看板のきほん / 2026年9月6日 更新 / 読了目安 約13分

喫煙・禁煙の掲示
店頭と店内の標識を選ぶ5ステップ

これから喫煙・禁煙の標識を用意する店舗の方へ。 この掲示は、様式を選ぶより先に決めることがあります。 自店がどの区分に当たるか。面は何枚か。どこに貼れば、入る前に読まれるか。

5手順確かめ方から直し方まで
3客の出入口・室・従業員口
12項目発注前に見る点
この記事でわかること

自店がどの区分に当たるかを、窓口で確かめる手順/ 掲げる面の種類と、予備を含めた枚数の数え方/ 入る前に読まれる位置と、文字の高さを出す割り算/ 貼り替えの周期から、月あたりの負担を出す式/ 入口でたずねられた回数で、掲示の働きを測る方法

先に決めないと、貼ってから貼り直す

喫煙・禁煙の掲示は、絵柄を選ぶところから始めたくなります。 ところが順序を逆にすると、作った面をそのまま捨てることになります。

起きやすいのは、次の四つです。 様式を先に決め、後から自店の区分が違うと分かる。 入口の内側に貼り、ドアを開けるまで方針が伝わらない。 出入口を数えず、裏口から入った人に届かない。 日の当たる面に紙で貼り、半年で色が飛ぶ。

どれも、発注の前に手を打てば起きません。 区分を確かめ、枚数を数え、位置と高さを決め、材料と費用を決め、聞かれた回数で直す。

Step 1

自店がどの区分に当たるかを確かめる

様式より先に、区分です。区分が変われば、掲げる面も記載も変わります。

  1. 1
    建物の使い方を書き出す

    飲食を出すか、宿泊させるか、事務だけか。一つの建物に使い方が混じるなら、区画ごとに分けます。

  2. 2
    客が座る部分だけを測る

    厨房や倉庫を含めるかで数字が変わります。どこまでを客席と見るかの線を、図面に引いておきます。

  3. 3
    始めた時期と、会社の規模を控える

    いつから営業しているか。働く人の数と、資本の額。この三つは扱いが分かれる場面で聞かれます。

  4. 4
    その紙を持って、所管の窓口へ行く

    区分と様式を、その場でたずねます。電話より、図面を見せられる窓口のほうが早く片づきます。

一般的に、建物の使い方や規模によって扱いが分かれる仕組みになっています。 線引きの細かいところは、所管の窓口が判断します。

こちらでできるのは、判断のもとになる事実をそろえることです。 次の項目を紙にまとめてから出向けば、一度で済みます。

そろえる事実何で確かめるか先にそろえる理由
建物の使い方営業の届出と図面掲示の要否が変わる
客席部分の面積実測と図面区分の線引きに関わる
営業を始めた時期届出の控え扱いが分かれる場面がある
会社の規模働く人の数と資本の額区分の判断材料になる
中で吸える場所を設けるか自店の方針室ごとの掲示が増える

中で吸える場所を設けるかどうかも、ここで決めます。 室を分けるなら、その室の入口にも面が要ります。 内装の設計に入る前に決めておくと、後戻りがありません。

区分の結論は、自分で出さない

国の法令に加えて、自治体が独自の決まりを持つ地域があります。 同じ業態でも、掲げる面や記載する内容が変わることがあります。 原則として、区分の判断と様式の指定は所管の窓口が行います。
※ 要否と様式は、所管の窓口へご確認ください。

店内には、避難経路や消火設備の掲示もあります。 窓口も根拠も別なので、店内の消防・避難の掲示で分けて扱っています。

Step 2

掲げる標識の種類と枚数を数える

枚数は、図面ではなく建物を歩いて数えます。

建物の入口は、外から見える面にする

入る前に方針が分かる位置へ置きます。ドアを開けてから分かる場所では、引き返す人が出ます。

室ごとの方針は、その室の入口に置く

建物全体の面と、室の面は役割が違います。全体の面へ室の話を足すと、どちらも読まれません。

従業員が通る出入口も数える

客が使わない出入口にも掲示を求められる場合があります。裏口と搬入口を歩いて確かめます。

同じ絵柄は、予備までまとめて作る

1枚だけ追加で頼むと、絵柄をもう一度起こす手間がかかります。破れの分を初回に含めます。

図面の上で数えると、裏口と搬入口が抜けます。

掲げる面伝えること枚数の数え方
客の出入口建物全体の方針客が使う出入口の数だけ
室の入口その室の方針方針の異なる室の数だけ
従業員の出入口建物全体の方針裏口と搬入口の数だけ
吸える場所の案内位置と行き方迷う分かれ道の数だけ
予備破れに備える絵柄ごとに1〜2枚

数え上げると、こうなります。

客が使う出入口 3か所 = 3枚
方針の異なる室 1 = 1枚
従業員だけが通る出入口 1 = 1枚
3 + 1 + 1 = 掲げる面 5枚
予備 絵柄2種 × 2枚 = 4枚
5 + 4 = 合計 9枚

総額を動かすのは、1枚の単価より枚数です。 先に枚数を出しておくと、どの面に費用を寄せるかを判断できます。

案内の掲示は、標識と分けて数える

標識は方針を示し、案内は行き方を示します。 一つの面へ混ぜると、どちらも伝わりません。 案内の面には、矢印と、階や区域の呼び名だけを載せます。 日本語以外を併記するときの絞り方は、多言語表記の看板にまとめています。

様式が決まっている面には、手を加えない

標識の様式や記載する内容が定められている場合があります。 定めのある面には、店名、ロゴ、飾り罫を足しません。 面を分けておくと、決まりが改まったときに標識だけを替えられます。
※ 記載する内容は、所管の窓口に確認してから決めてください。

Step 3

入る前に見える位置と高さを決める

ドアを開けてから分かる位置では、判断の役に立ちません。

ドアの外側に立って、目で確かめる

図面ではなく、客と同じ場所から見ます。のれんや植木で下半分が隠れていないかを見ます。

開いたドアに隠れない面を選ぶ

ドアの可動部に貼ると、開いている間は読めません。閉め切った状態ではなく営業中に見ます。

映り込みと逆光の時間に見る

ガラス面は、時間帯によって外の景色が映ります。朝と夕方の二回、外から読めるかを見ます。

高さは、立つ人と座る人の間に置く

歩いて近づく人と、座って移動する人では目線が違います。両方の視野に入る高さへ寄せます。

位置の良し悪しは、外に立てば分かります。

文字の高さを、割り算で出す

読ませたい距離が決まれば、文字の高さは計算で出ます。

文字の高さ = 視認距離 ÷ 250 〜 視認距離 ÷ 500
5m先(通りから店構えを見る) → 5,000 ÷ 500 = 10mm / ÷ 250 = 20mm → 1〜2cm
3m先(歩道から店頭を見る) → 3,000 ÷ 500 = 6mm / ÷ 250 = 12mm → 0.6〜1.2cm
1.5m先(ドアの手前で見る) → 1,500 ÷ 500 = 3mm / ÷ 250 = 6mm → 0.3〜0.6cm

この幅は、明るい場所で正面から見た場合です。 書体、地の色との明暗差、ガラス越しかどうかで変わります。 文字と色の選び方は誰にでも読める看板で扱っています。

中心の高さを、二つの目線から置く

歩いて近づく人と、座って移動する人では目の高さが違います。 両方の中間に面の中心を置きます。

立って歩く人の目の高さ = 約150cm(目安)
座って移動する人の目の高さ = 約120cm(目安)
(150 + 120) ÷ 2 = 135 → 中心を 130〜140cm に置く

この二つの数字は、体格と使う機器で動きます。 立って見て、腰を落として見て、両方から読めるかを確かめてください。

掲示場所に定めがあるときは、そちらが先

標識を掲げる場所が定められている場合があります。 出入口の見やすい位置を求められることがあります。 定めのある面は、読みやすさの工夫より先に、その定めへ合わせます。 残りの見え方は、定めのない案内の面で補ってください。
※ 掲示が求められる場所は、所管の窓口へお尋ねください。

Step 4

貼り替えの周期から材料と費用を決める

材料は、何年で貼り替えるかから逆算します。

年数が決まると、月あたりの負担が割り算で出ます。 先に年数を決めずに材料を選ぶと、比べる物差しがありません。

費用が動くところを見る

枚数出入口と室の数だけ増えます。総額にいちばん効きます。
面の大きさ通りから読ませる面は大きく、室の入口は小さくできます。
貼る場所の材質ガラス、塗装した壁、金属。貼るか、板で留めるかが変わります。
屋外に出るかどうか日と雨が当たる面は、色あせに耐える材料へ寄せます。
差し替えられる作りか枠を残して面だけ替えられると、次が軽くなります。

掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめています。

3年で貼り替える前提で、月あたりに直します。

3年 = 3 × 12 = 36か月
一式の総額54,000円 ÷ 36か月 = 月1,500円

この54,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。

月あたりのコスト ÷ (客単価 × 粗利率) = 月に必要な客数
客単価1,000円 × 粗利率0.6 = 600
1,500 ÷ 600 = 2.5人
30 ÷ 2.5 = 12日に1人

12日に1人、引き返さずに入れば釣り合う計算です。 客単価と粗利率は、自店の数字へ差し替えてください。

周期を縮めると、負担はこう動きます。

1年で貼り替える → 54,000 ÷ 12 = 月4,500円
4,500 ÷ 600 = 7.5人
30 ÷ 7.5 = 4日に1人

周期が3分の1になると、月の負担は3倍です。 色あせに耐える材料へ寄せるか、貼り替えを前提に薄く作るか。 この二つを同じ物差しで比べられます。

貼り替えの理由は、色あせだけではない

自店の方針を変えたとき、室の使い方を変えたとき、よりどころとなる決まりが改まったとき。 掲示は、そのたびに作り直しになります。 枠を残して面だけ差し替える作りは、発注の段階でしか選べません。
※ 決まりの変更があったかどうかは、所管の窓口で折々にお確かめください。

Step 5

入口で聞かれた回数で測り、直す

たずねられたということは、掲示で伝わらなかったということです。

入口で聞かれた回数を、正の字で数える

レジの脇に紙を1枚置き、たずねられたら1本足します。費用も手間もかかりません。

引き返した人の数を控える

ドアを開けて、入らずに戻った人です。時刻を添えると、逆光で読めない時間帯が見えます。

席に着いてからの申し出を数える

座った後で吸えるかをたずねられた回数です。入口の面で伝わっていない証拠になります。

外に立って、自分で読む

客と同じ位置から、同じ高さで見ます。隠れている面は、その場で分かります。

上から順に、手間の軽い方法です。 1番目はレジの作業に混ぜられるので、その日から始められます。 たずねられる回数は、そのまま説明に取られる時間です。

1日1回 × 30日 = 月30回
30 × 12 = 年360回
1回1分として 360分 ÷ 60 = 年6時間

説明を繰り返すより、掲示を直すほうが早く終わります。 どの出入口で多いかが分かれば、手を入れる面も決まります。

見る時期を決める

1週間外に立って読み、隠れている面を書き出す。
1か月聞かれた回数をまとめ、どの出入口で多いかを見る。
3か月引き返した人の数を、前の月と並べる。
半年屋外に出る面から、色あせとはがれかけを見る。
1年方針と決まりの変更を確かめ、貼り替えの要否を決める。

1週間では、隠れている面しか分かりません。 回数の偏りを見るには、1か月ぶんためてください。

効かないときは、この順で疑う

  1. 1
    外に立って、掲示を見る

    費用はかかりません。隠れている面がどれか、ここでほとんど分かります。

  2. 2
    面の前に置いた物をどける

    立て看板、傘立て、植木。動かすだけで見えるようになります。

  3. 3
    貼る位置を、開いたドアの外へ移す

    はがして貼り直すだけで済む場合があります。営業中にもう一度見ます。

  4. 4
    中心の高さを、二つの目線の間へ下げる

    面はそのまま使えます。座って移動する人の視野に入ります。

  5. 5
    標識に足した説明文を削る

    定めのある記載だけを残し、装飾は外します。補足は隣の面へ移します。

  6. 6
    面を作り直す

    材料と大きさを変えます。ここまでの五つを試した後に手を付けます。

上のほうほど、費用をかけずに直せます。 1番から3番は、その日のうちに手を付けられます。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、貼り直すか、足した装飾を外せば手を打てます。

失敗何が起きるか直し方
様式を先に決めて発注した区分が違い、作り直しになる発注の前に、区分と様式を窓口で確かめる
入口の内側に貼った入ってから引き返す人が出るはがして、ドアの外側の面へ貼り直す
出入口を1か所しか数えなかった裏口から入った人に届かない建物を歩き、足りない出入口へ1枚ずつ足す
標識に店名とロゴを足した定めのある記載と混ざり、読みにくい装飾だけをはがす。面ごと作り直さなくてよい
日の当たる面に紙で貼った色が飛び、半年で読めない屋外に出る面だけ、耐候性のある材料へ替える
Checklist

セルフチェックリスト

発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • 建物の使い方と、客席部分の面積を実測して控えた
  • 営業を始めた時期と、働いている人の数を書き出した
  • 自店がどの区分に当たるかを、所管の窓口で確かめた
  • 中で吸える場所を設けるかどうかを、発注の前に決めた
  • 建物を歩いて、客が使う出入口の数を数えた
  • 従業員だけが通る出入口を、数え漏らしていない
  • 破れと貼り替えのための予備を、絵柄ごとに用意した
  • 掲示を、ドアを開ける前に見える位置に置いた
  • 開いたドアと置き物に隠れないことを、営業中に確かめた
  • 読ませたい距離から、文字の高さを割り算で出した
  • 何年で貼り替えるかを決め、月あたりの負担に直した
  • 入口でたずねられた回数を数える紙を、レジの脇に置いた
FAQ

よくある質問

喫煙・禁煙の掲示は、何から決めればいいですか?
自店がどの区分に当たるかからです。区分が決まらないと、掲げる面も記載する内容も決まりません。建物の使い方、客席部分の実測値、営業を始めた時期、会社の規模を控えて窓口へお持ちください。
標識は何枚必要ですか?
建物を歩いて数えます。客が使う出入口、方針の異なる室の入口、従業員だけが通る出入口の数を足してください。破れに備えて、絵柄ごとに1〜2枚を予備に加えます。
様式や記載する内容は、自分で決められますか?
定められている場合があります。定めのある面には店名やロゴを足さず、そのまま掲げてください。様式は所管の窓口が示すので、発注の前にお確かめください。
効いているかは、いつ判断しますか?
1か月ためてからです。入口でたずねられた回数を数え、どの出入口に偏っているかを見ます。色あせは半年ごと、決まりの変更は1年ごとに見直します。
すでに貼ってあります。どこから直しますか?
外に立って読むところからです。置き物と開いたドアで隠れていないかを見てください。貼り直しと高さの変更で直ることが多く、作り直しは最後に回せます。
予算が限られる場合、どこを優先しますか?
客が使う出入口です。入る前に分かる面がなければ、中の掲示は読まれません。室の入口と、吸える場所の案内は後から足せます。

まとめ

喫煙・禁煙の掲示は、次の順序で決まります。

1 区分を確かめる建物の使い方と客席の面積を控え、所管の窓口で区分を聞く。
2 枚数を数える建物を一周し、出入口と室の数に予備を足す。
3 位置と高さを決める入る前に見える面へ置き、立つ人と座る人の中間に中心を合わせる。
4 材料と費用を決める貼り替えの周期で割り、月あたりの負担へ直す。
5 聞かれた回数で直す入口の質問を数え、隠れている面から手を入れる。

掲示は、入る前に読まれて初めて働きます。 中で伝わっても、ドアの前で引き返した人には届きません。

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区分も枚数も、まだ何も決まっていない段階で構いません。 定められた様式の面を扱った実績があるか、差し替えられる作りに対応するか。この二つは比べられます。