町内会・自治会の掲示板
貼り替えから決める5ステップ
これから地域の掲示板を作る方へ。 掲示板は、掲げる物ではなく、毎週さわる道具です。 10年で500回以上、誰かが扉を開けて紙を替えます。 貼る人の手から逆に決めると、迷うところが減ります。
貼る紙の枚数から、有効面の寸法を計算で出す手順/ 読ませたい紙を、どの高さに置くかの決め方/ 立てる場所を選ぶ五つの基準/ 公道・私有地・公共の敷地で、それぞれ誰の承諾が要るか/ 10年分の費用を、1世帯あたりの年額に直す式/ 当番が替わっても運用が続いているかの確かめ方/ 読まれていないときに、安く直せる順番
作る回数は一度、貼る回数は500回
掲示板は、建てたあとの手間で価値が決まります。 週に1回替えるとして、10年で520回。 500回さわる道具を、見た目だけで選ぶことはできません。 扉の重さ、留め具の種類、掲示面の高さ。どれも当番の手にかかります。
つまずきやすいのは、次の四つです。 貼る枚数を数えずに大きさを決め、多い週に貼りきれない。 はがす決まりが無く、終わった行事の紙が残っている。 掲示面が高く、上の段が読まれない。 立てる前の承諾が抜け、あとから移すことになる。
どれも、良い掲示板を買えば解ける話ではありません。 枚数を数え、場所と高さを決める。 承諾と手続きを済ませ、費用を世帯あたりに直し、運用が回っているかを確かめる。 この五つを順に埋めます。
なお、店が自分の休業や催しを知らせる掲示は、出す期間も貼る場所も別です。 その場合はお知らせの掲示の作り方をご覧ください。 このページは、地域の団体が設置し、当番が貼り替える掲示板に絞ります。
貼る紙の枚数と大きさを数える
掲示板の寸法は、好みではなく計算で出ます。まず枚数からです。
記憶ではなく、いま貼ってある枚数を数えます。多い週の枚数が上限になります。
A4だけにそろえられれば、面はいちばん小さく済みます。
当番が回るなら、誰でも同じ手順でできる作りが要ります。
貼る決まりはあっても、はがす決まりが無い掲示板は、必ず埋まります。
数えるのは、平均ではなく多い週の枚数です。 平均に合わせると、月に何度か貼れない週が出ます。 貼れない週があると、重ねて貼る習慣がつきます。 重なった紙は、下のほうから読まれなくなります。
枚数が出たら、寸法を計算します。手順は5つです。
| 貼る枚数を数える | 多い週の枚数で決める。平均で決めると、月に何度か貼れない週が出る。 |
|---|---|
| 並べ方を決める | 2列3段、3列2段など。列を増やすと横に広く、段を増やすと縦に長くなる。 |
| 余白を決める | 紙と紙の間、紙と枠の間。20mm前後あると、留め具を持つ指が入る。 |
| 有効面を計算する | 紙の寸法 × 枚数 + 余白の合計。これが扉の内側の寸法になる。 |
| 外枠の分を足す | 扉の枠、屋根、支柱。外形は有効面より一回り大きくなる。 |
A4を6枚貼るときの寸法を出す
A4は210mm × 297mmです。2列3段に並べ、余白を各20mmと置きます。
縦 = 297 × 3 + 20 × 4 = 891 + 80 = 971mm(約97cm)
これが扉の内側、紙を貼れる範囲の寸法です。 外形は、枠と屋根の分だけ一回り大きくなります。 6枚も20mmも仮の置き方です。自分の掲示板の枚数で計算し直してください。
余白を20mmとったのは、留め具を持つ指が入るためです。 紙を詰めて並べると、貼るたびに隣の紙をはがすことになります。
置く場所と高さを決める
読む人と、貼る人の両方が使える場所を選びます。
場所を選ぶ基準は五つです。 人通りの多さより、立ち止まれるかどうかが先に来ます。
| 人が立ち止まれる幅があるか | 歩道の真ん中では、読む人が通行の邪魔になる。 |
|---|---|
| 夜に明かりが届くか | 街灯の下か、そうでないか。暗い場所では夜は読まれない。 |
| 自転車や車の通り道でないか | 扉を開けたときに、通行の妨げにならない位置を選ぶ。 |
| 貼る人が近づけるか | 当番が高齢の場合、段差や斜面のある場所は避ける。 |
| 雨と日差しの当たり方 | 西日が強い面は、紙が早く褪せる。屋根の出幅で変わる。 |
4番目は見落とされがちです。 当番が回る掲示板は、貼る人の年齢に幅があります。 段差や斜面のある場所は、そのうち貼られなくなります。
掲示面の下端を、計算で出す
掲示面の中心を、立った人の目の高さに合わせます。 目の高さを150cmと置きます。
中心から下端まで = 97 ÷ 2 = 48.5cm
150 − 48.5 = 約100cm
下端を地面から約100cmに置くと、中心が目の高さに来ます。 150cmは一般的な目安です。読む人の身長で前後します。
段が3つあるなら、いちばん読ませたい紙は真ん中の段に貼ります。 上の段は見上げ、下の段はかがみます。
街灯から離れた場所は、日が落ちると読めません。 勤めに出ている人が前を通るのは、暗くなってからです。 位置を変えられないなら、面を明るい色にするか、紙を大きくしてください。
設置の承諾と手続きを確かめる
立てる場所によって、承諾をもらう相手が変わります。
掲示板は動かせません。 基礎を打ってから承諾が必要だと分かると、立て直すことになります。 場所を決めた段階で、誰の承諾が要るかを確かめてください。
| 公道や歩道に立てる場合 | 道路を管理する窓口の扱いになる。占用の手続きが要ることがある。 |
|---|---|
| 私有地を借りて立てる場合 | 土地の持ち主の承諾が要る。書面で残しておく。 |
| 公園や公共の敷地 | 管理している部署の許可が要る。 |
| 集合住宅の敷地 | 管理組合や所有者の承諾が要る。 |
| 掲示板そのものの掲出 | 大きさによって、屋外広告物の扱いに入る場合がある。 |
口頭の了解だけで立てると、土地の持ち主が替わったときに根拠が残りません。
場所、期間、費用の負担、撤去するときの取り決めを書いておいてください。
公道に出る場合は、道路を管理する窓口の扱いになります。
※ 必要な手続き、出せる大きさ、更新の時期は地域によって異なります。立てる前に、管轄の窓口へお確かめください。
調べる順番は屋外広告物の許可ガイドに整理しました。 台風の前後にすることは台風・地震に備える看板にまとめてあります。
費用を世帯あたりに直して計算する
地域の会計は、総額では判断しにくいものです。1世帯まで割ります。
費用が動くところを見る
| 有効面の大きさ | 貼る枚数で決まる。枚数を減らせば、面も基礎も小さくなる。 |
|---|---|
| 扉を付けるかどうか | 扉があると紙が濡れない。開け閉めの手間は増える。 |
| 屋根の出幅 | 深いほど紙が持つ。風を受ける面も増える。 |
| 立て方 | 支柱を地面に埋めるか、壁や既存の柱に留めるか。基礎の有無で動く。 |
| 素材 | 木、金属、樹脂。塗り直しの周期と、10年分の手間が変わる。 |
1行目が、いちばん大きく動きます。 貼る枚数を1列減らせば、面も基礎も小さくなります。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。
1世帯あたりの年額に直す
商売の看板と違い、売上で回収する道具ではありません。 比べるのは、会費のうちいくらを使うかです。
120,000 ÷ 120 = 1,000円/月
1,000 × 12 = 12,000円/年
世帯数を200と置く
12,000 ÷ 200 = 60円/年・世帯
月に直すと、60 ÷ 12 = 5円です。 1世帯あたり月5円で、地域の知らせが常に外に出ている状態を保てます。
120,000円も200世帯も、仮の置き方です。 自分の地域の世帯数と、見積もりの金額に差し替えて計算し直してください。 総会に出すときは、この形にすると賛否を取りやすくなります。
読まれているかを確かめて直す
確かめるのは掲示板の見た目ではありません。運用が回っているかです。
終わった行事の紙が残っていれば、はがす決まりが働いていません。
立ち止まらなくても、目を向けたかどうかは分かります。
「掲示板を見た」と返る割合を数えます。回覧板や配布物との差が出ます。
10分を超えるなら、留め具か高さに無理があります。
上にあるものほど、手間がかかりません。 1番目は月に一度、前を通るときに見るだけで足ります。
古い紙が残っている掲示板は、新しい紙も読まれません。 読む人は、日付を1枚見て、全体が古いかどうかを決めます。 はがす決まりのほうが、貼る決まりより効きます。
貼る位置、はがす基準、留め具の場所。 これを扉の内側に貼っておけば、初めての当番でも同じ形になります。 人が替わるたびに運用が変わる掲示板は、そのうち止まります。
見る時期を決める
| 1か月 | 古い紙が残っていないかだけを見ます。運用が回っているかの確認です。 |
|---|---|
| 3か月 | 当番が替わっても、同じ手順で貼れているかを見ます。 |
| 半年 | 問い合わせの出どころを見ます。回覧板との割合を並べます。 |
| 1年 | 貼る枚数を数え直します。面が足りているか、余っているかが出ます。 |
1年たったら、貼る枚数をもう一度数えます。 面が足りていないのか、余っているのかが出ます。 余っているなら、次に作るときは小さくできます。
読まれていないときは、この順で試す
- 1終わった行事の紙を、その場ではがす
古い紙が1枚あると、掲示板ぜんぶが古く見えます。費用はかかりません。
- 2紙の大きさを、A4にそろえる
ばらばらの紙は、面の上で散らかって見えます。刷り直すだけで済みます。
- 3留め具を、片手で扱えるものに替える
画びょうを磁石に替えると、貼り替えの時間が縮みます。
- 4いちばん読ませたい紙を、目の高さの段へ移す
上の段は見上げ、下の段はかがみます。真ん中の段がいちばん読まれます。
- 5夜に、前を歩いてみる
街灯から離れていると、暗くて読めません。位置を変えるか、面を明るい色にします。
- 6掲示板そのものを作り直す
前の五つを終えてから、はじめて検討します。
1番から4番までは、その日のうちに試せます。 費用のかかる手当ては、後ろに寄せてあります。 汚れが目立ってきた場合は、看板の清掃と日常の手入れが入口になります。
よくある失敗5パターン
最後の1つ以外は、立て直さずに手当てできます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 貼る枚数を数えずに大きさを決めた | 多い週に貼りきれず、重ねて貼ることになる | 多い週の枚数を数え、余白の分だけ面を広げる |
| はがす決まりを作らなかった | 終わった行事の紙が残り、掲示板ぜんぶが読まれなくなる | 紙の裏にはがす日を書き、当番が回るたびに確かめる |
| 掲示面を高い位置に付けた | 見上げる位置になり、上の段の紙が読まれない | 下端を約100cmまで下げ、読ませたい紙を真ん中の段へ |
| 扉を付けずに屋外へ置いた | 紙が濡れて字が流れ、数日で読めなくなる | 扉が付けられないなら、屋根の出幅を深くする |
| 公道に無断で立てた | 撤去を求められ、立て直す費用がもう一度かかる | 立てる前に、道路を管理する窓口へ相談する |
セルフチェックリスト
発注の前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- ふだん貼っている紙の枚数を、実際に数えた
- 紙の大きさを、そろえられるか検討した
- 並べ方と余白から、有効面の寸法を計算した
- 掲示面の下端を、立った人が読める高さにした
- 貼る人が誰かを決めた
- はがす日を決める人と、その手順を決めた
- 立てる場所に、立ち止まれる幅があることを確かめた
- 夜にその場所を歩き、明かりが届くことを確かめた
- 土地の持ち主または管理者の承諾を得た
- 公道に出る場合、管轄の窓口へ問い合わせた
- 10年分の費用を、1世帯あたりの年額に直した
- 当番が貼り替えにかける時間を、聞き取った
よくある質問
掲示板は、何から決めればいいですか?
どれくらいの大きさにすればいいですか?
掲示板を立てるのに、手続きは要りますか?
うまく使えているか、いつ確かめればいいですか?
いまある掲示板を、作り直さずに直せますか?
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
まとめ
地域の掲示板は、次の順序で決まります。
| 1 枚数から寸法を出す | 多い週の枚数を数え、並べ方と余白から有効面を計算する。 |
|---|---|
| 2 場所と高さを決める | 立ち止まれる場所を選び、下端を約100cmに置く。 |
| 3 承諾と手続き | 土地の持ち主と管轄の窓口を、基礎を打つ前に確かめる。 |
| 4 費用を計算する | 10年で割り、1世帯あたりの年額まで落とす。 |
| 5 確かめて直す | 古い紙の有無を月に一度見て、はがす決まりから直す。 |
いちばん良い掲示板は、当番が何も考えずに貼り替えられる掲示板です。 立派な作りは、貼りにくければ使われません。 500回の貼り替えに耐えるかどうかで、選んでください。