看板集客 / 2026年9月6日 更新 / 読了目安 約13分

パン屋・洋菓子店の看板
持ち帰る店を見せる5ステップ

これからパン屋や洋菓子店の看板を用意する方へ。 買って帰る店の前は、三つの速さで人が通ります。 歩く人、自転車の人、車で寄る人。読める時間が違えば、載せられる量も違います。 焼き上がりの時刻のように、日ごとに動く情報もあります。

5手順速さの分け方から直し方まで
3速さ歩く・自転車・車
12項目発注前に見る点
この記事でわかること

歩く人・自転車・車で、読める秒数がどれだけ違うか/ 秒数から、載せる文字数を割り算で出す方法/ 読ませたい距離から、文字の高さを出す式/ 変わらない一語と、今日だけ動く情報の分け方/ 歩道側の面と食品の表示で、確かめる先/ 書き替えの手間を、年の時間に直す数え方/ 月の費用を、1日の必要な客数に直す式

買って帰る店は、通る速さで見え方が変わります

持ち帰りの店は、滞在の短さが特徴です。 店を選ぶ判断は、たいてい店の前を通り過ぎる数秒で終わります。

起きやすいのは、次の四つです。 屋号だけを大きく出し、何を売る店か伝わらない。 歩く人を基準に文字を決め、自転車と車から読めない。 焼き上がりの時刻を作り付けの面に入れ、動かせなくなる。 停める場所を書かず、寄ろうとした人がそのまま行ってしまう。

どれも、発注の前に手を打てば起きません。 速さで分け、一語と今日を分け、決まりを確かめ、費用を客数に直し、数えて直す。 この五つを順に決めていきます。

Step 1

誰がどの速さで通るかを分け、読ませる距離を決める

文字の量は、好みではなく秒数で決まります。

通る人を、速さで三つに分ける

歩く人、自転車の人、車の人。同じ面を違う速さで見ています。読める時間が変われば、載せる量も変わります。

来る向きから、三通りで通ってみる

駅や住宅のある側から、歩いて、自転車で、車で通ります。三度とも、見えはじめる地点が違います。

面が見えはじめる地点に印を付ける

建物の角、街路樹、隣の店の庇。面が隠れる場所を控えます。ここが読ませる区間の始まりです。

区間の長さを、歩数で測る

見えはじめてから通り過ぎるまでの距離です。メジャーが無ければ歩数で足ります。

面が見えている距離を12mと置き、秒数に直します。 時速を3.6で割ると、秒速が出ます。

時速4km = 4,000 ÷ 3,600 = 秒速 約1.11m(歩く)
時速15km = 15,000 ÷ 3,600 = 秒速 約4.17m(自転車)
時速30km = 30,000 ÷ 3,600 = 秒速 約8.33m(生活道路の車)
12m ÷ 1.11 = 約10.8秒 / 12 ÷ 4.17 = 約2.9秒 / 12 ÷ 8.33 = 約1.4秒

1秒に読めるのを2〜3文字と置くと、載せられる量が出ます。

通り方読める時間載せられる文字数
歩く(時速4km)約10.8秒21〜32文字
自転車(時速15km)約2.9秒6〜9文字
車(時速30km)約1.4秒3〜4文字

歩く人と車の人では、7倍以上の開きがあります。 同じ面で三つの速さに応えることはできません。 誰に読ませる面かを、面ごとに決めてください。

読ませ始める距離を、速さから逆算する

3秒読ませたいなら、必要な手前の距離は掛け算で出ます。

自転車 → 4.17 × 3秒 = 約13m手前
車 → 8.33 × 3秒 = 約25m手前

この距離に、隣の建物や街路樹がかぶっていないかを見ます。 かぶるなら、面の位置か向きを変えます。

自転車と車で寄る人は、減速の余地から見る

歩く人は、気づいてから足を止められます。 自転車と車の人は、気づいた地点で止まれるとは限りません。 停める場所が見えないと、通り過ぎるほうを選びます。 この二者には、内容より先に置ける場所を見せます。

Step 2

外から分かる一語と、今日だけ変わる情報を分ける

動かない情報と動く情報を、同じ面に載せません。

変わらない面には、一語だけ置く

扱う物を一語で置きます。屋号だけの面は、知らない人に何の店かを伝えません。

今日だけの情報は、別の面へ移す

焼き上がりの時刻、売り切れ、季節の品。日ごとに動くものは、書き替える面へまとめます。

買い方の単位を、外から見せる

1個から買えるか、箱で買うか。中に入る前に決めたい人がいます。持ち帰りの店に固有の点です。

停める場所を、面のどこかに書く

自転車をどこに置くか、車をどこへ入れるか。分からないまま速度を戻す人がいます。

分ける基準は、変わる頻度です。 数年動かないものと、朝夕で動くものを同じ面に置くと、片方が直せません。

出すもの変わる頻度
建物に付く面扱う物の一語と屋号数年に一度
扉のまわり営業時間と買い方の単位変わったときだけ
歩道側の置き面その日の焼き上がりと品毎日
窓ガラス季節の品と、中の様子月ごと
停める場所の表示自転車と車の置き場変わったときだけ

建物に付く面に載せるのは、扱う物の一語と屋号だけです。 言葉の絞り方は看板の文言の決め方にまとめています。

今日だけの情報を、作り付けの面へ入れない

焼き上がりの時刻、売り切れ、季節限定の品。 これらを金属や樹脂の板へ入れると、変わった日に直せません。 古い時刻が出たままの面は、次から読まれなくなります。 動く情報は、書き替える面か窓ガラスへ移してください。

文字の高さを、読ませたい距離から出す

高さは割り算で出ます。距離を先に決めてください。

文字の高さ = 視認距離 ÷ 250 〜 視認距離 ÷ 500
5m先(扉のまわり) → 5,000 ÷ 500 = 10mm / ÷ 250 = 20mm → 1〜2cm
15m先(自転車に読ませる面) → 15,000 ÷ 500 = 30mm / ÷ 250 = 60mm → 3〜6cm
30m先(車に読ませる面) → 30,000 ÷ 500 = 60mm / ÷ 250 = 120mm → 6〜12cm

この幅は、明るい時間に正面から見た場合です。 書体、地の色との明暗差、庇の影の落ち方で動きます。 朝や夕方に読ませる面は、幅の大きいほうへ寄せてください。

ガラス面は、書き替えの負担がいちばん軽い場所です。 使い方は窓ガラス看板の作り方で扱っています。

Step 3

屋外に出す表示と、食品まわりの決まりを確かめる

面の場所ごとに、確かめる相手が変わります。

図面を引く前に、出せるかどうかを確かめます。 後で分かると、作った面を使えないことがあります。

建物に付ける面屋外広告物としての手続きに関わります。土地ごとに決まりが違います。
歩道側へ出す置き面敷地の内か外かを先に確かめます。道路の使用に関わることがあります。
借りている店舗貸主と管理者の承諾が要ります。退去時に戻す範囲も文書で確かめます。
食品に関わる表示表示が求められる場合があります。所管の窓口へご確認ください。
価格の見せ方表示の方法が定められている場合があります。出す前にお尋ねください。

敷地の内側なら自分の判断で動かせますが、外へはみ出すと話が変わります。 置き看板の仕様はのぼり・置き看板の選び方で扱っています。

食品に関わる表示は、窓口の回答に合わせる

原材料やアレルゲンについては、表示が求められる場合があります。 対象になるかどうかは、扱う品と売り方で変わります。 条文や区分の判断は、所管の窓口へご確認ください。
出す量が多いなら、屋外の面ではなく店内の一覧へまとめる形も取れます。

屋外広告物の手続きは、土地によって違う

建物に付ける面の大きさや高さには、地域ごとの決まりがあります。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域に分かれます。 景観に関する区域では、色や面積の扱いが別に決まることもあります。
※ 許可の要否は、管轄の窓口へお確かめください。

Step 4

書き替えの手間から方式を決め、1日あたりの客数に直す

毎日さわる面は、作りより手間で選びます。

書き替える面は、作った後も手がかかり続けます。 方式を選ぶ前に、年の時間を数えます。

方式は四つです。 板の貼り替えは年に数回で外注が要り、手書きは毎日で自分の手で回せます。 文字の差し替えは週ごと、布の掛け替えは季節ごとになります。

焼き上がりに合わせて1日3回書き替える場合を、時間に直します。

1回2分 × 1日3回 = 6分/日
週6日営業 → 6 × 52週 = 312日 → 312 ÷ 12 = 月26日
6 × 26 = 156分/月 → 156 × 12 = 1,872分/年
1,872 ÷ 60 = 年 31.2時間

年30時間を超えるなら、書きやすさが仕様の一部になります。 高い位置の面や、雨の日にしまう面は、この時間がさらに伸びます。

金額が動くところを見る

面の数変わらない面と書き替える面を別に数えます。総額にいちばん効きます。
書き替えの方式貼り替えか、手書きか、差し替えか。下地がここで決まります。
面の大きさ車から読ませる面は大きく、扉のまわりは小さくできます。
夜の見え方光らせるか、光を返すか。配線の要否で工事が変わります。
出し入れの回数毎日しまう置き面には、軽さと丈夫さが要ります。

掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめています。

1日あたりの必要な客数を出す

5年 = 5 × 12 = 60か月
一式の総額540,000円 ÷ 60か月 = 月9,000円
書き替えの材料 月3,000円 を足す → 9,000 + 3,000 = 月12,000円

この540,000円と3,000円は相場ではありません。 割り算の動きを見るために置いた、仮の数字です。

月あたりのコスト ÷ (客単価 × 粗利率) = 月に必要な新規客数
客単価800円 × 粗利率0.5 = 400
12,000 ÷ 400 = 30人/月
30 ÷ 26営業日 = 1.15 → 1日あたり 約1.2人

検算します。1.15 × 26 = 29.9 で、ほぼ30人に戻ります。 30 × 400 = 12,000 となり、月あたりのコストと釣り合います。

1日に1人か2人、新しく買う人が増えれば足りる計算です。 客単価が小さい業態は、月では大きな人数に見えます。 客単価と粗利率は、自分の店の数字へ差し替えて置き直してください。

Step 5

立ち止まった数と、時間帯の偏りで測って直す

売上の合計より、時間帯ごとの動きに答えが出ます。

足を止めた人を、10分だけ数える

レジから外を見て、面の前で止まった人を数えます。時計を決めておけば、日をまたいで比べられます。

会計のときに初めてかを聞く

「初めてですか」の一言で足ります。会計の流れに混ぜられるので、人手が増えません。

時間帯ごとにレシートの枚数を並べる

焼き上がりの直後と、そうでない時間を分けます。書き替えが効いた時間帯が見えます。

停まった自転車と車の数を控える

歩く人だけを見ると、寄って買う人の動きを取りこぼします。台数は外から数えられます。

上から順に、手間の軽い方法です。 1番目は昼と夕方の2回、10分ずつで足ります。

見る時期を決める

1週間書き替えた日と、そうでない日のレシート枚数を並べます。
1か月足を止めた人の数を、時間帯ごとにまとめます。偏りが出ます。
3か月初めての人の割合を、前の3か月と比べます。
1年色あせと汚れを見ます。品ぞろえが変わった店は面を組み直します。

比べる相手を作らないと、数えた数字は読めません。 天気と曜日で、通る人の数は動きます。 同じ曜日、同じ時間帯で並べてください。

効かないときは、この順で疑う

  1. 1
    書き替える面の中身を、その日に合わせる

    時刻が古いままだと、面そのものが見られなくなります。費用はかかりません。

  2. 2
    置き面の位置を、歩く向きへずらす

    半歩ずらすと、見えはじめる地点が変わります。その日のうちに確かめられます。

  3. 3
    面の前をふさぐ物をどける

    停めた自転車、植木鉢、積んだ空き箱。下半分が隠れていることがあります。

  4. 4
    車から読む面の文字を、3〜4文字まで削る

    1.4秒で読めるのはこの範囲です。2行あるなら1行に減らします。

  5. 5
    面の高さを、自転車の目線へ下げる

    歩く人と自転車では、目の高さが変わります。金具の付け替えで済む場合があります。

  6. 6
    停める場所を示す面を、1つ足す

    足りない面を埋めるほうが早く効きます。作り直しは、ここまで試した後です。

上のほうほど、費用をかけずに直せます。 1番から3番までは、その日のうちに手を付けられます。 6つを試しても動かないときに、はじめて作り直しを考えます。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、一語を足すか、面を1つ増やすことで手を打てます。

失敗何が起きるか直し方
屋号だけを大きく出した何の店か分からず素通りされる扱う物の一語を足す。既存の面は触らない
焼き上がりの時刻を作り付けにした時刻が動くたびに直せない書き替えられる面へ移す。置き面で足りる
歩く人だけを見て高さを決めた自転車と車から読めない1面を下げるか、短い文字の面を足す
1つの面に品名を並べたどれも読まれず、足が止まらない一語だけ残し、残りは窓と店内へ移す
停める場所を書かなかった寄りたい人が通り過ぎる矢印と一語で足りる。小さな面で済む
Checklist

セルフチェックリスト

発注の直前に使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • 歩く人・自転車・車のうち、誰に読ませるかを決めた
  • 来る向きから、店の前を三通りで通ってみた
  • 面が見えてから通り過ぎるまでの距離を測った
  • 読める秒数から、載せる文字数を割り算で出した
  • 読ませたい距離から、文字の高さを割り算で出した
  • 扱う物を、外から分かる一語にして出した
  • 今日だけ動く情報を、書き替える面へ移した
  • 自転車と車を停める場所を、面のどこかに書いた
  • 歩道側へ出す面が、敷地の内か外かを確かめた
  • 食品に関わる表示を、所管の窓口へ問い合わせた
  • 書き替えにかかる年の時間を、分に直して数えた
  • 月の費用を、1日あたりの必要な客数に直した
FAQ

よくある質問

パン屋・洋菓子店の看板は、何から決めればいいですか?
誰に読ませるかからです。歩く人と車の人では、読める時間が7倍以上ちがいます。読ませる相手を決めてから、文字の数と高さを出します。
1つの面に、どのくらいの文字を載せられますか?
通る速さで決まります。同じ12mの区間でも、歩けば約10.8秒、自転車で約2.9秒、車では約1.4秒です。1秒に2〜3文字と置くと、順に21〜32文字、6〜9文字、3〜4文字になります。
焼き上がりの時刻は、外に出したほうがいいですか?
出すなら、書き替えられる面に置きます。作り付けの面へ入れると、時刻が動いたときに直せません。書き替えの手間は、方式を選ぶ前に分で数えておきます。
許可や届出は要りますか?
面の場所で変わります。建物に付ける面は屋外広告物としての手続きに関わり、歩道側へ出す置き面は道路の使用に関わることがあります。県の条例が及ぶ地域と市が独自の条例を持つ地域があるため、要否は管轄の窓口へご確認ください。
効いているかは、どう判断しますか?
面の前で足を止めた人を、10分だけ数えるのが最も早い方法です。1か月ためると、時間帯の偏りが見えます。書き替えた日とそうでない日を並べれば、書き替えが働いたかも分かります。
アレルゲンの表示は、看板にも要りますか?
表示が求められる場合があります。対象や方法は、扱う品と売り方によって変わります。所管の窓口へご確認のうえ、その回答に合わせて面の中身を決めてください。

まとめ

持ち帰りの店の看板は、次の順序で決まります。

1 速さで分ける歩く・自転車・車で読める秒数を出し、面ごとに相手を決める。
2 一語と今日を分ける動かない一語は作り付けへ。動く情報は書き替える面へ。
3 決まりを確かめる面の場所ごとに窓口が変わる。食品の表示は所管へ聞く。
4 方式と費用を決める書き替えの時間を年で数え、月の費用を1日の客数に直す。
5 数えて直す足を止めた人を10分数え、偏りを見て安い順に直す。

通り過ぎる速さが違えば、届く言葉の長さも違います。 面を増やす前に、誰に読ませる面かを決めるほうが早く効きます。

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面の数もデザインも、まだ何も決まっていない段階で構いません。 毎日書き替える面まで受けるか、屋外広告物の手続きを代行するか。この二つは比べられます。