Step 1

決める人と払う人を、先に決める

デザインの話は、この工程が終わってから始めます。

看板の持ち主を、書面で一つに定める

団体の名義か、代表者の個人名か。持ち主が曖昧なまま立てると、壊れたときに直す人が決まりません。

決め方の手順を、着手の前に合意する

全会一致か、多数決か、役員に任せるか。合意の取り方を先に決めると、案の中身で揉めても前へ進みます。

払う人と払わない人の線を引く

面に名前が載る店だけか、通りに面する全店か。線を後から引き直すのが、いちばん難しくなります。

抜けた店と入った店の扱いを、先に書く

閉めた店の欄をどうするか、新しい店をいつ足すか。数年のうちに必ず起きます。

書面に残す項目は、多くありません。 次の六つで足ります。

持ち主団体名か個人名か。書面に残す。
決め方全会一致か、多数決か、委任か。
負担の範囲設置費だけか、電気代と保険も含むか。
更新の周期何年ごとに面を見直すか。
入れ替えの手順抜けた店、入った店をどう反映するか。
やめるときの決め方外す判断を、誰がどう出すか。

いちばん忘れられるのは、やめるときの決め方です。 立てる話は熱意で進みますが、外す話は誰も切り出しません。 判断を出す人と時期を、設置の合意と同じ紙に書いておきます。

建物の中に入っている店を案内する板は、決め方も作り方も別になります。 考え方はテナント案内板にまとめました。

Step 2

共同で出す面と、各店が出す面を線引きする

線を引く場所を間違えると、合意の回数が増えます。

通り全体の話は共同で、店の話は各店で。 この分け方が、いちばん揉めません。

答える問い持ち主
入口の面通り全体の名前共同で持つ
区画を分ける面どのあたりに何があるか共同で持つ
共同の案内板店の並びと位置共同で持つ
各店の袖看板その店が何屋か各店が持つ
店頭の置き看板その日の売り各店が持つ
共同の面には、店名を並べない

並べた瞬間に、載る順と大きさの話になります。位置を示す図と、区画の呼び名だけに絞ると合意が早く済みます。

個店の面は、そろえるより高さを決める

デザインをそろえると、各店の費用と自由を奪います。取り付けの高さと、出っ張る長さの上限だけを共通の約束にします。

差し替える場所を、地上の高さに置く

店の入れ替えは必ず起きます。脚立で届く高さに差し替え枠を作ると、その日のうちに直せます。

載せられる量は、通り過ぎる速さで決まります。

歩く速さ 時速4km = 4,000 ÷ 3,600 = 秒速 約1.1m
5m手前から見える → 5 ÷ 1.1 = 約4.5秒
1秒に読めるのを2〜3文字と置く(目安)
4.5 × 2 = 9 / 4.5 × 3 = 13.5 → 9〜13文字

立ち止まって読む人は、この限りではありません。 ただし足を止めるかどうかは、最初の数秒で決まります。 通りすがりに読める9〜13文字で、止まる理由を作ってください。

自転車で通る人は、さらに短くなります。 時速15kmは秒速約4.2mなので、30mの区間は 30 ÷ 4.2 で約7秒です。

文字の高さを割り算で出す

読ませたい距離が決まれば、高さは計算で求まります。

文字の高さ = 視認距離 ÷ 250 〜 視認距離 ÷ 500
30m先(入口の面) → 30,000 ÷ 500 = 60mm / ÷ 250 = 120mm → 6〜12cm
20m先(区画の面) → 20,000 ÷ 500 = 40mm / ÷ 250 = 80mm → 4〜8cm
5m先(案内板) → 5,000 ÷ 500 = 10mm / ÷ 250 = 20mm → 1〜2cm

この幅は、明るい場所で正面から見た値です。 書体、地の色との明暗差、日差しの向きで変わります。 屋根のある通りは昼でも暗くなるため、大きいほうへ寄せてください。

全店名を並べた面は、作った日から古くなる

店の入れ替えは、数年のうちに必ず起きます。 名前を並べた面は、一店抜けるたびに直す必要が出ます。 区画の呼び名と位置図にしておけば、入れ替わっても面はそのまま使えます。 名前を載せるなら、脚立で届く高さの差し替え枠に限ってください。

Step 3

道路にかかる手続きと、持ち主の責任を確かめる

共同の看板では、責任の所在が最初の争点になります。

路面や上空を使う看板には、屋外広告物とは別の手続きが重なります。 窓口が二つに分かれることを、前提に段取りを組んでください。

道路にかかる部分路面や上空を使う場合、占用の手続きが要ることがある。
屋外広告物としての扱い面積と高さの上限。表示できる期間と更新の時期。
構造としての扱い大きさや高さによって、別の確認が要る場合がある。
持ち主の責任落下や転倒が起きたとき、誰が負うかを書面にする。
保険の加入共同で持つ面を、誰の名義で掛けるか。
点検の担当誰が、いつ、どこまで見るかを決める。

屋外広告物としての扱いは、土地によって違います。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域に分かれます。 許可に表示できる期間が定められ、更新の手続きが要る場合もあります。 要否と様式は、管轄の窓口へお尋ねください。 流れそのものは屋外広告物の許可にまとめました。

点検の担当を、名前で決める

共同の看板は、全員のものであり、誰のものでもなくなります。

見る人、見る時期、見る範囲を紙に書く

当番制にすると、引き継ぎのたびに抜けます。 役職に紐づけると、人が替わっても続きます。 高い場所や電気に触れる部分は、専門の業者へ回してください。 見る項目と周期は看板の点検で扱っています。

落ちたときに誰が負うかを、先に書いておく

持ち主が曖昧な看板は、事故が起きてから所有者を探すことになります。 名義、保険の契約者、点検の担当。 この三つを同じ紙に書き、参加する全店へ配ってください。
※ 道路の占用、屋外広告物の許可、構造としての扱いは地域や大きさにより異なります。着手前に管轄の窓口へお確かめください。

Step 4

年数と店数で割り、1店あたりの負担を出す

総額のままでは決まりません。1店の月額まで落とします。

費用が動くところを見る

面の数と大きさ入口と区画の面は、通りの長さで数が決まる。
道路上に出すかどうか路面や上空を使うと、手続きと構造の要件が加わる。
差し替えの方式入れ替えを想定した枠にするかで、後年の費用が変わる。
照明の有無電気を引くか、日中だけ読ませるかで工事の範囲が動く。
維持にかかるもの電気代、保険、清掃、点検。毎年出ていく。
外すときの費用道路上の面は、外す作業にも手続きが要ることがある。

設置費だけを集める計画は、数年後に行き詰まります。 毎年出ていくものを、先に足し上げてください。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。

1店あたりの月額まで落とす

10年 = 10 × 12 = 120か月
一式の総額900,000円 ÷ 120か月 = 月7,500円
参加15店 → 7,500 ÷ 15 = 1店あたり月500円

この900,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。

次に、1店の側で回収を見ます。

1人あたりの粗利 = 客単価3,000円 × 粗利率0.6 = 1,800円
500 ÷ 1,800 = 0.277 → 月0.3人
3か月分の負担 = 500 × 3 = 1,500円
3か月に1人来れば 1,800円 → 1,500円を上回る

看板を見て入った客が、3か月に1人いれば釣り合う計算になります。 3,000円も粗利率0.6も、仮の置き方です。 自分の平均単価と、直近の粗利率に差し替えて計算し直してください。

1店あたりの月額に直すと、話が動きます。 総額で示すと反対が出やすく、月額で示すと判断が早まります。 店数が減れば負担が増えることも、同じ式で示せます。

Step 5

通る人を数え、外す判断まで含めて見直す

増やす見直しだけでなく、減らす見直しも工程に入れます。

案内板の前で足を止めた人を数える

時間帯を決めて、10分だけ数えます。当番を回せば、一人の負担はほとんどありません。

店で「どこで見たか」を聞く

会計のときに一言たずね、月末に持ち寄ります。面ごとの効き方が見えます。

入口から出口まで、自分で歩く

初めて来た人の速さで通り抜けます。読めない面と、隠れた面がその場で分かります。

裏道からの合流点で数える

正面の入口だけを見ていると、横から入る人を数え落とします。

上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は当番を回せば、一人10分で済みます。

見る時期を決める

1か月案内板の前で足が止まるかを見ます。数が少なければ位置の問題です。
3か月各店の聞き取りを持ち寄り、効いている面を絞ります。
1年店の入れ替えを面に反映します。許可の期限を確かめる時期でもあります。
3年面の数そのものを見直します。減らす判断も、ここで出します。

通行の量は、催しと天候で大きく揺れます。 祭りの週と雨の週を混ぜると、面の効き方が見えません。 同じ曜日、同じ時間帯で数えてください。

効かないときは、この順で疑う

  1. 1
    入口から出口まで歩き直す

    費用はかかりません。読めない面がどれか、ここでほとんど判明します。

  2. 2
    案内板の前の自転車と幟をどける

    停めた自転車や、店が出した幟で下半分が隠れていることがあります。

  3. 3
    閉めた店の欄を消す

    古い名前が残っていると、面全体が信用されません。上から貼るだけで済みます。

  4. 4
    案内板を、足が止まる場所へ移す

    通り抜ける途中ではなく、信号待ちや合流点の脇へ寄せます。

  5. 5
    載せた店名を、区画の呼び名に置き換える

    15店を並べるより、区画を3つに分けるほうが読まれます。

  6. 6
    面の数を減らし、残す面へ費用を寄せる

    足すより減らすほうが効くことがあります。作り直しは、この後です。

上のほうほど、費用をかけずに手を打てます。 1番から3番は、その日のうちに終わります。 面を作り直すのは、六つを試した後です。 全体を作り替える段になったら、看板のリニューアルの進め方が使えます。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、紙に一行書くか、上から貼ることで手当てできます。

失敗何が起きるか直し方
持ち主を決めずに立てた壊れたときに直す人が決まらない書面で名義を一つに定める。次の総会の議題にする
共同の面に全店名を並べた載る順と大きさで合意が止まる区画の呼び名と位置図に置き換える
閉めた店の欄を残した面全体が古い情報に見える上から貼って消す。年1回の入れ替え日を決める
維持費を見積もりに入れなかった数年後に電気代と保険で揉める年に出ていく額を出し、負担の割り方を決めておく
外すときの話をしなかった撤去の費用と手続きが後から出る外す判断の出し方を、設置の合意と同時に決める
Checklist

セルフチェックリスト

着手の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • 看板の持ち主を、書面で一つに定めた
  • 合意の取り方を、着手の前に決めた
  • 費用を払う店の範囲を線引きした
  • 共同で持つ面と、各店が持つ面を分けた
  • 共同の面に、店名を並べない形にした
  • 案内板の前で立ち止まらずに読める文字数へ収めた
  • 読ませたい距離から、文字の高さを割り算で出した
  • 差し替える枠を、脚立で届く高さに置いた
  • 道路にかかる部分の手続きを窓口に確かめた
  • 点検の担当と、保険の名義を決めた
  • 抜けた店と入った店の反映の仕方を書いた
  • 年数と店数で費用を割り、1店あたりの負担を出した
FAQ

よくある質問

商店街の共同看板は、何から決めればいいですか?
持ち主と決め方からです。デザインの話は、この二つが決まってから始めます。順番を逆にすると、案が出るたびに合意のやり直しになります。
案内板には、どのくらいの文字を載せられますか?
9〜13文字が目安です。歩く速さは秒速約1.1mで、5m手前から見えても約4.5秒しかありません。立ち止まって読む人は、この限りではありません。
共同の面に、参加店の名前を並べてもいいですか?
並べないほうが早く進みます。載る順と大きさが決まらず、合意が止まるためです。区画の呼び名と位置図に置き換えると、店の入れ替えにも耐えます。
道路にかかる看板には、手続きが要りますか?
路面や上空を使う場合、占用の手続きが要ることがあります。屋外広告物としての許可とは別の窓口になります。県の条例が及ぶ地域と市が独自の条例を持つ地域もあるため、管轄の窓口へお尋ねください。
効いているかは、いつ判断しますか?
案内板の前で足が止まるかは1か月で分かります。各店の聞き取りは3か月ためると傾向が出ます。面の数そのものの見直しは、3年を目安にしてください。
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
閉めた店の欄を消すことからです。費用はほとんどかかりません。古い情報が残った面は、新しい面を足しても信用されません。

まとめ

共同で出す看板は、次の順序で決まります。

1 決める人を決める持ち主、決め方、負担の範囲を、書面で一つに定める。
2 面を線引きする通り全体の話は共同、店の話は各店。名前は並べない。
3 手続きを確かめる道路の占用と屋外広告物で、窓口が分かれることを前提に組む。
4 費用を割る年数と店数で総額を割り、1店あたりの月額まで落とす。
5 数えて見直す同じ曜日と時間で数え、減らす判断も工程に入れる。

共同の看板でいちばん大事なのは、外すときの決め方です。 立てる合意と同じ紙に書けば、十年後に困りません。

共同の看板を相談できる業者を探す

当ガイドは仲介や紹介を行っていません。ご相談・お見積もりは各社へ直接お願いいたします。
持ち主も面の数も、まだ何も決まっていない段階で構いません。 道路にかかる手続きまで代行できるか、設置後の点検を続けて請け負うか。この二つは比べられます。