看板集客 / 2026年9月8日 更新 / 読了目安 約12分

酒販店・酒屋の看板の作り方
置いている酒が伝わる5ステップ

これから酒を扱う店の看板を決める方へ。 酒屋は、扱う幅が広いぶん、外から中身が読み取りにくい業種です。 日本酒の店なのか、ワインの店なのか。仕入れに行ける店なのか。 通る人がその場で判断できるかどうかで、入る人の数は変わります。

5手順売り先の決定から効果の確認まで
3語まで入口の面に載せる上限
12項目発注の前に見る点
この記事でわかること

卸と小売のどちらを主にするかを、売上比で決める手順/ 面ごとに見せる相手を配り、載せる語を三つまでに削る方法/ 在庫の割合から、外に出す一語を選ぶ計算/ 掲示が求められる表示と、屋外の面の手続きの分け方/ 費用を月に直し、必要な件数を出す式/ 通った人と入った人を数えて、安い順に直す進め方

中身が見えない店は、通り過ぎられる

酒を置く店は、外から棚の中身が読み取れない造りが多く残ります。 通る人は、何を置く店かが分かって初めて足を止めます。

相談で目立つのは、次の四つです。 「酒」の一字だけを大きく出し、置いている種類が伝わらない。 卸と小売を一つの面で兼ね、どちらの客も自分向けだと思わない。 銘柄を面いっぱいに並べ、歩く速さでは読み切れない。 掲げる表示を後に回し、開店の直前になって慌てる。

順番を決めれば、どれも先に片づきます。 誰に売るかを決め、面に役目を配り、表示を確かめる。 そのうえで費用を月に直し、入った人の数で判断します。

物を売る店に共通する組み立ては物販店の看板の作り方にまとめました。 ここでは、酒を扱う店だけに要る部分を書きます。

Step 1

誰に売る店かを決める

仕入れに来る人と、飲むために来る人。見る面も、読む語も違います。

ひと月の売上を、卸と小売に割る

飲食店へ納めた分と、店頭で売れた分を足し分けます。帳簿の数字が、そのまま向け先の判断材料になります。

来る人の顔ぶれを、曜日ごとに書く

平日の昼に来るのは仕入れの担当者です。週末の夕方に来るのは、自分で飲む人です。

置いている銘柄を、種類ごとに数える

日本酒、ワイン、ビール、焼酎、ウイスキー。数えると、店の中心がどこにあるか出ます。

近所の棚に無い一列を、先に選ぶ

同じ品ぞろえを並べても、選ぶ理由は生まれません。自分の店だけにある一列を決めます。

感覚で決めずに、売上を割ってみます。 帳簿があれば、比重は数分で出ます。

月商 1,200,000円 のうち 業務用 780,000円
780,000 ÷ 1,200,000 = 0.65 → 業務用が 65%

金額はどちらも仮に置いた値です。自分の帳簿の数字に差し替えてください。 業務用が6割を超えるなら、面は仕入れる人へ向けて作ります。 6割と3割は、面の向け先を決めるために置いた目安です。業界で定まった数字ではありません。

業務用の割合どんな店か面で先に出すもの
業務用が6割以上仕入れ先として選ばれる店屋号と、品ぞろえの幅
業務用が3〜6割両方の客が来る店入口を分けて示す
業務用が3割未満個人の客が中心の店扱う酒の中心を一語で
通信販売もある店頭とは別の客が来る店受け取り方と、その時間

店の中で飲む場をつくるなら、組み立ては別になります。 夜に選ばれるための考え方はバー・居酒屋の看板の作り方で扱っています。

Step 2

見せる面と、載せる内容を決める

面が三つあるなら、役目も三つに分けます。

面ごとに、役目を配る

一つの面へ全部を載せると、どれも読まれません。 誰が見る面かを先に決め、そこから内容を選びます。

見せる相手載せるもの
入口の上の面前を通る人店名と、扱う酒の中心
道に向く突出し面離れて歩く人業種を示す一語だけ
窓とガラス面足を止めた人今ある銘柄と、価格帯
勝手口・裏の面納品に来る人受付の時間と連絡先
のぼり・置き看板角を曲がってきた人試飲や量り売りの有無

裏や勝手口の面は、個人の客には要りません。 納品や引き取りに来る人だけが読む面です。 受付の時間さえ書いてあれば、電話が減ります。

載せる語を、三つまでに削る

扱う酒の中心を、一語で決める

「日本酒」「ワイン」「クラフトビール」。棚の半分を超える種類があれば、その語を入口の面に出します。

冷えているかどうかを、外に出す

生酒やクラフトビールは、冷蔵の列があるかで選ばれます。棚の状態は、ガラス越しでも読み取れません。

手に取りやすい価格を、一つだけ書く

上から下まで並べると読まれません。いちばん出る一本の価格が分かれば、入る判断はつきます。

外に出す一語は、好みではなく在庫から決めます。 棚にある銘柄を種類ごとに数えて、割合を出します。

棚にある銘柄 400点 のうち 日本酒 220点
220 ÷ 400 = 0.55 → 日本酒が 55%

半分を超える種類があれば、その語を入口の面に出します。 超えるものが無ければ、価格帯か飲み方を一語にします。 入口の面に載せるのは、店名と業種と、この一語までです。

語を決めてから、大きさを決める

先に板の寸法を決めると、あとから語が入りきらなくなります。 載せる語を確定してから、読ませたい距離に合わせて高さを出します。 寸法の出し方は看板の大きさの決め方にまとめてあります。

Step 3

掲げる義務のある表示と、許可を確かめる

酒を売る店では、掲げることが決まっている表示があります。

掲示が求められる表示を洗い出す

これらは集客の面とは役目が違います。 装飾の看板に混ぜず、別の板として決まった位置へ掲げる形が一般的です。

未成年者の飲酒防止に関する表示陳列する場所と店頭に、掲示が求められる表示があります。
酒類の販売管理に関する標識選任した者に関する事項を掲げる形が、一般的に求められます。
販売場であることを示す表示免許を受けた場所であることを掲げる形が取られます。
通信販売を行う場合店頭とは別に、求められる表示が加わることがあります。
角打ち・試飲を行う場合飲む場を伴う扱いになり、掲げる表示が増えることがあります。
屋外へ出す面の手続き大きさと場所によっては、出すこと自体に許可が要ります。
角打ちや試飲を始めると、掲げるものが増える

売るだけの店と、その場で飲める店では、扱いが変わります。 飲む場を設けると、求められる表示が加わることがあります。 始める前に、どの表示が増えるかを窓口で聞いておくと、板を二度作らずに済みます。

屋外へ出す面の手続きを、分けて考える

掲示が求められる表示と、屋外へ出す面の許可は別の話です。 後者は、大きさと場所によって手続きの要否が変わります。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。

面を出す側の手続きは屋外広告物の許可ガイドにまとめました。 掲げる標識の種類をひととおり見るなら事業所に掲げる法定の標識が近い内容です。

要件は、必ず管轄の窓口で確かめる

ここに挙げたのは、確認すべき項目の並びです。 掲げる表示の内容、記載する事項、掲げる場所は、業態と取り扱いによって変わります。 開店の前と、取り扱いを増やすときの二回、管轄の窓口へご確認ください。
※ 必要な表示や手続きの要件は、制度の改正によっても変わります。

Step 4

費用と回収ラインを計算する

総額のままでは判断できません。月に直すと、比べる相手が見つかります。

費用が動くところを見る

出す面の数入口、突出し、窓。増やした分だけ積み上がる。
光らせるかどうか電気を引く工事と、毎月の電気代が加わる。
文字の作り方印刷したシートか、切り出した文字かで手間が変わる。
書き替える回数銘柄や価格を載せるほど、替える頻度が上がる。
取り付ける高さ高い位置は、上がるための手配が別に要る。
掲げる表示の作り方既製の板を買うか、面に組み込むかで変わる。

銘柄や価格を面に載せると、替える回数が増えます。 替わる情報は、貼り替えられる部分に寄せておくと安く済みます。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別に並べてあります。

月に直して、必要な件数を出す

初期費用 240,000円 を 5年 使う
5 × 12 = 60か月
240,000 ÷ 60 = 4,000円/月

240,000円は相場ではありません。 計算の形を見るために置いた、仮の値です。

次に、月4,000円を取り戻すのに要る客数を出します。 小売が主の店なら、こう置きます。

客単価 2,500円 × 粗利率 0.3 = 750円
4,000 ÷ 750 = 5.33… → 月6人
30 ÷ 6 = 5日に1人

5日に1人、新しく入ってくれれば足ります。 この単位まで落とすと、看板が高いか安いかを自分で判断できます。

卸が主の店は、客数ではなく取引先の数で見ます。

新しい取引先 1件の月あたり粗利を 15,000円と置く
15,000 ÷ 4,000 = 3.75 → 1件で3か月分をまかなえる

取引先が1件増えれば、看板の3か月分が返る計算になります。 単価も粗利率も、ここでは仮に置いた数字です。 直近の実績に差し替えて、もう一度計算してください。

Step 5

効果を測って、直す

測り方は、手間のかからないものから順に並べてあります。

前を通る人と、入った人を数える

同じ曜日の同じ時間帯に、15分ずつ4回。合わせて1時間分の記録になります。

レジで、何を見て来たかを聞く

一言だけ尋ねます。答えが看板に寄るか人づてに寄るかで、面の効き方が見えます。

初めての客が買った酒を控える

面に出した種類と一致するかを見ます。ずれていれば、外に出す語が合っていません。

客の側から、自分の店の前を歩く

道の両方向から歩き、何秒で読めるかを見ます。読めない面は、その場で分かります。

1番目は、店の前に立って印を付けるだけで終わります。 条件をそろえるほど、比べたときの意味が増します。

同じ曜日・同じ時間帯に 15分 × 4回 = 60分
通った人 120人、入った人 6人
6 ÷ 120 = 入った割合 5%

この数字は、数え方を示すために置いた例です。 大事なのは割合の高さではなく、面を変える前と後で同じ条件で数えることです。

見る時期を決める

1か月通った人と入った人の数を、面を変える前と並べる。
3か月初めての客が買った酒の種類を、まとめて見る。
半年曜日ごとの来店の偏りが動いたかを確かめる。
1年書き替えにかかった手間と、面の傷み方を見る。

1か月では、入った人の数しか動きません。 買われる酒の種類が変わるまでには、もう少しかかります。 面に出した語が届いたかは、3か月ほど置いてから見ます。

動かないときは、この順で疑う

  1. 1
    面の汚れを落とす

    文字がにじむと、置いている酒まで古く見えます。拭くだけで戻ることがあります。

  2. 2
    夜の明るさを確かめる

    中の光が外に届かないと、閉まっていると見なされます。電球を替えるだけで済む場合があります。

  3. 3
    載せた語を減らす

    銘柄を並べるほど読まれません。一語に絞ると、読める距離が伸びます。

  4. 4
    面の高さと向きを直す

    位置が高すぎると、歩く人の視野から外れます。角度を振るだけでも見え方は変わります。

  5. 5
    道に向く面を足す

    突出し面やのぼりが足りていないなら、そこを補います。

  6. 6
    面そのものを作り直す

    五つを試して動かないときに考えます。ここまで来ると、棚の中身を疑う番かもしれません。

上から順に、費用のかからない手当てです。 1番と2番は、その日のうちに終わります。 作り直しを考えるのは、五つを試したあとで足ります。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、板を作り直さずに手当てできます。

失敗何が起きるか直し方
「酒」の一字だけを大きく出した何を置く店か伝わらず、通り過ぎられる棚の半分を占める種類を、一語だけ足す
銘柄を面いっぱいに並べた歩く速さでは読み切れない面から銘柄を外し、窓ガラスへ移す
卸と小売を、一つの面で兼ねたどちらの客も自分向けだと思わない入口の面と裏の面で、相手を分ける
掲げる表示を、装飾の面に混ぜた読みにくくなり、貼り替えもしにくい表示は別の板に分け、決まった位置へ掲げる
試飲を始めたが、外に出さなかった入る理由が増えたのに伝わらないのぼりか窓の一枚で、その日だけ知らせる
Checklist

セルフチェックリスト

発注の前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • ひと月の売上を、卸と小売に分けて出した
  • 曜日ごとに、来る人の顔ぶれを書き出した
  • 置いている銘柄を、酒の種類ごとに数えた
  • 棚の半分を超える種類があるかを確かめた
  • 面ごとに、見せる相手を一つずつ決めた
  • 入口の面に載せる語を、三つ以内に絞った
  • 冷蔵の列があることを、外から分かるようにした
  • 未成年者への販売に関する表示の要件を、窓口で確かめた
  • 販売管理に関する標識を掲げる位置を決めた
  • 屋外へ出す面に、別の手続きが要るかを調べた
  • 面の費用を月に直し、必要な件数を出した
  • 面を変える前に、通った人と入った人を数えた
FAQ

よくある質問

酒販店の看板は、何から決めればいいですか?
卸と小売のどちらを主にするかからです。来る人が違えば、載せる語も、出す面の位置も変わります。ひと月の売上を二つに分ければ、比重はそのまま数字で出ます。
看板に出す酒の種類は、どう選びますか?
置いている銘柄を種類ごとに数え、いちばん多い種類を一語にします。数えて半分に届かないなら、種類ではなく価格帯や飲み方で名乗る手もあります。銘柄名を並べるより、一語のほうが遠くから読めます。
掲げることが決まっている表示には、どんなものがありますか?
未成年者の飲酒防止に関する表示や、酒類の販売管理に関する標識など、掲示が求められる表示があります。角打ちや試飲を行う場合は、掲げるものがさらに増えることがあります。詳しい要件は管轄の窓口へご確認ください。
効果は、いつ判断すればいいですか?
最初の判断は1か月後です。ただし1か月で分かるのは入りやすさまでで、品ぞろえが伝わったかは3か月ほどかかります。判断を急ぐと、効いている面を先に外してしまいます。
すでに看板があります。どこから直せますか?
掃除からです。費用がかからず、その日のうちに終わります。板を替える判断は、明るさと文言を試したあとで構いません。
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
入口の面の一語を決め直すことからです。板を替えずに、貼り替えだけで済むことがあります。突出し面やのぼりを足すのは、その後で構いません。

まとめ

酒を扱う店の看板は、次の順序で決まります。

1 誰に売るかを決める売上を卸と小売に割り、面を向ける相手を選ぶ。
2 面と内容を決める面ごとに相手を配り、載せる語を三つまでに削る。
3 表示と許可を確かめる掲示が求められる表示を洗い出し、窓口で聞く。
4 費用を月に直す初期費用を使う月数で割り、必要な件数を出す。
5 測って直す通った人と入った人を数え、安い手当てから試す。

面に載せる語は、足すほど読まれなくなります。 棚でいちばん多い種類を一語だけ選ぶ。着手は、ここからで足ります。

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売り先も、外に出す一語も、まだ決まっていない段階で構いません。 面ごとに役目を分けた提案が出てくるか。掲げる表示の板まで含めて相談できるか。この二つは比べられます。