看板の取り付け当日
施主が立ち会う5つの場面
看板を発注し、取り付けの日が決まった方へ。当日、施主が手を動かす場面はありません。 それでも、その日にしか直せないことがあります。 どこに立ち、いつ声をかけるかを先に決めておきます。
前日までに空けておく6か所/ 朝いちばんに立つ場所の決め方/ 作業を止めてよい6つの場面と、そのときの言い方/ 読ませたい距離から必要な文字の高さを出す方法/ 当日の変更が費用に効く理由と、埋めるのに要る件数の式/ 受け取る写真と書類の一覧
当日に動かせるものは、時間とともに減ります
看板の取り付けは、多くの場合その日のうちに終わります。 図面も色も、すでに決まっています。それでも当日にしか分からないことが残ります。 図面の中の位置と、道に立って見える位置は別ものだからです。
よくあるのは、こんな行き違いです。荷を降ろす車を止められず、開始が押す。 朝に誰もおらず、図面どおりの高さで付いてしまう。 上げた後になって、向きを変えたいと気づく。夜、光が隣の窓を照らしていた。
現場を空け、朝に位置を合わせ、止まってよい場面を知り、その日のうちに見て、記録を受け取る。 この5つを順に踏めば、当日の判断は足ります。
車両や資材が歩道や車道に出る場合、道路の使用について手続きが要ることがあります。
窓口が分かれる地域があり、誰が申請するかも現場によって異なります。
施工側が進めるのか、こちらで動くのかは、日程が決まった時点で確かめてください。
※ 制度や運用は変わることがあります。着工の前に管轄窓口へご確認ください。
前日までに現場を空ける
当日の遅れは、置いてある物から始まります。
荷を降ろす車を横づけできるかで、始まりの時刻が変わります。前日のうちに区画を空け、紙やテープで示しておきます。
のぼり、置き看板、自転車、鉢。正面と足元を空けます。途中で動かすと、その時間だけ手が止まります。
壁に穴を開ける工事では、中にも人が入ります。棚と商品を壁から離し、床に覆いを敷ける状態にします。
工具や点灯の確認に電気を使います。どのコンセントを使ってよいかを決め、朝に指し示せるようにします。
誰が開け、誰が閉めるか。開始と終了の時刻を前日に確かめ、鍵のやりとりをする相手を1人に絞ります。
前の看板を下ろすなら、その物の置き場を決めます。持ち帰るのか残すのかで段取りが変わります。
6つのうち、時間にいちばん効くのが1番目です。車を止められないと、荷降ろしで人が離れます。 朝の15分の遅れが、そのまま終わりの時刻を押します。
前日には、到着の時刻、壁に線を引く時刻、終わる予定の時刻を電話で確かめます。 2番目が、立ち会う時間の目印になります。 日程の組み方は看板の発注スケジュールで扱っています。
近くのお店や上の階へ、前もって声をかけておくと当日が静かに進みます。 音の出る時間帯を伝えるだけで足ります。 伝え方は看板と近隣への配慮にまとめています。
朝に位置を合わせる
見るのは看板ではなく、看板を見る人の立ち位置です。
| 人が来る方向に立つ | 駅から、駐車場から、車が走ってくる向きから。お客様が近づく道を朝のうちに歩きます。 |
|---|---|
| 紙で仮の大きさを見る | 同じ寸法の紙を面に当ててもらいます。図面では分からない大きさが、ここで分かります。 |
| 高さを目線で確かめる | 立った人の目の高さは、およそ1.5mです。見上げる角度で読める量が変わります。 |
| 斜めからの見え方を見る | 歩いて近づく人が最初に目に入れるのは、正面ではなく斜めの角度です。 |
| 隣の物との間隔を測る | 雨どい、室外機、隣の看板。図面に載っていない物が現場には立っています。 |
| 影の落ち方を見る | 朝と昼で影の位置が動きます。庇の影が文字にかかる面は、上げる前に気づけます。 |
紙を当ててもらう2行目を、遠慮しないでください。 寸法から想像した大きさと、壁に当てた紙の大きさは、たいてい違います。 この差に気づけるのは、穴が開く前の数分だけです。
車で通る人に読ませたい面なら、走ってくる向きから見ます。 時速40kmなら1秒で11m。2秒見られるとして、およそ22m手前に立って確かめます。
必要な文字の高さは、読ませたい距離のおよそ250分の1から500分の1が目安です。 20m先から読ませたいなら、20,000mm ÷ 500 で40mm、20,000mm ÷ 250 で80mm。 つまり4cmから8cmになります。書体、背景との明暗差、照明の有無で変わります。
途中で止められる場面を知る
声をかけてよい場面は、作業の流れの中に決まっています。
- 1壁に線を引いた直後
穴を開ける前の段階です。位置を示す線が壁に出ます。ここまでなら、動かしても手間は増えません。
- 2高さの数字を読み合わせるとき
図面の高さと、現場で測った高さを声に出して確かめます。数字が合えば、あとは迷わず進みます。
- 3本体を当てて支えているとき
仮に当てた状態で、一度離れて見ます。大きく動かせる最後の場面がここです。
- 4締め付ける前
水平と垂直を見ます。左右の端で高さを測り、その差を確かめてもらいます。
- 5配線をつなぐ前
光る看板では、明るさが向かう先を見ます。つないだ後は、位置を変えにくくなります。
- 6片付けが始まる前
道具と人がまだ現場にいる間に、気になる点を残らず伝えます。ここを過ぎると次は別の日です。
下へ進むほど、直す手間が増えます。1番と2番なら、線を引き直すだけです。 4番を過ぎると、動かすために一度外す作業が入ります。
声をかけるのは、施工を疑うことではありません。 現場の側も、後から呼び戻されるより、その場で聞きたいと考えます。 言葉が出てこないときは、次のまま口にしてください。
| 場面 | そのまま使える言い方 |
|---|---|
| 見え方が気になる | 「一度、道の向こうから見てもよいですか」 |
| 高さが不安になった | 「図面の高さと読み合わせをお願いできますか」 |
| 向きを変えたい | 「あと少し左に振ることはできますか」 |
| すぐに決められない | 「10分だけ待っていただけますか」 |
見た目では傾きに気づきにくいため、数字にします。 左右の端で、基準となる線からの高さを測り、その差を確かめます。 ここでは判断の線として幅の200分の1を置きます。幅2,000mmなら10mm、つまり1cmです。 法令や規格に基づく数値ではなく、どこまで許すかを先に決めるための目安です。
やり直しの重さを、計算で確かめる
当日の10分と、後日の半日は釣り合いません。
上げた後の変更には、外して、下ろして、直して、もう一度上げる工程が加わります。 高い場所なら、作業車や足場をそろえ直す日も要ります。 追加の費用が出たとき、それを売上のどこで埋めるかは式で出せます。
追加でかかった費用 ÷ 1件あたりの粗利 = 埋めるのに要る件数
月の営業日数 ÷ 件数 = 何日に1件ぶんか
客単価を3,000円、粗利率を6割としましょう。1件あたりの粗利は1,800円です。 追加でかかった費用を30,000円と置くと、30,000 ÷ 1,800 でおよそ16.6。 17件ぶんの粗利で釣り合います。
月の営業日を25日とすると、25 ÷ 17 でおよそ1.5。1.5日に1件ずつ上乗せして、ひと月で埋まります。 3,000円、6割、30,000円、25日は、式の動きを見るための仮の置き方です。 自分の数字を入れて計算してください。
当日の費用が動くところ
| 面の数と大きさ | 運ぶ手間と、留める箇所の数が変わります。 |
|---|---|
| 取り付ける高さ | 足場や作業車が要るかどうかで、当日の体制が変わります。 |
| 道路にかかるかどうか | 手続きと、人を誘導する役が加わります。 |
| 電源を引くかどうか | 電気の作業が別に入り、立ち会う時間も延びます。 |
| 前の看板を外すかどうか | 下ろす作業と、外した物の処分が加わります。 |
| 当日に変えたかどうか | 一度上げた物を下ろすと、工程がもう一往復します。 |
最後の行だけが、当日の判断で動く項目です。ほかの5つは日程が決まった時点で決まっています。 掲載社が公開している金額は看板の費用に種類別にまとめています。
その日のうちに確かめる
人がいる日と、いない日では、直せる幅が違います。
人が来る方向から、もう一度見ます。図面ではなく、立って見える形で確かめます。
遠くから近づき、文字が読めるようになる場所を確かめます。近ければ文字が小さい合図です。
光る看板は、暗くなってから本当の姿になります。色の出方、明るさ、消し忘れを見ます。
隣の窓、上の階、道の向かい。光がどこまで入るかを、その日のうちに確かめます。
すき間を埋めた材、ビスの頭、面の傷。届く範囲は自分の目と手で見られます。
どこで点け、どこで消すか。時刻で動く仕組みがあるなら、設定した時刻も聞きます。
暗くなってからの15分が、当日でいちばん見落とされます。光る面の姿は、そこで決まります。
見る時刻
| 取り付けた直後 | 位置、高さ、水平。まだ動かせる可能性が残っている時間帯です。 |
|---|---|
| 日が落ちるころ | 点灯の確認。明るさが足りるか、まぶしすぎないか。 |
| 閉める時刻 | 消灯の確認。消える時刻と、手で消す方法を確かめます。 |
| 翌朝 | 朝の光での見え方。夜には気づけない汚れや傷が見えます。 |
上の2つまでが、その日のうちに動かせる時間帯です。翌朝の確認は、記録を残す意味のほうが大きくなります。
思っていたのと違うとき、この順で疑う
- 1立つ場所を変える
見え方は立つ位置で変わります。1歩ずれるだけで印象が動きます。費用はかかりません。
- 2時間帯を変えて見る
朝と夕方では光の向きが違います。夜に覚えた違和感が、昼には消えていることもあります。
- 3手前の物をどかす
のぼり、植木、停めた自転車。看板ではなく手前の物がさえぎっている場合があります。
- 4向きを振ってもらう
角度の調整だけで収まる場合があります。当日なら、その場で試してもらえます。
- 5高さを直してもらう
留める位置を変える作業になります。当日のうちなら、下ろす手間だけで済みます。
- 6面の中身を作り替える
文字の大きさや配色を変えます。費用が最も大きいので、最後に置きます。
並んでいる順に、費用のかからないものから試せます。 1番から3番までは、自分の足だけで確かめられます。4番と5番も、当日のうちなら軽く済みます。 面を作り替える判断は、いちばん後ろに置いてください。
記録と書類を受け取る
その日にしか撮れない写真があります。
| 受け取るもの | 何のために | いつ頼むか |
|---|---|---|
| 施工前の写真 | 元の状態を残す | 着工の前に頼む |
| 取付部の写真 | 見えない部分を残す | 上げる前に頼む |
| 完成の写真 | 正面と斜め、昼と夜 | その日のうちに頼む |
| 使った部材の控え | 次に同じ物を選べる | 完了時に受け取る |
| 保証の範囲と期間 | 何がどこまで直るか | 完了時に受け取る |
| 電気の系統と操作 | 点け方と消し方を残す | 引き渡しで聞く |
| 次に見る時期 | 点検を先に決めておく | その場で決める |
| 鍵と残った材料 | 返す物と預ける物を分ける | 終わる前に確かめる |
2行目が、後から取り返せない1枚です。 壁と看板の間、留めた金具のまわり。上げてしまえば地上からは見えません。 撮影は、着工の前に頼んでおくと確実です。
受け取った物は、紙1枚にまとめておきます。 取り付けた日、頼んだ相手、使った部材、次に見る時期。これだけあれば引き継げます。
作業車を使ったか、道路の手続きをしたか、前の看板を外したか。 当日に起きたことと、書面に並ぶ項目はそろうはずのものです。 違いがあれば、記憶が新しいうちに確かめてください。
よくある失敗5パターン
いずれも、前日か朝のうちなら手を打てます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 車を止める区画を空けていない | 荷降ろしができず、開始が後ろへずれる | 前日に区画をテープで示す |
| 朝の30分に立ち会わなかった | 図面どおりに付き、現場の見え方と合わない | 線を引く時間だけ予定を空ける |
| 取り付けた後で位置を変えたいと伝えた | 下ろす工程が加わり、日をまたぐことがある | 紙を当てた段階で見て決める |
| 夜の見え方を見なかった | 光の向きに後から気づき、二度手間になる | 日が落ちてからもう一度立つ |
| 写真を頼まなかった | 次に直すとき、見えない部分が分からない | 着工の前に撮影を頼んでおく |
セルフチェックリスト
取り付けの日が決まったら使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、当日までに手を打てます。
- 開始と終了の予定時刻を、前日までに聞いている
- 荷を降ろす車を止める場所を空けてある
- 取り付ける面の正面と真下に、物を置いていない
- 当日に使ってよいコンセントを決めてある
- 鍵のやりとりをする相手を1人に決めてある
- 人がふだん来る方向を、朝のうちに歩いた
- 紙を当てた状態で、大きさと位置を自分の目で見た
- 締め付ける前に、左右の高さの差を確かめてもらった
- 離れた位置から、文字が読める距離を測った
- 日が落ちてから、点灯した状態を見た
- 施工前・取付部・完成の写真を頼んである
- 次に看板を見る時期を、その場で決めた
よくある質問
取り付けの日、施主は何をすればいいですか?
一日じゅう現場にいなければいけませんか?
道路を使って作業する場合、手続きは要りますか?
位置を変えてほしいときは、いつ言えばいいですか?
当日、写真は何を撮ってもらえばいいですか?
どうしても立ち会えない日に決まったら?
まとめ
取り付けの日は、次の順で時間が進みます。
| 1 空ける | 車の区画、面の正面、壁ぎわ。前日のうちに片づける。 |
|---|---|
| 2 合わせる | お客様が歩く道に立ち、紙を当てた大きさを見る。 |
| 3 止める | 線を引いた後、締める前、つなぐ前。声をかけてよい。 |
| 4 見る | 暗くなってからと、翌朝。動かせるうちに気づく。 |
| 5 受け取る | 見えなくなる部分の写真と、部材の控えを紙で残す。 |
当日にできる判断は、朝がいちばん多く、夕方には数えるほどになります。 立ち会う価値があるのは、終わりぎわではなく始まりの時間帯です。 まずは、壁に線を引く時刻を聞いてください。