写真に写る看板の作り方
撮られる前提で決める5ステップ
これから店の看板をそろえる方へ。店の外観は、思っているより頻繁に撮られています。 看板を読むのは、現地に立つ人だけではありません。 小さな画面越しに読む人が、その手前にいます。
撮られる位置が6通りに分かれること/ 画角に入れるものと外すものを決める表の作り方/ 現地で読める大きさと、画面で読める大きさが別になる理由/ 画素の数から屋号の文字数を出す方法/ 写り込みで先に確かめる6つの対象/ 回収の式/ 写りが悪いとき、費用をかけずに疑う順序
看板は、写真越しにも読まれます
看板の相談で多いのが、現地で目立つ形にしたいというご要望です。 通りから見えること、夜に分かること。どちらも要る条件です。 ただ、看板を見る人の一部は、その場に立っていません。
地図アプリに並ぶ外観の一枚。口コミの投稿に添えられた写真。交流サイトに流れる何気ない一枚。 どれも、店の看板が入り込んだ画像です。写真は、小さい画面で見られます。
写真を前提にせず作ると、こうなります。屋号が画角の端で切れる。 つやのある面が昼に白く飛ぶ。夜は、光る面のほかが黒く沈む。 看板の下の自転車とのぼりが、いつ撮られても一緒に写る。
撮られる位置を決め、画角に入るものを絞り、写っても差し支えない中身にし、 費用を計算し、写真から来た人を測る。この五つを順に埋めます。
図面の段階でも、既に建っている看板でも、やることは同じです。 撮られそうな位置に立って一枚撮り、手のひらの大きさまで縮めて眺めます。 読めなければ、そこが直すところです。
撮られる位置を決める
どこから撮られるかが決まれば、何を大きくするかも決まります。
看板の全体が入る位置です。建物の輪郭と屋号がそろって写ります。地図アプリに並ぶ外観は、この形になります。
人が実際に近づく角度です。正面より面が歪みます。屋号が画角の端で切れやすいのも、この角度です。
入る直前に撮られます。写るのは看板の下半分と扉のまわり。ここに置いてある物が、そのまま画面に残ります。
光る面しか写りません。昼に読めていた文字が、夜の写真では黒く沈みます。光らせる範囲を決める材料です。
立った人の目の高さで撮られます。見上げる角度が強いほど、看板の面は台形につぶれます。高い位置ほど不利です。
左右が切り詰められます。屋号を面の端に寄せていると、真っ先に落ちるのがそこです。中央へ寄せる理由になります。
六つのうち、先に押さえるのは正面と入口の前です。 正面は店を紹介する一枚に使われ、入口の前は入る直前に撮られます。 この二つが読めれば、残りは後から足せます。
立った状態の目線の高さは、一般的な目安としておよそ1.4mから1.6mです。 手に持った機器で撮るときも、おおむねこの範囲に収まります。 看板が高い位置にあるほど、写真では見上げる角度が強くなります。 面は上へ行くほど狭まり、台形につぶれます。 高さは、現地で見上げた形ではなく、撮った一枚で判断してください。
画角に入るものを絞る
入れるものは三つまで。屋号、入口、目印です。
| 画角 | 入れるもの | 外すもの |
|---|---|---|
| 正面の画角 | 屋号と、建物の輪郭 | 料金や品目の細かい表示 |
| 斜めの画角 | 屋号と、入口の位置 | 隣の建物にかかる部分 |
| 入口の前 | 扉の脇の一枚と屋号の下端 | 積んだ箱、台車、脚立 |
| 夜の画角 | 光る面に載せた屋号 | 光らない面の細かい文字 |
| 縦長の画角 | 中央へ寄せた屋号 | 端に置いた連絡先 |
| どの画角でも | 目印になる形か色を一つ | のぼりと、止めた自転車 |
右の列が、この表の働きどころです。入れるものだけを決めると、画角は詰まります。 外すものを先に決めると、写真の中で屋号が生き残ります。 料金や品目の細かい表示は、正面から抜いて入口の側へ回してください。
最終行の二つに気をつけます。のぼりと自転車は、置いたその日から毎日そこにあります。 撮る人が変わっても、写る物は変わりません。
現地と画面で、必要な大きさが違う
| 読ませ方 | 必要な大きさ | 出し方 |
|---|---|---|
| 歩く人に10m先から | 文字の高さ 2〜4cm | 10,000mm ÷ 500〜250 |
| 歩く人に20m先から | 文字の高さ 4〜8cm | 20,000mm ÷ 500〜250 |
| 写真の中で読ませる | 1文字 およそ20px以上 | 看板の幅の画素 ÷ 文字数 |
現地での視認は、距離から出せます。必要な文字の高さは、読ませたい距離の250分の1から500分の1が目安です。 歩く人に10m先から読ませるなら、10,000mm ÷ 500 で20mm、10,000mm ÷ 250 で40mm。2cmから4cmになります。 書体、背景との明暗差、照明の有無で変わるため、迷うときは大きいほうを取ってください。
写真の中は、距離ではなく画素の数で決まります。
横1,200pxの写真で、看板が横幅の4分の1を占めるとします。1,200 ÷ 4 で、看板の幅は300pxです。
屋号が10文字なら、300 ÷ 10 で1文字30px。6文字なら、300 ÷ 6 で50pxです。
一覧に並ぶときは、写真がさらに縮みます。半分の大きさで見られると置けば、30pxは15px、50pxは25pxになります。
小さい画面で読める下限をおよそ20pxと置くと、10文字は届かず、6文字なら残ります。
画面で読ませる語は、6文字までを目安にしてください。
※ これは画素の数から導いた考え方です。機種、画面の細かさ、写真の縮み方で変わります。
面を二つ作るという話ではありません。 一つの面の中で、大きく出す語と、近づいて読む語を段に分けます。 大きい段に置けるのは屋号だけ、と決めてしまうと早く終わります。
撮っても差し支えない中身にする
写真は、看板より遠くまで届きます。届いた先で困る要素を先に抜きます。
| 人の顔 | 通行人や来店した方が入ります。一般的に、公開の前に配慮が要る場面があります。人通りの少ない側へ位置をずらすと、写る量が減ります。 |
|---|---|
| 他店の看板 | 隣り合う店の屋号や標章が画角に入ります。並べて見せる形になると、意図しない受け取られ方をすることがあります。 |
| 借りて使った図柄 | 看板に使った絵や写真には、使える範囲の取り決めがあります。屋外に掲げる分と、写真として広く出す分で扱いが違う場合があります。 |
| 人物を写した装飾 | その方との取り決めに期間が付くことがあります。面を張り替えても、撮られた写真は残り続けます。 |
| 近隣の住居や車 | 窓の中や車の番号が入ることがあります。画角を狭めるほど、あとの面倒が減ります。 |
| 一時的に置いた物 | 工事の囲い、他店の配達車、置き看板。その日だけ写る物と、毎日写る物を分けます。 |
三行目が、いちばん見落とされます。屋外に掲げるために用意した図柄でも、 写真として広く出す使い方までは含まれない場合があります。 取り決めの範囲は、図柄を用意した相手先に確かめてください。 画像の扱いは看板に使う画像と権利にまとめています。
期限の付いた図柄は、正面の画角から外すほうが後の手間が減ります。 入口の側や、季節で入れ替える面へ回してください。
看板そのものの大きさや設置場所には、地域ごとの制限がかかります。
県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。
写り込みの確認が済んでも、掲出の可否は別に調べてください。
※ 一般的な説明です。制度は変わることがあります。図面を確定する前に管轄窓口へご確認ください。
費用と作り分けを計算する
写真のために足す費用と、削って浮く費用を両方見ます。
年のコスト ÷ 1人あたりの粗利 = 年に必要な新しい人数
365 ÷ 年に必要な人数 = 何日に1人でトントンか
客単価を4,000円、粗利率を35%と置きます。4,000 × 0.35 で、1人あたりの粗利は1,400円です。
看板にかかる年のコストが84,000円だとします。 84,000 ÷ 1,400 で60。年に60人の新しい方で釣り合う計算になります。 365 ÷ 60 はおよそ6.08。6日に1人でトントン、という見え方です。
4,000円、35%、84,000円は、式の動きを見るための仮の置き方です。 自分の店の数字に差し替えてください。
費用を左右するところ
| 面の数 | 正面から読ませる面と、入口で読ませる面。分けた数がそのまま費用に乗ります。 |
|---|---|
| 表面の仕上げ | つやのある面は光を返します。昼は白く飛び、夜は光源が点になって写ります。 |
| 光らせる範囲 | 夜の写真に残るのは光る面だけです。光らせる面積が金額を動かします。 |
| 屋号の文字数 | 文字を減らすほど、一字を大きく取れます。板の寸法を上げずに済みます。 |
| 取り付ける高さ | 高い位置ほど見上げる角度が強まり、写真では面がつぶれます。 |
| 差し替えの仕組み | 替えられる面にしておくと、板ごと作り直さずに手を入れられます。 |
四行目は、足すのではなく削ることで効いてきます。 屋号を6文字に収めれば、同じ板の幅で一字を大きく取れます。 掲載社が公式サイトで公開している金額は看板の費用に種類別にまとめています。
二行目は、写真のためだけに動きます。つやを消す仕上げは、現地の見え方をほとんど変えません。 白飛びと映り込みだけが減ります。業者に指定しなければ決まりません。
写真から来た人がいるかを測る
数える前に、自分で一枚撮るところから始まります。
決めた位置に立ち、手に持った機器で撮ります。手のひらの大きさに縮めて眺めれば、読めるかはその場で分かります。費用はかかりません。
「どこで見てお越しになりましたか」。写真を見て来たのかどうかは、聞かなければ分かりません。
店の情報を載せていれば、表示された数や経路を調べた数が残ります。写真を替えた前後で並べます。
口コミに添えられた写真のうち、屋号が読める枚数を数えます。読めない枚数が多いなら、位置か大きさが合っていません。
写真と実物が違うと、扉の前で足が止まります。10分ほど眺めれば、ずれている場所が見えてきます。
自分で撮った一枚が、いちばん早くて安い測定です。
判断のタイミング
| その日 | 撮った一枚を縮めて見ます。読めなければ、図面の段階で直せます。 |
|---|---|
| 1か月 | 投稿された写真に屋号が写り始めるかを見ます。枚数はまだ少ない時期です。 |
| 3か月 | 来店した方の話に、写真で見たという経路が現れるかを見ます。 |
| 半年 | 季節と時間帯の偏りを除いて比べられます。前の年と並べます。 |
| 1年 | 画角ごとの写り方を見比べ、減らす面を決めます。 |
1か月で来店の数を見て決めるのは早すぎます。 写真が撮られ、投稿され、誰かの目に入るまでに日数が要るからです。 投稿された写真の写り方を先に見てください。
写りが悪いとき、この順で疑う
- 1撮ってみたかを疑う
決めた位置で一枚撮り、手のひらの大きさに縮めて眺めます。原因の多くはここで見つかります。かかるのは数分です。
- 2屋号の文字数を疑う
画面で読ませたい語を6文字までに削れるかを見ます。語を足すほど、一字あたりの画素が減ります。
- 3画角の端に寄っていないかを疑う
縦長に切ったとき、屋号が残るかを確かめます。文字の並びを中央へ寄せるだけで済むことがあります。
- 4足元に置いた物を疑う
のぼり、自転車、台車。置き場所を看板の外へ移すと、写り込みはその日から消えます。
- 5汚れと反射を疑う
面を拭き、光が返る向きを見ます。白く飛ぶ時間帯が決まっているなら、庇か角度で逃げられます。
- 6面を作り替える
ここまでで動かないときに検討します。かかる額がいちばん大きいため、最後に置いています。
上から順に、かかる額が小さいものが並びます。 1番から4番までは、撮る、削る、寄せる、動かすだけで終わります。 6番が作り替えです。
よくある失敗5パターン
どれも、一枚撮った段階で気づけば直せます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 現地で読める大きさで止めた | 写真では屋号がつぶれる | 画面用の語を6文字まで削り、その語だけ大きく作る |
| 屋号を面の端に置いた | 縦長に切られたときに落ちる | 文字の並びを中央へ寄せる。板の寸法は変えずに済む |
| つやのある面を選んだ | 昼は白く飛び、夜は光源が写る | つやを消す膜を後から貼るか、面の角度を少し振る |
| 看板の下にのぼりを並べた | いつ撮られても同じ物が入る | 置き場所を画角の外へ移す。撮る位置から見て決める |
| 光らない面に細かい字を入れた | 夜の写真では黒く沈む | 夜に読ませたい語だけを、光る面へ移す |
セルフチェックリスト
図面が出てきた段階で使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。
- 撮られる位置を、正面・斜め・入口の前・夜の四つで決めた
- 決めた位置に立って、実際に一枚撮ってみた
- 撮った写真を、手のひらの大きさに縮めて眺めた
- 画面で読ませたい語を、6文字までに絞った
- 屋号が、画角の中央寄りに収まっている
- 縦長に切っても屋号が残ることを確かめた
- 暗くなってから、同じ位置でもう一枚撮った
- 夜に読ませたい語が、光る面に載っている
- 看板の面につやがあるかを業者に確かめた
- 看板の下と足元に、置きっぱなしの物がない
- 画角に入る他店の看板と人の顔を数えた
- 来店した方に、どこで見たかをたずねる仕組みがある
よくある質問
写真に写る看板は、何から決めればいいですか?
文字はどれくらいの大きさが要りますか?
写真に他人の物が写る場合は、どうすればいいですか?
効果はいつ判断すればいいですか?
すでに看板があり、写りが悪い場合は?
予算が限られる場合、何を優先しますか?
まとめ
写真に写ることを織り込んだ看板は、次の順序で決めていきます。
| 1 位置を決める | 正面、斜め、入口の前、夜。撮られる場所を先に選ぶ。 |
|---|---|
| 2 画角を絞る | 屋号、入口、目印だけを残し、それ以外を外へ出す。 |
| 3 中身を見る | 人の顔、他店の標章、借りた図柄。範囲を先に確かめる。 |
| 4 計算する | 足す費用と削る費用を並べ、必要な人数を割り出す。 |
| 5 測る | 自分で撮った一枚から始め、投稿された写真を追う。 |
削るほど、小さい画面で残ります。 現地で読める大きさは、画面で読める大きさを保証しません。 撮られる位置に立って一枚撮るところから始めてください。