事業所に掲げる法定の標識
許可票をそろえる5ステップ
これから事業所の許可票や登録票をそろえる方へ。 この板は、客を呼ぶための看板ではありません。 掲げていることが、事業を行う条件になっています。 集客の看板と同じ発注書に混ぜると、どちらの要件も満たさない板になります。
手元の書類から、掲げる表示を洗い出す手順/ 様式が定められた部分と、自分で決められる部分の分け方/ 読ませたい距離から、文字の高さを出す割り算/ 掲げる場所と期間の確かめ方、届出が別に要る場合/ 書き替えの周期で費用を割り、方式を比べる式/ 記載と実態のずれを見つけ、安い順に直す手順
掲げてあるのに、掲げていない状態になっている
法定の標識は、作った時点では正しく揃っています。 ずれが生まれるのは、掲げた後です。
起きやすいのは、次の四つです。 棚や貼り紙が前に来て、板が隠れている。 担当が替わったのに、責任者の氏名が古いまま残っている。 有効期間を控えておらず、期限が過ぎてから気づく。 移転したのに、前の所在地の板をそのまま掛けている。
いずれも、発注の前に手を打てば防げます。 表示を洗い出し、仕様を決め、場所と期間を確かめ、費用を割り、ずれを点検する。 この五つを順に埋めます。
屋外広告物の許可は、看板を出すこと自体に対する許可です。 この記事で扱う標識は、事業を行う条件として掲げるものを指します。 屋外へ出す板は、両方の扱いが重なることがあります。 看板を出す側の手続きは屋外広告物の許可にまとめました。
自分の事業で掲げる表示を洗い出す
思い出すのではなく、手元の書類から拾います。
許可証、登録の通知、加入を示す書面。手元の紙をすべて並べます。掲げる表示は、たいていこの紙と対になっています。
掲げるかどうか、どこに掲げるか、何を書くか。定めの有無は事業で分かれます。所管の窓口が答えられます。
事務所、店頭、現場、車両。同じ表示を複数の場所へ掲げる場合があります。場所の数だけ必要になります。
掲げる義務のある表示は、屋号を知らせる看板とは別ものです。混ぜて発注すると、どちらの要件も満たさない板になります。
掲げる場所は、事務所だけとは限りません。 場所ごとに数えると、必要な枚数が出ます。
| 掲げる場所 | どういう場面か | 置く位置の目安 |
|---|---|---|
| 事務所 | 訪れた人が最初に目にする位置 | 入口または受付の脇 |
| 店頭 | 契約や取引をする場所 | カウンターから読める位置 |
| 作業をする場所 | 作業ごとに掲げる場合がある | 出入口の見やすい位置 |
| 車両 | 移動して業務を行う場合 | 定めがあれば車体の指定位置 |
枚数の出し方は、掛け算です。
保険の関係を示す表示 1 / 責任者を示す表示 1
料金や約款の表示 1
1 + 1 + 1 + 1 + 1 = 1か所あたり5枚
この5枚は、数え方を示すための例です。 何が要るかは事業と許認可で変わります。 要否の判断は、所管の窓口に確かめてください。
作業をする場所へ掲げる表示は、掲げる期間も内容も別に決まります。 仮囲いや足場に掲げる場合の考え方は工事現場の看板で扱っています。
記載する内容と、板の仕様を決める
決められている部分と、自分で決める部分を先に分けます。
大きさ、記載する項目、並べる順が決まっているものがあります。読みやすさを理由に変えないでください。
書体、地の色、取り付けの高さ。ここは自分で決められます。立って読める位置に板の中心を置きます。
責任者の氏名や有効期間は動きます。板ごと作り直す構造にすると、変わるたびに費用と時間がかかります。
様式の定めがある表示は、読みやすさを理由に変えられません。 自由に決められるのは、定めの外側だけです。
定めの無い部分は、割り算で決める
文字の高さは、読ませたい距離から求まります。
3.0m先(入口から) → 3,000 ÷ 500 = 6mm / ÷ 250 = 12mm → 0.6〜1.2cm
1.5m先(板の正面) → 1,500 ÷ 500 = 3mm / ÷ 250 = 6mm → 0.3〜0.6cm
0.5m先(手元で読む) → 500 ÷ 500 = 1mm / ÷ 250 = 2mm → 0.1〜0.2cm
様式に文字の大きさが定められていれば、その定めが優先します。 上の幅は、明るい場所で正面から見た目安です。 書体、地の色との明暗差、額のガラスの映り込みで変わります。
取り付ける高さも、読みやすさに効きます。 立って読む前提なら、板の中心を1.4〜1.6mに合わせます。 床から30cmの位置に掛けた板は、掲げていないのとほぼ同じです。
変わる項目を、板から切り離す
| 有効期間 | 更新のたびに書き替える。 |
|---|---|
| 責任者の氏名 | 担当が替われば書き替える。 |
| 所在地 | 移転すれば書き替える。 |
| 商号や屋号 | 変更すれば書き替える。 |
| 番号 | 再取得で変わることがある。 |
この五つは、事業を続けるかぎり動きます。 差し替えられる作りにしておけば、中身だけを替えられます。 屋外へ出す板は、素材の選び方も変わります。 耐える条件は看板の素材の選び方にまとめました。
掲げる場所と期間を確かめる
「見やすい場所」の解釈は、窓口でしか固まりません。
多くの定めは、掲げる位置を具体的に示しません。 解釈が分かれる部分こそ、先に聞いておく価値があります。
| 掲げる義務の有無 | 事業と許認可で分かれる。所管の窓口で確かめる。 |
|---|---|
| 様式と記載事項 | 大きさや項目が定められている場合がある。 |
| 掲げる場所 | 「公衆の見やすい場所」の解釈を窓口に確かめる。 |
| 掲げる期間 | 取得から返納まで。更新の時期も控える。 |
| 屋外へ出す場合 | 屋外広告物としての扱いが重なることがある。 |
| 記載を変えたとき | 届出が別に必要な場合がある。 |
掲げる義務の有無は、事業と許認可で分かれます。 様式や記載事項が定められている表示もあれば、そうでないものもあります。 制度は改まることがあるため、着手の前に所管の窓口へお尋ねください。
記載を変えたときは、板だけで終わらない
商号や所在地が変われば、板を書き替えます。 それとは別に、届出が要る場合があります。
移転や商号の変更は、やることが多く、板は後回しになります。 社内の手順書に「標識の付け替え」を1行入れておくと、抜けません。 屋号を変えるときの看板全体の段取りは社名・屋号の変更と看板で扱っています。
建物の外壁へ掲げる場合、屋外広告物としての扱いが加わることがあります。
面積や高さの上限は、県の条例が及ぶ地域と市が独自の条例を持つ地域で異なります。
※ 掲示の義務、様式、掲げる場所と期間は事業と許認可により異なります。着手の前に所管の窓口へお確かめください。
書き替えの周期で割り、方式を比べる
この板は集客のためではないので、回収の式は当てはまりません。
費用が動くところを見る
| 枚数 | 許認可の数と、掲げる場所の数を掛けた数になる。 |
|---|---|
| 様式の指定 | 大きさや項目が決まっていると、選べる範囲が狭まる。 |
| 素材 | 屋内だけか、屋外にも出すかで耐えるべき条件が変わる。 |
| 差し替えの仕組み | 中身だけ替えられる作りにするかで、後年の費用が動く。 |
| 書き替えの回数 | 責任者や有効期間が変わる頻度。事業で大きく違う。 |
| 取り付け方 | 壁に穴を開けるか、置くか、貼るか。原状回復の範囲も変わる。 |
掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。 事務所まわりの板をまとめて発注する場合は、オフィス・事務所の看板も併せてご覧ください。
月あたりに直す
一式の総額60,000円 ÷ 60か月 = 月1,000円
1,000 ÷ 30 = 33.3 → 1日 約33円
この60,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。
新規の客が何人必要か、という換算はしません。 この板が連れてくるのは客ではなく、事業を続けられる状態です。 代わりに、方式の違いを長い期間で比べます。
作り直す方式と、差し替える方式を比べる
板ごと作り直す:60,000 × 3 = 180,000円
差し替えられる枠:初回75,000 + 中身10,000 × 3 = 105,000円
差額 180,000 − 105,000 = 75,000円
月に直すと 75,000 ÷ 180 = 416.6 → 月 約417円
金額はすべて仮の置き方です。 自分の見積りに差し替えて計算し直してください。 書き替えの回数が多い事業ほど、差し替える方式が効きます。
回数の見当がつかない場合は、過去5年で数えます。 担当が何回替わったか、移転が何回あったか。 その回数を、そのまま先の5年に当てて構いません。
記載と実態のずれを点検し、直す
見るのは効果ではなく、掲げた状態が保たれているかです。
許可証や登録の通知を持って、板の前に立ちます。番号、期間、氏名を一つずつ読み合わせます。
板に書かれた日付を、社内の予定表へ入れます。期限の3か月前に印を置くと、慌てずに済みます。
入口に立ち、そこから板が読めるかを確かめます。棚や掲示物で隠れていることがあります。
同じ場所から毎年撮ります。色あせと欠けが、並べると分かります。
上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は書類を持って板の前に立つだけで終わります。
見る時期を決める
| 担当が替わったとき | 氏名の記載を、その週のうちに直します。 |
|---|---|
| 3か月ごと | 板が隠れていないか、位置だけを見ます。 |
| 1年ごと | 書類と突き合わせ、色あせと欠けを確かめます。 |
| 期限の3か月前 | 更新の手続きと、板の書き替えを同時に段取りします。 |
ずれは、人が替わった直後に生まれます。 定期の点検だけでは、半年遅れることがあります。 担当の交代を、点検の合図として扱ってください。
ずれが見つかったら、この順で直す
- 1板の前の荷物と掲示物をどける
費用はかかりません。隠れているだけの場合が、いちばん多く見つかります。
- 2取り付けの高さを、目の高さへ直す
板の中心を1.4〜1.6mに合わせます。金具の付け替えで済みます。
- 3変わった項目だけを差し替える
差し替えられる作りなら、中身の交換で終わります。
- 4一部を貼って直す
様式に反しない範囲であれば、上から貼る方法が使えます。窓口へ確かめてから行ってください。
- 5板を作り直す
様式が変わった場合や、記載の大半が古い場合はここになります。
- 6掲げる場所そのものを変える
見やすい場所の解釈が合っていないときは、位置を移します。作り直しの前に検討してください。
上のほうほど、費用をかけずに手を打てます。 1番と2番は、その日のうちに終わります。 板を作り直すのは、五つを試した後です。
よくある失敗5パターン
どれも、荷物をどけるか、手順書に一行足すことで手当てできます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 集客の看板とまとめて発注した | どちらの要件も満たさない板になる | 発注書を分ける。様式の指定がある表示を先に固める |
| 棚や貼り紙で板を隠した | 掲げていないのと同じ状態になる | 前の荷物をどける。位置を目の高さへ戻す |
| 責任者の氏名を板に直接入れた | 担当が替わるたびに作り直す | 変わる項目を差し替え枠へ移す |
| 有効期間を控えなかった | 期限が過ぎてから気づく | 板の日付を予定表へ入れ、3か月前に印を置く |
| 移転先で掲げ直さなかった | 前の所在地のまま残る | 移転の作業手順に、板の付け替えを1行入れる |
セルフチェックリスト
発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 持っている許認可を、書類からすべて書き出した
- 許認可ごとに、掲示の定めの有無を窓口へ確かめた
- 掲げる場所を数え、必要な枚数を出した
- 集客の看板とは別の発注として分けた
- 様式が定められた表示は、その様式どおりにした
- 定めの無い部分は、読みやすさで決めた
- 板の中心を、立って読める高さに合わせた
- 変わりやすい項目を、差し替えられる作りにした
- 屋外へ出す板は、屋外広告物としての扱いを確かめた
- 有効期間の日付を、社内の予定表へ入れた
- 入口に立ち、そこから板が読めることを確かめた
- 書き替えの周期で費用を割り、方式を比べた
よくある質問
法定の標識は、何から決めればいいですか?
文字の大きさは、どう決めますか?
どこに掲げればよいですか?
屋外広告物の許可とは違うものですか?
記載が古くなっていないかは、いつ確かめますか?
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
まとめ
法定の標識は、次の順序でそろいます。
| 1 表示を洗い出す | 手元の許認可の書類を並べ、掲げる場所の数だけ枚数を出す。 |
|---|---|
| 2 仕様を決める | 様式の定めに従い、定めの外側だけを読みやすさで決める。 |
| 3 場所と期間を確かめる | 「見やすい場所」の解釈と、有効期間を窓口で聞く。 |
| 4 費用を割る | 書き替えの周期で総額を割り、作り直しと差し替えを比べる。 |
| 5 ずれを点検する | 書類と突き合わせ、荷物をどけ、変わった項目だけ替える。 |
この板は、掲げた日ではなく、掲げ続けた期間で評価されます。 変わる項目を差し替えられる作りにしておくことが、いちばん長く効きます。