看板のきほん / 2026年9月5日 更新 / 読了目安 約11分

看板の印刷方式の選び方
色数と面積から決める5ステップ

これから看板の面を作る方、貼り替えを考えている方へ。 方式の違いは、数えれば決まります。 色の数と面積を出せば、どちらが向くかは業者に頼む前に見当がつきます。

5手順数えることから傷みの確認まで
6項目発注前に数えるもの
12項目入稿前に見る点
この記事でわかること

発注の前に数えておく4つの項目/ 切って貼る方式と刷って貼る方式の分かれ目/ 方式によって、金額が動く場所が違うこと/ 表面の保護層とつやの決め方/ 面を分けておくと、あとの張り替えが安く済む理由/ 出力見本を屋外で見る手順/ 傷んだときに疑う順序

方式は、好みではなく数えて決まります

面の作り方の相談で多いのが、きれいに仕上げたいというご要望です。 きれいさは方式では決まりません。 方式を分けるのは、色の数と、面の広さです。

色を切り抜いて貼る方式は、色ごとに層を重ねます。 3色なら3層。手間は色数に比例します。 刷って貼る方式は、色数が増えても刷る回数は変わりません。 代わりに、面積が広いほど金額が上がります。

数えずに進めると、こうなります。 方式が決まらず、見積もりを比べられない。 大きな面を1枚もので作り、一部が傷んで全面の張り替えになる。 画面の色のまま入稿し、刷り上がりが想像と違う。 古い層の上に貼って、数か月で浮く。

載せるものを数え、方式を絞り、仕上げを決め、決まりと費用を確かめ、 掲出後に傷み方を見る。この五つを順に埋めます。

Step 1

載せるものを数える

紙とメジャーがあれば、今日できます。

色の数

ロゴと文字で何色使うかを数えます。ここが方式の分かれ目になります。

写真や濃淡があるか

写真、影、ぼかし。1つでもあれば、刷る方式に決まります。

面の広さ

幅と高さを測って掛けます。刷る方式では、ここが金額に効きます。

文字の数

切って貼る方式では、字数と画数が手間になります。

見る距離

遠い面ほど、細かさは要りません。近い面ほど粗が見えます。

何年出しておくか

短期の掲出と、何年も出す面では、表面の作りが変わります。

面積は、幅と高さを測って掛けるだけです。 幅2.0m、高さ0.9mなら 2.0 × 0.9 で1.8平方メートル。 この数字と色数の2つが、相談の入口になります。

色は「見える色」ではなく「使う色」を数えます

地の色も1色に数えます。白も1色です。 影やぼかしが入っていれば、それは数え切れない色の集まりなので、写真と同じ扱いになります。 手元のロゴがどちらか分からなければ、業者に元データを見てもらえば分かります。 データの渡し方は看板の入稿データの作り方にまとめています。

Step 2

切って貼るか、刷って貼るかを絞る

数えた結果を、この表に当てはめます。

面の中身向く方式理由
色が2色以下でベタ面切って貼る色ごとに層を重ねます
写真や濃淡が入る刷って貼る色数が増えても刷りは1回
文字だけで面が広い切って貼る地の色は下地のまま使えます
文字が多く画数も多い刷って貼る切る手間が字数に比例します
立体に見せたい文字を切り出す面ではなく文字そのものを作ります

迷うのは、文字だけで色数も少ないのに面が広い場合です。 このときは両方の見積もりを取ってください。 同じ図案で二通り出してもらえば、比べるのは金額だけになります。

切り貼りの合計 = 文字数 × 1文字あたり
出力の合計 = 面積 × 単位面積あたり
二つを並べて、安いほうを選ぶ

金額が動く場所が、方式で違う

切って貼る方式文字数と色数で動きます。面が広くても、字が少なければ増えません。
刷って貼る方式面積で動きます。色数を増やしても、刷る回数は変わりません。
文字を切り出す方式1文字ずつの加工と、取り付け方で動きます。

だから、削る場所も変わります。 切る方式なら文字数を減らします。刷る方式なら面積を詰めます。

直すときの費用まで、ここで決まる

方式の違いは、掲出後にも効きます。 切って貼った文字は、傷んだ1字だけを貼り替えられます。 10文字のうち1文字なら、直すのは面積の1割です。

刷った面は、その面ごとの張り替えになります。 1枚ものにするか、分けて作るか。ここが後の出費を分けます。

見る距離が遠い面ほど、細かさは要りません。 距離が2倍になれば見かけの大きさは半分になり、必要な細かさも半分で足ります。 近くで見る面だけ、粗さが目につきます。

Step 3

表面の仕上げと、面の分け方を決める

傷むのは色ではなく、いちばん外側の層です。

表面の保護層を付けるか

刷った面の上に薄い層をかけます。傷と紫外線を受けるのは、この層です。

つやを残すか消すか

つやがあると光を返します。正面に照明や西日が入る面では、消すほうが読めます。

貼る面をいくつに分けるか

大きな面は分けて作れます。傷んだ1枚だけを張り替えられます。

貼る下地を整えるか

古い層が残っていると浮きます。剥がしと清掃を見積もりに含めます。

保護層は、色の上にかける薄い膜です。 紫外線と傷を先に受けるのは、この層になります。 色を守るのは、色そのものではなく上の層です。

つやの有無は、光の入り方で決めます。 正面から照明や西日が当たる面では、つやが光を返して読めなくなります。 つやを消せば返しは減ります。

分けて作ると、次の出費が下がる

大きな面は、はじめから分けて作れます。 3枚に分けておけば、傷んだ1枚だけを張り替えられます。

1枚もので作る → 直すのは 面積の100%
3枚に分ける  → 1 ÷ 3 = 約33%
切り文字10字のうち1字 → 1 ÷ 10 = 10%

分割の跡は、継ぎ目の位置を図案に合わせれば目立ちません。 作るときの手間より、直すときの面積で考えてください。

古い層の上に、そのまま貼らないでください

既存の面に貼り替えるときは、前の層を剥がして下地を清掃します。 残ったまま貼ると、端から浮いて水が入ります。 剥がしと清掃は手間がかかるので、見積もりに入っているかを確かめてください。 素材ごとの向き不向きは看板の素材の選び方で扱っています。

Step 4

決まりを確かめ、かけてよい額を出す

仕上げによっては、条例が関わります。

面の大きさと仕上げに、制限がかかることがあります

屋外に出す看板には、地域ごとの条例で制限があります。 大きさや高さのほか、光を強く返す仕上げが道路沿いで避けられる場合もあります。 許可を受けたあとに色や図案を変えると、届け直しが要ることがあります。 県の条例が及ぶ地域と、市が独自の条例を持つ地域があります。
※ 入稿の前に、管轄の窓口へご確認ください。

月あたりの額を、必要な客数に直す

方式を選ぶと金額が変わります。その差が見合うかは、客数に直すと判断できます。

月あたりのコスト ÷ (客単価 × 粗利率) = 月に必要な新規客数

月あたりのコストを15,000円、客単価を2,500円、粗利率を4割と置きます。 2,500 × 0.4 で1,000円。15,000 ÷ 1,000 で15人です。

30 ÷ 15 で2。 2日に1人、看板を見て来てくれれば釣り合う計算になります。

15,000円、2,500円、4割は、式の動きを見るための仮の置き方です。 金額の水準を示すものではありません。自分の店の数字に差し替えてください。

費用が動くところ

面積刷る方式では、ここが最も効きます。幅×高さで出ます。
文字数と画数切る方式では、字数と細かさが手間になります。
色数切る方式だけ、色の数だけ層が増えます。
表面の保護層足すと初期の額が上がり、張り替えの間隔が延びます。
下地の処理古い層の剥がしと清掃。既存の面に貼るときに乗ります。
面の分割分けると加工の手間は増え、あとの張り替えは狭い面積で済みます。

最後の2行は、初期の額と後の額の交換です。 掲載社が公式サイトで公開している金額は、看板の費用に種類別にまとめています。

Step 5

掲出後に、傷み方を見て直す

どこから傷むかが分かれば、直す範囲も絞れます。

同じ位置から写真を撮る

掲出の当日に1枚。以後は同じ場所から撮れば、色の変化が分かります。

端と角を指でなぞる

浮きは端から始まります。触って引っかかる所が、剥がれの起点です。

日の当たる側と当たらない側を比べる

同じ面の中で差が出ます。差が見えたら、色あせが進んでいます。

夜に照らして見る

光を当てると、細かい傷や気泡が浮きます。昼には見えない傷みです。

四つとも、脚立に上がらずに済む範囲です。

色あせは、少しずつ進みます。毎日見ていると気づけません。 掲出当日の1枚が、比べる相手になります。

判断のタイミング

入稿の前出力見本を屋外の光で見ます。ここが一番安く直せます。
貼った当日端の浮きと気泡を確かめ、写真を1枚残します。
1か月浮きが出ていないかを見ます。施工の不具合は早く出ます。
ひと夏のあと日の当たる側の色を、最初の写真と比べます。
数年張り替えるか、面ごと作り替えるかを決めます。

施工の不具合と、経年の色あせは出方が違います。 浮きや気泡は最初の1か月に出ます。色の変化は季節をまたいで進みます。

傷んだとき、この順で疑う

  1. 1
    汚れを疑う

    色あせに見えて、砂と排気の膜のことがあります。拭けば戻ります。

  2. 2
    端の浮きを疑う

    押さえ直しで止まることがあります。放つと水が入って広がります。

  3. 3
    一部の文字だけを疑う

    切り貼りなら、傷んだ字だけ貼り替えられます。10文字のうち1文字なら1割です。

  4. 4
    分けた面の1枚を疑う

    3枚に分けてあれば、張り替えは約33%の面積で済みます。

  5. 5
    表面の保護層を疑う

    層だけが傷んでいるなら、その上から貼り直す手があります。

  6. 6
    面ごと作り替えるかを疑う

    下地から傷んでいるときだけです。上の五つが先です。

上から順に、かかる額が小さいものです。 1番と2番は、費用をかけずに終わることがあります。 直すか替えるかの切り分けは看板の修理ガイドにまとめています。

Pitfalls

よくある失敗5パターン

どれも、入稿の前に気づけば手を打てます。

失敗何が起きるか直し方
色数を数えずに見積もりを頼んだ方式が決まらず、額を比べられない色数と面積を数えて両方式で出してもらう
大きな面を1枚もので作った一部が傷んでも全面の張り替えになる分割して作る。次の更新から切り替える
画面の色のまま入稿した刷り上がりが想像と違い、刷り直す出力見本を屋外の光の下で確認する
古い層の上にそのまま貼った数か月で浮き、端から剥がれる剥がしと清掃を見積もりに含める
正面に西日が入る面をつやありにした光が返って、時間帯によって読めないつやを消した仕上げに替える
Checklist

セルフチェックリスト

見積もりが出た段階で使います。5つ以上「いいえ」があれば、見直す余地があります。

  • ロゴと文字で使う色の数を数えた
  • 写真や濃淡が入るかどうかを確かめた
  • 面の幅と高さを測り、面積を出した
  • 載せる文字の数を数えた
  • 切って貼る方式と刷る方式の両方で見積もりを取った
  • 見る距離を決め、必要な細かさを業者と確認した
  • 何年出しておく面かを決めた
  • 表面の保護層を付けるかどうかを決めた
  • つやを残すか消すかを、光の入り方から決めた
  • 大きな面を分割して作れるかを聞いた
  • 既存の面に貼るなら、剥がしと清掃が見積もりに入っている
  • 出力見本を、屋外の光の下で離れて見た
FAQ

よくある質問

印刷方式は、何から決めればいいですか?
載せるものを数えるところからです。色の数、写真や濃淡の有無、面積、文字数。この4つが分かれば、方式はほぼ決まります。
切って貼るか、刷って貼るか。基準はありますか?
色が2色以下でベタ面なら切って貼る方式が向きます。写真や濃淡が1つでも入れば刷る方式です。切る方式は文字数と色数で金額が動き、刷る方式は面積で動きます。
決まりや手続きはありますか?
面の大きさや材質は、地域の条例で制限されることがあります。光を強く返す仕上げが、道路沿いで避けられる場合もあります。許可を受けた図面と違う色で作ると、届け直しが要ることもあります。着手前に管轄の窓口へご確認ください。
仕上がりは、いつ判断すればいいですか?
入稿前に出力見本を屋外の光で見てください。貼った当日に端の浮きを確かめ、ひと夏を越えたところで日の当たる側の色を最初の写真と比べます。
すでに貼ってある面が傷んできたときは?
まず拭いてください。色あせに見えて、砂と排気の膜のことがあります。次が端の押さえ直し、その次が傷んだ部分だけの貼り替えです。
予算が限られる場合、何を優先しますか?
面を分けて作ることです。加工の手間は少し増えますが、傷んだ1枚だけを張り替えられます。3枚に分ければ、次の出費は約3分の1の面積で済みます。

まとめ

面の作り方を決める作業は、次の順序で進みます。

1 数える色数、写真の有無、面積、文字数。4つを紙に書く。
2 方式を絞る2色以下のベタは切って貼る。濃淡があれば刷って貼る。
3 仕上げを決める保護層とつや。大きな面は分けて作る。
4 決まりと費用を確かめる条例の制限を窓口へ。月あたりを必要な客数に直す。
5 傷みを見る当日の写真と比べ、傷んだ範囲だけを直す。

作るときの額だけでなく、直すときの面積で選んでください。 分けて作った面は、次の出費を小さくします。

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方式も仕上げも、まだ何も決まっていない段階で構いません。 自社で出力できるか、面の分割に応じてもらえるかは比べられます。 色数と面積を書いた紙、そして図案。この二つで相談が短く済みます。