クリーニング店の看板の作り方
二度の来店で決める5ステップ
これからクリーニング店や洗濯代行の看板を決める方へ。 この商売は、1件の預かりで客が二度来ます。 預ける日と、受け取る日です。 見つけてもらう役目と、日付を間違えさせない役目。看板は、この二つを同時に背負っています。
預けると受け取るで、面の役目がどう分かれるか/ 面ごとに、載せる内容をどこまで削るか/ 取次だけの店と、工場を併設する店の見せ方の違い/ 受付締切と仕上がり日を、ずれさせずに出す方法/ 総額を掲出年数で割り、必要な新規の人数を出す式/ 新規と再来を、別々に数えて効果を見る手順
預けると受け取るで、面の役目が変わる
同じ入口を、同じ人が二度通ります。 ところが二度目に探している情報は、一度目とまったく違います。 一度目は、何の店で何時までか。二度目は、もうできているか、いつ取りに行けるか。
起きやすいのは、次の四つです。 店名だけを大きく出し、何の店か通りに伝わらない。 受付締切を書かず、仕上がりの日で行き違う。 料金を店の奥に貼り、預ける前に金額が分からない。 来店の回数だけを見て、新規が増えたのかどうか判断できない。
来店を分け、面を割り振り、表示の決まりを確かめ、費用を年で割り、新規と再来を別に数える。 この五つを、順に埋めていきます。
客が自分で洗濯機を回す形の店に、受付締切も仕上がり日もありません。 代わりに、夜の見え方と、中の様子が外から分かるかどうかが中心になります。 そちらはコインランドリーの看板にまとめました。 ここで扱うのは、預かって、洗って、渡す店です。取次だけの店も含みます。
二度の来店を分けて考える
面に何を載せるかは、誰がどの用で来るかで決まります。
預ける日と、受け取る日。同じ人が同じ入口を二度通ります。面は、その二度とも目に入っています。
初めての人が探すのは業種と営業時間です。受け取りに来た人が探すのは、仕上がり日と受取の時刻です。
預かりと引き渡しでは、聞かれることが違います。1週間だけ正の字で残すと、外の面に足りない答えが見えます。
来店の中身を、数で見てみます。 受付の件数に2を掛けると、月に何回入口を通られるかが出ます。
100 × 2 = 来店200回/月
うち初めての人の来店を20回と置く
200 - 20 = 180回
180 ÷ 200 = 9割
面が向き合う相手の9割は、すでに店を知っている人です。 100件も20回も仮に置いた数です。自分の受付票で数え直してください。
新規を呼ぶ面だけを厚くすると、残る9割には何も答えていないことになります。 案内だけを増やせば、通りから見つけてもらえません。
| 来店の場面 | その人が探すもの | 面に載せる内容 |
|---|---|---|
| 預けに来る | 受け付けてもらえるか | 業種・営業時間・受付締切 |
| 受け取りに来る | 出来上がっているか | 仕上がり日・定休日・受取の時刻 |
| 通りかかる | 何の店か | 業種と店名の二つだけ |
| 代行を尋ねる | どこまで頼めるか | 受け付ける範囲を一言で |
いちばん下の行は、代行を扱う店だけが一言添えれば足ります。
見せる面と、載せる内容を決める
一つの面に全部を詰めると、どれも読まれません。
面は、通りから受付へ近づく順に並んでいます。 近づくほど、書いてよい情報の量が増えます。
| 面 | 届く相手 | 載せる内容 |
|---|---|---|
| 通りに向く面 | 通りかかる人 | 業種と店名。二つまで |
| 入口まわりの面 | 入ろうとする人 | 営業時間・定休日・受付締切 |
| 受付の正面 | 預ける人 | 料金の一覧と、日数の数え方 |
| 引き渡し台の上 | 受け取る人 | 引換票の出し方と控えの扱い |
通りに向く面に載せてよいのは、業種と店名の二つまでです。 営業時間も料金も、そこでは読まれません。 足すのではなく、どの面へ移すかを決める作業になります。 文字をどの高さにするかは、看板の大きさの決め方で寸法の出し方を扱っています。
業態によって、外へ出す内容を変える
洗う設備がないぶん、外の面を受付の役に寄せます。締切と仕上がり日を、入口の高さで読ませます。
急ぎに応じられるなら、そこが他と違う点になります。当日仕上げの可否だけを、面の中で強く出します。
洗濯代行(衣類をまとめて預かり、洗って返す形)は、点数で数える店と重さで数える店があります。単位が分からないと、客は金額を想像できません。
取次と工場併設では、客が期待する速さが違います。 設備がない店が「当日仕上げ」と出すと、あとで断ることになります。
受付締切と仕上がり日を、ずれさせずに出す
受け取りの行き違いは、締切をまたいだときに起きます。 受付日を0日として、何日後になるかを並べてみます。
締切を過ぎた場合 2 + 1 = 3日後
定休日が間に入る場合 3 + 1 = 4日後
いちばん早い日との差 4 - 2 = 2日
中2日という設定も、締切の位置も、店ごとに違います。 自分の便の時刻に置き換えてください。 ずれを知らないまま来られると、店頭で毎回説明し直すことになります。
締切の時刻、定休日、仕上がりの数え方。この三つを1枚にまとめ、入口の外へ出します。 差し替えられる枠にしておくと、後が楽です。
取り違えは、控えの受け渡しがあいまいなときに起きます。 引換票をどこで受け取り、何を持ち帰るのか。台の上に一文で示します。 名前で呼ぶ運用なら、名字が重なる前提で番号も併記します。 中の表示の並べ方は店内の案内表示の作り方にまとめました。
表示の義務と許可を確かめる
出す前に確かめると、作り直しが起きません。
この業種には、看板とは別に、店内へ掲げることが求められる表示があります。 デザインを決める前に、載せる義務がある項目を先に押さえてください。
| 営業者としての届出 | 届出や検査が求められることがある。取次だけの店が対象に入る地域もある。 |
|---|---|
| 店内に掲げる表示 | 営業者の氏名や苦情の申し出先などの掲示を求める決まりがある。項目は地域で異なることがある。 |
| 料金の見せ方 | 品目ごとの料金を、預ける前に読める位置へ置く。 |
| 事故のときの取り扱い | 賠償に関する基準を、預かる前に示しておく形が一般的。 |
| 屋外広告物の許可 | 外へ出す面は、大きさと場所によって許可が要ることがある。 |
| 建物の側の基準 | 商業施設や集合住宅の一階では、館や管理組合の基準が先に効く。 |
外へ出す面は、大きさ、高さ、道からの位置で扱いが変わります。 県の条例が働く地域と、市が独自の決まりを持つ地域があります。 手順は屋外広告物の許可ガイドで扱っています。
掲示が求められる項目、書き方、届出の要否は、地域や営業の形で異なることがあります。
取次だけの店の扱いも一様ではありません。
着工の前に、管轄の窓口へご確認ください。
※ このページの記載は一般的な整理です。法令の適用については、必ず窓口と専門家にお確かめください。
預かり品を抱えたまま休む場合、伝える相手は受け取りに来る客です。 出す時期も置く場所も、ふだんの看板とは変わります。 その形はお知らせの掲示の作り方にまとめてあります。
費用と回収ラインを計算する
繰り返し使われる商売なので、1年の単位で見ます。
金額が動くところを押さえる
| 外へ出す面の数 | 通り、入口、駐車場。面が増えれば作る量も増える。 |
|---|---|
| 書き換える頻度 | 料金や締切を貼り替える形か、差し替えできる作りかで変わる。 |
| 光らせるかどうか | 日が落ちてからも開ける店は、光る面か外から当てる照明が要る。 |
| 取り付ける位置 | 高い場所や、道へ張り出す位置は、手配が別に要る。 |
| 店内の表示の量 | 受付、引き渡し、待つ場所。中の面は数が増えやすい。 |
| 掲出する年数 | 総額を月に割るときの分母になる。長いほど月あたりは軽くなる。 |
料金と締切は、あとで変わります。 差し替えできる作りにしておくと、そのたびに面を作り直さずに済みます。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。
総額を、掲出する年数で割る
5 × 12 = 60か月
300,000 ÷ 60 = 月5,000円
5,000 × 12 = 60,000円/年
300,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた数です。
年に何人の新規で釣り合うかを出す
1回きりの買い物と違い、同じ客が季節ごとに戻ってきます。 1人あたりの1年分の粗利で割ると、必要な人数が出ます。
2,000 × 0.5 = 1,000円/回
年に4回使うと 1,000 × 4 = 4,000円/人・年
60,000 ÷ 4,000 = 15人/年
15 ÷ 12 = 1.25 → 月に1〜2人の新規で釣り合う
二度来る商売では、必要な新規の人数がここまで小さくなります。 2,000円も、0.5も、年4回も仮の置き方です。 自分の伝票から客単価と粗利率を出し、受付票から利用の回数を数えて入れ替えてください。
年4回が年2回に落ちれば、必要な人数は倍の30人になります。 新しく呼ぶより、来ている人に二度目を思い出させるほうが、面の負担は軽くなります。
新規と再来を分けて測る
混ぜて数えると、どちらが動いたのか分かりません。
印を一つ付けるだけです。月末に数えれば、新規の件数がそのまま出ます。
来店の回数で見ると、新規の動きが既存に埋もれます。受付の件数で見れば分かれます。
同じ問いが並ぶところに、面の穴があります。締切と仕上がり日は、上位に来やすい欄です。
衣替えの前後で件数が動きます。前の月と比べると、面の効き目と季節が混ざります。
上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は、受付票の様式を一度直すだけで終わります。
数えるものと、見る間隔を決める
| 数えるもの | 取り方 | 見る間隔 |
|---|---|---|
| 新規の受付件数 | 受付票の初回欄を月末に数える | 毎月 |
| 再来までの日数 | 同じ客の次の受付日から引く | 3か月ごと |
| 質問の内訳 | 聞かれた内容を1週間だけ残す | 半年ごと |
| 前年同月との差 | 受付件数を月ごとに並べる | 1年 |
再来だけは、短い窓では見えません。 衣替えの山が年に2回あるとすると、周期はこう出ます。
面を替えて1か月で判断すると、季節の動きを効果と読み違えます。 外の面は3か月、再来は半年。この二つの時点で見ます。 日常の洗いを頼む客は、間隔が短くなります。
動かないときは、この順で疑う
- 1営業時間と定休日が読めるか、道から見る
入口の高さに答えがなければ、客は入る前に引き返します。紙1枚で直ることがあります。
- 2受付締切が書いてあるか確かめる
締切の時刻がないと、仕上がり日を毎回その場で説明し直すことになります。
- 3仕上がり日を、口ではなく紙で渡す形にする
耳で聞いた日付は忘れられます。引換票に日付の欄を作れば済みます。
- 4業種が一目で分かるか、離れて見る
店名だけの面では、何の店か伝わりません。業種の語を一段足します。
- 5面の向きと位置を変えられないか調べる
進む方向に対して面が寝ていないか。角度だけで見え方が変わることがあります。
- 6作り替えるかどうかを決める
ここまでで動かないときに考えます。面の作り直しは、いちばん後ろに置きます。
上のほうほど、費用をかけずに試せます。 1番から3番は、紙と手間だけで終わります。 面を替える判断は、六つを踏んだ後です。
よくある失敗5パターン
どれも、面を作り直さずに手当てできます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 店名だけを大きく出した | 何の店か伝わらず、通りかかる人が素通りする | 業種の語を足す。今ある面の下に一段でよい |
| 受付締切を書いていない | 締切後の受付で日がずれ、受け取りで行き違う | 締切の時刻を紙1枚で貼る。定休日も同じ紙に載せる |
| 仕上がり日を口頭だけで伝えた | 早く来られて二度手間になる | 引換票に日付の欄を作り、その場で書き入れる |
| 料金を店の奥に貼った | 預ける前に金額が分からず、聞き返しが増える | 受付の正面へ移す。位置を変えるだけで済む |
| 来店の回数だけで効果を見た | 新規が増えても、受け取りの来店に埋もれる | 受付票の初回欄で、新規だけを別に数える |
セルフチェックリスト
発注の前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- 1件の預かりを、来店2回として数えた
- 預ける人と受け取る人で、知りたいことが違うと確かめた
- 通りに向く面に、業種の語が入っている
- 営業時間と定休日を、店の外から読める位置に出した
- 受付締切の時刻を、面に書いた
- 仕上がり日の数え方を、掲示で示した
- 取次だけか工場を併設するかで、外の面の内容を変えた
- 預かり品の控えを、客が持ち帰る形にした
- 店内に掲げる表示の項目を、管轄の窓口で確かめた
- 外へ出す面に許可が要るかどうかを調べた
- 総額を掲出年数で割り、月あたりの額を出した
- 新規と再来を、別々に数える形を用意した
よくある質問
クリーニング店の看板は、何から決めればいいですか?
外の面には、どこまで載せればいいですか?
クリーニングの店で、掲げる必要がある表示はありますか?
効果は、いつ判断すればいいですか?
すでに看板がある場合、どこから直しますか?
予算が限られるとき、何を優先しますか?
まとめ
この業種の看板は、次の順序で決まります。
| 1 来店を分ける | 預ける用と受け取る用で、探される情報を書き分ける。 |
|---|---|
| 2 面を割り振る | 通りは業種と店名。入口は時間と締切。受付は料金と日数。 |
| 3 表示を確かめる | 掲げる義務がある項目と、外の面の許可を先に押さえる。 |
| 4 費用を計算する | 総額を掲出年数で割り、1人の年間粗利で必要な人数を出す。 |
| 5 分けて測る | 受付票の初回欄で新規を数え、再来は半年で見る。 |
看板は、呼ぶ道具であると同時に、日付を伝える道具です。 締切の時刻と定休日を1枚にして入口へ出す。これだけなら、今日から始められます。