テント看板の作り方ガイド
出幅と高さから決める5ステップ
入口にテントを付けようか考えている方へ。 布の日よけは、日差しをよける道具でもあり、店名を出す面でもあります。 どちらを主にするかで、寸法の決め方が変わります。
日よけ・雨よけ・看板のどれを兼ねさせるかの決め方/ 出幅と下端の高さ、面の取り方で決まる6項目/ 道路の上に出る場合と、建物の所有者に確かめること/ 幕の張替えを含めて、年あたりの負担で比べる計算/ 読ませたい距離から文字の高さを出す早見表/ 気づかれないときに、安い順で疑う段取り
テントの寸法は、用途で決まります
入口にテントを付けたいというご相談で、最初に伺うのが用途です。 日差しか、雨か、店名か。 この3つのうち、いくつを兼ねさせるかで寸法が縛られていきます。
決めずに進めると、こうなります。日よけのつもりが、前へ出す長さが足りず日が入る。 雨よけを兼ねたのに、入口で傘を畳む場所が取れない。 店名を大きく入れたのに、通りを歩く人からは見えない。 幕が色あせても、そこだけ替えられない。
役割を決め、出幅と高さを決め、手続きと承諾を確かめ、年あたりで比べ、設置後に測る。 この5つを順に埋めれば、業者に伝える内容がそろいます。
ここで扱うのは、入口に張り出す布の日よけを看板として使う話だけです。 入口まわりの表示をひととおりそろえる順番は、店舗の看板一式のそろえ方にまとめています。
何を兼ねさせるかを決める
兼ねる数が増えるほど、選べる寸法は狭くなります。
窓や店頭に入る日を切ります。効き方を決めるのは、前へ出す長さと傾きです。夏の昼にどこまで影が要るかを見ておきます。
入口の手前に、傘を畳める場所ができます。人ひとりが立てる奥行きが要るため、日よけだけより前へ出ます。
幕は面積が広く、遠くからでも目に入ります。ただし読める向きは限られます。正面か、通りに沿ってか。先に選びます。
外に並べる物の日焼けや雨ぬれを減らせます。守りたい棚の位置から逆算すれば、長さが出ます。
開閉できる形なら、使う時間だけ出せます。たたむぶん幕にしわが寄るので、細かい文字は向きません。
テント看板は、布の面と骨組みでできています。 布の部分を幕(テント地)、骨組みをフレームと呼びます。 幕はフレームより先に寿命が来ます。 日に当たり、雨に打たれ、色が落ちるためです。
雨よけを足すと、人が立てる奥行きが要ります。 看板を足すと、文字の高さから幕の面積に下限が生まれます。
店名、業種、電話番号、営業時間、取扱商品。 幕に載せるのは、業種と店名の2つまでにしてください。 残りの情報は、入口の扉やガラス面に回すほうが読まれます。
出幅と高さを決める
先に測るのは、守りたい範囲と、下を通る人です。
| 間口の幅 | 幕をどこまで広げるか。柱や雨どいの位置で端が決まります。 |
|---|---|
| 出幅(建物から前へ出る長さ) | 日よけと雨よけの効きは、ここでほぼ決まります。 |
| 下端の高さ | 幕やフレームのいちばん低い部分です。下を人が通るなら高さが要ります。 |
| 取り付ける位置の高さ | 窓の上枠、庇、二階の床。取り合う部分が上限を決めます。 |
| フレームの形 | 固定したままか、開閉するか。角度の付いた形か、箱型か。 |
| 文字を載せる面 | 前から見える面と、通りに沿って見える面は別です。 |
守りたい場所に、実際に立ってみてください。 その足元から建物の壁までを測れば、必要な長さが出ます。 数字から入るより、立ってから測るほうが早く決まります。
下端の高さは、下を人が通るかどうかで話が分かれます。 通らない場所なら、低く出したほうが日よけは効きます。 下を人が通るなら、通る人の背丈より余裕を持たせます。 求められる高さは場所ごとに決まっており、歩道か敷地内かでも扱いが変わります。 数値は断定できません。事前に管轄窓口へご確認ください。
現地でも確かめられます。 身近でいちばん背の高い人に、下を通ってもらってください。 手を上げても当たらないかを、その場で見ます。
文字の高さは、読ませたい距離から出す
必要な文字の高さは、読ませたい距離の1/250から1/500が目安です。 20m手前から読ませたいなら、20 ÷ 500 で4cm、20 ÷ 250 で8cm。 つまり4cmから8cmの範囲になります。
| 読ませたい距離 | 1/500のとき | 1/250のとき |
|---|---|---|
| 10m | 2cm | 4cm |
| 20m | 4cm | 8cm |
| 30m | 6cm | 12cm |
この幅は、書体、文字と地の色の差、照明の有無で変わります。 細い書体なら、大きいほうへ寄せてください。
1.1m × 3秒 = 3秒読ませるなら 約3.3m の区間
歩いて近づく人は、幕を見続けてはくれません。 視界に入ってから3秒読ませるなら、約3.3mの区間で読める大きさが要ります。
正面だけに文字を入れると、店の前まで来た人にしか読めません。 通りを歩いて近づく人に伝えたいなら、横向きの面に文字を回してください。
手続きと建物の承諾を確かめる
前へ出した先が誰の場所かで、確かめる相手が変わります。
| 敷地の内側で収まるか | 前へ出した先が自分の土地なら、話は建物の中で済みます。 |
|---|---|
| 道路の上に出るか | 道の上に張り出すなら、道路を使う側の手続きが別に生じます。 |
| 屋外広告物の扱い | 文字や図柄を入れると、広告の表示として扱われる場合があります。 |
| 下端の高さの基準 | 人が下を通る場所では、一定の高さを求められるのが一般的です。 |
| 建物所有者の承諾 | 借りている物件なら、壁に穴を開ける前に書面で了解を取ります。 |
| 近隣への出方 | 隣の入口や窓に、影や雨だれがかからないかを見ます。 |
分かれ目は、幕の先端が敷地の中にあるかどうかです。 中で収まるなら、相手は建物の所有者だけです。 出幅を決める前に、敷地の境目がどこかを図面で確かめてください。
文字や図柄を入れたテントは、屋外広告物として扱われる場合があります。
県の条例が適用される地域と、市が独自の条例を持つ地域があり、基準も様式も違います。
※ 場所によって基準が異なるため、事前に管轄窓口へご確認ください。
制度の中身と更新の管理は屋外広告物の許可ガイドにまとめています。
建物の所有者の承諾は、口頭で終わらせないでください。 テントは壁に金具を打ち込んで固定します。 穴の位置と数、外すときにどこまで戻すかを文書にしておくと後で困りません。
張替えを含めて年あたりで比べる
幕は消耗品です。総額ではなく、1年あたりに直します。
金額はここで動きます
| 幕の面積 | 間口の幅と出幅を掛けた広さです。ここが基準になります。 |
|---|---|
| フレームの形 | 固定と開閉では、部品の数も取り付けの手間も違います。 |
| 取り付ける壁の下地 | 金具が効く下地があるか。無ければ補強から入ります。 |
| 文字の入れ方 | 幕に直接刷るか、切った文字を貼るか。 |
| 作業する高さ | 足場や高所作業車が要るかどうかで、当日の組み方が変わります。 |
| 照明を付けるか | 夜も読ませるなら、配線と器具が加わります。 |
見積もりを取るときは、この6つを自分の条件で埋めて渡してください。 掲載社が実際に公開している金額は看板の費用に種類別にまとめています。
幕の張替えを、年あたりに直す
新しく作る費用 ÷ そのテントを使う年数 = 作り直した場合の年あたり
新しく作る費用を1として、比で並べます。 幕の張替えが新設の3割で、5年ごとに張り替えるとします。0.3 ÷ 5 で0.06です。 フレームごと作り直して10年使うなら、1 ÷ 10 で0.1になります。 0.06のほうが小さいので、この置き方では張替えのほうが年あたりは軽い計算です。
3割、5年、10年は、いずれも仮の置き方です。 比べるべきは、この3つを自分の条件に入れ替えた結果です。
月に何人来れば釣り合うかを出す
年あたりが出たら、客数に直します。 金額のままでは、重いか軽いか判断できません。
月あたりの負担が1万5千円相当だとします。 客単価が1,000円、粗利率が6割なら、1,000 × 0.6 で600円。 15,000 ÷ 600 で25です。 月に25人。30日で割ると、1日1人には届かない計算になります。
1万5千円、1,000円、6割も仮の置き方です。 相場ではありません。自分の店の数字を入れてください。
テントは日よけと雨よけも兼ねます。 看板の分だけで元を取る必要はありません。
発注の前に、幕だけを外して交換できる作りかどうかを尋ねてください。 フレームと一体で作ると、張り替えるという選択肢がそもそも消えます。
設置後に見え方を測り、手入れをする
付いた日が基準です。あとで比べる材料を残しておきます。
幕の文字が読めなくなる場所まで下がります。そこから店へ歩き、読めた地点で止まります。巻尺を当てれば、届く距離が出ます。
歩く速さは1秒あたり約1.1mです。読める区間が3.3mに満たないなら、文字が小さいか、手前の物が視線を切っています。
幕は日の向きで表情が変わります。影で沈む時間帯、白く飛ぶ時間帯が見つかります。位置は毎回そろえます。
傘を畳める奥行きがあるか。端から水が落ちる位置はどこか。晴れの日には見えない情報です。
見慣れた目は当てになりません。店を知らない人に通りの先から歩いてもらうのが、最も早い確認です。
道具は巻尺と自分の足で足ります。難しいのは、良し悪しの基準を持つことです。
見るタイミング
| 設置した当日 | 正面と通りの両方向から写真を残します。比べる相手になります。 |
|---|---|
| 1か月後 | 来店した方に、外から見つけられたかを尋ねます。 |
| 3か月後 | 雨だれの筋や、ほこりのたまり方を見ます。 |
| 半年後 | 日の向きが変わっています。影の落ち方を確かめます。 |
| 数年後 | 幕の色を、設置当日の写真と並べます。張り替えの判断はここです。 |
気づかれないとき、この順で疑う
- 1手前の物を疑う
のぼり、置き看板、自転車、街路樹の枝。幕の下は物が集まります。どけるだけで戻ることがあります。
- 2文字を載せた面を疑う
正面だけに入れていると、通りを歩く人からは見えません。側面へ回せないかを尋ねてください。
- 3色の組み合わせを疑う
地の色と文字の色が近いと、遠くで溶けます。幕を変えずに文字だけを入れ直せる場合があります。
- 4文字の高さを疑う
読ませたい距離を測り、1/250〜1/500に当てはめます。足りなければ文字だけを作り直します。
- 5夜の明るさを疑う
周りの店が明るいと、光らない幕は沈みます。入口側の照明を幕へ向けられないか相談します。
- 6幕を張り替えるかを考える
ここまで試して届かないときだけです。フレームは残せることが多く、順番としては最後です。
上から順に、費用のかからないものが並んでいます。 3番から5番は、幕を残したまま部分的に直せることがあります。
幕の手入れ
布は、垂直な面より汚れがたまります。 手が届く範囲は、柔らかい布と水で拭けます。 強くこすると表面の膜が傷み、そこから色が落ちます。 脚立が要る高さは業者に任せてください。
よくある失敗5パターン
どれも、発注の前に確かめておけば起きません。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 日よけと雨よけを兼ねさせたが出幅が足りない | 入口で傘を畳めず、雨の日に人が滞る | 守りたい範囲に人を立たせ、その位置から測り直す |
| 幕に情報を詰め込んだ | 遠くから何の店か分からない | 業種と店名に絞り、残りは入口の表示へ回す |
| 正面にだけ文字を入れた | 通りを歩く人の視界に入らない | 側面へ文字を回す。幕はそのまま使える |
| 張り替える前提で作られていない | 色あせるとフレームごと作り直しになる | 発注時に、幕だけ交換できる作りかを確かめる |
| 下端の高さを決めずに発注した | 取り付け当日に位置の変更が出る | 人が下を通るかを先に決め、窓口へ尋ねる |
セルフチェックリスト
見積もりを頼む前に使ってください。5つ以上「いいえ」があれば、見直しの余地があります。
- テントに兼ねさせる役割を、日よけ・雨よけ・看板から選んだ
- 守りたい範囲に立ち、そこから出幅を測った
- 下を人が通るかどうかを決めた
- 前へ出した先が敷地の内側かどうかを確かめた
- 取り付ける壁の下地について、業者に見てもらった
- 幕に載せる要素を2つまでに絞った
- 読ませたい距離を測り、文字の高さを計算した
- 正面と側面のどちらに文字を載せるかを決めた
- 道路の上に出る場合の扱いを、管轄窓口へ尋ねた
- 建物の所有者から、書面で承諾を得た
- 幕だけを交換できる作りかどうかを確かめた
- 設置後に見え方を測る日を決めてある
よくある質問
テント看板は、何から決めればいいですか?
文字は、どのくらいの高さにすればいいですか?
道路の上に出す場合、手続きは要りますか?
設置してから、どのくらいで判断すればいいですか?
すでに付いているのですが、気づいてもらえません。
費用を抑えたいときは、どこから削りますか?
まとめ
入口にテントを付けるかどうかは、次の順序で決めます。
| 1 役割を決める | 日よけ・雨よけ・看板のうち、兼ねさせるものを選ぶ。 |
|---|---|
| 2 寸法を決める | 守りたい場所に立って出幅を測り、下端の高さを決める。 |
| 3 確かめる | 敷地の境目、道の上への出方、所有者の承諾を押さえる。 |
| 4 比べる | 幕の張替えを含めて、年あたりの負担に直して並べる。 |
| 5 測って手入れする | 付いた日に写真を残し、歩いて読める距離を測る。 |
テントは、日よけと看板を一枚で引き受ける部品です。 引き受けさせる数を1つ減らすたび、形の選択肢は増えます。 入口の前に立ち、足元から壁までを測るところから始めてください。