看板の印刷方式の選び方
色数と面積から決める5ステップ
これから看板の面を作る方、貼り替えを考えている方へ。 方式の違いは、数えれば決まります。 色の数と面積を出せば、どちらが向くかは業者に頼む前に見当がつきます。
発注の前に数えておく4つの項目/ 切って貼る方式と刷って貼る方式の分かれ目/ 方式によって、金額が動く場所が違うこと/ 表面の保護層とつやの決め方/ 面を分けておくと、あとの張り替えが安く済む理由/ 出力見本を屋外で見る手順/ 傷んだときに疑う順序
方式は、好みではなく数えて決まります
面の作り方の相談で多いのが、きれいに仕上げたいというご要望です。 きれいさは方式では決まりません。 方式を分けるのは、色の数と、面の広さです。
色を切り抜いて貼る方式は、色ごとに層を重ねます。 3色なら3層。手間は色数に比例します。 刷って貼る方式は、色数が増えても刷る回数は変わりません。 代わりに、面積が広いほど金額が上がります。
数えずに進めると、こうなります。 方式が決まらず、見積もりを比べられない。 大きな面を1枚もので作り、一部が傷んで全面の張り替えになる。 画面の色のまま入稿し、刷り上がりが想像と違う。 古い層の上に貼って、数か月で浮く。
載せるものを数え、方式を絞り、仕上げを決め、決まりと費用を確かめ、 掲出後に傷み方を見る。この五つを順に埋めます。
載せるものを数える
紙とメジャーがあれば、今日できます。
ロゴと文字で何色使うかを数えます。ここが方式の分かれ目になります。
写真、影、ぼかし。1つでもあれば、刷る方式に決まります。
幅と高さを測って掛けます。刷る方式では、ここが金額に効きます。
切って貼る方式では、字数と画数が手間になります。
遠い面ほど、細かさは要りません。近い面ほど粗が見えます。
短期の掲出と、何年も出す面では、表面の作りが変わります。
面積は、幅と高さを測って掛けるだけです。 幅2.0m、高さ0.9mなら 2.0 × 0.9 で1.8平方メートル。 この数字と色数の2つが、相談の入口になります。
地の色も1色に数えます。白も1色です。 影やぼかしが入っていれば、それは数え切れない色の集まりなので、写真と同じ扱いになります。 手元のロゴがどちらか分からなければ、業者に元データを見てもらえば分かります。 データの渡し方は看板の入稿データの作り方にまとめています。
切って貼るか、刷って貼るかを絞る
数えた結果を、この表に当てはめます。
| 面の中身 | 向く方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 色が2色以下でベタ面 | 切って貼る | 色ごとに層を重ねます |
| 写真や濃淡が入る | 刷って貼る | 色数が増えても刷りは1回 |
| 文字だけで面が広い | 切って貼る | 地の色は下地のまま使えます |
| 文字が多く画数も多い | 刷って貼る | 切る手間が字数に比例します |
| 立体に見せたい | 文字を切り出す | 面ではなく文字そのものを作ります |
迷うのは、文字だけで色数も少ないのに面が広い場合です。 このときは両方の見積もりを取ってください。 同じ図案で二通り出してもらえば、比べるのは金額だけになります。
出力の合計 = 面積 × 単位面積あたり
→ 二つを並べて、安いほうを選ぶ
金額が動く場所が、方式で違う
| 切って貼る方式 | 文字数と色数で動きます。面が広くても、字が少なければ増えません。 |
|---|---|
| 刷って貼る方式 | 面積で動きます。色数を増やしても、刷る回数は変わりません。 |
| 文字を切り出す方式 | 1文字ずつの加工と、取り付け方で動きます。 |
だから、削る場所も変わります。 切る方式なら文字数を減らします。刷る方式なら面積を詰めます。
直すときの費用まで、ここで決まる
方式の違いは、掲出後にも効きます。 切って貼った文字は、傷んだ1字だけを貼り替えられます。 10文字のうち1文字なら、直すのは面積の1割です。
刷った面は、その面ごとの張り替えになります。 1枚ものにするか、分けて作るか。ここが後の出費を分けます。
見る距離が遠い面ほど、細かさは要りません。 距離が2倍になれば見かけの大きさは半分になり、必要な細かさも半分で足ります。 近くで見る面だけ、粗さが目につきます。
表面の仕上げと、面の分け方を決める
傷むのは色ではなく、いちばん外側の層です。
刷った面の上に薄い層をかけます。傷と紫外線を受けるのは、この層です。
つやがあると光を返します。正面に照明や西日が入る面では、消すほうが読めます。
大きな面は分けて作れます。傷んだ1枚だけを張り替えられます。
古い層が残っていると浮きます。剥がしと清掃を見積もりに含めます。
保護層は、色の上にかける薄い膜です。 紫外線と傷を先に受けるのは、この層になります。 色を守るのは、色そのものではなく上の層です。
つやの有無は、光の入り方で決めます。 正面から照明や西日が当たる面では、つやが光を返して読めなくなります。 つやを消せば返しは減ります。
分けて作ると、次の出費が下がる
大きな面は、はじめから分けて作れます。 3枚に分けておけば、傷んだ1枚だけを張り替えられます。
3枚に分ける → 1 ÷ 3 = 約33%
切り文字10字のうち1字 → 1 ÷ 10 = 10%
分割の跡は、継ぎ目の位置を図案に合わせれば目立ちません。 作るときの手間より、直すときの面積で考えてください。
既存の面に貼り替えるときは、前の層を剥がして下地を清掃します。 残ったまま貼ると、端から浮いて水が入ります。 剥がしと清掃は手間がかかるので、見積もりに入っているかを確かめてください。 素材ごとの向き不向きは看板の素材の選び方で扱っています。
決まりを確かめ、かけてよい額を出す
仕上げによっては、条例が関わります。
屋外に出す看板には、地域ごとの条例で制限があります。
大きさや高さのほか、光を強く返す仕上げが道路沿いで避けられる場合もあります。
許可を受けたあとに色や図案を変えると、届け直しが要ることがあります。
県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。
※ 入稿の前に、管轄の窓口へご確認ください。
月あたりの額を、必要な客数に直す
方式を選ぶと金額が変わります。その差が見合うかは、客数に直すと判断できます。
月あたりのコストを15,000円、客単価を2,500円、粗利率を4割と置きます。 2,500 × 0.4 で1,000円。15,000 ÷ 1,000 で15人です。
30 ÷ 15 で2。 2日に1人、看板を見て来てくれれば釣り合う計算になります。
15,000円、2,500円、4割は、式の動きを見るための仮の置き方です。 金額の水準を示すものではありません。自分の店の数字に差し替えてください。
費用が動くところ
| 面積 | 刷る方式では、ここが最も効きます。幅×高さで出ます。 |
|---|---|
| 文字数と画数 | 切る方式では、字数と細かさが手間になります。 |
| 色数 | 切る方式だけ、色の数だけ層が増えます。 |
| 表面の保護層 | 足すと初期の額が上がり、張り替えの間隔が延びます。 |
| 下地の処理 | 古い層の剥がしと清掃。既存の面に貼るときに乗ります。 |
| 面の分割 | 分けると加工の手間は増え、あとの張り替えは狭い面積で済みます。 |
最後の2行は、初期の額と後の額の交換です。 掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめています。
掲出後に、傷み方を見て直す
どこから傷むかが分かれば、直す範囲も絞れます。
掲出の当日に1枚。以後は同じ場所から撮れば、色の変化が分かります。
浮きは端から始まります。触って引っかかる所が、剥がれの起点です。
同じ面の中で差が出ます。差が見えたら、色あせが進んでいます。
光を当てると、細かい傷や気泡が浮きます。昼には見えない傷みです。
四つとも、脚立に上がらずに済む範囲です。
色あせは、少しずつ進みます。毎日見ていると気づけません。 掲出当日の1枚が、比べる相手になります。
判断のタイミング
| 入稿の前 | 出力見本を屋外の光で見ます。ここが一番安く直せます。 |
|---|---|
| 貼った当日 | 端の浮きと気泡を確かめ、写真を1枚残します。 |
| 1か月 | 浮きが出ていないかを見ます。施工の不具合は早く出ます。 |
| ひと夏のあと | 日の当たる側の色を、最初の写真と比べます。 |
| 数年 | 張り替えるか、面ごと作り替えるかを決めます。 |
施工の不具合と、経年の色あせは出方が違います。 浮きや気泡は最初の1か月に出ます。色の変化は季節をまたいで進みます。
傷んだとき、この順で疑う
- 1汚れを疑う
色あせに見えて、砂と排気の膜のことがあります。拭けば戻ります。
- 2端の浮きを疑う
押さえ直しで止まることがあります。放つと水が入って広がります。
- 3一部の文字だけを疑う
切り貼りなら、傷んだ字だけ貼り替えられます。10文字のうち1文字なら1割です。
- 4分けた面の1枚を疑う
3枚に分けてあれば、張り替えは約33%の面積で済みます。
- 5表面の保護層を疑う
層だけが傷んでいるなら、その上から貼り直す手があります。
- 6面ごと作り替えるかを疑う
下地から傷んでいるときだけです。上の五つが先です。
上から順に、かかる額が小さいものです。 1番と2番は、費用をかけずに終わることがあります。 直すか替えるかの切り分けは看板の修理ガイドにまとめています。
よくある失敗5パターン
どれも、入稿の前に気づけば手を打てます。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 色数を数えずに見積もりを頼んだ | 方式が決まらず、額を比べられない | 色数と面積を数えて両方式で出してもらう |
| 大きな面を1枚もので作った | 一部が傷んでも全面の張り替えになる | 分割して作る。次の更新から切り替える |
| 画面の色のまま入稿した | 刷り上がりが想像と違い、刷り直す | 出力見本を屋外の光の下で確認する |
| 古い層の上にそのまま貼った | 数か月で浮き、端から剥がれる | 剥がしと清掃を見積もりに含める |
| 正面に西日が入る面をつやありにした | 光が返って、時間帯によって読めない | つやを消した仕上げに替える |
セルフチェックリスト
見積もりが出た段階で使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。
- ロゴと文字で使う色の数を数えた
- 写真や濃淡が入るかどうかを確かめた
- 面の幅と高さを測り、面積を出した
- 載せる文字の数を数えた
- 切って貼る方式と刷る方式の両方で見積もりを取った
- 見る距離を決め、必要な細かさを業者と確認した
- 何年出しておく面かを決めた
- 表面の保護層を付けるかどうかを決めた
- つやを残すか消すかを、光の入り方から決めた
- 大きな面を分割して作れるかを聞いた
- 既存の面に貼るなら、剥がしと清掃が見積もりに入っている
- 出力見本を、屋外の光の下で離れて見た
よくある質問
印刷方式は、何から決めればいいですか?
切って貼るか、刷って貼るか。基準はありますか?
決まりや手続きはありますか?
仕上がりは、いつ判断すればいいですか?
すでに貼ってある面が傷んできたときは?
予算が限られる場合、何を優先しますか?
まとめ
面の作り方を決める作業は、次の順序で進みます。
| 1 数える | 色数、写真の有無、面積、文字数。4つを紙に書く。 |
|---|---|
| 2 方式を絞る | 2色以下のベタは切って貼る。濃淡があれば刷って貼る。 |
| 3 仕上げを決める | 保護層とつや。大きな面は分けて作る。 |
| 4 決まりと費用を確かめる | 条例の制限を窓口へ。月あたりを必要な客数に直す。 |
| 5 傷みを見る | 当日の写真と比べ、傷んだ範囲だけを直す。 |
作るときの額だけでなく、直すときの面積で選んでください。 分けて作った面は、次の出費を小さくします。