美容室・サロンの看板
入りにくさをなくす5ステップ
これからサロンを開く方、看板を替えようとしている方へ。 予約してから来る業種では、看板を見た人はその場で入りません。 看板の仕事は、あとで調べてもらえる状態を作ることです。
予約制の店で、看板がどの層に効いてどの層に効かないか/ 屋号を調べてもらえる形にする5つの条件/ 入口までの階数から、必要な面の枚数を出す考え方/ 二次元コードの大きさと、置いてよい位置/ 通い続ける前提で、年に何人来ればまかなえるかの計算/ 予約のときに聞く質問の作り方と、増えないときに疑う順序
予約制の店では、看板はその日のためには働きません
サロンの看板の相談で多いのが「もっと目立たせたい」というご要望です。 目立たせること自体は間違いではありません。 ただ、看板を見た人がその場で扉を開けることは、この業種ではほとんどありません。
この前提を置かないと、こうなります。大きく作ったのに、予約は増えない。 屋号が読めず、調べようとした人が途中でやめる。 2階にあるのに通りへ出す面がなく、存在に気づかれない。 予約して来た人が入口を見つけられず、初回から不安を抱かせる。
相手を分け、調べられる形にし、決まりを確かめ、回収ラインを出し、予約経路を測る。 この5つを順に埋めれば、看板が引き受ける仕事の範囲がはっきりします。
予約までの距離で相手を分ける
看板が効く層と、効かない層があります。
毎日前を通っているのに、店の存在に気づいていない層です。看板が最も効きます。目に入れば、必要になった日に思い出してもらえます。
前を通るたびに気になっている状態です。止めているのは、価格帯と、どんな人が入る店かの分からなさです。
屋号を知って来ています。求めているのは「ここで合っている」という確認だけです。
道に迷わせないことがすべてです。入口が見つからないと、初回から遅刻の不安を持たせます。
予約制の店では多くありません。この層を追いかけて面を増やすと、費用ばかりが増えます。
いちばん上の層に、いちばん多くの面を割り当ててください。 毎日前を通っているのに気づいていない人は、思っているより多くいます。 その人たちが必要になった日に思い出せる形になっていれば、看板は役目を果たしています。
逆に、いちばん下の層を追いかけないでください。 その日に入る人を捕まえようとすると、面の数も内容も増えます。 予約制の店では、増やしたぶんが返ってこないことが多くあります。 載せるものを減らすほど、覚えてもらえる要素が残ります。
通りすがりの人が持ち帰れるのは、屋号1つです。 そこに施術の種類、こだわり、担当者の名前、割引の案内を並べると、どれも残りません。 屋号と業種。この2つを覚えて帰ってもらえれば、あとは調べてもらえます。
覚えて、調べられる形にする
看板から予約までのあいだに、検索という一段が挟まります。
| 屋号が声に出して読める | 読めない名前は、検索されません。 |
|---|---|
| 屋号と業種が同じ面にある | 名前だけでは、何をする店か伝わりません。 |
| 文字が写真に撮れる大きさ | 手元で撮って、あとで調べる人がいます。 |
| 立ち止まれる位置に二次元コードがある | 歩きながらは読み取れません。 |
| 同じ屋号が、面と地図と予約先でそろっている | 表記が違うと、たどり着けなくなります。 |
1つ目が、最も見落とされる条件です。 屋号に凝った表記を使う店は多く、それ自体は魅力になります。 ただし、読めない名前は検索窓に入りません。 店を知らない人3人に声に出して読んでもらい、読みが割れないかを確かめてください。
割れるなら、ふりがなか英字を小さく添えます。 面を作り直す必要はなく、1行足すだけで解けることがあります。
入口までの階数から、面の枚数を出す
| 入口の位置 | 必要になる面 |
|---|---|
| 1階の路面 | 通りに1枚、扉に1枚 |
| 2階 | 通りに1枚、階段の入口に1枚、扉に1枚 |
| 3階以上 | 上の3枚に、踊り場の表示が加わります |
考え方は単純です。地上から入口までに越える段階の数だけ、面が要ります。 通りで気づいてもらい、階段の入口で方向を示し、扉で確認させる。 どこか1つ抜けると、そこで人が止まります。 導き方は駐車場・入口の案内サインの作り方で扱っています。
二次元コードは、立ち止まれる位置に置く
一辺の大きさは、読み取らせたい距離のおよそ1/10が一般的な目安です。 1m先から読ませたいなら100cm ÷ 10 で10cm、2m先なら200cm ÷ 10 で20cmになります。 印刷の精度や、記録する文字数でも変わるため、実際に自分の端末で試してください。
歩きながら読み取ることはできません。 歩道に面した大きな看板に入れても、立ち止まって端末を構える人はまずいません。 置くなら、扉の横や階段の入口など、足を止めても邪魔にならない位置です。 そこなら小さくても届きます。
出せる場所と、書ける内容を確かめる
面の大きさと、額や仕上がりの見せ方の2つを見ます。
| 出せる大きさと高さ | 住まいの多い地域では、扱いが厳しくなることがあります。 |
|---|---|
| 壁から突き出す面 | 出幅と、地面からの高さに決まりが置かれる場合があります。 |
| 建物に共用の掲示ルールがあるか | 複数の店が入る建物では、様式がそろえられていることがあります。 |
| 料金の書き方 | 税込か税抜か、どちらの額かが分かる形にします。 |
| 仕上がりの見せ方 | 写真や表現が、実際の結果と離れないようにします。 |
サロンは、住まいの多い通りに出す店が少なくありません。 こうした地域では、出せる大きさや高さの扱いが厳しくなることがあります。 面の寸法を決める前に、確かめておくほうが手戻りがありません。
屋外に出す看板は、大きさや高さによって許可が必要になる場合があります。
県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があり、判断の基準も異なります。
複数の店が入る建物では、建物側にも掲示の取り決めがあることがあります。
※ 扱いは自治体・場所によって異なります。事前に管轄窓口へご確認ください。
制度の中身は屋外広告物の許可ガイドで扱っています。
書ける内容そのものに強い制限が置かれる業種もあります。 医療にあたる内容を扱う場合の考え方はクリニックの看板の作り方にまとめました。 そこまでの制限がない場合でも、仕上がりの見せ方と実際の結果が離れないようにしてください。 額を出すときは、税込か税抜かが分かる形にします。
通い続ける前提で回収ラインを出す
1回の売上ではなく、続くあいだの合計で計算します。
年あたりのコスト ÷ 1人あたりの粗利 = 年に必要な新しいお客様の数
客単価が7,000円、粗利率が8割なら、1回あたり5,600円です。 2か月に1回のペースなら、12 ÷ 2 で年6回。 2年通っていただけるとすると、5,600 × 6 × 2 で67,200円になります。
看板の月あたりのコストが2万円なら、年あたりは24万円です。 240,000 ÷ 67,200 でおよそ3.6。切り上げて4人になります。 12 ÷ 4 で、3か月に1人、新しく通い始める方がいればまかなえる計算です。
月あたりのコストは、かかった総額を使う予定の月数で割って出します。 続く年数の置き方で答えが大きく動くので、自分の店の実際の数字を入れてください。 1年で入れ替わる店と、5年通っていただける店では、必要な人数が5倍違います。
金額が動くところ
| 入口までの階数 | 越える段階の数だけ、面が増えます。 |
|---|---|
| 面の大きさと数 | 通りに向ける面が大きいほど、作る量が増えます。 |
| 光らせるかどうか | 夜まで営業する店では、電気工事と部品が加わります。 |
| 貼り替える面があるか | 料金やメニューを載せる面は、替えやすい仕様にするかで変わります。 |
| 取り付ける高さ | 2階以上の壁に付けるなら、作業の組み方が変わります。 |
掲載社が実際に公開している金額は看板の費用に種類別にまとめています。 料金やメニューを載せる面は、貼り替える前提で仕様を決めておくと、作り直しを避けられます。
予約の入り口をたどって測る
聞くのは一言だけにしてください。続かない記録は意味を持ちません。
選択肢を3つに絞って聞くのが続けるコツです。看板、紹介、ネット。細かく分けると、答えるほうも記録するほうも続きません。
看板を見た人は、屋号で調べます。地図や予約の画面に、検索された語が残る仕組みがあれば、そこを見てください。
入口の前で確認された数です。多いなら、扉の面が足りていません。
予約済みの方に一言聞くだけです。迷った箇所が2人続けば、そこに面が要ります。
通りの向かい側から、昼と夜に1枚ずつ。周りの店に埋もれていないかを、並べて確かめます。
看板から予約までには、検索という一段が挟まります。そこを越えた人の数だけが、看板の働きを表します。
見るタイミング
| 付けた月 | 予約時に聞く質問を決め、記録の形をそろえます。 |
|---|---|
| 3か月後 | 何で知ったかの答えを集計します。1か月では数が足りません。 |
| 半年後 | 料金やメニューの面を、今の内容と照らして見直します。 |
| 1年後 | 新しく通い始めた方の数を数え、回収ラインと比べます。 |
1か月では判断できません。予約制の店では、看板を見てから来店までに時間が空きます。 気づいた日と、必要になった日が違うからです。 3か月ためてから、初めて数字として見てください。
新しい方が増えないとき、この順で疑う
- 1屋号が読めるかを疑う
店を知らない人3人に、声に出して読んでもらってください。読みが割れるなら、検索されていません。ふりがなや英字を足すだけで解けます。
- 2何の店か分かるかを疑う
屋号だけの面になっていませんか。業種を示す言葉が同じ面にあるかを確かめてください。1語足すだけの手直しで済むことがあります。
- 3入口が分かるかを疑う
通りから扉が見えない店で起きます。階段の入口と扉に、小さい面を足してください。
- 4価格帯が見えるかを疑う
前を通る人が気にしているのに、外から分からない状態です。代表的な内容を数点、額とともに出せるかを検討します。
- 5面の位置と向きを疑う
人が歩いてくる方向に対して、面が平行になっていませんか。角度を変えるか、突き出す面を足すかの検討に入ります。
- 6面を大きくするか、増やすかを考える
ここまで試して動かないときだけです。順番として、いちばん最後に置いてください。
上から順に、費用のかからないものが並んでいます。 1番と2番は、面を作り直さずに直せることがあります。 3番と4番は、小さい面を1枚足すだけで動く場合があります。
よくある失敗5パターン
どれも、面の内容を決める前に気づけば起きません。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 屋号だけを大きく出した | 何の店か伝わらず、覚えてもらえない | 業種を示す言葉を、同じ面に1語足す |
| 読み方の難しい屋号を、そのまま出した | 検索されず、たどり着いてもらえない | ふりがなか英字を、小さくでも添える |
| 2階なのに、通りに面がなかった | 存在に気づかれないまま時間が過ぎる | 通りに1枚、階段の入口に1枚を足す |
| 二次元コードを歩道の面に入れた | 歩きながらでは読み取れない | 立ち止まれる位置の面に移す |
| 面と地図で、屋号の表記が違った | 同じ店だと分からず、探すのをやめられる | 表記を1つに決め、全部そろえる |
セルフチェックリスト
面の内容を決める前に使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。
- 店を知らない人3人に、屋号を声に出して読んでもらった
- 屋号と業種が、同じ面に載っている
- 通りから、店の存在が分かる面がある
- 入口までに越える段階の数を数え、その数だけ面を用意した
- 扉に、ここで合っていると分かる表示がある
- 二次元コードを、立ち止まれる位置の面に入れた
- 面、地図、予約先で、屋号の表記をそろえた
- 代表的な内容の額を、外から見えるようにするか決めた
- 税込か税抜か、どちらの額かが分かるように書いた
- 暗くなってから、外に出て自分の店を見た
- 出せる大きさと高さについて、管轄窓口に確かめた
- 予約のときに何で知ったかを聞く、聞き方を決めてある
よくある質問
サロンの看板は、何から決めればいいですか?
面は何枚必要ですか?
二次元コードは、どのくらいの大きさが要りますか?
屋外に出す看板に、手続きは要りますか?
すでに看板はありますが、新しい方が増えません。
予算が限られるとき、どこから手を付けますか?
まとめ
サロンの看板を決めるときは、次の順序で進めます。
| 1 分ける | 効く層は、まだ気づいていない近所の人。 |
|---|---|
| 2 調べられる形に | 屋号が読め、業種が同じ面にあること。 |
| 3 確かめる | 出せる大きさと、額や見せ方の書き方を尋ねる。 |
| 4 計算する | 続くあいだの粗利で割り、年に何人かを出す。 |
| 5 測る | 予約時に一言聞き、3か月ためてから見る。 |
予約制の店の看板は、その日ではなく、必要になった日のために立っています。 だから求められるのは強さより、思い出せることと調べられることです。 まず店を知らない人に、屋号を読んでもらうところから始めてください。