看板集客 / 2026年9月9日 更新 / 読了目安 約13分

書店・古書店の看板の作り方
立ち寄る理由をつくる5ステップ

これから書店や古書店の看板を決める方へ。 本は、どこで買っても同じ物が手に入ります。 だから面に載せるのは商品名ではなく、この店の棚に何が並んでいるかです。

5手順棚の言語化から記録まで
2.4面の前を通り過ぎる時間
12項目発注前に見る点
この記事でわかること

棚の性格を一言に絞るまでの手順/ 面ごとに載せる内容と、文字数の上限の目安/ 表紙や帯を面に使うときの確かめ方と、許可の調べ方/ 費用を月あたりに直し、1日の立ち寄り人数まで落とす式/ 立ち寄った人の数え方と、見る時期/ 作り直さずに直す順番

同じ本が買える中で、棚を外に出す

本の中身は、どの店で買っても変わりません。 差がつくのは、何を選んで棚に並べたかだけです。 看板が外に出せる情報も、そこにしかありません。

探している一冊が決まっている人は、在庫のある場所へ向かいます。 看板が働くのは、その手前です。 書店の面がつくるのは、目的買いではなく立ち寄りです。

起きやすいのは、次の四つです。 「書店」「古本」の二文字だけが掲げられ、棚の中身が想像できない。 扱う分野を思いつくだけ並べたため、遠くから何ひとつ読めない。 買取を受けているのに面に書いておらず、持ち込みが集まらない。 立ち寄った人を数えていないので、直す先を勘で選ぶことになる。

どれも、面をきれいに作り直しても解けません。 棚の性格を決め、面に振り分け、きまりを確かめ、費用を計算し、立ち寄りを記録する。 この五つを順に埋めます。

なお、扱う物を外から伝える全体像は物販店の看板の作り方にあります。 持ち込みを集めるのが主目的ならリサイクル店・買取店の看板が近い内容です。 このページは、本を並べて売る店の面に絞ります。

Step 1

棚の性格を一言に決める

何の店かが決まらないうちは、面のどこも埋まりません。

扱う分野を、3つまで書き出す

棚の背表紙を思い浮かべ、段数の多い順に並べます。4つ目から先は棚そのものに任せます。

新刊と古書の比率を、段数で数える

冊数ではなく棚の段で数えると、体感と合います。半々なら、両方を外に書く理由があります。

買取を受けるかどうかを決める

受けるなら、面の役目が1つ増えます。受けないなら、その旨を書くと応対の手間が減ります。

座って選べるかどうかを決める

椅子があるか、時間をかけて見てよいか。滞在を許すかで、外に出す一言が変わります。

四つのうち、先に済ませるのは1番目です。 分野を3つに絞れない店は、面でも絞れません。 書き出した語が10を超えたら、棚の段数で順位をつけて上から3つを残します。 残った語を、立ち寄る人の姿と並べて眺めます。

棚の性格外に出す一語立ち寄る人
分野をしぼった棚その分野の名を1語その分野を探している人
暮らしに寄せた棚手に取る場面を1語近所を歩いている人
絶版や古い本が多い棚扱う年代や版のこと探し物を抱えている人
新刊と雑誌が中心の棚入荷の頻度通勤や通学の途中の人

比率と買取の可否を、先に決める

新刊と古書の両方を扱う店は多く、外からは見分けがつきません。 棚の段数で数え、多いほうを主役にします。 どちらかが2割に届かないなら、その語は遠くの面から外します。

買取を受けるなら、面の役目が1つ増えます。 本を買いに来る人と、持ち込む人では、歩いている理由が違うからです。 受付の時間帯と持ち込める量まで決めておくと、面の文言が短く済みます。

Step 2

面ごとに載せる内容を決める

面を増やすより、1面あたりの役目を1つに絞るほうが読まれます。

面は、見る距離で役割が分かれます。 遠くの面は業種を知らせるだけ、手前の面は寄る理由を渡す。 1つの面に二つの役目を持たせると、どちらも読まれません。

載せる内容上限の目安
遠くから見える面業種と、棚の性格を1語8字まで
入口の上の面店名と、扱う分野16字まで
ガラス面棚の並びと、買取の受け方50字まで
足元の置き看板今日の入荷と、催しの案内30字まで

上の2行は、歩きながら読む面です。 やや急ぐ歩みを時速4.5kmと置くと、面の前にいる時間はこう出ます。

4,500m ÷ 3,600秒 = 秒速1.25m
間口3mの前を通る間 = 3 ÷ 1.25 = 2.4秒

遠くの面と入口の上は、この2.4秒で読み切れる量に収めます。 荷物や同行者の有無で、歩く速さは前後します。 下の2行は、足を止めてから読む面です。字数を増やせるのは、そのためです。 文字の高さの出し方は看板の大きさの決め方にまとめました。

遠くの面は1語、入口まで含めて3語まで

扱う分野を全部掲げたくなりますが、並べるほど1語あたりの文字が小さくなります。 遠くの面から削り、細かい棚の案内は立ち止まって読む位置へ寄せてください。

ガラス面は、外から棚が見える度合いも決めます。 全面を貼り込むと日焼けは防げますが、中の様子が消えます。 掲出そのものは窓ガラス看板の作り方で扱っています。

足元の置き看板は、書き換えて使う

入荷も催しも、週ごとに変わります。 彫り込みや印刷で固めると、変わるたびに作り直しになります。 黒板や差し替えのできる形なら、中身だけを動かせます。 この面は、後の手順で試験の道具にもなります。

Step 3

掲出のきまりを確かめる

面に出してよいものは、店の判断だけでは決まりません。

本の表紙も帯も挿絵も、店の持ち物ではありません。 仕入れた本を売る権利と、その絵柄を面へ掲げる権利は別です。 掲出の前に、どこまで出してよいかを書面で受け取ってください。

本の表紙の画像面に出せる範囲を、発行元と仕入れ元へ書面で確かめる。
帯に刷られた文言そのまま写してよいかどうかを、発行元へ確かめる。
挿絵や登場人物の絵使える形式と条件の指定を、権利者から受け取る。
著者名や作品名の表示大きく掲げる形は、許諾の要否を先に確かめる。
買取に関する掲示古物の取り扱いで要る表示を、管轄の窓口へ確かめる。
屋外に出す面の許可大きさと位置によっては、届け出が要る。

図案が固まる前に聞いておけば、直しが軽く済みます。 入稿の直前の確認では、日程が動きます。 他人の画像やロゴを使うときの考え方は、看板に使う画像と権利に整理しました。

自分で撮った棚の写真も、扱いは同じです。 撮影したのが店主でも、写っているのは他人の作った表紙だからです。 背表紙が読めるなら、掲げる前に確かめます。

許諾の範囲は、扱う本ごとに違う

同じ棚に並ぶ本でも、表紙を出せるものと出せないものがあります。 面に載せる案は、発行元と仕入れ元へ先にご確認ください。 古い本や絶版の本は、権利の窓口を探すところから時間がかかります。
※ 掲出の可否、必要な許諾、届け出の要否は、対象と地域によって異なります。判断が必要な場合は、権利者および専門の窓口へご相談ください。

屋外に出す面には、屋外広告物の許可が絡みます。 県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。 調べる順番は屋外広告物の許可ガイドにまとめました。 買取に伴う掲示は、管轄の窓口へ直接お問い合わせください。

Step 4

費用と回収ラインを計算する

総額のままでは判断できません。月に直し、1日の人数まで落とします。

費用が動くところを見る

面の数製作と取り付けが、面の数だけ積み上がる。
面の大きさ材料の量と、高い位置での作業の手間が変わる。
夜も光らせるか配線の引き回しと、器具の分が乗る。
書き換えのしやすさ差し替えられる作りにすると、後から直す費用が下がる。
ガラス面の仕上げ全面に貼るか一部で止めるかで、面積が動く。
取り付ける下地壁の材質と足場の要否で、工事の手間が変わる。

4行目は、書店でとくに効きます。 入荷も催しも動くので、差し替えられる面をどこかに残すと後が楽です。 掲載社が公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめました。

1日あたりの立ち寄り人数まで落とす

書店は1冊あたりの粗利が小さく、点数で積み上げる業態です。 金額のまま眺めても、面が足りているかは分かりません。 まず、掲出の総額を持つ年数で割ります。

仮に480,000円を96か月(8年)使うと置く
480,000 ÷ 96 = 5,000円/月

この480,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。

客単価を1,250円、粗利率を0.2と置く
1,250 × 0.2 = 250円
5,000 ÷ 250 = 20人/月
営業日を月25日と置く
20 ÷ 25 = 0.8人/日 → 5日に4人

ここで止めずに、買った人から立ち寄った人まで戻します。 看板は本を売る道具ではなく、扉を開けてもらう道具だからです。

立ち寄った人のうち買う割合を0.25(4人に1人)と置く
0.8 ÷ 0.25 = 3.2人/日

1日に3人強。 営業10時間なら 3.2 ÷ 10 = 0.32人/時、およそ3時間に1人です。 この単位なら、現実味を測れます。

使った数字は、すべて仮の置き方

480,000円も、8年も、1,250円も、0.2も、25日も、0.25も、式の形を見るために置いた値です。 自分の客単価と粗利率、営業日数に差し替えて計算し直してください。 買う割合は、次の手順で数えた実測を入れます。

Step 5

立ち寄りを記録して直す

記録がないと、直す先を勘で選ぶことになります。

会計のとき、一言だけ聞く

「外の掲示をご覧になりましたか」で足ります。答えは紙に正の字で残します。

時間を決めて、前を通る人を数える

開店直後と夕方に10分ずつ。通った人と、足が止まった人を分けて数えます。

面ごとに、別の二次元コードを貼る

入口用と置き看板用を分ければ、読み取り数が面ごとに残ります。行き先は棚の案内で足ります。

置き看板の文言を、週ごとに入れ替える

入れ替えた週と、そのままの週を並べます。書き換えられる面は、試験の道具になります。

上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は、会計の脇に紙を1枚置くだけで始まります。

2番目が、この業種では効きます。 通った人と止まった人を分けると、面で止まらないのか、止まっても入らないのかが分かれます。 前者なら遠くの面の言葉、後者なら入口の言葉を疑います。

記録は、正の字で足りる

帳票を作り込むと、忙しい日に書かれなくなります。 項目は「通った」「止まった」「入った」の三つで十分です。

見る時期を決める

2週間面の前で足が止まるかだけを見ます。数えるのは人数です。
1か月扉を開けた人数を見ます。止まった人との差が、入口の言葉の効き方です。
3か月買われた点数と客単価を並べ、回収の計算と突き合わせます。
半年棚の性格そのものを見直します。面の位置は、その後です。

本の売れ方は、季節と新刊の出方で大きく動きます。 1か月の数字だけで、面の良し悪しを決めないでください。 前の年の同じ月と並べられるなら、そちらのほうが読み違えが減ります。

届いていないときは、この順で疑う

  1. 1
    棚の性格の一語を、別の語に替える

    紙に書いて入口へ貼れば、その日から試せます。候補は3つまでにします。

  2. 2
    遠くの面から、字を削る

    通り過ぎる2.4秒で読み切れるかを見ます。減らすほうが先で、大きくするのは後です。

  3. 3
    歩道に立って、面を見上げる

    庇や街路樹で隠れていないか、立つ位置を3か所変えて確かめます。

  4. 4
    置き看板を、半歩だけ前へ出す

    通行の妨げにならない範囲で、位置と角度を試します。

  5. 5
    夜と雨の日に、自分の店の前に立つ

    日が落ちてから見ると、読めない理由が分かります。照明の向きで直ることもあります。

  6. 6
    面そのものを作り直す

    五つを試したうえで、それでも届かないときに考えます。

1番から4番までは、紙とテープと少しの手間で試せます。 費用のかかる手当ては、後ろに置いてあります。 作り直しを検討するのは、六つを踏んだ後です。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、面を作り直さずに手当てできます。

失敗何が起きるか直し方
「書店」の二文字だけを大きく出した棚の中身が想像できず、通り過ぎられる入口の面に、扱う分野を1語足す
扱う分野を思いつくだけ並べた1語あたりが小さくなり、遠くから読めない遠くの面を1語に戻し、残りはガラス面へ移す
買取をしているのに面に書かなかった持ち込みが集まらず、棚の仕入れが細る置き看板に、買取の受付時間を1行足す
表紙の画像を、確かめずに面へ使った差し替えを求められ、面ごと作り直す掲出の前に、発行元と仕入れ元へ書面で確かめる
立ち寄った人を数えなかったどの面が効いたか分からず、直す先を選べない会計の脇に紙を1枚置き、翌日から正の字で数える
Checklist

セルフチェックリスト

発注の前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • 扱う分野を3つまでに絞って、紙に書き出した
  • 新刊と古書の比率を、棚の段数で数えた
  • 買取を受けるかどうかを決めて、面に書いた
  • 棚の性格を表す一語を、1つに決めた
  • 遠くから見える面の字数を、上限の中に収めた
  • 面ごとに、役目を1つに絞った
  • 置き看板を、書き換えられる作りにした
  • 表紙や帯を面に使う範囲を、発行元と仕入れ元に確かめた
  • 屋外に出す面の届け出について、管轄の窓口へ問い合わせた
  • 看板の費用を、月あたりの額に直した
  • 1日あたりに必要な立ち寄り人数まで、計算を落とした
  • 立ち寄った人を数える紙を、会計の脇に用意した
FAQ

よくある質問

書店の看板は、何から決めればいいですか?
棚の性格を一言に決めることからです。扱う分野を3つまで書き出し、段数のいちばん多い1語を選びます。その語が決まると、遠くの面に載せる言葉も決まります。
文字はどれくらいの量に収めればいいですか?
面の前を通り過ぎる時間から逆算します。時速4.5kmで間口3mの前を通ると2.4秒です。遠くの面なら8字、入口の上なら16字を上限の目安に置いてください。
本の表紙や帯を、看板に使ってよいですか?
使える範囲は、発行元と仕入れ元のきまりによります。条件の指定を受けている場合があるため、掲出の前に書面でご確認ください。自分で撮った棚の写真でも、背表紙が読めるなら同じ確認が要ります。
効果は、いつ判断すればいいですか?
足が止まるかどうかは2週間、扉を開けた人数は1か月で見ます。買われた点数まで含めた判断は、3か月より前に下さないでください。季節と新刊の出方で、月ごとの差が大きいためです。
すでに出している看板を、作り直さずに直せますか?
多くは、載せる語の入れ替えで足ります。棚の性格を表す1語と、買取の受付の有無。この二つが面に無ければ、貼り紙1枚から試せます。
予算が限られる場合、どこから手を付けますか?
足元の置き看板からです。書き換えられる形にしておけば、入荷や催しに合わせて中身を動かせます。固定の面を増やすのは、その反応を見た後にします。

まとめ

書店・古書店の看板は、次の順序で決まります。

1 棚の性格を決める扱う分野を3つまでに絞り、新刊と古書の比率、買取の可否を決める。
2 面と内容を決める面ごとに役目を1つに絞り、通り過ぎる時間で読める量に収める。
3 きまりを確かめる表紙と帯の扱いを権利者へ、屋外に出す面を管轄の窓口へ確かめる。
4 費用を計算する月あたりの額に直し、1日あたりに必要な立ち寄り人数まで落とす。
5 立ち寄りを記録する通った人と止まった人を分けて数え、安く直せる順に手を入れる。

看板に書けるのは、棚の要約だけです。 棚の性格が言葉になっていないうちは、面の大きさを決めても迷います。 背表紙を思い浮かべて、まず3語だけ紙に書いてください。

書店の面を手がけた業者を探す

当ガイドは仲介や紹介を行っていません。ご相談・お見積もりは各社へ直接お願いいたします。
棚の性格も面の数も、まだ何も決まっていない段階で構いません。 書き換えられる面を提案してくれるか、ガラス面の貼り分けに慣れているか。この二つは比べられます。