看板のレンタル・リース
買うか借りるかを決める5ステップ
看板は要るけれど、何年使うかがまだ決まっていない。そういう場面があります。 買うか借りるかは、好みではなく使う月数で分かれます。 その数え方から順に見ていきます。
使う期間が6つの型に分かれること/ 借りられる物と、借りられない物の境目/ 契約書で読む8つの項目と、見落としたときに起きること/ 買う場合と借りる場合を月あたりで並べる式/ 借りる側が下回る月数の出し方/ 返すときに備えて残す記録の種類/ 契約の途中と終わりに、いつ何を見直すか
看板は、買わずに用意することもできます
看板の相談で多いのが、何年使うか決まっていないという状況です。 店を開けたばかりの人、出店の期間が区切られている人、建物の契約が数年で切れる人。 使う期間が読めないまま買うと、判断そのものを先送りしがちです。
借りるという選び方には、決めやすくなる面と、決めにくくなる面があります。 期間を切れる一方で、契約の条項が増えます。 途中でやめるときの扱い、壊れたときの負担、返すときに戻す範囲。読む場所が増えるわけです。
期間を決め、借りられる範囲を分け、契約を読み、買う場合と並べ、記録を残す。 この5つを順に埋めれば、どちらが自分に合うかを自分で判定できます。 どちらかを勧める記事ではありません。判定の材料を並べます。
屋外に掲げる看板は、持ち主が誰かにかかわらず手続きの対象になることがあります。
大きさ、掲げる高さ、道にかかるかどうか。判断の分かれ目は物の所有とは別のところにあります。
借り物だから届け出が要らない、とはなりません。
※ 地域によって決まりが異なります。掲出の前に管轄窓口へご確認ください。
手続きの流れは屋外広告物の許可ガイドにまとめています。
看板を使う期間を決める
ここが決まらないと、あとの4つは計算できません。
最初の一年は様子を見る段階です。表に出す面はすぐ要りますが、店の形が変わる余地も残っています。
終わりの日が先にあります。月数を数えるだけで判断がつく、いちばん分かりやすい型です。
入居の期限が、そのまま看板を使える上限になります。それより長い前提で買うと余ります。
工事の間だけ仮の面が要ります。終わったあとに同じ物を使う場面は、ほとんどありません。
内容が変わっても、器は変わりません。器だけを持ち続けるかどうかが論点になります。
使う月数が長いほど、買う側の月あたりは下がります。動かない前提なら、借りる利点は薄れます。
年ではなく、月の数で書き出してください。 「たぶん数年」では計算に入りません。24か月、36か月と置けば、次の手順に進めます。 読めないときは、短いほうと長いほうの2つを置いて両方で計算します。
建物を借りて営んでいる場合は、入居の契約が上限になります。 更新できる見込みがあっても、いまの契約に書かれた期間を基準にしてください。 物件側の決まりについてはテナントの看板ルールで扱っています。
延びたときに困るのは借りる側です。月あたりの支払いが続きます。 縮んだときに困るのは買う側です。使い切らないまま手元に残ります。 どちらの向きに動きやすいかは、業種と物件で違います。 動く幅が大きいほど、期間を短く区切れる形が扱いやすくなります。
借りられる範囲を切り分ける
動かせる物は借りられ、建物に付ける物は借りにくくなります。
| 対象 | 扱い | 補足 |
|---|---|---|
| のぼりのポールと台 | 借りやすい | 旗の面は別に作る |
| 置き型のスタンド | 借りやすい | 差し込む紙は自前 |
| 仮設のフェンス幕 | 借りやすい | 工期に合わせて期間を切る |
| 移動できる電飾スタンド | 条件つき | 電源の取り方を先に決める |
| 画面で映すもの | 条件つき | 流す中身を作る手間が別に要る |
| 壁に固定する面 | 借りにくい | 建物に付ける工事が伴う |
| 道に突き出す形の面 | 借りにくい | 構造と手続きが絡む |
| 店名の入った表示面 | 借りられない | その店だけの物になる |
分かれ目は、他の場所でもそのまま使えるかどうかです。 ポールも台もスタンドも、次の借り手に回せます。だから貸す側が持てます。 店名の入った面は、その店以外では使い道がありません。
ここを取り違えると、あとで費用が乗ります。 器を借りても、名前や内容を入れる面は自分で作ることになるからです。 のぼりや置き型そのものの選び方はのぼり・置き看板の選び方にあります。
貸す側が持っている物を使うのが、借りる形です。 これに対し、自分の看板を作ったうえで、支払いを月ごとに分ける形もあります。 後者では期間の終わりに手元へ残ることがあり、途中でやめる条件も変わります。 どちらの形かは書面の言葉ではなく、期間の終わりに誰の物になるかで見分けてください。
契約書で読む項目を確かめる
月額の数字より、この8か所のほうが後で効いてきます。
| 項目 | 何を読むか | 見落とすと |
|---|---|---|
| 期間と更新 | 何か月か。自動で続く形か | 使わない月まで払う |
| 途中でやめるとき | 予告の期間と、残りの扱い | 想定していない支払いが出る |
| 壊れたときの負担 | 通常の故障か、落下や破損か | 修理費の持ち先で揉める |
| 保守の範囲 | 光源や部品の交換が入るか | 別料金が積み上がる |
| 設置と撤去 | 作業まで料金に含むか | 当日に人手が足りない |
| 返すときの状態 | 下地の補修まで求められるか | 返却の直前に費用が出る |
| 期間の後の所有者 | 返すのか、引き取るのか | 処分の判断ができない |
| 表示面の差し替え | 中身を途中で変えられるか | 内容を変えられないまま使う |
上から2番目が、いちばん相談の多い箇所です。 やめたい月と、やめられる月がずれます。 予告が要る形では、決める日は期限そのものより手前にあります。
3番目の負担も、事前に言葉で確かめる価値があります。 風で倒れた、人がぶつかった、光源が寿命で切れた。原因ごとに扱いが分かれるのが一般的です。 どれが誰の負担になるかを、口頭ではなく書面で押さえてください。
残りの期間をまとめて求められる形もあれば、予告だけで足りる形もあります。
自動で続く条項が入っていると、判断できる時期が限られます。
申し込む前に、予告の期間と、残りの期間の扱いの2点を確かめてください。
※ ここに書いたのは読む観点だけです。実際の条件は書面によって変わります。事前にご確認ください。
買う場合と並べて計算する
同じ土俵に乗せるには、どちらも月あたりに直します。
契約の月額 = 借りる場合の月あたり
取得にかかる額 ÷ 契約の月額 = 分かれ目の月数
取得にかかる額を360,000円、契約の月額を12,000円と置いてみます。 360,000 ÷ 12,000 で30。分かれ目は30か月、つまり2年6か月です。
使う期間が30か月より短ければ、借りる側の月あたりが下回ります。 長ければ買う側が下回ります。好みではなく、この一本の線で分かれます。 なお360,000円と12,000円は、式の動きを見るための仮の置き方です。
次に、その月あたりを取り戻せるかを見ます。 客単価を3,000円、粗利率を6割とすると、1人あたりの粗利は1,800円です。 12,000 ÷ 1,800 で6.66。月に7人の新しい客で釣り合います。 ひと月30日で割ると、およそ4日に1人という頻度になります。
3,000円と6割も仮の数字です。自分の単価と粗利率を入れて計算してください。 取得にかかる額には、設置の作業や、名前を入れる面の製作も含めます。 含める範囲がずれると、比較そのものが成り立ちません。
借りる場合の額が動くところ
| 借りる月数 | 長い契約ほど、月あたりが下がる形が多く見られます。 |
|---|---|
| 設置と撤去 | 作業を料金に含めるかどうかで、初回と最後の額が変わります。 |
| 保守の範囲 | 光源や部品の交換まで含めると、毎月の額に乗ります。 |
| 表示面の製作 | 器とは別に、名前や内容を入れる面の費用がかかります。 |
| 電気の使い方 | 光らせる時間の長さが、毎月の負担に直に効きます。 |
| 運ぶ距離 | 現場までの往復が、借り始めと返却の二度発生します。 |
4行目を落とすと、計算が合わなくなります。器の月額だけで比べてしまうからです。 項目の分け方は看板の見積書の読み方で扱っています。 掲載社が公式サイトで公開している金額は看板の費用に種類別にまとめています。
買う形と借りる形では、帳簿での扱いが変わります。 契約の内容によっても分かれるため、この記事では踏み込みません。 考え方の整理は看板と税金・減価償却にまとめています。 実際の処理は顧問の税理士へご確認ください。
返すときに備えて記録を残す
もめる場面は、たいてい返却の直前に来ます。
傷や汚れは、あとから言葉で説明できません。受け取った当日に、全体と気になる箇所を撮ります。
返すときに戻す範囲は、この一枚で決まります。壁や床の元の状態を、付ける前に残してください。
台、重り、ケーブル、収納袋。細かい物ほど行方が分からなくなります。数と種類を書き出します。
申込書、条件の書面、担当者とのやりとり。返すときに読み返すのは、この束です。
いつから起きていたかが、負担の話し合いで効きます。写真に日付が入れば十分です。
予告が要る契約では、期限そのものより手前が判断の日になります。両方を入れておきます。
写真を撮る時点は3つです。借りた日、取り付けた直後、返す直前。この3枚で、変化の説明がつきます。
契約の途中で見直すところ
| 3か月 | 使う頻度を見ます。置いたままの物があれば、次の契約で数を減らせます。 |
|---|---|
| 半年 | 傷みやすい箇所が見えてきます。負担の条項を読み直す時期です。 |
| 1年 | 使う期間の見通しが変わったかを確かめます。延びたなら計算をやり直します。 |
| 更新の手前 | 予告に間に合う時点で、続けるかどうかを決めます。 |
| 期間の終わり | 返す状態と、借りた日の記録を突き合わせます。 |
契約を結んだら終わり、とはなりません。 使う頻度は3か月あれば見えます。使っていない物が混じっていたら、次の契約で外せます。 期間の見通しが変わったときは、分かれ目の月数を計算し直してください。
返すときに確かめる順序
- 1契約書の返却条項を読み直す
いつまでに、どの状態で返すか。ここが起点です。運搬を誰が手配するかも併せて見ます。
- 2借りた日の写真と見比べる
傷や汚れが増えているかを、同じ角度で確かめます。判断が付かない箇所は先に伝えます。
- 3付属品の数をそろえる
控えた一覧と突き合わせます。足りない物は、返す前に分かったほうが安く済みます。
- 4取り付けた場所を元に戻す
穴や跡が残る場合、戻す範囲は借りる前に聞いた内容で決まります。
- 5引き取りの日を決めて立ち会う
外す作業の当日に、その場で状態を確認できます。あとから写真で説明する手間が減ります。
- 6契約の終わりを書面で受け取る
返したことが記録として残ります。支払いが止まっているかも、この時点で確かめます。
建物に付けた物を外す場合は、足場や重機が要ることがあります。 外す作業そのものの段取りは看板の撤去・処分の進め方にまとめています。
よくある失敗5パターン
いずれも、申し込みの前に気づけば直せます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 期間を決めずに借り始めた | 使わない月まで支払いが続く | 終わりの日を先に置き、更新の条件を読む |
| 自動で続く条項を見落とした | やめられる時期が先へずれる | 予告の日を暦に入れ、その手前で判断する |
| 壊れたときの負担を聞かなかった | 修理費の持ち先が話し合いになる | 故障の種類ごとに、誰が持つかを書面で確かめる |
| 返すときの範囲を数えていなかった | 返却の直前に想定外の費用が出る | 借りる前に下地を撮り、戻す範囲を聞いておく |
| 表示面まで借りられると考えた | 名前を入れる面の費用が後から乗る | 器と面を分けて、それぞれ見積もりを取る |
セルフチェックリスト
申込書に署名する前に使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。
- 看板を使う期間を、月数で書き出した
- 期間が延びる場合と縮む場合を、どちらも考えた
- 借りる器と、名前を入れる面を分けて数えた
- 契約の期間と、自動で続く形かどうかを確かめた
- 途中でやめるときの予告期間を知っている
- 途中でやめたとき、残りの期間がどう扱われるかを聞いた
- 壊れたときに誰が負担するかを、書面で確かめた
- 設置と撤去の作業が料金に入るかを確かめた
- 返すときに戻す範囲を、借りる前に聞いた
- 買う場合の月あたりと、借りる場合の月あたりを並べた
- 借りた日の状態と、取り付ける場所の写真を残した
- 期間の終わりと、予告の日を暦に入れた
よくある質問
看板は借りられますか?
買うか借りるかは、何で決めますか?
途中でやめられますか?
壊れたときの費用は誰が持ちますか?
借りた看板でも、手続きは要りますか?
経理や税金の扱いはどうなりますか?
まとめ
所有せずに使うかどうかは、次の順序で判定していきます。
| 1 期間 | 何年ではなく何か月かで置く。読めないなら2通り置く。 |
|---|---|
| 2 範囲 | 動かせる器と、名前の入った面を別々に数える。 |
| 3 契約 | 月額より、やめ方と負担と返し方の条項を読む。 |
| 4 計算 | 取得額を月額で割り、分かれ目の月数を出す。 |
| 5 記録 | 受け取り、取り付け、返却の3時点を写真で残す。 |
借りるか買うかは、使う月数が分かれ目の月数より短いかどうかだけの話です。 どちらが優れているという比べ方はしません。 まず自分が何か月使うのかを書き出すところから始めてください。