看板のきほん / 2026年9月5日 更新 / 読了目安 約13分

看板の保証とアフター
引き渡し前に決める5ステップ

これから看板を発注する方へ。 保証の中身が決まるのは、引き渡しの後ではなく発注の前です。 期間、対象、除外される事由。三つを書面で見ておくと、後の判断が短く済みます。

5手順発注前から保証が切れた後まで
4項目記録に残す中身
12項目発注前に見る点
この記事でわかること

発注前に書面で確かめる、保証の期間と対象と除外/ 口頭で聞いたことを、どう書面に残すか/ 引き渡しの日にしか手に入らない書類と写真/ 自分で手入れする範囲と、頼む範囲の線引き/ 直すときの連絡の順序と、額が動くところ/ 月あたりの負担を、必要な新規客数に直す式/ 症状・日付・対応・費用を1行で残す方法

保証の中身は、発注の前に決まります

看板は、取り付けた日から使い始めます。 引き渡しの後に効いてくるものほど、前もって書面にしておく必要があります。

よく起きるのは、こんな行き違いです。 期間だけを聞いて、対象になる部位を確かめていない。 保証書は受け取ったが、どこに置いたか分からない。 不具合が出てから、連絡する先を探し始める。 直した経過が残らず、二度目もはじめから説明することになる。

どれも、引き渡しまでに手を打てば起きません。 書面で確かめ、当日にそろえ、分担を線引きし、連絡先と費用の決まり方を決め、 記録を次の判断に使う。この五つを順に埋めていきます。

Step 1

発注前に、保証の中身を書面で確かめる

期間だけを聞いて終わりにすると、後で範囲の話が食い違います。

保証の期間と、その起点

何か月あるか。数え始めはいつか。引き渡しの日か、工事が終わった日か。起点が動けば、終わる日も動きます。書面で確かめます。

対象になる部位の名前

本体、表示面、電気の部品、取り付けの金具。部位ごとに扱いが分かれることがあります。どこまで含むかを、部位の名前で書いてもらいます。

除外される事由の一覧

強い風、地震、いたずら、日射しによる色あせ。含まれない事由は、書面の後ろにまとめて並びます。ここを読み飛ばすと、後で話が食い違います。

直すときに動く会社

作った会社が直すのか、部材を作った会社が受けるのか。窓口が分かれると、連絡の手間が増えます。一本化できるかを発注前に聞きます。

保証は、期間と対象と除外の三つで形が決まります。 どれか一つが抜けると、直すときに読み方が分かれます。

項目見るところ確かめ方
期間何か月あるか、起点はいつか書面の日付と照らす
対象本体・表示面・電気・金具部位の名前で書いてもらう
除外風、地震、いたずら、色あせ除外の一覧を見せてもらう
窓口連絡する先と、受付の時間担当者の名前まで控える
引き継ぎ店を譲ったときに残るか譲渡の扱いを聞いておく

期間の年数は、契約の内容によって変わります。 何年が普通か、という数え方はしないでください。 目の前の書面に書いてある月数だけが、自分の看板の保証です。

口頭で聞いたことは、その場で書面に足してもらう

打ち合わせでは、書面に無いことも話に出ます。 「この部分は面倒を見る」といった返事は、そのままでは残りません。 聞いた内容を短い文にして、見積書か注文書の余白に書き足してもらってください。 契約の書類そのものの読み方は看板工事の契約書にまとめています。

Step 2

引き渡しの日に、書類と写真をそろえる

その日にしか受け取れないもの、その日にしか撮れない写真があります。

受け取る紙は5種類です。 中身が分かれば、取っておくものに迷いません。

受け取るもの書かれている中身いつ使うか
保証書期間、対象、除外、窓口直す前にまず読む
施工の記録工事中の写真と作業の内容原因を切り分ける
部材の一覧型番、色番、製造の名前同じ物を取り寄せる
取扱いの説明手入れの方法と、使える洗剤自分で拭くときに見る
連絡先の控え窓口、電話、受付の時間不具合が出た日に使う

足場や高所作業車があるのは、この日が最後です。

当日に撮っておく4枚を決める

取り付けた直後の全景

道の側から1枚。毎年おなじ立ち位置で撮ると、変化が並びます。傷や汚れが出たとき、いつからのものかを説明できます。

取り付け部の寄り

金具、ボルト、壁と接する面。高い位置は、足場があるうちしか近くで撮れません。引き渡しの日が最後の機会になります。

電源まわりと配線の経路

ブレーカーの位置、スイッチ、配線の通り道。光らない、点滅するといった症状のとき、最初に見る場所です。

型番と製造の表示

部材の刻印やラベル。同じ物を頼むときの手がかりになります。文字が読める距離まで寄って撮ります。

置き場所は、その日のうちに1か所へ決める

紙は封筒にまとめ、写真は同じ名前のフォルダに入れます。 分ける場所を増やすほど、必要な日に出てこなくなります。 探す時間がかからないことが、記録を残す一番の効き目です。 撮った写真に、撮影の日付が入っているかも見ておいてください。

Step 3

手入れと点検の分担を決める

線を引くのは、高さと、部品に触れるかどうかです。

自分でやる範囲を決めておくと、頼む回数が減ります。 分け方の目安は、手が届くかどうかです。

やること自分でやる範囲頼む範囲
表示面を拭く手の届く高さまで高い位置、足場が要る面
金具のゆるみを見る見て、写真に残す締め直しと部品の交換
光り方を見る点くか、色が変わったかランプと電源の交換
シートの浮きを見る端が浮いていないか貼り替えと部分の補修
強い風の後を見る外から一周して見る高い位置の確認と修理

脚立に乗らないと届かない場所は、自分の範囲から外してください。 高さを線にすると、頼むかどうかで迷う場面が減ります。

見る日と、頼む間隔を決める

見る日を先に決める

月の初めか、季節の変わり目か。日を決めないまま置くと、点検は後回しになります。毎回おなじ日にすれば、前との差が分かります。

道の側から一周する

正面だけでなく、斜めと裏からも見ます。取り付け部の傾きは、真下に立ったときのほうが分かります。

強い風の翌日に見る

風の後は、金具に力がかかっています。ゆるみや浮きは、見つけるのが早いほど手当てが軽く済みます。

頻度は、自分で見るのを年1回、業者に頼むのを2年に1回と置いてみます。 10年なら、自分が10回、頼むのが 10 ÷ 2 で5回です。

保証の残りを月で数える

残りを月で数えておくと、頼む日の置き方が決まります。

保証 2年 = 2 × 12 = 24か月
引き渡しから8か月使った → 24 − 8 = 残り16か月

残りが数えられれば、切れる前に一度見てもらう日を入れられます。 期間の中に不具合が見つかれば、話の進め方が変わります。 自主点検の手順そのものは看板の点検ガイドで扱っています。

許可の更新は、保証の期間とは別に動きます

屋外広告物には、掲出の許可と、その期限が定められている地域があります。 期限の長さは保証の期間と一致しません。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。 更新の時期は、保証書とは別に控えておいてください。
※ 更新が要るかどうかは、管轄の窓口へご確認ください。

Step 4

直すときの連絡先と、費用の決まり方を決めておく

不具合が出た日に探し始めると、そこで半日が消えます。

連絡は、順序を決めておくと短く済みます。

  1. 1
    保証書の残りを見る

    期間の中かどうかで、連絡する先と話の進み方が変わります。

  2. 2
    症状を一行で書き出す

    いつから、どこが、どうなったか。三つをつなげて一行にします。

  3. 3
    写真を2枚だけ撮る

    全景と、症状の寄り。枚数を絞るほうが、言葉より早く伝わります。

  4. 4
    書面の窓口へ連絡する

    控えておいた番号にかけます。担当者の名前も一緒に伝えます。

  5. 5
    費用の見込みを聞く

    無償の範囲か、実費が出るか。出るなら、何にかかるかまで聞きます。

窓口と受付の時間は、紙に書いてレジの下や事務室に貼っておきます。 携帯の中だけに入れておくと、当人が不在の日に止まります。

無償になる範囲と、実費が出る範囲の境目

期間が残っていても、費用がまったく出ないとは限りません。 除外の事由に当たる場合と、出張や足場が別の扱いになっている場合があります。 境目は、書面のどこに何と書いてあるかで決まります。 発注前の段階で、出張と足場の扱いを聞いておいてください。 壊れた後の切り分けは看板の修理ガイドで扱っています。

額が動くところを知っておく

出張の有無と回数現場までの距離と、来てもらう回数で動きます。まとめて見てもらえば回数が減ります。
足場や高所作業車手の届かない高さになると、直す作業そのものより、準備の比重が大きくなります。
部材が手に入るか同じ型番が残っているか。作られていない部材だと、代わりを探す手間が加わります。
電気に触れるか配線や電源に手を入れるかどうかで、必要な資格と作業の手順が変わります。
直す範囲の広さ一部を取り替えるのか、面ごと作り替えるのか。範囲の広さで金額の桁が動きます。

一行目と二行目は、頼み方で減らせます。 気づいた不具合をためて、一度の来訪でまとめて見てもらう方法です。 掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめています。

月あたりに直して、必要な客数に置き換える

総額のままだと、高いか安いかを決められません。 保証の期間で割ると、月あたりの負担になります。

総額 120,000円 ÷ 保証 24か月 = 月5,000円

この120,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。

月あたりが出たら、何人来れば釣り合うかに直します。

月あたりのコスト ÷ (客単価 × 粗利率) = 月に必要な新規客数
2,000 × 0.5 = 1,000
5,000 ÷ 1,000 = 月5人
30 ÷ 5 = 6日に1人

客単価を2,000円、粗利率を5割と置いた場合の計算です。 6日に1人が新しく来れば、月5,000円と釣り合います。

5,000円も2,000円も5割も、式の動きを見るための仮の置き方です。 金額の水準を示すものではありません。自分の店の数字に差し替えてください。

Step 5

記録を残して、次の判断に使う

残すのは4項目だけです。増やすと続きません。

記録は、症状と日付と対応と費用の4つで足ります。 1行にまとめると、後から並べて読めます。

症状 / 日付 / 対応 / 費用 = 1行
年4行と置けば 4 × 5 = 5年で20行

20行なら、紙1枚に収まります。 1枚に収まる分量にしておくことが、続けられる条件です。

記録を読み返す日を決める

引き渡しの当日書類と写真をそろえ、置き場所を1か所に決めます。
3か月取り付け部と表示面を一度見ます。気づいた点を1行足します。
1年ごとおなじ位置から写真を撮り、去年の1枚と並べて見ます。
保証が切れる前残りの月数を数えます。切れる前に一度、見てもらう日を入れます。
切れた後行数と費用を足します。直し続けるか、作り替えるかを決めます。

直した回数、かかった費用、同じ場所が繰り返しているか。 この三つが、作り替えるかどうかを決めるときの手がかりになります。

直す前に、この順で確かめる

  1. 1
    点いているかを確かめる

    ブレーカーとスイッチ。落ちているだけ、切れているだけのことがあります。

  2. 2
    汚れかどうかを見る

    拭いて元に戻るなら、それは修理ではありません。手入れの範囲です。

  3. 3
    記録を読み返す

    おなじ症状が前にもあったか。そのときの対応が、そのまま答えになります。

  4. 4
    保証の残りを数える

    期間の中なら、書面の窓口へ連絡します。順序を飛ばさないでください。

  5. 5
    部分の交換で済むか聞く

    ランプ、シート、金具。一部だけを取り替えて収まることがあります。

  6. 6
    作り替えを検討する

    直した回数と費用が積み上がったときに、最後の手として考えます。

上から順に、かかる手間と費用が小さいものです。 1番から3番までは、その場で自分だけで済みます。 作り替えを最後に置くのは、記録がそろってからのほうが決めやすいからです。

落下や飛散に備える責任と保険は、保証とは別の枠組みで動きます。 記録の用紙には、その二つを混ぜずに書き分けてください。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、引き渡しまでに気づけば手を打てます。

失敗何が起きるか直し方
保証の中身を口頭で聞いただけにした直すときに範囲の話が食い違う発注前に、聞いた内容を書面へ書き足してもらう
引き渡しの日に写真を撮らなかった傷や汚れがいつからかを示せない次に見る日に全景を1枚撮り、そこを基準にする
保証書の置き場所を決めなかった必要になった日に出てこない契約の書類とおなじ場所に、まとめて入れる
手入れの分担を決めなかった誰も拭かないまま汚れが残る自分で拭く高さを決め、見る日を年に入れる
連絡先を控えなかった担当者を探すところから始まる窓口と受付の時間を、1枚の紙に書き出す
Checklist

セルフチェックリスト

発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • 保証の期間と、数え始める日を書面で確かめた
  • 保証の対象になる部位を、名前で書いてもらった
  • 除外される事由の一覧に目を通した
  • 口頭で聞いた内容を、書面に書き足してもらった
  • 引き渡しの日に、保証書と施工の記録を受け取った
  • 部材の型番と色番が分かる資料をもらった
  • 取り付け直後の全景と、取り付け部の写真を残した
  • 書類と写真の置き場所を、1か所に決めた
  • 自分で拭く高さと、頼む範囲の線引きをした
  • 看板を見る日を、年のどこに入れるか決めた
  • 不具合のときに連絡する窓口と、受付の時間を控えた
  • 症状・日付・対応・費用を1行で残す用紙を作った
FAQ

よくある質問

看板の保証は、何から確かめればいいですか?
期間と、その数え始めの日です。引き渡しの日から数えるのか、工事が終わった日からかで、終わる日が動きます。次に、対象になる部位と、除外される事由を書面で見てください。
保証の期間は、契約によって変わりますか?
変わります。期間も対象も、取り交わす書面の内容で決まります。年数を口頭で聞いた場合は、その内容を書面に残してもらってください。
引き渡しの日に、受け取っておくものはありますか?
保証書、施工の記録、部材の型番が分かる資料の3つです。あわせて、取り付け直後の様子を自分でも撮っておきます。高い位置の寄りは、足場があるうちしか近くで撮れません。
許可の更新は、保証の期間と関係しますか?
別のものです。屋外広告物の許可には期限が定められている地域があり、その時期は保証の期間とは一致しません。更新の要否は管轄の窓口へご確認ください。
保証の期間が残っていれば、費用はかかりませんか?
事由によります。書面の除外に当たる場合や、出張と足場が別の扱いになっている場合は、実費が出ることがあります。連絡した段階で、どこまでが無償かを聞いてください。
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
記録の用紙を1枚作ることからです。症状・日付・対応・費用の4項目を並べるだけなので、費用はかかりません。次が、書類と写真の置き場所を1か所に決めることです。

まとめ

引き渡しの後をどう過ごすかは、次の順序で決まります。

1 書面で確かめる期間の起点、対象の部位、除外の事由。聞いた話は文字にしてもらう。
2 当日にそろえる保証書、施工の記録、型番の資料。全景と取り付け部を撮る。
3 分担を線引きする届く高さは自分。高い位置と交換は頼む。見る日を年に入れる。
4 連絡先と費用を決める窓口と受付時間を控える。出張、足場、部材、電気で額が動く。
5 記録を次に使う4項目を1行に。行数と費用が積み上がったら作り替えを考える。

保証は、使う日が来る前に読んでおくものです。 書面を開くのが不具合の日になると、選べる手が減ります。

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看板の種類も設置の場所も、まだ何も決まっていない段階で構いません。 保証の期間と対象をどう書面にしているか、点検や修理を自社で受けるか。この二つは比べられます。 本文の5ステップと同じ言葉で聞けば、返ってくる答えも並べやすくなります。