新築・改装と同時に決める看板の段取り
壁を閉じる前の5手順
これから店舗や事務所を建てる方、内装から作り替える方へ。 建物の工事と看板の工事は、たいてい別の会社が担当します。 つなぐ人を置かないと、壁の中に入れるはずのものが入りません。
建物側と看板側をつなぐ役の置き方/ 設計者へ渡す4つの数値と、その締切/ 壁を閉じる前に入れる5つの仕込み/ 引き渡し日から逆算する週数の早見表/ 距離から文字の高さを出す方法/ 許可の申請と、建物側の手続きとの関係/ 月のコストを「何日に1人」へ翻訳する式
建物の工事と看板の工事は、別々に走ります
看板の相談で多いのが、内装がおおむね決まってからのご連絡です。 建物の話が一段落したところで思い出す。順番として自然です。 ただし看板には、その時期を過ぎると選べなくなる仕様があります。
壁に付ける看板は、壁の中の受けに固定します。 光らせるなら、そこまで電線が来ていなければ点きません。 受けも配線も、閉じた壁には入れられません。
この一度きりの機会を逃すと、置きたかった位置に置けなくなります。 外壁を開ける工事が別に立ち、足場が解体されたあとで高所作業を一から組むことにもなります。
調整役を決め、壁の中へ仕込み、工程を並べ、手続きを確かめ、費用を計算して測る。 発注そのものの日程は 看板の発注スケジュールで扱っています。
誰が調整するかを先に決める
関わるのは三つの立場。契約はそれぞれ別に結ばれます。
- 1建物の設計者
図面を描きます。壁の中へ何を入れるかは、この一枚で決まります。
- 2建物の施工者
壁を作り、足場を組みます。仕込みの締切を握っています。
- 3看板の業者
看板を作って取り付けます。壁の中までは引き受けないことが多い。
三者は、互いに直接の契約を持たないことがあります。 看板の寸法が変わっても、その知らせは自動では届きません。 つなぐ役を一人決めて、その人を通す形にしてください。 引き受けるのは、発注者本人か建物の設計者です。
設計者へ渡す数値を4つにまとめる
- 1外形の寸法
幅と高さ、そして壁からの出。通行の妨げを見る数字です。
- 2金具を含めた重さ
金具を合わせた数を出します。下地の作り方が決まります。
- 3電源の容量
ワットで出します。100で割れば電流になります。
- 4取り付けの位置
外壁の図面に四隅を描きます。窓や換気口との干渉が分かります。
四つとも、看板の業者に聞けば出てくる数字です。 一枚にまとめて設計者へ渡してください。 口頭で伝えた数字は、図面に載らないまま流れます。
| 決めること | 決める側 | いつまでに |
|---|---|---|
| 看板の位置と大きさ | 発注者と看板の業者 | 図面が固まるまで |
| 壁の下地補強 | 建物の施工者 | 壁を閉じる前 |
| 電源の配線と回路 | 電気工事の担当 | 壁を閉じる前 |
| 足場を借りる日 | 建物の施工者 | 外装が終わる前 |
| 屋外広告物の書類 | 看板の業者 | 図面確定の直後 |
二行目と三行目だけ、期限が「壁を閉じる前」で動きません。 ほかは多少前後しても取り返しがつきます。
壁を閉じる前に仕込むものを決める
ここだけは、後から取り返せません。
壁の中へ受けを入れます。後から足すには外壁を開けます。
看板の位置まで管を通します。電線は後からでも引けます。
一つの回路にすると、点ける時間を店内と別にできます。
壁に穴を開ける以上、雨水の処理が伴います。外装と同じ日に。
光る看板は中身を替える日が来ます。手が届くかを見ます。
上の二つが入っていれば、看板の形はあとから選び直せます。
下地は、看板の外形より広く取る
受けの範囲は、看板と同じ大きさでは足りません。 金具が輪郭の外へ出るぶんの逃げが要ります。 幅180cm・高さ60cmの看板に、上下左右15cmを足すとします。 180 + 15 + 15 で210cm、60 + 15 + 15 で90cm。この範囲に受けを入れます。
15cmは考え方を示す置き方で、実際の寸法は取付図に載ります。
図面の段階で、その一枚を建物の施工者へ回してください。
※ 壁の構造によって、受けを入れられる位置は限られます。
電源は、ワットで出して回路の話にする
光らせるなら、消費電力をワットで出します。 100Vなら、100で割った値が電流です。200Wの看板は 200 ÷ 100 で2A。 この数で、電気工事の担当が回路の余裕を判断できます。
電気代は看板の電気工事と電気代で扱っています。
大きさは、読ませたい距離から逆に出す
看板の寸法が決まらないと、下地の範囲も決まりません。 必要な文字の高さは、読ませたい距離の250分の1から500分の1が目安です。
| 読ませたい場面 | 見る距離 | 必要な文字の高さ |
|---|---|---|
| 車で走りながら気づく | およそ100m先 | 20〜40cm |
| 対向する車線から読む | およそ50m先 | 10〜20cm |
| 道の反対側から読む | およそ20m先 | 4〜8cm |
| 建物の前で確かめる | およそ10m先 | 2〜4cm |
50m先なら、50,000mm ÷ 500 で100mm、50,000 ÷ 250 で200mm。10〜20cmです。 書体、明暗差、照明の有無で動きます。迷えば大きいほうを取ります。
文字の高さが決まれば、語数から面の幅が出ます。 面を広げる前に、外へ出す言葉を減らせないか見てください。
引き渡し日から逆算して工程を並べる
建物の工程表に、看板の予定を重ねます。
図面が固まり、躯体ができ、壁が閉じ、外装が仕上がり、検査を受ける。 看板の作業をどこへ差し込むかは、この並びで決まります。
| 看板側の作業 | 引き渡しの | 遅れると起きること |
|---|---|---|
| 看板の担当を決める | 20〜28週前 | 設計に条件を織り込めない |
| 数値を設計者へ渡す | 14〜20週前 | 下地の位置が図面に載らない |
| 看板の図面を確定する | 10〜16週前 | 手続きへ進めない |
| 屋外広告物の書類を出す | 8〜12週前 | 許可が取付日に間に合わない |
| 下地と配線を仕込む | 6〜12週前 | 外壁を開ける工事が出る |
| 製作に入る | 4〜8週前 | 納品が引き渡しに遅れる |
| 足場のある間に取り付ける | 1〜4週前 | 高所作業を組み直す |
週数は目安で、建物の規模や手続きの混み具合で動きます。 引き渡し日を紙の右端に置いて、左へ数えてください。
足場が建っているうちに済ませる
外壁の高い位置へ付けるなら、足場か高所作業車が要ります。 建物の工事では、外装のあいだ足場が建っています。 その期間に取り付けが収まれば、足場は一度で済みます。
解体の予定日は建物の施工者が握っています。 外装の工程表が出たら、日付をたずねてください。
解体後に取り付けるなら、高所作業車を手配するか、足場をあらためて組みます。 道路を使う場合は、その使用についての手続きも別に要ります。 高所での進め方は高所の看板工事にまとめています。
当日の流れは看板の取り付け当日にあります。
手続きにかかる日数を確かめる
申請は、図面が確定してからでないと出せません。
屋外へ掲げる看板には、掲出の手続きが要る場合があります。 大きさ、高さ、置く場所で対象かどうかが分かれます。 申請から結果が出るまでには日数がかかります。
図面が確定しないと申請できず、結果が出ないと取り付けられない。 図面確定の日は、取付日から二つ分さかのぼった位置にあります。
屋外広告物の制度は、県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。
対象になる大きさ、必要な書類、審査にかかる日数は、その条例で決まります。
※ 図面を確定する前に、管轄の窓口へご確認ください。
建物には建築確認があり、完了の検査があります。 屋外広告物の許可は、それとは別の制度として扱われるのが一般的です。 ただし屋上や地面に建てる広告塔は扱いが分かれます。 高さが4mを超えると、工作物として建物側の手続きが要る場合があります。
広告塔を建てるなら、設計の初期に設計者へ伝えてください。 基礎の位置や配筋に関わり、後から足すのは難しくなります。 看板の話を、建物の打ち合わせの議題に一度入れてしまうのが早道です。
費用を計算し、開店後に測って直す
建物の工事に混ぜると、看板の分が見えません。
看板にかかる費用は、建物の工事費と分けて出します。 どちらの見積もりに入っているかを、項目ごとに確かめてください。
| 壁の中の工事の量 | 下地補強と配線をどこまで入れるかで、建物側の費用が動きます。 |
|---|---|
| 取り付けの高さ | 手の届く高さか、見上げる高さか。作業の組み方が変わります。 |
| 足場を使えるか | 建物の足場に乗る日と、解体後に組み直す日では別の金額です。 |
| 電気工事の範囲 | 分電盤から看板までの距離と、回路を分けるかで決まります。 |
| 面の数 | 外の面、入口の面、駐車場の案内。枚数が金額に乗ります。 |
掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用にまとめています。
何日に1人でトントンかを出す
月のコスト ÷ 1人あたりの粗利 = 月に必要な新規客数
30 ÷ 月に必要な新規客数 = 何日に1人でトントンか
客単価を3,000円、粗利率を0.6と置きます。3,000 × 0.6 で1,800円。 月のコストを18,000円とすると、18,000 ÷ 1,800 で10人。 30 ÷ 10 で3です。
3日に1人の新規客で釣り合う、という見え方になります。 3,000円と18,000円は式の動きを見るための仮の置き方なので、 自分の店の数字に差し替えてください。
開店後、届いているかを測る
工程ごとに二つの日付を書き出します。次に店を作るときの材料に。
昼と夜の二枚を残します。読める大きさかが分かります。
会計のときに一言。1日3人でも2週間で40人ほどです。
タイマーのずれは、点けてみるまで表に出ません。
壁を開けた、足場を組み直した。段取りの抜けが出ます。
| 図面の段階 | 道の反対側に立ち、看板が来る位置を目で確かめます。費用はかかりません。 |
|---|---|
| 壁を閉じる前 | 下地の位置と配管の出口を、現場で写真に残します。 |
| 開店から1週間 | 夜に点く時刻と消える時刻を見ます。ずれは設定で直せます。 |
| 1か月 | どこで気づいたかの聞き取りをまとめます。 |
| 3か月 | 追加で出た工事の分を、当初の見積もりと並べます。 |
思ったほど届かないとき、この順で疑う
- 1点灯の時刻を疑う
タイマーの設定を直すだけで終わることがあります。
- 2前に立つ物を疑う
植栽、置き看板、停めた車。動かせるものが塞いでいないか。
- 3見ている位置を疑う
お客さまが来る方向から見ていない場合があります。
- 4文字の大きさを疑う
距離を測り、250と500で割って当てます。文字だけ作り替える手も。
- 5取り付けの角度を疑う
金具の可動範囲で向きが振れることがあります。
- 6面を作り替える
額が最も大きいため最後です。上の五つを通してから検討します。
かかる額が小さいものから並べました。 1番から3番までは、その日のうちに手が動きます。
よくある失敗5パターン
壁が閉じる前に気づけば、どれも手が打てます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 内装が固まってから相談した | 下地も配管も入っていない | 外壁を触らずに済む自立の面へ切り替える |
| 寸法だけを設計者へ伝えた | 重さが伝わらず下地が薄い | 金具込みの重量を書いて渡し直す |
| 足場の解体日を聞かなかった | 高所作業を組み直す | 解体の予定日を聞き、取付日を寄せる |
| 製作と同じ時期に申請した | 取付日に結果が出ない | 図面確定と同時に申請へ回す |
| 店内の照明と同じ回路にした | 看板だけ消せない | 分電盤に空きがあれば分ける。無ければタイマー |
セルフチェックリスト
建物の図面が固まる前に使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。
- 建物の引き渡し予定日を、日付で聞いた
- 看板の相談先を決め、設計者と会う日を作った
- 設計者・施工者・看板の業者をつなぐ人を決めた
- 看板の外形寸法を、幅と高さと出で書き出した
- 金具を含めた重さを、看板の業者に確かめた
- 消費電力をワットで出し、100で割って電流に直した
- 取り付け位置を、外壁の図面に描き込んだ
- 下地の範囲を、看板の外形より広く取った
- 壁を閉じる日を、施工者に確認した
- 足場を解体する予定日を聞いた
- 屋外広告物の手続きを、管轄の窓口へ問い合わせた
- 月のコストを粗利で割り、必要な新規客数を出した
よくある質問
新築のとき、看板はいつ誰に相談すればいいですか?
壁を閉じる前に、必ず入れておくものは何ですか?
屋外広告物の許可は、いつ申請しますか?
建築確認とは別の手続きになりますか?
足場は、いつまでに頼めばいいですか?
予算が限られる場合、何を優先しますか?
まとめ
建物の工事と歩調を合わせる看板は、次の順で決めます。
| 1 調整役を決める | 三つの立場をつなぐ人を一人置く。 |
|---|---|
| 2 壁の中へ仕込む | 下地補強と配管を、閉じる前に入れてもらう。 |
| 3 工程を並べる | 引き渡し日から左へ数え、足場のある間に取り付ける。 |
| 4 手続きを確かめる | 申請にかかる日数を聞き、図面確定の日を決める。 |
| 5 計算して測る | 月のコストを粗利で割り、開店後に届き方を見る。 |
壁が閉じる日は、看板の仕様を決める最後の日です。 その日を施工者に聞くところから、段取りを始めてください。