イベント・催事の看板ガイド
短期の掲出を決める5手順
これから出展する方、催事を開く方へ。 数日だけ出す看板は、決める順番が店の看板と違います。 先に会場の条件をそろえると、枚数と形がほぼ決まります。
会場に先に尋ねる6つの条件と、設営と撤収の時間の組み方/ 気づかせる面、読ませる面、誘導の面の分け方/ 読ませたい距離から文字の高さを出す早見表/ 使う回数で変わる、作り方の置き方/ 屋外に出すときの手続きと、会場の規約との違い/ 制作費を1回あたりに直し、回収ラインを出す計算/ 会期中に数える方法と、疑う順序
短期の看板は、決める順番で用意する量が変わります
イベントの看板で最初に届く質問が「何枚くらい要りますか」というものです。 枚数は、会場の作りと人の流れから逆算します。 先に決めるのは枚数ではなく、会場の条件です。
確かめないまま進めると、こうなります。壁に貼る前提で作ったのに、会場では何も貼れない。 通路の反対側から読めない大きさで刷ってしまう。 会場の名前と日付を入れたので、次の年に使えない。 会期の後、何が効いたのか誰にも分からない。
条件を確かめ、枚数と置き場所を決め、使う回数から作り方を選び、費用を1回あたりに直し、会期中に測る。 この5つを順に埋めれば、発注する内容が固まります。
書くのは、数日から数週間だけ出す看板の決め方です。 店舗に長く付ける看板は扱いません。 使用条件や掲出の手続きは、場所ごとに定めが違います。 実際の可否は会場と管轄窓口へご確認ください。
会期と会場の条件を確かめる
作れる物ではなく、置ける物から考えます。
会場に入れる時刻と、開場までの残り時間を押さえます。前日から入れるのか、当日の朝だけか。ここで用意する物の量が決まります。
画鋲、両面テープ、粘着フック。使える物は会場ごとに違います。何も貼れないなら、自分で立つ形に切り替えます。
屋外や半屋外では、雨と風を受けます。面が大きいほど倒れやすくなります。重しの数は前もって決めます。
光る物や映像を出すなら、コンセントの位置と容量を尋ねます。配線が通路を横切るなら、覆いが要ります。
入口の幅、エレベーターの奥行き、台車を使えるか。運び込めない寸法で作ると、当日そこで手が止まります。
何時までに片づけるか、跡を残さず戻せるか。糊が残ると、後から費用を求められることがあります。
この6つは、申し込み時の書面に載っていることが多い項目です。 読み取れないものを箇条書きにして送れば、往復は1回で済みます。
設営から撤収までの時間を見積もる
| 数える単位を決める | 「1枚あたり何分か」で数えます。貼る、置く、組み立てるで時間が違います。 |
|---|---|
| 枚数を掛ける | 1枚あたりの分数に枚数を掛けます。これが設営の中心になる時間です。 |
| 位置合わせの時間を足す | 高さと向きを直す作業は別に積みます。ここを0で組むと開場に間に合いません。 |
| 買い足しの余白を置く | 足りない物を調達する時間です。会場から出られないなら、代わりの手を先に決めます。 |
| 撤収の見込みを立てる | 剥がす作業と糊を落とす作業が加わります。短く済むことは多いものの、0分では組めません。 |
時間の見積もりは、枚数に直結します。 入れる時間が90分しかないなら、置ける枚数もそこが上限です。 開いて立てるだけの形に寄せると、時間は縮みます。
出す枚数と置く場所を決める
面は役割で分けます。1枚で兼ねると、どちらも届きません。
- 1遠くから気づかせる面
入口や通路の端から見える1面です。載せるのは名前と、扱う物の2つまで。足すほど、遠くからは読めなくなります。
- 2近くで読ませる面
立ち止まった人が読む面です。詳しい内容はここに置きます。歩きながらではなく、止まって読む前提で組みます。
- 3迷わせない誘導の面
入口から目的地までの曲がり角に置きます。矢印と行き先だけで足ります。曲がる場所の数だけ要ります。
枚数の出し方は単純です。気づかせる面が1枚、読ませる面が1枚。 そこに、曲がり角の数だけ誘導を足します。 迷う場所が3か所あるなら、誘導は3枚要ります。
読ませたい距離から、文字の高さを出す
必要な文字の高さは、視認距離の1/250から1/500が目安です。 10m先から読ませたいなら2〜4cm。50m先なら10〜20cmになります。
| 読ませたい距離 | 文字の高さ | 主な使い所 |
|---|---|---|
| 10m先から | 2〜4cm | ブース内の説明書き、卓上の表示 |
| 20m先から | 4〜8cm | 通路の反対側から見る見出し |
| 30m先から | 6〜12cm | 会場の一角から探してもらう表示 |
| 50m先から | 10〜20cm | 入口の目印、屋外での誘導 |
細い書体、色の差が小さい配色、暗い会場では、大きい側を取ります。
通路を歩く人が一目で受け取れるのは、十数文字までが目安です。 迷ったら、声に出して2秒で読み切れるかを試してください。 読み切れないなら、要素を削るほうが先です。
床に置く形と脚で立てる形では、専有する広さも風の受け方も違います。 向き不向きはのぼり・置き看板にまとめました。
何度使うかで、作り方を決める
同じ見た目でも、1回で捨てる物と5年使う物は中身が違います。
| 使い方 | 作り方の置き方 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 一度きりで終える | 軽く作り、会期後は処分する前提で組む | 日付も会場の名前も刷り込んでよい |
| 毎年続けて出す | 本体を丈夫にし、収納と運搬から逆算する | 角と折り目から先に傷みます |
| 年に数回持ち出す | 共通の面と差し替える面を分けておく | 差し替え部分の寸法を固定する |
| 中身が毎回変わる | 枠だけ残し、印刷物を入れ替える形にする | 枠の規格に紙の側を合わせる |
分かれ目は、日付と会場の名前をどこに置くかです。 本体に刷り込むと、その1回で役目が終わります。 変わる情報だけ別の紙にして、上から重ねると寿命が延びます。
差し替える作りにするなら、寸法を先に固定します。 枠を規格として決め、毎回そこへ紙を合わせます。 逆にすると、紙が変わるたびに枠を作り直すことになります。
大きな面を吊る形も、短期では使われます。 風の受け方と留め方が地上の看板と違うので、作りの考え方も別です。 詳しくは横断幕・懸垂幕を参照してください。
繰り返し使うなら、会期後のしまい方もここで決めます。 巻いて入れる筒か、平らに寝かせる棚か。
屋外に出すときの手続きを確かめる
短い期間でも、扱いが定められている場合があります。
屋内のブースだけで完結するなら、見るのは会場の使用条件です。 敷地の外から見える位置に出すなら、話が1つ増えます。 屋外の広告物には、掲出そのものに関する定めが置かれています。
この定めは、県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域に分かれます。 期間の長短で扱いが変わることも、変わらないこともあります。 数日でも届け出が要る場合があるため、置く前に尋ねてください。
| 会場の管理者 | 掲示してよい場所、付けてよい物、大きさの上限。施設の使用条件に書かれています。 |
|---|---|
| 消防の扱い | 屋内で使う布や紙は、燃えにくさの扱いを求められることがあります。 |
| 屋外広告物の窓口 | 敷地の外から見える表示は、掲出の扱いが定められている場合があります。県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。 |
| 道路や公共の場所の管理者 | 歩道や広場にはみ出す置き方は、別の許しが要ることがあります。 |
| 原状回復の範囲 | 撤収後にどこまで戻すか。貼り跡や穴の扱いを書面で確かめます。 |
会場の使用条件を満たしていても、屋外の掲出は別に見られます。
逆に、掲出の扱いを満たしていても、会場が認めないこともあります。
一方の確認で済ませず、会場と管轄窓口の両方へ事前にご確認ください。
許可が要る場合の流れと、書類のそろえ方は屋外広告物の許可にまとめています。
費用を1回あたりに直し、取り戻すラインを計算する
制作費のままでは、会期の成果と並べられません。
1回あたり ÷(客単価 × 粗利率) = 会期中に必要な件数
使う回数は、Step 3で決めた通りに入れます。 一度きりなら1で割るので、制作費がそのまま1回あたりです。 丈夫に作って4回持ち出す物は、1回あたりが4分の1になります。
数字を1組だけ置いて動かします。制作費を6万円、使う回数を4回とします。 60,000 ÷ 4 で、1回あたりは15,000円。 客単価を5,000円、粗利率を6割とすると、1件で残るのは 5,000 × 0.6 = 3,000円。 15,000 ÷ 3,000 で、必要な件数は5件です。
ここで止めず、体感できる単位に直します。 会期が3日なら、5 ÷ 3 で1日あたり約1.7件。 1日に2人弱で、看板の代金は取り戻せる計算になります。
6万円も5,000円も、式を動かすために置いた数字です。相場ではありません。
先に件数を決めて、制作にかけられる額を逆算する使い方もできます。
出展そのものの費用は、分母に入れず分けて考えます。 掲載社が公開している実際の金額は看板の費用に種類別にまとめています。
会期中に測り、次回に持ち越すものを決める
測るのも直すのも、会期中にその場で行います。
| 立ち寄った人数を数える | 手元で数を取ります。時間帯ごとに分けると、人の流れが見えます。 |
|---|---|
| 配布物の減り方を見る | 朝に何部あり、夕方に何部残ったか。1日2回の記録で足ります。 |
| QRの読み取り数を見る | 面ごとに違う行き先を割り当てると、どの面が働いたか分かれます。 |
| 会期後の言及を拾う | 来店や問い合わせで、どこで見たかを尋ねます。1行のメモで足ります。 |
| 撮られた回数を数える | 写真を撮る人がいたら数に入れます。持ち帰られた面は、後から効きます。 |
5つ全部を追う必要はありません。人数と、配布物の残り。 この2つだけなら、当日の手を止めずに続けられます。
見るタイミングを決めておく
- 1初日の午前
人が立ち止まるか、素通りするか。ここで直せるのは置き方と高さだけです。
- 2初日を終えた時点
数えた人数と配布物の減りを見ます。翌日の並べ方を変える、最後の機会です。
- 3会期の中間
前半で試した置き方から、1つだけ変えます。2つ動かすと、どちらが効いたか分かりません。
- 4会期後1か月
来店や問い合わせでの言及を集めます。会期中に出なかった反応は、ここに現れます。
会期中の見直しは、その場で直せることに絞ります。 刷り直しは間に合いません。気づいた点はメモに回します。
人が止まらないとき、この順で疑う
- 1置く高さを動かす
目線より上か下か。床置きの表示は、人が立つと隠れます。まず高さを変えます。費用はかかりません。
- 2立つ位置と向きを変える
人の流れに対して、面が正面を向いているか。少し斜めにするだけで、見えている時間が延びます。
- 3書いてある要素を減らす
一目で読ませる面なら、載せるのは2つまで。減らした分だけ、残った字を大きくできます。
- 4文字を大きくする
距離に対して高さが足りているかを、早見表で当たり直します。上から貼り足すだけで済む場合があります。
- 5作り直す
上の4つで届かないときに、初めて作り替えます。会期中ではなく、次回に回す判断です。
上から順に、費用のかからないものが並びます。 1番と2番はその場で試せます。3番と4番は、紙を1枚足せば済むこともあります。
次回に持ち越すもの
立ち寄った人数、配布物の減り、読み取り数。日付と時間帯を添えます。数字だけの紙が1枚あれば足ります。
設営の直後と、人が集まっている時間帯の2枚。置き方を思い出すとき、言葉より早く伝わります。
面の大きさ、文字の高さ、脚の幅。同じ物をもう一度作るとき、見積もりが早く出ます。
貼れなかった場所、直された置き方。同じ会場へまた入るなら、確かめる手間が減ります。
角、折り目、脚の付け根。どこから傷むかが分かると、次は作りを変えられます。
撤収の日にまとめると、疲れて手が止まります。最終日、片づける前に写真だけ撮ってください。
よくある失敗5パターン
どれも、発注の前に手前で気づけます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 当日の朝に届く手配にした | 刷り上がりの違いに気づいても直せない | 会期の前に手元へ届く日で発注する |
| 壁に貼る前提だけで作った | 会場で貼れず、床に立てかける形になる | 自分で立つ脚か、重しを1組だけ用意しておく |
| 小さい字を詰め込んだ | 通路を歩く人が読み切れず、素通りされる | 要素を2つに削り、残した字を大きく貼り直す |
| 会場名と日付を刷り込んだ | 次の会期で使えず、毎回作ることになる | 差し替える部分だけ、別の紙で重ねる |
| 数を数えずに会期を終えた | 次に何を変えるか決まらない | 立ち寄った人数だけでも、その場で数え取る |
セルフチェックリスト
発注する前に使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、決め直す余地があります。
- 会場に入れる時刻と、開場までの残り時間を確かめた
- 壁と床に何を付けてよいかを、施設の使用条件で読んだ
- 搬入の経路を通る寸法に、作る物が収まっている
- 雨と風を受ける場所に置くかどうかを決めた
- 気づかせる面と読ませる面を、分けて数えた
- 読ませたい距離から、必要な文字の高さを出した
- 一目で読ませる面の要素が、2つ以内に収まっている
- 何回使う物かを決めてから、作り方と素材を選んだ
- 敷地の外から見える表示の扱いを、会場と窓口に尋ねた
- 制作費を使う回数で割り、1回あたりの額を出した
- 会期中に何件あればトントンかを、1日あたりに直した
- 会期中に数える項目と、数える担当が決まっている
よくある質問
イベントの看板は、何から決めればいいですか?
文字の大きさは、どう決めますか?
数日だけの掲出でも、届け出は要りますか?
効果は、いつ判断すればいいですか?
すでに作った看板が働かないときは?
予算が限られるときは、何を優先しますか?
まとめ
短期の看板を用意するときは、次の順序で進めます。
| 1 確かめる | 時間、付けてよい物、風、電源、搬入、撤収の6つを会場に尋ねる。 |
|---|---|
| 2 分ける | 気づかせる面、読ませる面、誘導の面。曲がり角の数だけ足す。 |
| 3 選ぶ | 使う回数から作りを決める。変わる情報は本体に刷り込まない。 |
| 4 割る | 制作費を回数で割り、1日あたり何件でトントンかまで直す。 |
| 5 数える | 会期中に人数と配布物を数え、記録と写真を次回へ渡す。 |
この準備は、会場の書面を1枚読んだ時点で半分が終わります。 使える時間、付けてよい物、運び込める大きさ。 この3つで作れる形は絞られます。