看板の落下に備えるガイド
責任と保険を確かめる5手順
看板をお持ちの方、これから付ける方へ。 万一のときの備えは、書類の上で確かめられます。 見るのは、持ち主を示す書面と、証券の5つの欄だけです。
その看板が誰の持ち物かを、書面からはっきりさせる方法/ 保険の証券で目を通す5つの欄と、看板がどこに入るかの見方/ 管理していたかが問われる考え方と、そこで点検の記録が果たす役割/ 保険料と点検費を年あたりに直して並べる計算/ 残しておく5種類の記録と、契約を見直す時期の決め方/ 担当者に尋ねるとき、手元に用意する書類
備えは、書類の上で確かめられます
看板をお持ちの方から届く質問に「もし落ちたら、どうなりますか」というものがあります。 答えは、その看板の持ち主が誰かと、いま入っている契約の書き方で決まります。 どちらも、書類を開けば自分で確かめられる事柄です。
確かめないまま過ごすと、こうなります。自分の持ち物だと思っていたら、建物側の扱いだった。 証券に建物とは書いてあるが、外に付けた看板がどこに入るのか分からない。 点検はしていたのに、いつ誰が見たかの記録が残っていない。 見直す時期を決めていないので、契約の中身を何年も開いていない。
持ち主をはっきりさせ、いまの備えを確かめ、責任の考え方を知り、費用を年あたりに直し、記録を残す。 この5つを順に埋めれば、誰に何を尋ねればよいかが決まります。
ここで書くのは、いまの備えを自分で確かめる手順だけです。 どの商品を選ぶべきかは扱いません。補償の中身は契約により異なりますので、 証券と約款をご確認ください。個別の事情に応じた判断は、専門家にご確認ください。
その看板が誰の持ち物かをはっきりさせる
支払いをした人と、いまの持ち主は別のことがあります。
建物に付いたまま引き渡された看板は、建物の一部として扱われることがあります。売買や相続で持ち主が変わったときは、そのときの書面に記載があります。
自分で発注して付けた看板は、借主の持ち物になるのが基本の形です。ただし賃貸借の契約書に別の定めがあれば、そちらが先に立ちます。
居抜きで入ると、枠だけが前の店のまま残っていることがあります。誰の持ち物か決まらないまま使われている例は少なくありません。
集合したビルの壁や屋上には、管理する側の取り決めがあります。付けた人と、その面を管理する人は別になります。
設置を請け負った会社は、持ち主ではありません。付け方に問題があったかどうかは、持ち主の話とは別の筋道で見られます。
はっきりさせる材料は3つあります。看板を発注したときの見積書と請求書。 建物の賃貸借契約書の、造作や設備について書かれた条項。 そして建物の所有者や管理する側と交わした書面です。 この3つのどこにも記載が無いなら、そこが最初に埋める空白です。
借りた物件では、退去のときの扱いと合わせて読むと早く片づきます。 看板を誰の持ち物として扱うかは、どこまで戻すかという話とつながっているためです。 契約の側から見た確認事項は借りた店舗の看板にまとめています。
保険の話も、点検の話も、持ち主が誰かで相手が変わります。 看板の写真1枚と発注の書類を、机に並べてください。
いまの備えを確かめる
証券を開いて、目を通すのは5つの欄です。
| 対象になっている場所 | 住所と建物が書かれています。看板が付いている建物と一致するかを見ます。 |
|---|---|
| 対象になっている物 | 建物、設備、什器などの区分です。屋外の看板がどこに入るかは書き方で決まります。 |
| 期間 | 始まりと終わりの日付です。切れていないか、更新の手続きが済んでいるかを見ます。 |
| 対象にならない事柄の欄 | 扱わない事柄が並びます。風や地震の扱いは、契約ごとに書き方が違います。 |
| 上限の欄 | 支払いには上限が置かれています。区分が複数あれば、それぞれに上限があります。 |
看板が対象に入るかどうかは、物の欄の書き方で決まります。 建物と一体のものとして読める場合と、別に書き出しておく必要がある場合があります。 同じ形の看板でも、契約により異なります。 詳しい扱いは、お手元の証券と約款に書かれています。
5つを一度に読む必要はありません。 対象になっている物の欄と、対象にならない事柄の欄。 この2か所を写真に撮り、「この看板は、ここでいうとどこに当たりますか」と尋ねてください。 約款は、当たる箇所を教わってから読むほうが短く済みます。 残る3欄は、そのあとで足ります。
尋ねるときは、看板の側の材料も用意します。 種類、大きさ、取り付けの高さ、付いている場所。 この4つを書いた紙が1枚あれば、やりとりの往復が減ります。
どの事柄が補償されるかは、ここには書けません。契約ごとに扱いが違うためです。 扱いは証券と約款に書かれています。読み取れない箇所は、保険の担当者にお尋ねください。
責任の考え方と、点検の位置づけを知る
問われるのは、管理していたかどうかです。
建物や、そこに付いている設備には、管理に関する責任を定めた考え方があります。 持ち主や管理する側が、通常あるべき状態に保っていたかどうかが見られます。 ここで効いてくるのが、点検の記録です。 当てはめの判断は、法律の専門家にお尋ねください。
記録が無ければ、確かめていたことを示す材料がありません。 日付と写真が残っていれば、状態を見ていた事実を言葉にできます。
点検の記録が果たすこと
| 状態を知る | 傷んでいる箇所を、落ちる前に見つけられます。 |
|---|---|
| 直す順番を決める | 全部を一度に直さなくても、先に手を打つ場所が分かります。 |
| 管理していたことを示す | 日付の入った記録は、確かめていた事実を説明する材料になります。 |
| 相手に伝える材料になる | 保険の担当者や管理会社と話すとき、口頭より写真のほうが早く伝わります。 |
周期は、看板の作りと付いている場所で変わります。 高い位置にあるもの、人や車の通りに面しているものは、間隔を詰める考え方があります。 見る箇所と頻度の目安は看板の点検にまとめました。
上に書いたのは、管理に関する責任の一般的な考え方だけです。
条文の当てはめや、個別の事情をふまえた判断は含んでいません。
気になる点があるときは、保険の担当者と、法律の専門家の両方にお尋ねください。
備えのコストを年あたりに直して見る
保険料と点検費は周期が違います。年に直すと、並べられます。
年あたりの保険料 + 点検の年あたり = 備えの年あたり
3年ごとに点検するなら、費用を3で割ります。 これで、毎年払う保険料と単位がそろいます。 1回いくらのままでは、比べる相手になりません。
体感できる単位にも直しておきます。備えの年あたりが3万円だとしましょう。 30,000 ÷ 365 で、1日あたり約82円になります。 この額をどう受け取るかは、看板の大きさと付いている場所で変わります。 なお3万円は計算の置き方であって、相場ではありません。
埋める数字は5つ
| 年あたりの保険料 | 証券に書かれた保険料を、1年あたりの額に直します。 |
|---|---|
| 点検の費用 | 見積書に出ている金額です。1回あたりで見ます。 |
| 点検の周期 | 何年ごとに行うかです。3年なら3、5年なら5で割ります。 |
| 直したときの費用 | 傷んだ箇所を直す場合の見積額です。比べる相手になります。 |
| 直したものが使える年数 | 直したあと、何年もつと見込むかです。ここは業者に尋ねます。 |
比べる相手を置く
備えの年あたりと、直しの年あたり。この2つを同じ紙の上に並べます。 どちらが軽いかではなく、両方の大きさを知ることが目的です。
上限の倍率を出す
1を下回るなら、自己負担が出る前提で考えることになります。 ただし賠償は、看板の作り直しだけで終わるとは限りません。 周りへの被害が含まれうるため、この倍率は下限の目安でしかありません。
上限の額そのものは、契約によって決まります。 ここでは倍率の出し方だけを示します。 撤去して作り直す費用は、見積もりを取れば出ます。 数字で言えるのは、ここまでです。 事故が起きる確率や、支払われる金額の見込みは書けません。
掲載社が実際に公開している金額は看板の費用に種類別にまとめています。 点検や直しの見積もりを取る前に、金額の見当を付ける材料としてお使いください。
記録を残し、見直す時期を決める
貯めるのは5種類。見直す日は、先に決めておきます。
見積書、請求書、図面。誰の持ち物かを示す最初の材料になります。紙とデータを、1つの場所にまとめてください。
付けたばかりの状態が分かる1枚です。あとで比べる相手になります。取り付け部が写っていると、より役に立ちます。
日付、見た人、見た箇所、写真。この4つがそろっていれば、記録として説明できます。様式は自由で構いません。
いつ、どこを、どう直したか。同じ箇所を繰り返し直しているなら、作り替えを考える材料になります。
5つの欄が写っていれば、撮った画像でも足ります。紙のまま探すより早く開けます。
分けて保管すると、必要なときに集まりません。置き場所を1つにするだけで、記録は記録になります。
見直すタイミング
| 契約の更新前 | 証券の5つの欄を、前回と読み比べます。増えた看板があれば伝えます。 |
|---|---|
| 看板を足したとき | 新しく付けたものが対象に入るかを、その場で尋ねます。 |
| 建物や借主が変わったとき | 持ち主の扱いが動くことがあります。書面から確かめ直します。 |
| 強い風が吹いたあと | 見た目に変わりがなくても、取り付け部を下から見ておきます。 |
| 点検で指摘が出たとき | 直す前の状態を、写真で残しておきます。 |
見直す日は、カレンダーに入れてください。 契約の更新のひと月前あたりが、置きやすい時期です。 思い出したときに確かめる、という決め方では続きません。
備えが足りているか不安になったとき、この順で確かめる
- 1証券の対象になっている場所と物を見る
住所と建物が、看板の付いた場所と合っていますか。物の欄に看板がどう入るかも見ます。手元の書類だけで済みます。
- 2期間の欄を見る
始まりと終わりの日付です。更新日が過ぎていないかを確かめます。これも書類を開くだけです。
- 3誰の持ち物として扱われているかを確かめる
発注の書類と契約書で決まらないときは、管理会社や貸主に一度尋ねます。電話1本で片づくことがあります。
- 4記録が残っているかを見る
点検や修理の書類、写真。日付の入ったものがそろっているかを見ます。無ければ、次の回から貯め始めます。
- 5看板そのものを見てもらう
書類で埋まらない空白は、現物を見ないと分かりません。点検を頼みます。ここで費用が発生します。
- 6契約の中身を見直す
看板の状態と記録がそろってから、保険の担当者に相談します。順番として、いちばん最後に置いてください。
上から順に、費用のかからないものが並んでいます。 1番から4番は手元の書類と電話で片づき、費用は5番から先です。
よくある行き違い5パターン
どれも、書類を開けば手前で気づけます。
| 行き違い | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 持ち主を決めないまま使っていた | 何かあったとき、話す相手が決まらない | 発注書類と賃貸借契約書を並べて読む |
| 証券に建物とだけ書いてある | 看板がどこに入るか分からないままになる | 物の欄を撮って、担当者に見せて尋ねる |
| 点検はしたが記録を残していない | 確かめていた事実を示す材料が無い | 次の回から、日付と写真を一か所に貯める |
| 看板を足したのに伝えていない | 足した分の扱いが決まらない | 付けた時点で伝え、記載を確かめる |
| 更新の案内を読まずに手続きした | 中身が変わっていても気づかない | 更新の1か月前に、5つの欄を読み比べる |
セルフチェックリスト
担当者に連絡する前に使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、確かめる余地があります。
- その看板が誰の持ち物かを、書面で確かめた
- 発注したときの見積書と請求書が、手元にある
- 賃貸借の契約書で、造作や設備の扱いを読んだ
- 建物を管理する側に、看板の届け出が要るかを尋ねた
- 証券の「対象になっている場所」が、看板の付いた建物と一致していた
- 証券の「対象になっている物」に看板がどう入るかを、担当者に尋ねた
- 対象にならない事柄の欄と、上限の欄に目を通した
- 契約の期間が切れていないことを確かめた
- 点検の記録を、日付と写真つきで残している
- 備えの費用を年あたりに直し、上限の倍率も出してみた
- 看板を足したときに伝える相手が、決まっている
- 次に契約を見直す日を、カレンダーに入れた
よくある質問
看板の備えは、何から確かめればいいですか?
いまの契約で、看板は対象に入っていますか?
証券は、どこを見ればいいですか?
点検の記録は、どこまで残せばいいですか?
看板が落ちたとき、責任は誰にありますか?
費用を抑えたいときは、何から手を付けますか?
まとめ
いまの備えを確かめるときは、次の順序で進めます。
| 1 はっきりさせる | その看板が誰の持ち物かを、書面から決める。 |
|---|---|
| 2 確かめる | 証券の5つの欄に目を通す。対象と除外が先。 |
| 3 知る | 管理していたかが問われる。記録がそこで効く。 |
| 4 直して見る | 保険料と点検費を、年あたりの単位にそろえる。 |
| 5 残す | 記録を一か所に貯め、見直す日を先に入れる。 |
この作業は、書類を3枚そろえた時点で半分が終わります。 看板の発注書類、賃貸借の契約書、保険の証券。 机に並べ、看板の写真を1枚添えてください。 あとは、担当者に尋ねる番です。