看板のきほん / 2026年9月5日 更新 / 読了目安 約13分

2店舗目からの看板
型でそろえる6ステップ

これから店を増やそうとしている方、すでに複数の店を持っている方へ。 店ごとに看板を起こしていくと、3店舗目あたりで見た目がそろわなくなります。 そろえる作業は、店が少ないうちに始めるほど安く済みます。

6手順整理から測定まで
5要素そろえる項目
12項目自分で確かめる
この記事でわかること

いまある看板を並べて、ずれを見つける手順/ そろえる5つの要素と、店ごとに変えてよい3つの要素/ 型に書き起こす6項目と、伝わる書き方/ 物件と地域による制約の確かめ方/ 型を作るほうが安くなる店舗数を出す計算/ 店ごとのずれと、系列と気づかれているかを測る方法

店が増えると、看板は自然にばらけます

1店舗目の看板は、その物件に合わせて作ります。 2店舗目も同じように作れば、当然そこに合った形になります。 合わせる先が違うのだから、ばらけるのは自然な結果です。

そろえないまま増やすと、こうなります。同じ色を指定したはずなのに、店ごとに違って見える。 1店舗目の形をそのまま写したため、面の細い物件では入らない。 面の大きさまで固定してしまい、使える壁が小さい店で作り直しになる。 商業施設の基準を後から知り、掲げられなかった。

いまの看板を並べ、そろえる要素を決め、型に書き起こし、物件の制約を確かめ、 型が安くなる店舗数を計算し、店ごとの差を測る。 この6つで、増えても崩れない形が作れます。

この記事が扱う範囲

扱うのは、店が2つ以上になったときの看板のそろえ方です。 1店舗目でそろえる面の種類は別の記事にまとめてあります。 面の大きさや色の基準は地域で異なりますので、管轄の窓口へご確認ください。

Step 1

いまある看板を、並べて見る

ずれは、並べるまで見えません。

店を回っているときは、1枚ずつしか目に入りません。 そのため、ずれていても気づかないまま数年が過ぎます。 写真を並べた時点で、直すべき要素はほぼ確定します。

  1. 1
    全店の看板を、同じ距離から撮る

    正面から、同じくらいの距離で1枚ずつ撮ります。並べて見ると、ずれている要素がすぐ分かります。

  2. 2
    印刷したものを横に並べる

    画面で見ると色の差が分かりません。紙に出して床に並べてください。色の違いはここで出ます。

  3. 3
    作った年と、頼んだ先を書き添える

    同じ色を指定したはずなのに違うなら、原因はどちらかにあります。記録が残っていないと追えません。

  4. 4
    ずれている要素に印を付ける

    色、書体、ロゴの余白、並び順、素材。5つのどれがずれているかを分けて書き出します。

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    客が気づくずれと、気づかないずれを分ける

    色の差は遠くからでも分かります。余白のずれは、並べないと分かりません。直す順番が変わります。

2番目を省かないでください。 画面で見る色は、機器ごとに違って表示されます。 紙に出して床に並べると、遠くから見たときの差がそのまま出ます。

最後の作業で、直す順番が決まります。 色のずれは通りの向こうからでも分かりますが、余白のずれは並べないと分かりません。 客が気づく要素から手を付けてください。

Step 2

そろえる要素と、変えてよい要素を分ける

全部そろえようとすると、次の物件で行き詰まります。

遠くからでも差が分かる要素です。色番号で指定し、素材ごとの見え方の違いまで記録します。同じ番号でも、光る面と光らない面では違って見えます。

書体

屋号に使う書体を1つに固定します。太さの種類まで書き留めてください。似た書体に差し替えられると、印象が変わります。

ロゴの余白

ロゴの周りに空ける幅を、ロゴの高さを基準に決めます。「高さの半分ぶん空ける」のような書き方にすると、大きさが変わっても守れます。

要素の並び順

屋号、業種、店名の並びを固定します。店ごとに順番が違うと、同じ系列に見えません。

素材

同じ色でも、素材が変われば見え方が変わります。使ってよい素材を絞り、変える場合の代わりも決めておきます。

そろえるのは、この5つだけで足ります。 5つが守られていれば、形や大きさが違っても同じ系列に見えます。 逆に、この5つのどれかがずれると、形をそろえても別の店に見えます。

物件ごとに変えてよい3つ

面の大きさ物件ごとに使える面が違う
取り付け方壁、自立、突出しのどれかは建物で決まる
照明の有無通りの明るさと営業時間で変わる

この3つは、物件の条件で決まります。 型で固定すると、条件の合わない物件が出たときに作り直しになります。 使える壁の幅も、道からの見え方も、店ごとに違うためです。

大きさを固定するのではなく、比で決めます

「屋号の文字は高さ40cm」と書くと、小さい面では入りません。 「面の高さの3分の1」と書けば、どの大きさでも同じ見え方になります。 寸法ではなく比で書くのが、型を長く使うこつです。

色は、素材ごとに書き分けます

同じ色番号でも、印刷した面と塗装した面では違って見えます。 光を通す面なら、さらに変わります。 使う素材ごとに番号を分けて記録してください。

色と書体そのものの選び方は看板デザインの決め方にまとめてあります。 この記事で扱うのは、決めた色をどう店に配るかです。

Step 3

決めたことを、型に書き起こす

口頭で伝えた指定は、3店舗目で崩れます。

型は、業者に渡す1つの資料です。 分厚くする必要はありません。 色は口頭、書体はメール、寸法は図面という状態を、1つにまとめるだけです。

色番号と、素材ごとの指定印刷用と塗装用で番号が変わります。両方を書きます。
書体の名前と太さ代わりに使ってよい書体も1つ決めておきます。
ロゴの余白の取り方ロゴの高さを1として、比で書きます。
最小の大きさこれより小さくしない寸法を決めます。
やってはいけない例色を変える、傾ける、影を付ける。図で示します。
入稿データの渡し方拡大しても荒れない形式を指定します。

5番目が、いちばん働きます。 守ってほしいことを並べるより、避けてほしい形を図で示すほうが伝わります。 実際に起きたずれを、そのまま例に使ってください。

横に長い面、縦に細い面、正面が取れない面。 物件は選べないため、必ず当てはまらない形が出ます。 並べ方の代わりを2つ用意しておくと、その場で判断できます。

渡すデータは、拡大しても荒れない形式にします。 写真の形式で渡すと、大きな面で作るときに作り直しになります。 形式ごとの違いは看板の入稿データにまとめてあります。

Step 4

物件と地域の制約を確かめる

確かめるのは5つです。出店を決めた時点で始めます。

型どおりに作れない物件は、必ず出てきます。 原因は建物側の条件か、地域の基準か、施設の決まりのどれかです。 掲げてよい大きさと位置が決まってから、型を当てはめてください。

地域ごとの基準の違い面の大きさ、色の使える範囲、高さの基準が地域で異なる場合があります。
建物ごとの制約借りている物件では、掲げてよい位置と大きさが契約で決まっています。
商業施設に入る場合館内の統一基準が優先されることがあります。型より施設の決まりが上です。
同じ型が使えない物件面が細長い、正面が取れない。代わりの並べ方を型に含めておきます。
既存の看板を外すとき外した跡の補修が要ります。原状回復の範囲を先に確かめます。
地域によって基準が違います

面の大きさ、高さ、使える色の範囲は、地域ごとに定められている場合があります。 県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があり、書式も変わります。 同じ型で全店をそろえられるとは限りません。

商業施設に入る場合は、館内の統一基準が型より優先されます。 使える書体や色まで指定されることがあります。 出店を決めた時点で、施設の管理者から決まりを取り寄せてください。

退店するときの補修まで含めて考えます

借りている物件では、看板を外した跡の補修を求められます。 取り付け方によって、補修の手間が変わります。 契約の前に、原状回復の範囲を確かめてください。

物件を借りるときに確かめる項目は借りた店舗の看板にまとめてあります。 店が増えるほど、この確認が抜けたときの損失も増えます。

Step 5

型を作るほうが安くなる店舗数を計算する

型は最初に費用がかかり、後で回収する仕組みです。

都度つくる = 1店舗あたりの設計費 × 店舗数
型をつくる = 型の費用 + (型がある場合の1店舗あたりの費用 × 追加の店舗数)

型には最初に費用がかかります。 1店舗だけなら、都度作るほうが安く済みます。 どこで逆転するかを先に出しておけば、作る時期を決められます。

埋める数字は4つ

1店舗ずつ設計する場合の設計費毎回ゼロから起こす場合の費用です。
型を作る費用最初の1回だけかかります。
型がある場合の1店舗あたりの費用当てはめるだけになるため小さくなります。
これから増やす店舗数3年先まででかまいません。

逆転する店舗数を出す

1店舗ずつ設計する費用を8万円、型を作る費用を15万円、 型がある場合の1店舗を3万円と置きます。 追加の店舗数を n として並べると、次のようになります。

都度つくる = 80,000 + 80,000 × n
型をつくる = 150,000 + 30,000 × n
n = 1 … 都度 160,000 / 型 180,000 → 都度が安い
n = 2 … 都度 240,000 / 型 210,000 → 型が安い

逆転するのは n が2のとき、つまり3店舗目です。 5店舗まで作ると、都度は400,000円、型は270,000円になります。 差は130,000円で、店を増やすほど開きます。

置いた金額は計算の置き方であり、相場ではありません。 自分の数字を入れて、もう一度計算してください。 掲載社が公開している金額は看板の費用に種類別にまとめてあります。

3店舗の予定がなくても、色番号と書体を書き留めることはできます。 費用はかかりません。増やすことになったとき、この記録があるかどうかで手間が変わります。

Step 6

そろっているかどうかを測る

型を作った後も、少しずつずれていきます。

全店の写真を、年に1回並べ直す

撮って並べるだけです。作り替えや修理のたびに、少しずつずれていきます。年1回で気づけます。

新しい店の客に、他店を知っているか聞く

会計のときに一言尋ねます。系列だと気づかれていないなら、そろえる意味が届いていません。

店ごとの新規客の割合を並べる

看板以外の条件も混じりますが、極端に低い店があれば見に行く理由になります。

指定と違う色で納品された回数を数える

型が伝わっているかの指標です。回数が多いなら、書き方が読み取りにくいことになります。

作り直しにかかった日数を記録する

型があれば短くなるはずの部分です。短くなっていないなら、型に抜けがあります。

年に1回、写真を並べ直すだけで、ずれは早い段階で見つかります。

判断のタイミング

型を作った直後次の1店舗で試します。当てはまらない部分がここで出ます。
3店舗目設計にかかる日数を比べます。短くなっていなければ、型の書き方を直します。
1年全店の写真を並べ、ずれを確かめます。
3年素材や印刷の方法が変わります。型そのものを見直す時期です。

そろわないときは、この順で疑う

  1. 1
    型の書き方を直す

    文章だけの型は読み違えられます。図を1枚足すだけで、伝わり方が変わります。費用はかかりません。

  2. 2
    やってはいけない例を足す

    守ってほしいことより、避けてほしいことのほうが伝わります。実際に起きたずれを図にします。

  3. 3
    渡す資料を1つにまとめる

    色は口頭、書体はメール、寸法は図面。分かれているほど、どこかが抜けます。1つの資料に集めます。

  4. 4
    頼む先を絞る

    毎回違う先に頼むと、同じ指定でも仕上がりが変わります。数社に絞れば、ずれの原因を追えます。

  5. 5
    ずれている店の面を貼り替える

    色や文字のずれは、面の貼り替えで直る場合があります。板ごと替える前に確かめます。

  6. 6
    看板そのものを作り替える

    上の5つを試したうえで決めます。作り替えは、いちばん最後に置いてください。

並びは、費用のかからないものからです。 1番から4番までは、資料と発注先の見直しで終わります。 看板を作り替えるのは、最後に置いてあります。

Pitfalls

よくある行き違い5パターン

どれも、作り替えずに手を打てます。

行き違い何が起きるか直し方
1店舗目の看板を、そのまま型にした面の形が違う物件で当てはまらない要素の比で書き直し、代わりの並べ方を足す
色を口頭で伝えた店ごとに色が変わる色番号を素材ごとに書いた資料を渡す
面の大きさまで固定した使える面が小さい物件で入らない大きさは変えてよい要素として外す
やってはいけない例を書かなかった影や傾きが加えられる避けてほしい形を図で示す
商業施設の基準を後から知った型どおりに作れず作り直し出店を決めた時点で館内の決まりを取り寄せる
Checklist

セルフチェックリスト

2店舗目を発注する前に使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、決め直す余地があります。

  • 全店の看板を、同じ距離から撮って並べた
  • 写真を紙に出して、色の差を確かめた
  • ずれている要素を、5つに分けて書き出した
  • 色を、素材ごとの番号で決めた
  • 書体の名前と太さを書き留めた
  • ロゴの余白を、ロゴの高さとの比で決めた
  • 要素の並び順を固定した
  • 変えてよい要素を3つに限った
  • やってはいけない例を、図で示した
  • 面が細長い物件のための、代わりの並べ方を用意した
  • 出店先の地域ごとの基準を、窓口に尋ねた
  • 型を作る費用と、都度作る費用を並べて計算した
FAQ

よくある質問

2店舗目の看板は、何から決めればいいですか?
いまある看板を写真に撮って並べるところからです。ずれている要素が分かってから、そろえる項目を決めます。1店舗目の形をそのまま写すと、面の違う物件で当てはまりません。
そろえるのは、どの要素ですか?
色、書体、ロゴの余白、要素の並び順、素材の5つです。面の大きさ、取り付け方、照明の有無は物件で決まるため、変えてよい要素として外します。
地域が変わると、決まりも変わりますか?
面の大きさ、色の使える範囲、高さの基準が地域によって異なる場合があります。商業施設に入る場合は、館内の統一基準が優先されることもあります。出店を決めた時点で、管轄の窓口と施設の管理者へご確認ください。
型を作ると、いつから安くなりますか?
設計費を1店舗8万円、型を15万円、型がある場合を1店舗3万円と置くと、3店舗目で逆転します。5店舗まで作れば差は13万円です。置いた金額は計算のための例で、相場ではありません。
すでにばらばらな看板を、どこから直しますか?
色からです。遠くからでも差が分かる要素で、面の貼り替えだけで直る場合があります。余白や並び順のずれは、並べないと気づかれません。
予算が限られるときの優先順位は?
型の資料を1つにまとめることです。費用はほとんどかかりません。既存の看板を直すのは、次に作り替える時期に合わせれば足ります。

まとめ

店を増やすときの看板は、次の順序で決めます。

1 並べる全店の写真を同じ距離で撮り、紙に出して比べる。
2 分けるそろえる5つと、物件で変えてよい3つに切り分ける。
3 書き起こす寸法ではなく比で書き、避けてほしい形を図で示す。
4 確かめる地域の基準、館内の決まり、原状回復の範囲を取り寄せる。
5 計算する型の費用と都度の費用を並べ、逆転する店舗数を出す。
6 測る年に1回並べ直し、ずれを見つけて資料から直す。

そろえるのは形ではなく、色と書体と並びです。 物件は選べないので、形をそろえようとすると必ず行き詰まります。 比で書いた型が1枚あれば、面の違う店でも同じ系列に見えます。

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型も出店先もまだ何も決まっていない段階で、複数の店に対応できる会社かは比べられます。 全店の写真と、そろえたい要素を書いた紙があれば、初回のやりとりが短く済みます。