スタッフ募集の看板・掲示
店先に出す5ステップ
これから店先や現場にスタッフ募集の掲示を出す方へ。この掲示を読むのは、店に用のある客ではありません。 近所に住む人と、通勤で前を通る人です。 通る時刻も、知りたいことも、集客の看板とは別物になります。
募集の掲示を読む人が6つに分かれること/ 載せる項目を三つに絞る基準/ 読ませたい距離から文字の高さを出す方法/ 条件の数字を差し替え式にする理由/ 明示が求められる事項と、確かめる先/ 他の採用手段と比べて回収ラインを出す式/ 応募が来ないとき、費用をかけずに疑う順序
読む人が、客と入れ替わります
店先の掲示は、ふつう客に向けて作ります。募集の掲示だけは相手が変わります。 店の前を通るだけで、入ったことのない人。通勤や送り迎えで、毎日同じ時刻に通る人。 集客の看板と同じ考え方で作ると、この人たちには届きません。
分けずに出すと、こうなります。集客の面に書き足したせいで、両方が読み飛ばされる。 「スタッフ募集」の五文字だけが大きく、自分に関係あるかが分からない。 条件の数字を刷り込み、変わるたびに面ごと作り直しになる。 採用が決まったあとも出したままで、人が居つかない店に見えてしまう。
相手と時間を決め、項目を三つに絞り、表示の決まりを確かめ、費用を計算し、応募と定着から測る。 この五つを順に埋めると、小さな一枚で足ります。
人を募るときは、明示が求められる事項があります。年齢や性別については、書き方に定めがあります。
掲示の見栄えを決める前に、書ける内容の範囲を確かめてください。
※ 屋外広告物としての大きさや場所の制限とは、別の話になります。
制度は変わることがあります。図面を決める前に、管轄の窓口へお問い合わせください。
読ませたい相手と、通る時間を決める
誰に読ませるかで、貼る場所も、書く時刻も変わります。
買い物のついでに前を通ります。働く先を探している最中とは限りません。話が家族や知り合いへ回ることもあります。
朝と夕方、同じ道を同じ向きに歩きます。急いでいるので立ち止まりません。目に入るのは見出しの一行だけです。
店の中をすでに見ています。仕事の中身を想像しやすい相手です。レジの脇に置く小さな札が、いちばん届きます。
決まった時刻に、決まった向きで前を通ります。短い時間だけ働ける先を探している場合があります。
速さがある分、読める量が減ります。歩く人に合わせた文字では届きません。読ませるなら一語だけです。
灯りが届いていないと、掲示があること自体に気づきません。早朝や夜を募るほど、この人が読み手になります。
六つのうち、一つを主役に決めます。全員に向けると、どの一枚も薄くなるからです。 近所の人なら昼、通勤の人なら朝と夕方、来店した客ならレジの脇。 相手を一つ選んだ時点で、掲示を置く場所と時刻が決まります。
決めたら、その時刻に外へ出てみてください。歩く速さは毎分およそ80m、秒速にすると1.3mほどです。 幅2mの掲示の前を通り過ぎるまでは、2 ÷ 1.3 でおよそ1.5秒。 この間に読めるのは、見出しの一行だけです。
立ち止まって読ませる作りにするなら、条件がもう一つ増えます。歩道の幅です。 後ろの人がよけられない場所では、誰も足を止めません。
早朝や夜の働き手を募るなら、掲示もその時刻に読まれます。 昼に立って納得しても、暗くなると読めない位置は珍しくありません。 灯りが届いていない一枚は、その時間帯を丸ごと逃しています。
載せる項目を三つに絞る
足すのではなく、削るほうに手をかけます。
| 項目 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 職種 | 載せる | 自分に関係あるか決まる |
| 働く時間帯 | 載せる | 合うかどうかが即決まる |
| 応募のしかた | 載せる | ここが無いと動けない |
| 条件の数字 | 差し替えの札へ | 変わると面ごと作り直しになる |
| 仕事の詳しい中身 | 別の面へ | 立ち止まらないと読めない |
| 求める人物像 | 外す | 誰にでも当てはまり残らない |
| 店の紹介や写真 | 外す | 集客の面がすでに担っている |
上の三つが、掲示に残す中身です。職種、働く時間帯、応募のしかた。 この三つが読めれば、応募するかどうかは決まります。 残りは、応募のあとで話せばよい内容です。
時間帯は、言い切るほど読まれます。「時間応相談」では、自分に合うかを判断できないからです。 朝の数時間、夕方から、夜のあいだ。どれか一つに書くと、当てはまる人だけが反応します。
条件の数字は、面に刷り込まないでください。差し替えられる札に切り出せば、板を作り直さずに済みます。 一行の言い回しをどう詰めるかは看板の文言の決め方にまとめています。
読ませたい距離から、文字の高さを出す
必要な文字の高さは、読ませたい距離のおよそ250分の1から500分の1が目安です。 5m先から読ませたいなら、5,000mm ÷ 500 で10mm。5,000mm ÷ 250 なら20mmです。 つまり1cmから2cmになります。
| 読ませたい距離 | 1/500 のとき | 1/250 のとき |
|---|---|---|
| 3m(立ち止まって読む) | 0.6cm | 1.2cm |
| 5m(歩きながら読む) | 1cm | 2cm |
| 10m(自転車・車道の側) | 2cm | 4cm |
書体、背景との明暗差、照明の有無で見え方は変わります。迷うときは大きいほうを取ってください。 この表が効くのは見出しの一行だけです。細かい行まで大きくすると、板が膨らみます。
応募の入口を二次元コードにするなら、読み取る人は必ず立ち止まります。 立った状態の目線は、一般的な目安としておよそ1.4mから1.6mです。 膝の高さに貼っても、しゃがむ人はいません。 読み取り先の作り方は看板の二次元コードで扱っています。
表示の決まりを確かめる
書ける内容と、掲げられる場所。二つは別々に決まります。
| 明示が求められる事項 | 人を募るときに明示が求められる事項があります。どこまで書くかを窓口で確かめてください。 |
|---|---|
| 年齢や性別の書き方 | 言い回しに定めがあります。文面を決める前に確認すると、刷り直しになりません。 |
| 屋外広告物としての制限 | 大きさや掲げる場所に制限がかかる地域があります。 |
| 貼る面の持ち主 | 自分の建物以外へ出すなら、持ち主の承諾が要ります。 |
| 歩道へのはみ出し | 置く形にすると、道の使い方の話になります。壁に留める形とは扱いが変わります。 |
上の二行は書く中身、下の三行は掲げる場所の話です。 どちらか一方だけを確かめて進むと、刷り上がってから止まります。
屋外広告物としての扱いは、地域で分かれます。県の条例が適用される地域があり、 市が独自の条例を持つ地域もあります。小さい掲示だから対象外、とは限りません。
先に書ける内容を確かめ、そのあとで掲げ方を確かめます。
書ける内容が変われば、行数が変わり、板の寸法まで動くからです。
※ 制度も運用も変わることがあります。事前に管轄窓口へご確認ください。
費用と回収ラインを計算する
売上ではなく、他の採用手段にかかる費用と比べます。
= 年に何人採用できれば釣り合うか
他の手段で1人を採るのに50,000円かかる、と置きます。掲示が1人分を肩代わりすれば、その額が浮きます。 掲示の年のコストが25,000円なら、25,000 ÷ 50,000 で0.5です。
年に1人採れれば、十分に釣り合う計算になります。 逆から見ても合います。50,000 × 0.5 は25,000で、年のコストと同じです。
50,000円と25,000円は、式の動きを見るための仮の置き方です。 自分の店で実際にかかっている額に差し替えてください。 他の手段の費用が高い業種ほど、掲示の効き目は大きく出ます。
費用を左右するところ
| 面の数 | 店先、窓、レジの脇。数えた分がそのまま費用に乗ります。 |
|---|---|
| 差し替えの仕組み | 条件の札だけ入れ替えられる形にすると、二度目からの費用が下がります。 |
| 文字の大きさ | 読ませたい距離で高さが決まり、板の寸法もそこから決まります。 |
| 夜に読ませるかどうか | 灯りの下に置くか、光る面にするか。夜や早朝を募るほど効いてきます。 |
| 出しておく期間 | 一年中か、時期を区切るか。素材の傷み方が変わります。 |
| 取り付けの方法 | 壁に留めるか、置くだけか。動かす予定があるなら置く形が軽く済みます。 |
二行目が、二年目から効いてきます。掲載社が公式サイトで公開している金額は看板の費用に種類別にまとめています。
応募の件数と、その後の定着から測る
数が来たかどうかで終えると、翌年に同じ掲示を出すことになります。
「何をご覧になりましたか」。面談の最初に添えるだけで、経路が一件ずつたまります。費用はかかりません。
朝に集まるのか、夕方に寄るのか。時刻の分布は、誰が読んでいるかを映します。
「時間帯を知りたい」が多いなら、そこが読めていません。応募の前の質問が、直す場所を教えます。
掲示ごとに別のあて先を割り当てると、どの面が読まれたかまで分かれます。
数えるのではなく、足が止まる位置を見ます。止まる場所と、貼った場所がずれていないかです。
面談での一言が、いちばん安い測定の道具です。集めていなければ、次の一枚も勘で作ることになります。
判断のタイミング
| 2週間 | 気づかれたかを見ます。応募の数はまだ動きません。 |
|---|---|
| 1か月 | 問い合わせの件数を見ます。ゼロなら、読まれていない疑いが先です。 |
| 3か月 | 応募がそろい、時間帯ごとの偏りが見えてきます。 |
| 半年 | 採用した人が続いているかを見ます。中身が合っていたかが分かります。 |
| 採用が決まった日 | 募集中の札を外すか、内容を差し替えます。 |
半年の行が、この記事で最後に置いた基準です。応募が多くても、すぐ辞めてしまえば掲示は当たっていません。 続いた人が何を読んで来たのかを聞くと、次に残す一行が見えてきます。
最後の行も忘れずに扱ってください。採用が決まったのに掲示が残っていると、 通る人には人手の足りない店に映ります。 募集中の札だけを外せる形にしておくと、下ろす手間がかかりません。
応募が来ないとき、この順で疑う
- 1たずねているかを疑う
経路を書き留める場所がなければ、効いていないのか、分かっていないだけなのかを区別できません。
- 2立ち止まれる幅があるかを疑う
歩道の幅を測ります。人がよける余地のない場所では、読む姿勢そのものが取れません。
- 3高さを疑う
目線より下に貼ると、通る人の視界から外れます。貼り直しは、いちばん安い直し方です。
- 4時間帯の書き方を疑う
「時間応相談」では、自分に合うかを判断できません。朝、夕方、夜のどれかに言い切ります。
- 5項目の数を疑う
三つを超えていないかを数えます。増えるほど、どれも読まれません。削るのに費用はかかりません。
- 6面を作り替える、置き場所を変える
ここまでで動かないときに検討します。費用がいちばん大きいので、最後に置きます。
上から順に、費用のかからないものが並びます。 1番から3番までは、聞くか、測るか、貼り直すだけで終わります。4番と5番は書き方の見直しです。 面を作り替えるのは、いちばん最後に置いてください。
よくある失敗5パターン
どれも、下ろして作り直さずに直せます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 集客の看板に募集を書き足した | どちらの用件も読まれない | 板は残し、募集だけを小さな別の面へ移す |
| 条件の数字を面に刷り込んだ | 変わるたびに作り直しになる | 数字の行だけ札に切り出し、上から差し替える |
| 「スタッフ募集」だけを大きく出した | 自分に関係あるか判断できない | 職種と時間帯を一行ずつ書き足す |
| 採用が決まっても出し続けた | 人が居つかない店に見える | 面はそのまま、募集中の札だけ外す |
| 二次元コードを低い位置に貼った | 読み取れず、立ち止まった人が離れる | 同じ札を目線の高さへ貼り直す |
セルフチェックリスト
掲示の案が出た段階で使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。
- 読ませたい相手を、近所の人・通勤の人・来店した客のどれか一つに決めた
- その人が前を通る時刻を、実際に外へ出て確かめた
- 募集の掲示を、集客の看板とは別の面に置いた
- 載せた項目が、職種・時間帯・応募のしかたの三つに収まっている
- 働く時間帯を、朝・夕方・夜のいずれかで言い切った
- 応募の連絡先に、電話が鳴ってよい時間を添えた
- 条件の数字を、差し替えられる札の側に載せた
- 見出しの一行が、5m先から読める高さになっている
- 掲示の前に立ち止まれる幅があるかを、歩道で確かめた
- 二次元コードを、立った目線の高さに置いた
- 暗くなってから、掲示が読めるかどうかを見た
- 明示が求められる事項と、書き方の定めを窓口に確かめた
よくある質問
スタッフ募集の掲示は、何から決めればいいですか?
文字はどれくらいの大きさが要りますか?
書き方に決まりはありますか?
効果はいつ判断すればいいですか?
すでに掲示を出していて、応募がない場合は?
費用を抑えたい場合、何を優先しますか?
まとめ
スタッフ募集の掲示は、次の順序で決めていきます。
| 1 決める | 読ませたい相手を一つ選び、その人が通る時刻を確かめる。 |
|---|---|
| 2 絞る | 職種・時間帯・応募のしかたの三つに畳む。数字は札へ。 |
| 3 確かめる | 書ける内容と、掲げられる場所を別々に窓口へ当てる。 |
| 4 計算する | 他の手段で1人採る費用と並べ、釣り合う人数を出す。 |
| 5 測る | 応募の数だけでなく、半年後に続いているかまで見る。 |
集客の看板と分けた瞬間に、募集の掲示は読まれ始めます。 店の魅力を語る面と、働く時間を伝える面は、役割が重なりません。 まず外へ出て、自分が募りたい時間帯に道の側から見るところから始めてください。