看板の保証とアフター
引き渡し前に決める5ステップ
これから看板を発注する方へ。 保証の中身が決まるのは、引き渡しの後ではなく発注の前です。 期間、対象、除外される事由。三つを書面で見ておくと、後の判断が短く済みます。
発注前に書面で確かめる、保証の期間と対象と除外/ 口頭で聞いたことを、どう書面に残すか/ 引き渡しの日にしか手に入らない書類と写真/ 自分で手入れする範囲と、頼む範囲の線引き/ 直すときの連絡の順序と、額が動くところ/ 月あたりの負担を、必要な新規客数に直す式/ 症状・日付・対応・費用を1行で残す方法
保証の中身は、発注の前に決まります
看板は、取り付けた日から使い始めます。 引き渡しの後に効いてくるものほど、前もって書面にしておく必要があります。
よく起きるのは、こんな行き違いです。 期間だけを聞いて、対象になる部位を確かめていない。 保証書は受け取ったが、どこに置いたか分からない。 不具合が出てから、連絡する先を探し始める。 直した経過が残らず、二度目もはじめから説明することになる。
どれも、引き渡しまでに手を打てば起きません。 書面で確かめ、当日にそろえ、分担を線引きし、連絡先と費用の決まり方を決め、 記録を次の判断に使う。この五つを順に埋めていきます。
発注前に、保証の中身を書面で確かめる
期間だけを聞いて終わりにすると、後で範囲の話が食い違います。
何か月あるか。数え始めはいつか。引き渡しの日か、工事が終わった日か。起点が動けば、終わる日も動きます。書面で確かめます。
本体、表示面、電気の部品、取り付けの金具。部位ごとに扱いが分かれることがあります。どこまで含むかを、部位の名前で書いてもらいます。
強い風、地震、いたずら、日射しによる色あせ。含まれない事由は、書面の後ろにまとめて並びます。ここを読み飛ばすと、後で話が食い違います。
作った会社が直すのか、部材を作った会社が受けるのか。窓口が分かれると、連絡の手間が増えます。一本化できるかを発注前に聞きます。
保証は、期間と対象と除外の三つで形が決まります。 どれか一つが抜けると、直すときに読み方が分かれます。
| 項目 | 見るところ | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 期間 | 何か月あるか、起点はいつか | 書面の日付と照らす |
| 対象 | 本体・表示面・電気・金具 | 部位の名前で書いてもらう |
| 除外 | 風、地震、いたずら、色あせ | 除外の一覧を見せてもらう |
| 窓口 | 連絡する先と、受付の時間 | 担当者の名前まで控える |
| 引き継ぎ | 店を譲ったときに残るか | 譲渡の扱いを聞いておく |
期間の年数は、契約の内容によって変わります。 何年が普通か、という数え方はしないでください。 目の前の書面に書いてある月数だけが、自分の看板の保証です。
打ち合わせでは、書面に無いことも話に出ます。 「この部分は面倒を見る」といった返事は、そのままでは残りません。 聞いた内容を短い文にして、見積書か注文書の余白に書き足してもらってください。 契約の書類そのものの読み方は看板工事の契約書にまとめています。
引き渡しの日に、書類と写真をそろえる
その日にしか受け取れないもの、その日にしか撮れない写真があります。
受け取る紙は5種類です。 中身が分かれば、取っておくものに迷いません。
| 受け取るもの | 書かれている中身 | いつ使うか |
|---|---|---|
| 保証書 | 期間、対象、除外、窓口 | 直す前にまず読む |
| 施工の記録 | 工事中の写真と作業の内容 | 原因を切り分ける |
| 部材の一覧 | 型番、色番、製造の名前 | 同じ物を取り寄せる |
| 取扱いの説明 | 手入れの方法と、使える洗剤 | 自分で拭くときに見る |
| 連絡先の控え | 窓口、電話、受付の時間 | 不具合が出た日に使う |
足場や高所作業車があるのは、この日が最後です。
当日に撮っておく4枚を決める
道の側から1枚。毎年おなじ立ち位置で撮ると、変化が並びます。傷や汚れが出たとき、いつからのものかを説明できます。
金具、ボルト、壁と接する面。高い位置は、足場があるうちしか近くで撮れません。引き渡しの日が最後の機会になります。
ブレーカーの位置、スイッチ、配線の通り道。光らない、点滅するといった症状のとき、最初に見る場所です。
部材の刻印やラベル。同じ物を頼むときの手がかりになります。文字が読める距離まで寄って撮ります。
紙は封筒にまとめ、写真は同じ名前のフォルダに入れます。 分ける場所を増やすほど、必要な日に出てこなくなります。 探す時間がかからないことが、記録を残す一番の効き目です。 撮った写真に、撮影の日付が入っているかも見ておいてください。
直すときの連絡先と、費用の決まり方を決めておく
不具合が出た日に探し始めると、そこで半日が消えます。
連絡は、順序を決めておくと短く済みます。
- 1保証書の残りを見る
期間の中かどうかで、連絡する先と話の進み方が変わります。
- 2症状を一行で書き出す
いつから、どこが、どうなったか。三つをつなげて一行にします。
- 3写真を2枚だけ撮る
全景と、症状の寄り。枚数を絞るほうが、言葉より早く伝わります。
- 4書面の窓口へ連絡する
控えておいた番号にかけます。担当者の名前も一緒に伝えます。
- 5費用の見込みを聞く
無償の範囲か、実費が出るか。出るなら、何にかかるかまで聞きます。
窓口と受付の時間は、紙に書いてレジの下や事務室に貼っておきます。 携帯の中だけに入れておくと、当人が不在の日に止まります。
期間が残っていても、費用がまったく出ないとは限りません。 除外の事由に当たる場合と、出張や足場が別の扱いになっている場合があります。 境目は、書面のどこに何と書いてあるかで決まります。 発注前の段階で、出張と足場の扱いを聞いておいてください。 壊れた後の切り分けは看板の修理ガイドで扱っています。
額が動くところを知っておく
| 出張の有無と回数 | 現場までの距離と、来てもらう回数で動きます。まとめて見てもらえば回数が減ります。 |
|---|---|
| 足場や高所作業車 | 手の届かない高さになると、直す作業そのものより、準備の比重が大きくなります。 |
| 部材が手に入るか | 同じ型番が残っているか。作られていない部材だと、代わりを探す手間が加わります。 |
| 電気に触れるか | 配線や電源に手を入れるかどうかで、必要な資格と作業の手順が変わります。 |
| 直す範囲の広さ | 一部を取り替えるのか、面ごと作り替えるのか。範囲の広さで金額の桁が動きます。 |
一行目と二行目は、頼み方で減らせます。 気づいた不具合をためて、一度の来訪でまとめて見てもらう方法です。 掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめています。
月あたりに直して、必要な客数に置き換える
総額のままだと、高いか安いかを決められません。 保証の期間で割ると、月あたりの負担になります。
この120,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。
月あたりが出たら、何人来れば釣り合うかに直します。
2,000 × 0.5 = 1,000
5,000 ÷ 1,000 = 月5人
30 ÷ 5 = 6日に1人
客単価を2,000円、粗利率を5割と置いた場合の計算です。 6日に1人が新しく来れば、月5,000円と釣り合います。
5,000円も2,000円も5割も、式の動きを見るための仮の置き方です。 金額の水準を示すものではありません。自分の店の数字に差し替えてください。
記録を残して、次の判断に使う
残すのは4項目だけです。増やすと続きません。
記録は、症状と日付と対応と費用の4つで足ります。 1行にまとめると、後から並べて読めます。
年4行と置けば 4 × 5 = 5年で20行
20行なら、紙1枚に収まります。 1枚に収まる分量にしておくことが、続けられる条件です。
記録を読み返す日を決める
| 引き渡しの当日 | 書類と写真をそろえ、置き場所を1か所に決めます。 |
|---|---|
| 3か月 | 取り付け部と表示面を一度見ます。気づいた点を1行足します。 |
| 1年ごと | おなじ位置から写真を撮り、去年の1枚と並べて見ます。 |
| 保証が切れる前 | 残りの月数を数えます。切れる前に一度、見てもらう日を入れます。 |
| 切れた後 | 行数と費用を足します。直し続けるか、作り替えるかを決めます。 |
直した回数、かかった費用、同じ場所が繰り返しているか。 この三つが、作り替えるかどうかを決めるときの手がかりになります。
直す前に、この順で確かめる
- 1点いているかを確かめる
ブレーカーとスイッチ。落ちているだけ、切れているだけのことがあります。
- 2汚れかどうかを見る
拭いて元に戻るなら、それは修理ではありません。手入れの範囲です。
- 3記録を読み返す
おなじ症状が前にもあったか。そのときの対応が、そのまま答えになります。
- 4保証の残りを数える
期間の中なら、書面の窓口へ連絡します。順序を飛ばさないでください。
- 5部分の交換で済むか聞く
ランプ、シート、金具。一部だけを取り替えて収まることがあります。
- 6作り替えを検討する
直した回数と費用が積み上がったときに、最後の手として考えます。
上から順に、かかる手間と費用が小さいものです。 1番から3番までは、その場で自分だけで済みます。 作り替えを最後に置くのは、記録がそろってからのほうが決めやすいからです。
落下や飛散に備える責任と保険は、保証とは別の枠組みで動きます。 記録の用紙には、その二つを混ぜずに書き分けてください。
よくある失敗5パターン
どれも、引き渡しまでに気づけば手を打てます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 保証の中身を口頭で聞いただけにした | 直すときに範囲の話が食い違う | 発注前に、聞いた内容を書面へ書き足してもらう |
| 引き渡しの日に写真を撮らなかった | 傷や汚れがいつからかを示せない | 次に見る日に全景を1枚撮り、そこを基準にする |
| 保証書の置き場所を決めなかった | 必要になった日に出てこない | 契約の書類とおなじ場所に、まとめて入れる |
| 手入れの分担を決めなかった | 誰も拭かないまま汚れが残る | 自分で拭く高さを決め、見る日を年に入れる |
| 連絡先を控えなかった | 担当者を探すところから始まる | 窓口と受付の時間を、1枚の紙に書き出す |
セルフチェックリスト
発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 保証の期間と、数え始める日を書面で確かめた
- 保証の対象になる部位を、名前で書いてもらった
- 除外される事由の一覧に目を通した
- 口頭で聞いた内容を、書面に書き足してもらった
- 引き渡しの日に、保証書と施工の記録を受け取った
- 部材の型番と色番が分かる資料をもらった
- 取り付け直後の全景と、取り付け部の写真を残した
- 書類と写真の置き場所を、1か所に決めた
- 自分で拭く高さと、頼む範囲の線引きをした
- 看板を見る日を、年のどこに入れるか決めた
- 不具合のときに連絡する窓口と、受付の時間を控えた
- 症状・日付・対応・費用を1行で残す用紙を作った
よくある質問
看板の保証は、何から確かめればいいですか?
保証の期間は、契約によって変わりますか?
引き渡しの日に、受け取っておくものはありますか?
許可の更新は、保証の期間と関係しますか?
保証の期間が残っていれば、費用はかかりませんか?
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
まとめ
引き渡しの後をどう過ごすかは、次の順序で決まります。
| 1 書面で確かめる | 期間の起点、対象の部位、除外の事由。聞いた話は文字にしてもらう。 |
|---|---|
| 2 当日にそろえる | 保証書、施工の記録、型番の資料。全景と取り付け部を撮る。 |
| 3 分担を線引きする | 届く高さは自分。高い位置と交換は頼む。見る日を年に入れる。 |
| 4 連絡先と費用を決める | 窓口と受付時間を控える。出張、足場、部材、電気で額が動く。 |
| 5 記録を次に使う | 4項目を1行に。行数と費用が積み上がったら作り替えを考える。 |
保証は、使う日が来る前に読んでおくものです。 書面を開くのが不具合の日になると、選べる手が減ります。