看板のきほん / 2026年9月5日 更新 / 読了目安 約9分

壁面看板の作り方
距離から文字を決める5ステップ

建物の正面に、初めて看板を付ける方へ。「どのくらいの大きさが要るか」「壁に付けられるか」 「効いているかをどう知るか」。 この3つに順番に答えていきます。

5手順距離の測定から効果測定まで
3作りパネル・切り文字・光る箱
12項目発注前のチェック
この記事でわかること

見える範囲を決める4つの視点/ 壁面看板の3つの作りと、それぞれの向き不向き/ 読ませたい距離から文字の高さを出す計算/ 壁の材質・下地・防水で確かめること/ 費用が動く5つのところ/ 通りかかりの新規客で効果を測る方法

面の大きさは、壁ではなく距離が決めます

壁面看板は、建物の正面に付ける面です。店で最も大きく、最も長く残ります。 だからこそ、決め方の順番を間違えると取り返しがつきません。 先に決めるのは大きさではなく、読ませたい距離です。

つまずく場所は決まっています。壁の広さに合わせて作り、離れると読めない。 正面からの見え方だけを見て、道を歩く人には真横になる。 店名を大きく入れて、何の店か伝わらない。夜に消えて、暗い時間の客を逃す。

見える範囲を決める、大きさと文字を出す、壁の側を確かめる、費用を見る、通りかかりで測る。 この順に進めれば、壁の広さに引きずられずに済みます。

Step 1

見える範囲を先に決める

壁が広くても、見える範囲が狭ければ、その分しか働きません。

誰が、どこから見るか

歩く人と、運転する人では、読める文字の大きさが変わります。両方いる場所では、遠いほうに合わせます。

正面から見えるか、斜めから見えるか

壁面看板は建物の面に平行です。道に沿って歩く人からは、真横に近い角度になります。

手前に何が立っているか

街路樹、電柱、電線、隣の建物。見える範囲は、壁の大きさではなく遮るもので決まります。

夜に見せる必要があるか

夜も営業する業態では、照明の有無で使える時間が半分変わります。

図面ではなく、道に立って決めてください

壁の寸法は図面で分かります。見える範囲は分かりません。 道の両方向から歩き、どこで壁が現れ、どこで隠れるかを確かめてください。 看板が働くのは、その現れてから隠れるまでの区間だけです。

Step 2

距離から、文字と面の大きさを出す

計算の順番は、距離 → 文字の高さ → 面の寸法です。

車に読ませる場合を考えます。時速40kmは、40 ÷ 3.6 で秒速およそ11.1mです。 判断に2秒かかるとすれば、11.1 × 2 で約22m手前に読み終える必要があります。

必要な文字の高さ = 読ませたい距離 × 1/250 〜 1/500
車(22m先):22 ÷ 250 = 0.088m → 9cm を下限に
歩行者(15m先):15 ÷ 250 = 0.06m → 6cm を下限に

1/500 は、条件が良いときの数字です。斜めから見る、雨で視界が悪い、背景に色が多い。 現場の条件はすべて読みにくい方向に働きます。1/250 の側で考えてください。

※ 書体、文字の太さ、背景との明暗差、照明の有無で読める距離は変わります。

3つの作りから選ぶ

作りやり方向いている場面
パネルを貼る板を壁に留める面が広く取れる。文字も絵も自由に入る
文字だけを付ける一文字ずつ壁に留める壁の素材が背景になる。掃除の手間が増える
光る箱にする内部に光源を入れる夜に読める。電源と点検が要る

載せるものは、店名と業種の2つで足ります。電話番号もURLも、走る車からは読めません。 足すのではなく削ると、文字は大きくなります。 色と書体の選び方は看板デザインの決め方で扱っています。

Step 3

壁の側の条件を確かめる

付けられるかどうかは、看板ではなく壁が決めます。

壁の材質コンクリート、モルタル、ALC、金属パネル、木。留め方が変わります。
下地がどこにあるか表面だけに留めると、風で抜けます。下地の位置を先に探します。
防水層を抜くか穴をあける工事では、雨の入り口を作ることになります。処理の方法を確認してください。
電源が近くにあるか光らせるなら、電気の経路が要ります。後から引くと壁を通します。
足場が組めるか前面が道路や隣地だと、作業のしかたが変わります。

下地(壁の内側にある、留め具が効く骨組み)の位置は、外からは見えません。 表面材だけに留めた看板は、風を受けて少しずつ抜けていきます。 留める場所を先に決めてから、面の割り付けを決めてください。

壁に付けるだけでも、手続きが要ることがあります

屋外広告物としての手続きは、大きさや高さ、地域によって扱いが分かれます。 県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。 建物に対して大きな構造物を新しく付ける規模では、別の確認が必要になる場合もあります。
※ 要否は自治体・場所によって異なります。事前に管轄窓口か施工業者にご確認ください。 手続きの流れは屋外広告物の許可ガイドにまとめています。

Step 4

費用の動く場所を見分ける

同じ大きさでも、足元の作り方で金額は変わります。

面の大きさ材料と、運ぶ手間と、留める箇所の数が同時に増えます。
高さと前面の空き足場か、高所作業車か。作業の足元をどう作るかで変わります。
光らせるかどうか光源、電源工事、その後の電気代と交換が付いてきます。
壁の状態下地の補強や、防水のやり直しが要ると工事が増えます。
既存看板の撤去掛け替えでは、外して処分する分が別に載ります。

掲載社が実際に公開している金額は看板の費用に種類別にまとめています。

月に何人来れば釣り合うか

設置の費用 ÷ 使う年数 = 年あたりの費用
年あたりの費用 ÷ 12 = 月あたりのコスト
月あたりのコスト ÷ (客単価 × 粗利率) = 月に必要な新規客数

例:40万円で設置し、10年使うとします。400,000 ÷ 10 = 年40,000円。 40,000 ÷ 12 = 月3,333円です。客単価3,000円、粗利率60%の店なら、 3,333 ÷ (3,000 × 0.6) = 1.85 になります。 月に2人、15日に1人の新規客で釣り合う計算です。

金額そのものより、この式に自分の数字を入れることが大事です。 使う年数を短く見積もるほど、月あたりの負担は重く出ます。

Step 5

通りかかりの数で、効果を測る

壁面看板が連れてくるのは、店の前を通った人です。

通りかかりの新規客を数える

来店時に「何で知ったか」を聞き、通りかかりの数を記録します。壁面看板が直接効く数字です。

店名の検索が増えたかを見る

看板を見て、その場で調べる人がいます。店名での検索数は、無料の道具で確かめられます。

前を通る人に読めるかを試す

事情を知らない人に、離れた場所から店名と業種を読んでもらいます。読めない距離が分かります。

夜と昼で入りが違うかを見る

暗い時間だけ客が減るなら、原因は照明にあります。面の内容ではありません。

来店時の一言を記録するだけで足ります。増えていれば、読まれています。

見るタイミング

設置の直後道の両方向から歩いて、店名と業種が読めるかを確かめます。
1か月通りかかりの新規客が増えたかを見ます。
3か月曜日と時間帯で差が出ていないかを見ます。
1年色あせ、留め具のゆるみ、光源の暗くなり方を確かめます。

増えないとき、この順で疑う

  1. 1
    遮るものが増えていないか

    街路樹が伸びただけで見えなくなります。枝を払えば戻ります。

  2. 2
    夜に消えていないか

    照明の球切れは、気づかれないまま続きます。夜に一度、外から見てください。

  3. 3
    文字が小さすぎないか

    離れて読んでもらえば分かります。文字を大きくするだけで直る場合があります。

  4. 4
    載せた情報が多すぎないか

    業種が埋もれていると、何の店か伝わりません。減らす作業で済みます。

  5. 5
    そもそも人が通っていないか

    ここまで確かめて残ったら、面の作り直しではなく、別の面を足す判断になります。

壁面の1面だけで足りないこともあります

道に沿って歩く人からは、壁面は真横に見えます。この角度では読まれません。 道に対して直角に突き出す面を小さく足すと、横からの視線を拾えます。 1面を大きくするより、角度の違う面を足すほうが効く場面があります。 突き出す面については袖看板・突出し看板の出し方で扱っています。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、離れて見れば気づけます。

失敗何が起きるか直し方
壁の大きさに合わせて作った離れると読めず、近くでは大きすぎる読ませたい距離から文字の高さを計算し直す
正面からの見え方だけで決めた道を歩く人には真横になり、読まれない突き出す小さな面を足して、横からの視線を拾う
店名だけを大きく入れた何の店か分からず、通り過ぎられる業種を1語足す。文字を減らせば場所は空く
下地を確かめずに留めた風でゆるみ、雨が入り、壁を傷める設置前に下地の位置を調べ、留め方を決める
照明を後回しにした夜の時間帯だけ、店が無いのと同じになる外から照らす方式なら、後付けで足せる
Checklist

セルフチェックリスト

発注の前に使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。

  • 誰が、どこから見る面かを1文で言える
  • 読ませたい距離をメートルで決めた
  • その距離から、必要な文字の高さを計算した
  • 道の両方向から、壁が見えることを現地で確かめた
  • 手前に街路樹や電柱がないかを確かめた
  • 載せる情報を、店名と業種の2つに絞れた
  • 壁の材質と下地の位置を業者に伝えた
  • 穴をあける場所の防水処理を確認した
  • 夜に見せる必要があるかどうかを決めた
  • 光らせる場合、電源の経路を確認した
  • 既存の看板を外す費用が見積に入っている
  • 通りかかりの新規客を記録する方法を決めた
FAQ

よくある質問

壁面看板は、何から決めればいいですか?
読ませたい距離からです。何メートル手前で読ませるかが決まると、文字の高さが計算で出ます。面の大きさは、その文字が収まる寸法として後から決まります。
文字の大きさは、どう計算しますか?
読ませたい距離の1/250から1/500が目安です。時速40kmの車に2秒で読ませるなら、22m手前になります。22 ÷ 250 で約9cm、これを下限に考えてください。
壁に付けるだけでも、手続きは要りますか?
大きさや高さ、地域によって、屋外広告物としての手続きが要る場合があります。建物の一部を新しく作るとみなされる規模では、別の確認が要ることもあります。管轄の窓口へご確認ください。
効果があったかどうかは、いつ判断しますか?
1か月で通りかかりの新規客の増減を見ます。3か月で曜日と時間帯の差を見ます。看板は見慣れるまで時間がかかるため、2週間での判断は早すぎます。
いまある壁面看板を、活かせますか?
活かせる場合があります。枠と取り付けを残し、表示する面だけを張り替える方法です。まず、枠と面が分かれた構造かどうかを確かめてください。
費用を抑えたい場合、どこを削りますか?
面の大きさではなく、光らせ方から見直してください。内部に光源を入れる作りは、電源工事と後の交換が付いてきます。外から照らす方式なら、後から足すこともできます。

まとめ

壁面看板は、次の順序で決めていきます。

1 見える範囲道に立ち、現れて隠れるまでの区間を確かめる。
2 大きさ読ませたい距離から文字の高さを出し、面を決める。
3 壁の側材質・下地・防水・電源・足場を確かめる。
4 費用足元の作り方と光らせ方で動く。式に自分の数字を入れる。
5 測定通りかかりの新規客を、設置の前後で比べる。

壁の広さに合わせて作ると、たいてい読めない看板になります。 距離から文字を出す。この順番さえ守れば、大きな失敗は避けられます。

壁面の工事から任せられる業者を探す

当ガイドは仲介や紹介を行っていません。ご相談・お見積もりは各社へ直接お願いいたします。
文字の高さも作りも決まっていない段階で、壁の下地調査から受けるかどうかは比べられます。 建物の正面写真と、道の両方向から撮った写真。この3枚があると初回の相談が具体的になります。